作成日
:2025.06.17
2025.06.17 17:40
MT5で成績の良いEAを探すときに役立つのが、EAの検証を行えるストラテジーテスターです。バックテストを行えばEAの成績を確認してトレードで使用できそうかを確かめることができます。
しかし、MT5を初めて使う場合、ストラテジーテスターの使い方がわからないのではないでしょうか。この記事では、MT5でストラテジーテスターを使う方法を紹介します。
MT5とは、FXを含めた金融商品の取引ツールとしてリリースされたMT4の後継機です。
MT5でもMT4と同じようにストラテジーテスターによるバックテストが可能ですが、機能面が大幅に改善されました。
まずは、MT5のストラテジーテスターで何ができるか見ていきましょう。
リアルトレードの損益を見ればEA・インディケータの成績を確認できるものの、多くの時間がかかります。
ストラテジーテスターならば、過去の相場データを使用してEAやインディケータの検証が可能です。
例えば、あるEAの過去1年間や過去10年間の成績をわずか数分〜数十分で確認できます。
トレード種類 | 検証期間 | 検証完了期間 |
---|---|---|
リアルトレード | 1年間 | 1年 |
ストラテジーテスター | 数分から数十分 |
リアルトレード
検証期間 | 検証完了期間 |
1年間 | 1年 |
ストラテジーテスター
検証期間 | 検証完了期間 |
1年間 | 数分から数十分 |
MT4とMT5は互換性がありません。MT4用のEAをMT5のストラテジーテスターで検証して、成績を割り出すことはできないので注意が必要です。使いたいEAがMT4用かMT5用かは、拡張子を見て判断しましょう。MT4用はex4、MT5用はex5が拡張子の末尾となっています。
MT5のストラテジーテスターは、複数のCPUを使ったり1度に複数の通貨ペアをバックテストしたりできるので、バックテストを効率的に行うことが可能です。
複数のCPUを使う場合、家で余っているPCをローカルネットワークでつなげて使ったり、オンラインで他人のCPUを使って検証します。
さらに、MT5には1つのCPUに複数のコア(コアは計算処理を行う部分)が実装されているため、同時並行で複数のタスクを実行できます。
例えば、1つのEAを検証するときに複数の時間足の検証を同時に行えるので、バックテストにかかる時間を短縮可能です。
バックテストを行えば損益だけでなく、プロフィットファクター、勝ちトレードの回数と負けトレードの回数、最大ドローダウンなど詳細なデータを見ることができます。
リアルトレードでも同じような結果が出ることをある程度予測した上でリアルトレードができるため、成績の良いEAなら自信を持って自動売買ができるでしょう。
MT5のバックテストでは、数値以外にも棒グラフで結果を見られるようになり、MT4よりも成績を確認しやすくなりました。
テスト結果の出力方法はMT4はHTMLのみですが、MT5ならOpen XMLにも対応しています。また、数値以外にも棒グラフでも結果が表示されるので、視覚的にわかりやすく成績を確認しやすいです。
EAをバックテストするときには、資金やLot数、時間足、通貨ペアなどの条件を自分で指定する必要があります。
EAの成績が良くない場合は、時間足を変えたり通貨ペアを変えたりして、良い成績を出せる条件を見つけるのがベストです。しかし、1つずつ条件を変えてテストしていたのでは、多くの時間がかかるでしょう。
MT5のバックテストには、EAにとって良い成績を出せる条件を探す機能として最適化が備わっています。
以下はストラテジーテスターの検証方法の選択画面です。
最適化を完了、遺伝的最適化、フォワード最適化など最適化ができるメニューが複数用意されています。
ここからは「最適化を完了」を例に設定方法を見ていきましょう。
最適化完了機能とは、設定したパラメータすべてで、EAやインジケーターの検証が行える機能です。ストラテジーテスターの概要の中から「最適化完了」を選ぶと、自動的に設定画面に移動します。
設定画面では、日付や取引金額、Lot数などの取引条件を設定し、テストで重視する項目やテスト期間も決定します。テストで重視する項目は「残高最大」「最大利益率」などいくつかの選択肢から選べます。
