Select Language

Mantle LSPの新たな提案が可決|MIP-30の内容や影響を解説

Mantle LSPの新たな提案が可決|MIP-30の内容や影響を解説

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2024.06.15 08:51
Mantle LSPの新たな提案が可決|MIP-30の内容や影響を解説

update 2024.06.15 08:51

2024年5月21日から、Mantle(マントル)で「MIP-30」に対する投票が開始されました。当記事執筆時点(2024年5月27日)でほぼ100%の賛成票が投じられており、可決が決定的となっています。

当記事では、MIP-30の提案内容や目的に加え、可決によりもたらされる影響について解説します。

MantleとMantle LSP

Mantleのロゴ

画像引用:Mantle

Mantleはイーサリアム(ETH)のレイヤー2ネットワークであり、リキッドステーキングプロトコルのMantle LSPを運営しています。LSPとは、イーサリアムのリキッドステーキングができるプロトコルを指します。

通常のステーキングでは、預け入れた仮想通貨(暗号資産)がロックされますが、リキッドステーキングでは預けた仮想通貨と等価のリキッドステーキングトークンを受け取り、現金化や送金、運用などに利用できます。

point レイヤー2とは

多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。

レイヤー2とは

Mantleとは

Mantleは、仮想通貨(暗号資産)プロジェクトのBitDAOが立ち上げたレイヤー2プロジェクトです。BitDAOは、シンガポール発の大手取引所Bybit(バイビット)が支援するDAO(分散型自律組織)です。これまで、DeFi(分散型金融)など数多くのプロジェクトに投資をしてきました。

2023年6月、BitDAOは正式にMantleへリブランディングを行っています。

point DAOとは

DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性が高いと見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用されています。

point DeFiとは

DeFi(ディーファイ)とは、銀行や仮想通貨(暗号資産)取引所などの金融サービスの分野でブロックチェーンを活用した、分散型金融と呼ばれる金融エコシステムです。分散型金融を意味する英語の「Decentralized Finance」の頭文字を取ってこのように呼ばれます。

Mantle LSPとは

Mantle LSPのステーキング利率

画像引用:Mantle

Mantleは、イーサリアムのリキッドステーキングプロトコルであるMantle LSPを運営しています。Mantle LSPでETHをステーキングすると、mETH(Mantle Staked Ether)を受け取れます。そして、mETHをアンステーキングすることで、元のステーキングしたETHとステーキング報酬を受け取れます。

Mantle LSPのステーキング報酬は年率3.58%となっており、合計約47万ETH(約2,800億円)がステーキングされています(2024年5月27日時点)。

仮想通貨mETHとは

mETHのロゴ

画像引用:Mantle

mETHは、Mantle LSPで使われるリキッドステーキングトークンです。イーサリアム(レイヤー1)とMantle(レイヤー2)の両方のブロックチェーンで利用できます。なお、リキッドステーキングトークンとは、ステーキングで預け入れた仮想通貨と同等の価値を持つトークンです。

mETHは、仮想通貨ウォレットで保管したり、DEX(分散型取引所)で売買したり、イールドファーミングで運用したりすることができます。

MIP-30の内容

2024年5月21日からMantleで「MIP-30」に対する投票が始まり、可決される見込みです。

MIPとは「Mantle Improvement Proposal」の略で、MIP-30は「Mantleエコシステムを改善するための30個目の提案」という意味です。

MIP-30の提案内容は「Mantle LSPをスピンアウトし、新たなプロジェクトを発足する」というものです。現状、Mantle LSPはイーサリアムのリキッドステーキングプロトコルですが、これにリステーキングの機能が追加されます。

提案の主な内容は以下の4点です。

  • Mantle LSPをスピンアウトし、新プロジェクトを発足
  • 新ガバナンストークンの発行
  • リステーキングプロトコルの開発
  • ポイントキャンペーンの開始

Mantle LSPをスピンアウトし、新プロジェクトを発足

Mantleは、これまで運営していたMantle LSPをスピンアウトさせ、新しいプロジェクトを発足します。一般的にスピンアウトとは「企業が特定の部門を分離して新会社として独立させること」を指します。

Mantle LSPはリブランディングされ、新しいステーキングプロトコルとして生まれ変わることになります。新プロジェクトでは、既存のイーサリアムステーキングに加え、リステーキング機能が加わるとされています。

point リステーキングとは

リステーキングとは、イーサリアム本体でステーキングしつつ、別のプロジェクトでも再度ステーキングする仕組みのことです。リステーキングすることで、通常のステーキング報酬よりも多くの報酬を獲得でき、資金効率を高められます。

新ガバナンストークンの発行

Mantle LSPのスピンアウトプロジェクトでは、新たなガバナンストークンが発行される予定です。ガバナンストークンとは、プロジェクトの機能の追加・削除・変更や、開発方針に関する提案(投票)を行う権利を持つトークンのことです。

なお、このトークンの名称は当記事執筆時点(2024年5月27日)では明らかにされていません。

新トークンの分配先と比率

MIP-30によると、新しいガバナンストークンの分配先は以下のようになっています。

  • 総供給量のうち最低30%が、Mantleトレジャリーへ割り当て
  • 総供給量のうち最大10%が、新プロジェクトのチームへ割り当て
  • 総供給量のうち最大10%が、プライベートセールへ割り当て
  • 総供給量のうち約50%が、新プロジェクトのトレジャリーへ割り当て

