作成日
:2025.07.01
2025.07.01 17:51
これまで海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。2025年6月に成立した資金決済法の一部改正により、国境をまたぐ送金を請け負う収納代行業者への規制が強化される見通しです。金融庁は1年以内に施行するとしています。
規制の強化は国内銀行送金だけでなく、オンラインウォレットでの送金にも影響を及ぼす可能性があり、海外FXユーザーは入出金手段の見直しを迫られています。
本記事では、法改正がもたらすリスクと、現時点で考えられる対策を説明します。
今回の資金決済法改正では、「資金の流れ」全体に対する監視と規制の強化が進められており、海外FXユーザーに影響が及ぶ可能性があります。
これまで、クロスボーダー収納代行業者は、資金移動業の登録なしに業務を行うグレーゾーンの存在とされてきました。
今回の改正によって、今後はこうした「実質的に資金を移動させている業者」も規制の対象になります。法改正が海外FXユーザーに与える影響として、以下の3つが考えられます。
それぞれのリスクを詳しく説明します。
海外FX業者に国内銀行送金で入金する場合、ユーザーは直接海外FX業者の口座に送金するのではなく、収納代行業者の国内銀行口座に送金する必要があります。その後、ユーザーの入金情報が海外FX業者へ共有され、取引口座に送金後の残高が反映されます。
このように、ユーザーと海外FX業者間の送金を仲介している収納代行会社が、今後は規制対象となります。
現状でもクロスボーダー収納代行はグレーゾーンであり、過去には収納代行業者の国内銀行口座が凍結されるトラブルが起こっています。法改正によって、これまでのように国内銀行送金を利用できなくなるリスクが高まっていると言えるでしょう。
海外FX業者が規制対象となる収納代行会社を利用していた場合、ユーザーの国内銀行口座が凍結・制限されるリスクがあります。マネーロンダリング対策や金融犯罪防止の観点から、収納代行業者を経由して入出金を行ったことが問題視され、銀行が口座凍結を行う可能性があるわけです。
最近では、海外FXユーザーの国内銀行口座が凍結される事例も報告されています。銀行側に「不審な取引」と判断された場合、事前通告なしに出金停止や凍結措置が取られる可能性もあるため注意が必要です。
一見、今回の法改正とは無関係に見えるbitwalletなどのオンラインウォレットも、改正の影響を完全に避けるのは難しいでしょう。国内銀行口座からbitwalletへの入金時には、収納代行業者を介して送金が行われるため、これらの業者が規制されることで、ウォレットへの送金が滞る可能性があります。
入金だけではなく、出金でも問題が生じやすい構造になっており、知らぬ間に出金ができなくなる、あるいは遅延・停止するといった事態が懸念されます。ウォレット経由の送金が今後も確実に使えるとは限らず、入出金をオンラインウォレットだけに頼るのは危険になりつつあります。
今回の法改正に先立ち、収納代行業者に対する規制を強める動きは2024年頃から進んでいました。
収納代行は、海外FXにおける国内銀行送金の手段として広く利用されているサービスです。しかし、収納代行サービスを提供する業者の多くは資金移動業の登録を受けずにサービスを提供しているため、グレーゾーンとされています。
2024年以降、オンラインカジノに対する規制強化の影響で、関連する収納代行業者が摘発される事例も発生しています。これにより、Exness(エクスネス)など一部の海外FX業者では、オンラインカジノ規制の余波とみられる国内銀行送金の遅延が実際に起こっており、ユーザーに混乱が広がりました。
今後は、こうした規制の波が海外FXの入出金ルート全体に広がっていく可能性も視野に入れる必要があります。
国内銀行送金が使えなくなった場合に備えて、複数の入出金手段をあらかじめ用意しておくことが重要です。現在、多くの海外FX業者が採用している主要な決済手段は以下の通りです。
決済方法 | 説明 |
---|---|
海外銀行送金 |
・収納代行を介さないため規制の影響を受けない
・手数料が高く少額の送金には向かない
・着金に数日かかる
・銀行が送金を拒否する可能性あり
|
仮想通貨(暗号資産) |
・着金が早く数十分で反映されるケースが多い
・ブローカーによって対応している仮想通貨が異なるため事前の確認が必要
・仮想通貨の調達が必要
|
オンラインウォレット | ・仮想通貨や海外銀行送金など、収納代行を介さない方法で送金すれば規制の影響を回避できる |
クレジットカード |
・入金額以上の出金不可
・最近は規制が厳しく使えないケースも多い
|
海外銀行送金 |
・収納代行を介さないため規制の影響を受けない
・手数料が高く少額の送金には向かない
・着金に数日かかる
・銀行が送金を拒否する可能性あり
|
仮想通貨(暗号資産) |
・着金が早く数十分で反映されるケースが多い
・ブローカーによって対応している仮想通貨が異なるため事前の確認が必要
・仮想通貨の調達が必要
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オンラインウォレット |
・仮想通貨や海外銀行送金など、収納代行を介さない方法で送金すれば規制の影響を回避できる |
クレジットカード |
・入金額以上の出金不可
・最近は規制が厳しく使えないケースも多い
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海外銀行送金は、海外の銀行口座に送金する方法です。海外FX業者は海外の金融機関の口座を保有している場合が多く、海外銀行送金を利用すれば、収納代行会社を経由せずに送金できます。
ただし、国内銀行送金よりも手数料が高額になるため、少額の入出金には使いにくい方法です。また、国内の銀行が海外FX業者への入出金を拒否する可能性がある点にも留意しておく必要があります。
最近では仮想通貨(暗号資産)での入出金に対応している海外FX業者も多く、仮想通貨による入出金も可能になっています。着金が速いため利便性は高いものの、仮想通貨を調達しておく必要があるほか、ブローカーによって対応している仮想通貨が異なるため、事前に対応状況を確認しておかなければなりません。
そのほか、オンラインウォレットによっては、国内銀行送金以外の入出金に対応している場合があります。例えば、STICPAYでは仮想通貨や海外銀行送金による送金が可能です。これらの方法では収納代行を使用しないため、規制の影響を受けずに送金できます。
規制に備えて海外FXユーザーは、いずれかの方法を準備しておいた方が良いでしょう。仮想通貨とオンラインウォレットを組み合わせるなど、複数の決済方法を用意しておけば、トラブルが発生しても柔軟に対処できます。
また、国内銀行口座も複数用意しておくと、万が一、1つの口座が凍結・制限されても「出金できる口座がない」といった事態を避けられる可能性があります。
今回の法改正により、これまで一般的だった国内銀行送金を利用できなくなるリスクが高まりつつあります。規制の影響は、収納代行業者を介した送金手段を直撃する可能性があり、海外FX業者側でも入出金手段の見直しを迫られる局面を迎えつつあります。
ユーザーにとってもこれは他人事ではありません。ブローカーがどのような決済手段に対応しているのかを確認し、あらかじめ代替手段を確保しておくことが、今後ますます重要になるでしょう。
一方で、国内銀行送金が使えなくなった場合、海外FX業者による新しい決済方法の導入や出金手数料引き下げなど、入出金の利便性向上や低コスト化が進む可能性もあります。海外FXユーザーは定期的にブローカーの動向をチェックする必要がありそうです。
当サイトでは、海外FX業者のライセンスや取引条件などを調査し、信頼できるブローカーだけを厳選して紹介しています。各ブローカーの取引口座の仮想通貨(暗号資産)への対応状況などは下記のページでご確認いただけます。
作成日
:2025.07.01
最終更新
:2025.07.01
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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