また、オプティマイズでは「完全アルゴリズム(遅い)」を選ぶようにしましょう。(遅い)とかっこで書いているのは、バックテストが完了するまでに時間がかかるためです。
さらに、以下のようなパラメータ画面でも最適化するためのパラメータ設定ができるので、変更したい箇所がある場合はチェックマークを入れて数値を変えましょう。
値は通常の設定数値、スタートは最適化をスタートする期間、ステップは最適化を行う期間ごとに増える数値、ストップは最適化の終わる期間を指します。例えば、スタート10、ステップ2、ストップ20というパラメータにしたケースで考えてみましょう。この場合、10期間からスタートして、12、14と2つずつ期間が増えていき、20期間になると最適化を終了するという意味です。
パラメータを設定しなければ、最適化が行われないので注意しましょう。
「スタートボタン」を押すと、オプティマイズ結果に取引結果が複数表示されるので確認します。
一覧の中から、成績の良い最適化結果を選んで右クリックしたら「この設定でバックテスト」を押してバックテストを行います。
バックテストの結果が良ければ、最適化した設定値を使って実際にEAを動かしてトレードしましょう。
このように、バックテストを元にして、簡単に最適化できるのがMT5のストラテジーテスターです。
MT5のストラテジーテスターには、過去のチャートを使ったバックテスト機能以外にも、フォワードでのテスト機能も備わっています。
バックテストもフォワード最適化も、EAの検証に使うのは過去のチャートデータです。しかし、フォワード最適化では、検証で使用する過去のチャートデータを、ある期間で分割して分けることが可能です。
例えば、過去1年間のチャートデータを1月1日から5月31日と6月1日から12月31日に分けたと仮定します。
そして、1月1日から5月31日までのバックテストを行い最適化をした上で、6月1日から12月31日までのフォワードテストを行う流れです。
フォワード最適化も行えば、リアルトレードでも利益を出しやすいEAの条件を見つけやすくなるでしょう。
MT5でフォワード最適化を行うときは、最初に「表示」から「ストラテジーテスター」を選びます。次に概要から「フォワード最適化」を選ぶと、設定画面が表示されます。
このとき、必ずフォワードテストの期間は1/3や1/2などにしておきましょう。なぜなら、フォワード最適化は、指定期間を分けてバックテストとフォワードテストを行うので、フォワードテストに全期間を設定するとフォワード最適化が正常に行えないからです。
また、パラメータタブは最低どれか1つを設定しないとフォワード最適化が行われないので注意しましょう。
MT5でストラテジーテスターを使うには、前準備が必要です。どんな準備をしておけばいいか、見ていきましょう。
ストラテジーテスターを使うために、最初にMT5をダウンロードします。FX会社のホームページ、またはMetaTrader社から、MetaTrader 5(MT5)をダウンロードしましょう。インストーラーを起動すれば、そのままインストールできます。
ただし、FX会社によっては、MT5を提供していないことがあります。バックテストだけのためにMT5を使いたい場合は、MetaTrader社からダウンロードしましょう。
バックテストをする際はテストしてみたいEAまたはインディケータを手元に用意しておきましょう。
試してみたいEAやインディケータがない場合は、以下のサイトから無料で提供されているEAやインジケーターを使います。
MQL5コミュニティとGogoJungleは、アカウントを開設すれば無料でEAやインジケーターをダウンロード可能です。EA-BANKは、EA-BANKを経由してFX会社の口座を開設し、10万円を入金すると、無料でEAをダウンロードできます。
ここからは、一例としてMQL5コミュニティから無料EAをダウンロードする方法を見ていきましょう。
最初にMQL5コミュニティにアクセスして、アカウントを作成してください。MT5を起動して、ナビゲーターのマーケットから「エキスパート」を選んで右クリックすると、MT5のメイン画面にMQL5コミュニティのサイトが表示されます。
ダウンロードできるEAが表示されるので、好きなものを選んでください。
無料のEAを探したいときは、虫眼鏡マークの隣にあるタブメニューから「無料」を選べば一覧で表示されます。