チームメンバーへ割り当てられた新トークンは、合計4年間ロックされます。最初の1年間はフルロックされ、残り3年間で徐々にロック解除されていきます。新プロジェクトの運営チームは、長期的に開発を進める意向を持っていることがわかります。

ガバナンス体制について

新プロジェクトの発足直後は、既存のMantleチームによって運営が行われる予定です。そこから徐々に、新プロジェクトのチームに運営権限が移行していきます。

最終的には、新ガバナンストークンのホルダーおよびDAOによって運営されるようです。

リステーキングプロトコルの開発

新プロジェクトでは、イーサリアムのリステーキングプロトコルを開発する予定です。Mantle LSPで利用されているmETHを、EigenLayer(アイゲンレイヤー)などを通じてリステーキングすることが可能になります。

新たに開発されるリステーキングプロトコルでは、リキッドリステーキングトークンの「cMETH(仮称)」が利用されます。mETHホルダーは、mETHをcMETHと交換することが可能です。

cMETHは、DEX(分散型取引所)で他のトークンと交換したり、各種DeFi(分散型金融)プロトコルで運用したりできます。

財務・予算について

新プロジェクトの運転資金は、当面の間はMantleのトレジャリーから賄われる予定です。

新プロジェクトのチームは今後、ステーキングプロトコル(mETH・cMETH)の手数料収入を運転資金として活用していくようです。

ポイントキャンペーンの開始

Mantleは新プロジェクトのマーケティング活動として、ポイントキャンペーンを開始する予定です。

MIP-30によると、mETHホルダーや、Mantle Rewards StationでのMNTステーカーなどにポイントが付与されるようです。このポイント数に応じて、新しいガバナンストークンが配分されると考えられます。

ポイントキャンペーンの詳細は、当記事執筆時点(2024年5月27日)では明らかにされていません。

MIP-30可決による影響

MIP-30が可決されることで、以下の影響が考えられます。

  • リステーキングユーザーの流入
  • Mantleエコシステムの拡大

リステーキングユーザーの流入

MIP-30が可決され、将来的にリステーキングプロトコルがリリースされると、Mantleへ新たなユーザー層が流入すると考えられます。

イーサリアム(ETH)のリステーキングは、EigenLayer(アイゲンレイヤー)が考案した新しい仕組みです。単体ステーキングと比較して高い報酬が得られる可能性があるため、コミュニティの間で話題となっています。

新規ユーザーの流入に伴って、これからMantleエコシステム全体へ注目が集まるかもしれません。

Mantleエコシステムの拡大

MIP-30が可決されると、Mantleのエコシステムが拡大すると考えられます。

Mantleはリステーキングプロトコルを開発するにあたり、新たなパートナーを募集しています。具体的には、リステーキングスマートコントラクトのプロジェクトや、レイヤー2アプリケーションなどが挙げられます。

今後、多くのプロジェクトがMantleの新プロジェクトと提携することで、エコシステムの拡大が進みそうです。

リステーキングは期待の分野

イーサリアムホルダーの間では、リステーキングは最も注目の分野の一つといっても過言ではありません。単体ステーキングと比較して構造は複雑化しますが、より資本効率の高い運用を実現できます。

MantleはMIP-30を通じて、リステーキング市場に本格参入することになります。これからリステーキングが仮想通貨(暗号資産)コミュニティの間で普及すると、Mantleの新プロジェクトへの期待も高まりそうです。


Date

作成日

2024.05.31

Update

最終更新

2024.06.15

いぶき | Ibuki

投資家、テックライター

arrow
いぶき

元証券会社勤務。2017年から仮想通貨に投資し、バブルとどん底の両方を経験する。2020年からは海外スタートアップや仮想通貨関連のライターとして独立。海外移住が趣味で、カナダ・オーストラリア・アメリカ・オランダなどを転々としている。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX業者Exnessへの入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExness(エクスネス)で国内銀行送金による入出金を行ったことをきっかけに、銀行口座が凍結されるケースがSNS上で話題になっています。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

海外FXに「兵糧攻め」、bitbank・エポスの利用規制で仮想通貨送金にさらに注目集まる

bitbankが利用規約を一部改定し、今後は海外FXへの直接送金が難しくなりました。エポスカードもFXの利用停止を発表したほか、国内銀行口座の凍結事例も増加しています。こうした背景から、海外FXユーザーは入出金経路の見直しが急務となっています。
update2025.07.04 19:00

海外FXがオンラインカジノ規制の影響を受ける理由とは?出金できなくなるリスクも

2025年以降、オンラインカジノ規制の影響と見られる海外FX業者の国内送金の遅延が度々問題になっており、決済代行会社に関連したトラブルと言われています。なぜオンラインカジノ規制が海外FXに波及したのか説明するほか、今後考えられる影響も解説します。
update2025.05.28 19:00

ThreeTrader・Vantageが消えた?偽アカウントによる詐欺に注意

ThreeTraderやVantageのX(旧Twitter)公式アカウントに表示制限がかけられていることが確認されました。本記事では海外FX業者のアカウントが制限された背景や、こうした状況で注意すべき偽アカウント詐欺について説明します。
update2025.07.04 19:00

スマホ用MT5でZigZagが使える!iOS版に平均足ほか新機能が複数追加

iOS版MT5に待望の新機能が複数追加されたことにより、平均足チャート、ZigZag、マーケットプロファイルの実装に加え、データウィンドウ強化や取引レポート機能など視認性と操作性が向上しました。アップデート内容とトレードスタイルごとの活用例などを紹介していきます。
update2025.07.09 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル