作成日
:2024.06.05
2024.07.02 10:02
2024年6月のポンド相場は、英中銀の金融政策発表に注目!
根強い円安圧力でポンド円は上昇予想
6月のポンド円は、底堅いポンドと円安圧力による上昇を予想しています。
日銀はマイナス金利を解除したものの、国債の買い入れなど緩和政策は継続しています。5月時点の日本のCPI(消費者物価指数)は、物価目標の2%を超える2.5%となったものの、右肩下がりで低下しています。したがって、このような状況下で大幅な利上げや国債買い入れの終了など、急激な政策変更は難しいと考えています。
6月の日銀金融政策決定会合では、国債買い入れ額の減額など、金融正常化に多少傾く可能性はあると思いますが、各国との金利差から円キャリートレード(円売りトレード)は継続すると予想しています。その上で、円安が進んだとしても円買い介入は難しい状況でしょう。
4月末に実施された為替介入の際は、米国のイエレン財務長官をはじめ各国の財務相との協議が進んでいました。ですが5月に入り、イエレン財務長官は「介入はまれであるべき」、「為替市場のボラティリティーへの対応であるべき」、「介入は決して日常的に用いられるような手段ではない」と繰り返し述べ、日本当局の為替介入に対する牽制発言が続いています。
このような状況では日本当局による単独介入はできたとしても、各国との協調介入はできないと考えられます。日本当局による単独介入だけでは一時的な円高は作れても、根強い円安圧力ですぐに元に戻る可能性が高く、また、単独介入を繰り返すと米国の為替報告書で為替操作国に認定される可能性も高まります。
したがって、円安の根本要因(貿易赤字や各国との金利差など)が改善しない限り、円安トレンドは変わらないとの考え方から、ポンド円は上昇すると予想しています。
日本当局による単独介入は押し目買いのポイントになりそう!
5月末時点の、ポンド円日足チャートです。5月のポンド円は上昇トレンドを描いています。
画像引用:Tradingview
押し目の第1ターゲット:196.2円
押し目の第2ターゲット:192.5円
押し目の第3ターゲット:189.9円
画像引用:Tradingview
戻りの第1ターゲット:205.3円
戻りの第2ターゲット:212.7円
戻りの第3ターゲット:214.2円
米ドルとポンドはどちらも底堅く、ポンドドルはレンジ予想
6月のポンドドル相場は、利下げ先送り観測から底堅い米ドルと底堅いポンドが綱引き状態となり、レンジ相場を形成すると予想しています。
米国のCPI(消費者物価指数)前年比は下げ止まり、再上昇する動きも見えています。またFRB(連邦準備制度理事会)が最も重要視している物価指標であるPCEデフレータもここ数か月上昇しています。
このような状況を受けて、一部のマーケット参加者は追加利上げもあるのではないかと警戒しています。流石に追加利上げはされないと思いますが、利下げ開始時期が来年に持ち越される可能性はあると考えています。
5月29日時点で、9月に利下げ開始の可能性は約4割、11月に利下げ開始の可能性は5割強となっています。ただし11月は大統領選挙があるため、余程のことがない限り金融政策の変更はないと考えられます。そのため12月利下げ開始が濃厚だと予想できます。
6月に発表されるCPIやPCEデフレーターが市場予想や前回値を上回るようであれば、さらに利下げ観測は先送りとなり、米ドルは底堅くなるでしょう。
また、6月FOMC(米連邦公開市場委員会)では経済見通しやドットチャートが発表されます。経済見通しの中のインフレ見通しが上方修正されたり、ドットチャートで金利の見通しが上方修正されたりする場合も米ドルは底堅く推移すると考えます。
物価指標やFOMCの結果に注目!
5月末時点での、ポンドドルの日足チャートです。5月のポンドドルは、上昇トレンドを描いています。
画像引用:Tradingview
押し目の第1ターゲット:1.246
押し目の第2ターゲット:1.227
画像引用:Tradingview
戻りの第1ターゲット:1.272
戻りの第2ターゲット:1.288
6月のポンド相場は、英議会総選挙と金融政策がポイントになると考えています。
5月22日にスナク英首相は、英議会を解散し7月4日に総選挙を実施すると発表しました。
ジョンソン前英首相のスキャンダル(コロナ禍でのパーティーなど)や、就任してすぐに辞任したトラス前英首相などで政治不信が募り、与党である保守党の支持率が低下している中での前倒し総選挙です。
マーケットでは、最大野党の労働党に政権交代するのではないかと予想されています。政治不安などはポンド売りの要因となりますが、今回は労働党に政権交代する可能性が高いということでポンドは安定しています。
仮に保守党が健闘して、7月に向けて選挙の情勢が変わり、どちらが政権を取るのかわからない状況になると、不透明な状況を嫌気してポンド売りが進む可能性があります。
次に金融政策ですが、一時は6月利下げの可能性もありましたが、直近の経済指標の結果などから利下げ期待は後退しつつあります。また、総選挙を控えている状況での金融政策変更はしないと考えています。
5月の英中銀金融政策発表では、9名いるMPC(英国中央銀行金融政策委員会)メンバーのうち2名が利下げを支持していました。しかし6月の金融政策発表で利下げ支持が3名や4名に増えていれば、8月の利下げの可能性が出てくると思います。他にも声明文などで8月利下げについてのヒントが出てくると、利下げ期待が高まるでしょう。
短期金利市場からは、8月・11月と年内に2回の利下げを織り込んでいると読み取れます。
8月利下げの可能性が後退するようであればポンド買いが進み、順当に8月利下げのヒントが出てくるようであれば、ポンドは底堅く推移すると考えています。
7月の総選挙に向けた情勢の変化に注目です。
作成日
:2024.06.05
最終更新
:2024.07.02
英ポンドを中心にトレードを行う大学生トレーダーで、2021年の合計利益は4,000万円にのぼる。公式Twitterでもテクニカル分析等の情報発信を行い、フォロワー数は5,000人以上。ファンダメンタル分析とテクニカル分析を組み合わせた手法を用い、Myforexでは月初にポンド通貨ペアの戦略を連載している。
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