気に入ったEAが見つかったら、ダウンロードするEAをクリックしましょう。EAの詳細が記載されているページが表示されるので「ダウンロード」ボタンを押したらEAをダウンロードできます。
ダウンロードしたEAは、メニューの「エキスパートアドバイザー(EA)」に格納されるので、使用するときはそのEAをチャートにセットしてください。
MT5では、バックテストを行うと自動的にヒストリカルデータがダウンロードされます。つまり、手動でヒストリカルデータをダウンロードする必要はありません。
ヒストリカルデータは、FX会社が提供するデータをそのまま利用できるので、基本的に信頼性は高いです。ただし、古いデータになるほど信頼性は低くなり、スプレッドが実際の値と違うことがあるので注意しましょう。
ヒストリカルデータの信頼性を確かめたい場合は、ヒストリー品質を見るようにします。
ヒストリー品質とは、バックテストの期間を1~199に分割して、それぞれの期間に含まれている1分足で正確性を確認するものです。データの欠けがなく、正確なデータが50%を超えている期間は緑色で表示されます。
ただし、バックテスト期間が長くなると、データの欠けている日が多少多くても正常と判断される可能性があります。
ヒストリカルデータを確認する際は、複数のFX会社のデータを比較して、信頼性を確かめることが重要です。
ここからは、MT5のストラテジーテスターを使ってEAをバックテストする手順を紹介します。MT5の「表示」から「ストラテジーテスター」を選んでください。
概要から単一・可視化・ストレスと遅延のどれかを選びます。
「単一」とはシングルテストであり、1つのEAを1つの通貨ペアでテストします。最初に簡単にEAをテストするときに使用する項目であり、設定画面では通貨ペア・期間・時間足を設定してテストしましょう。
「通貨ペア」は他の通貨ペアでの損益はどうなるか、期間は短いと長いのどっちが良いか、時間足は短期と長期のどちらが良いかなどを見ていきます。
「可視化」をすると、バックテスト後にチャートにEAの売買ポイントが表示されます。
チャートを見ていつどの価格で売買したのかわかるので、より具体的に損益が発生した時期、ドローダウンの大きさ、レンジ相場・トレンド相場にかかわらずEAの成績が良かったかなどを確認できます。
可視化でのバックテストをしたい場合は、概要から「可視化」を選んで表示される設定画面で「チャート、指標、取引を表示するビジュアルモード」をチェックしましょう。
スタートを押すとバックテストが始まり、売買した時期や売買ポイントがチャートに表示されます。
チャートは時間経過とともに進んでいくので、上部メニューの再生ボタンや停止ボタンでチャートを移動させましょう。
「ストレスと遅延」は、バックテスト時にスリッページやリクオートを想定して行うテスト方法です。ストレスと遅延でテストする際は、概要から「ストレスと遅延」を選んでください。
設定画面では、延滞で売買注文を行ってから実際に約定するまでの時間をどのくらい遅らせるかを決めることが可能です。
最初は標準的な50ミリ秒から始めるのが良いでしょう。遅延する時間を長くするほど、使用するEAの損失は大きくなりますが、スリッページやリクオートに耐性のあるEAが見つかるかもしれません。
また、スリッページやリクオートの発生頻度は安定していないため、ランダム遅延により遅延時間をランダムにしてバックテストするのも良いでしょう。
MT5でストラテジーテスターを初めて使う場合、最初は単一を推奨します。その理由は、単一の設定項目が少なく、初心者でも使いやすいからです。単一に慣れてきたら他の方法でバックテストをしましょう。
MT5のストラテジーテスターでは、単一や可視化、ストレスと遅延の他に、遺伝的最適化やフォワード最適化などでのバックテスト方法が使用できます。どのバックテスト方法を使う場合でも、設定画面からテスト条件の設定が必要です。
以下はMT4のストラテジーテスターの設定画面ですが、MT5になってからフォワードテストや遅延、オプティマイズなどの項目が新たに設けられ、より詳しくEAのバックテストを行えるようになりました。
バックテストの設定画面では、以下の項目を設定しましょう。
項目 | 設定内容 |
---|---|
エキスパート | バックテストに使うEAまたはインジケーターを選ぶ |
銘柄 | バックテストで使う通貨ペアを選ぶ |
時間足 | M1やM30などテストでの時間足を選ぶ |
フォワードテスト | フォワード最適化をする場合のみ期間を選ぶ |
遅延 | バックテストで遅延させる場合のみ遅延時間を選ぶ |
モデル | バックテストでの価格データの精度 ・全ティック : すべての価格を使用してテスト ・1分足ティック : 1分足の終始の値と安値、高値を使ってテスト ・始値のみ : 設定した時間足の始値のみを使ってテスト |
入金 | バックテストで使う証拠金を決める |
レバレッジ | バックテストで使うレバレッジを選ぶ |
オプティマイズ | 最適化を完了、遺伝的最適化を行う場合のみ設定する |
エキスパート | バックテストに使うEAまたはインジケーターを選ぶ |
---|---|
銘柄 | バックテストで使う通貨ペアを選ぶ |
時間足 | M1やM30などテストでの時間足を選ぶ |
フォワードテスト | フォワード最適化をする場合のみ期間を選ぶ |
遅延 | バックテストで遅延させる場合のみ遅延時間を選ぶ |
モデル | バックテストでの価格データの精度 ・全ティック : すべての価格を使用してテスト ・1分足ティック : 1分足の終始の値と安値、高値を使ってテスト ・始値のみ : 設定した時間足の始値のみを使ってテスト |
入金 | バックテストで使う証拠金を決める |
レバレッジ | バックテストで使うレバレッジを選ぶ |
オプティマイズ | 最適化を完了、遺伝的最適化を行う場合のみ設定する |
また、MT4とMT5では、設定項目が違います。MT4ではスプレッドとスキップがありましたが、MT5ではなくなっています。
一方で、MT5には遅延、レバレッジの選択、入金、モデルが加わっていること、検証方法が10種類に増えたこと、複数銘柄を一括してバックテストが可能になったことなど変更点もあります。
MT5になって変わったことで特に重要な点は、以下の3つです。
それぞれの変更点を詳しく解説します。
MT5では検証方法が10種類に増えました。
それぞれの意味は以下の通りです。
種類 | 意味 |
---|---|
単一 | 1ストラテジー、1通貨ペアのバックテスト方法 |
インディケータ | インディケータのバックテスト方法 |
可視化 | 取引状況をチャートで確認する |
ストレスと延滞 | スリッページやリクオートを考慮してテストを行う |
最適化を完了 | パラメータ設定をアルゴリズム分析で行う |
遺伝的最適化 | ランダムのデータから、最適なパラメーターの数値を出す |
フォワード最適化 | 指定期間よりも将来のチャートでバックテストを行う |
市場スキャン | 選択した複数銘柄に対して同設定でバックテストする |
数値計算 | プログラミングで数値計算ができる |
前の最適化結果を確認 | 過去のバックテストの結果や最適化のデータを確認する |
単一 | 1ストラテジー、1通貨ペアのバックテスト方法 |
---|---|
インディケータ | インディケータのバックテスト方法 |
可視化 | 取引状況をチャートで確認する |
ストレスと延滞 | スリッページやリクオートを考慮してテストを行う |
最適化を完了 | パラメータ設定をアルゴリズム分析で行う |
遺伝的最適化 | ランダムのデータから、最適なパラメーターの数値を出す |
フォワード最適化 | 指定期間よりも将来のチャートでバックテストを行う |
市場スキャン | 選択した複数銘柄に対して同設定でバックテストする |
数値計算 | プログラミングで数値計算ができる |
前の最適化結果を確認 | 過去のバックテストの結果や最適化のデータを確認する |
MT5では、バックテストを使う目的や優先順位に応じて利用できます。
遅延とは、発注から約定までの遅延時間を遅延ゼロ、254ミリ秒、5ミリ秒、100ミリ秒、ランダム遅延、カスタム遅延など12種類から選択できます。
基本的に約定が100%安定しているFX業者はないため、バックテストの精度を上げるために設定しておきましょう。
MT4は全ティック(疑似ティック)のみでしたが、MT5では以下の種類を選択可能です。
全ティック(疑似ティック) | MT5が生成した擬似的なティック |
---|---|
リアルティック | FX業者が実際に配信したティック |
1分足OHLC | 1分足の始値、終値、高値、安値を使用したティック |
始値のみ | 選択範囲の始値のみを使用したティック |
全ティック(疑似ティック) | MT5が生成した擬似的なティック |
---|---|
リアルティック | FX業者が実際に配信したティック |
1分足OHLC | 1分足の始値、終値、高値、安値を使用したティック |
始値のみ | 選択範囲の始値のみを使用したティック |
モデルの設定では、リアルティックが最も精度が高いですが、バックテストに時間がかかります。全ティックはリアルの数値ではなく生成した擬似的なティックを使うため、精度が落ちてしまいます。1分足OHLCは、1分足以下の価格変動に依存しないEAに向いているため、デイトレードであれば使いやすいでしょう。
始値のみはもっともバックテスト結果が早いため、すぐに結果を知りたい場合におすすめです。
どの設定にすればいいかわからないときは、リアルティックを選んでおくと間違いありません。
全ティック、1分足ティックや始値のみでバックテストした場合も、リアルトレード前にリアルティックで最終チェックを行うようにしましょう。
ストラテジーテスターでテストするEAを選び、通貨ペアや証拠金などを決めた後は、必要に応じてパラメータを設定します。パラメータは、EAごとに設定項目が違うので、必要な項目のみを設定しましょう。
例えば、以下はあるEAのパラメータ項目ですが、値の他にスタートとストップでテスト期間を決めて、ステップでテストを行う間隔を指定します。
設定とパラメータで、必要となる項目や数値を決めた後に「スタート」を押すとバックテストが開始されます。MT4と比べてMT5のストラテジーテスターでは、大幅にバックテストにかかる時間は短くなりました。例えば、5年分をバックテストするなら数秒でテストが完了します。
バックテストでEAが最適に稼働する条件を探す場合は、時間足とテスト期間を変更して何回もバックテストを行いましょう。バックテストは、以下の条件だとテストにかかる時間が長くなりやすいです。
また、以下をバックテストの所要時間として考えておくと良いでしょう。
EAのアルゴリズム | 所要時間 |
---|---|
シンプルなアルゴリズムのEA | 数秒~数分 |
複雑なアルゴリズムのEA | 数十分~数時間 |
複雑なアルゴリズムのEAを最適化 | 数時間~数日 |
シンプルなアルゴリズムのEA | 数秒~数分 |
---|---|
複雑なアルゴリズムのEA | 数十分~数時間 |
複雑なアルゴリズムのEAを最適化 | 数時間~数日 |
バックテストの結果が表示されるので、どれぐらい損益が出たのかを確認しましょう。
バックテストの結果を見る際は、最低でも以下の項目を確認しましょう。
成績が悪いようであれば、最適化して利益が出るような設定を探していきます。
バックテストで良い成績が出たEAだとしても、リアルトレードで使ってみたら損失ばかり発生することもあります。リアルトレードで大きな損失を被らないためには、リアルトレードに近い条件でバックテストをしましょう。
リアルトレードに近い条件でバックテストするには、テスト条件の設定が欠かせません。最初に、モデルは全データを選ぶようにしましょう。ヒストリカルデータの精度が悪いと感じている場合は、高精度のヒストリカルデータを提供しているFX業者からダウンロードします。
バックテストを行う際は、証拠金やロット数をリアルトレードと同じくらいにすべきです。さらに、ストレスと遅延もスリッページやリクオートが実際に発生しているかのように設定しましょう。
バックテスト期間も最適な期間を設定しないといけません。多くの場合は、EAをリアルトレードで使う場合、長い期間トレードすることが前提となります。そのため、ストラテジーテスターの日付は、1年〜2年、さらに長期間を指定しましょう。
MT5のストラテジーテスターでは、MT4とは違い、遅延やモデルなども設定でき、よりリアルトレードに近い条件でバックテストができます。
MT5のストラテジーテスターならリアルトレードに近い状態でバックテストができます。ただし、バックテストの結果が良くても、以下のような理由によりリアルトレードで同じように良い成績を残せるとは限りません。
それぞれの理由について解説します。
まず、バックテストはあくまでも過去のデータを使ってトレードした場合の結果を算出するため、将来も同じようなパフォーマンスになるとは限りません。その理由は、将来的に相場環境が大きく変わることがあるからです。
過剰最適化とは、ストラテジーテスターの結果を良くするためにパラメータを調整しすぎた結果、過剰にバックテストの成績が良くなることです。EAが特定の通貨ペアおよび時間足に最適化されていた場合、その他の通貨ペアや時間足で取引すると成績が悪化することがあります。
リアルトレードはスリッページの有無やスプレッドが拡大することがありますが、バックテストはそれらの影響を受けないため、成績が良くなる傾向があります。例えば、約定力が低いFX業者を使うと、注文が約定しなかったり遅れたりすることで、利益が減ってしまうことがあります。
リアルトレードでは、相場が予期しないほど急激に変動することがあるため、大きな損失を被る可能性があります。例えば、チャイナショックやスイスフランショックのように短期間に急激な急騰や急落が起きると、EA(自動売買プログラム)のルールでは対応できずに大きな損失を被ってしまうことがあります。
また、バックテストの期間が短い、特定の条件でしかEAを稼働させなかった場合、バックテストのデータの質は不正確です。たまたまバックテストを動かしていた期間のみ、EAのトレード手法が通用していた可能性があります。その場合、リアルトレードにおいて、長期的にEAを使うと大きな損失を被ることがあります。
心理的な要因がEAの成績を悪くすることもあるので注意しましょう。
特にトレードで損失が出て含み損が増えているときは、このままEAにトレードを任せるべきか、損切りしたほうが損しなくて済むのではないかと考えてしまうトレーダーもいます。
感情に引っ張られて、手動で損切りしてしまった場合、良いEAでもパフォーマンスが悪くなることがあります。
EAで自動売買する場合は、感情的な判断により介入するべきではありません。
バックテストを行った後は、必ずデモトレードか少額トレードで試してみましょう。
バックテストをしたからといって、いきなり大きな金額でトレードをはじめた場合、失敗したときに大きな損失を被るリスクがあります。
しかし、フォワードテストとしてデモトレードをすれば、仮想資金を使ってトレードするため、失敗して大きな損失を被るリスクはありません。また、少額でのリアルトレードであれば、本番環境と同じ約定力やスプレッドで、本当にEAの成績が良いか確かめることが可能です。少額なので、失敗しても損失を抑えられるでしょう。
MT4に比べて、MT5のストラテジーテスターは大幅に機能がアップしました。MT5のストラテジーテスターを使うメリットは以下のとおりです。
MT4では通貨ペアと期間を指定してヒストリカルデータをダウンロードしなければならないので、結果が出るまでに時間がかかることがあります。しかし、MT5のストラテジーテスターでは自動的にヒストリカルデータをダウンロードしてくれるので、手間がかかりません。
さらに、複数の通貨ペアをバックテストできるだけでなく、バックテストと同時にフォワードテストも実行できるので、バックテストにかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。使わないCPUを導入すれば、バックテストにかかる時間をさらに短くできます。
ストラテジーテスターでバックテストを行うならMT4よりもMT5がおすすめです。ただし、MT5でバックテストをするためには、EAならばMT5に対応しているEAが必要です。
MT5のストラテジーテスターは、MT4と比べて大きく性能がアップしており、バックテストができる条件も増えました。バックテストにかかる時間も短くなり、テスト結果をグラフで見ることができます。
さらに、バックテストの方法は、単一やフォワード最適化などさまざまな方法があります。
これからEAのバックテストをする場合は、MT5のストラテジーテスターを使いましょう。
作成日
:2025.06.17
最終更新
:2025.06.17
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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