作成日
:2025.05.28
2025.05.28 18:30
海外FX業者のExness(エクスネス)では、国内送金の遅延が度々問題になっており、決済代行会社に関連したトラブルと言われています。他の海外FX業者でも決済代行会社を原因とするトラブルが確認されています。
ここ最近の海外FX業者での入出金トラブルには、オンラインカジノ規制が関わっていると見られています。本記事では、なぜオンラインカジノ規制が海外FXに波及したのか説明するほか、今後考えられる影響も解説します。
海外FXユーザーなら今後のためにも、海外FXとオンラインカジノ規制の関係を把握しておきましょう。
多くの日本人トレーダーに利用されている海外FX業者のExness(エクスネス)では、2025年4月以降、複数回入出金が遅延するトラブルが発生しています。ユーザーが多いこともあり、SNS上で遅延を報告するユーザーが相次ぎました。
遅延が発生したのは銀行振込による入出金です。「2週間近く経っても出金できない」「3回出金申請した内の1/3しか着金していない」事例が報告されたほか、一時出金額が制限されるなど、ユーザーの間では不安が広がりました。
Exnessでは2024年にも決済代行会社が原因と見られる同様のトラブルが発生していました。
オンラインカジノを規制する法律と、海外FXを規制する法律は異なり、それぞれ別々の法的な根拠にもとづき規制を受けています。しかし、オンラインカジノと海外FXは、同じような仕組みの送金方法を採用しているため、海外FX業者がカジノ規制の影響を受ける場合があります。
海外FXの決済代行を行っている業者が、オンラインカジノの送金を請け負っている場合、海外FXユーザーもトラブルに巻き込まれるおそれがあります。オンラインカジノの取り締まりで決済代行会社が規制を受けると、送金が止まってしまいます。
海外FX業者の送金も止まってしまうため、トレーダーは入出金できなくなります。ただし、すべての決済方法が使えなくなるわけではなく、銀行振込以外の決済方法は通常通り利用できます。
オンラインカジノ規制を受けて、SNS上では海外FXへの影響を懸念する投稿が一部で見受けられます。現状ではオンラインカジノのほうがより厳しい規制がかけられている状況です。
オンラインカジノと海外FXにおける規制状況の違いは以下のとおりです。
項目 | オンラインカジノ | 海外FX |
---|---|---|
事業者の違法性 | 違法 | 違法 |
ユーザーの違法性 | 違法 | なし |
広告・宣伝の違法性 | 違法化される方針 |
事業者による勧誘は違法
アフィリエイトはグレーゾーン
|
ブロッキング | 総務省が検討中 | なし |
オンラインカジノ
事業者の違法性 | 違法 |
---|---|
ユーザーの違法性 | 違法 |
広告・宣伝の違法性 | 違法化される方針 |
ブロッキング | 総務省が検討中 |
海外FX
事業者の違法性 | 違法 |
---|---|
ユーザーの違法性 | なし |
広告・宣伝の違法性 |
事業者による勧誘は違法
アフィリエイトはグレーゾーン
|
ブロッキング | なし |
FXの場合、国内向けにサービスを提供するには、金融庁の許可が必要です。海外FX業者と呼ばれている業者の多くは、金融庁の許可を受けていないため違法とされています。ただし、規制の対象はあくまでも事業者であるため、トレーダーが海外FX業者を利用することは違法ではありません。
オンラインカジノと海外FXでは程度に違いはあるものの、どちらも規制対象のビジネスである点は同じです。
今後、オンラインカジノに対する規制は、さらに厳しさを増すことになります。関連する決済代行会社の摘発も進むことが予想され、結果として同じような送金システムを利用している海外FX業界に対する規制が強化されるといった展開もあり得ない話ではないでしょう。
今のところ海外FXの規制強化の動きは見られませんが、トレーダーは将来的に海外FXの利便性が損なわれる可能性を考慮しておく必要があるかもしれません。
最近では、金融庁の圧力とみられる事例も確認されています。
2025年2月には複数の海外仮想通貨取引所のアプリが、国内向けのApp Storeから削除されたほか、3月には海外FX業者3社のアプリも同様に削除されました。アプリが削除されたのは、いずれも金融庁の認可を受けていない無登録業者です。
AXIORYがユーザーに配信したメールでは、Apple社に対する外部からの圧力により削除されたと説明されています。具体的にどこから圧力をかけられたのかについては、明かされていないものの、金融庁が無登録業者に対する規制を強化しているとの見方もあります。
そのほか、海外FXユーザーが不適切な取引を理由に、大手銀行やネット銀行の口座を凍結・制限される事例も報告されています。こちらもオンラインカジノ規制のあおりを受けた決済代行会社に関連するトラブルと見られています。
金融庁は以前から無登録業者に警告を出しており、海外FX業者に対する監視を強化していると考えられます。海外FXユーザーは、オンラインカジノと同じような流れで、規制が厳しくなるといった事態に備えておく必要があるかもしれません。
仮に海外FXの規制が厳しくなる場合、どのような措置がとられるのかについては、オンラインカジノをめぐる政府の動きにヒントがあるかもしれません。
5月15日、自民党と野党が、オンラインカジノ規制強化法案について大筋合意したことが明らかになりました。改正案ではカジノサイトの開設・運営だけではなく、勧誘も違法化する案が盛り込まれています。
3月には政府がギャンブル依存症対策基本計画を閣議決定しており、カジノ運営者・利用者に加えて、カジノへの送金を仲介する決済代行業者やアフィリエイト報酬を受け取るSNSアカウント・サイトなどの取り締まりを強化する方針を示していました。
総務省では、オンラインカジノへのアクセスを遮断するブロッキングを検討する動きも見られます。ただし、ブロッキングは、電気通信事業法の第3条・第4条が定める「通信の秘密の侵害」に抵触するおそれがあるとされています。
(検閲の禁止)
第三条 電気通信事業者の取扱中に係る通信は、検閲してはならない。
(秘密の保護)
第四条 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。
e-Gov政令検索 - より引用
国内では2011年以降、児童ポルノサイトへのブロッキングが実施されていますが、こちらは刑法が定める「緊急避難」が法的根拠になっています。
ブロッキングを実施するには、根拠となる新たな法律の制定が必要とする意見もあり、アクセス遮断の実現には時間がかかると見られています。そのため、自民党はブロッキングよりも、広告やSNS等を通じたオンラインカジノへの誘導行為の規制強化を優先する方針です。
今のところ国内において、直接的に海外FX業者のサイト等へのアクセス遮断を進める動きは見られません。
国内では原則的に表現の自由との兼ね合いから、ブロッキングの実施は難しいとされています。児童ポルノサイトのケースでは、例外的に被害者を人権侵害から保護する目的でブロッキングが実施されました。
一方、オンラインカジノの場合、ユーザーが自身の意思で利用しており、加害者・被害者という構図は成立しないため、実施は難しいとの見方があります。実際、漫画村の事例ではブロッキングをめぐって大きな論争に発展しており、アクセス遮断は実行されませんでした。
検索エンジンを運営する事業者に、検索結果に表示しないよう要請するのが現実的という意見もあるようです。海外FX業者のサイトへのアクセスを遮断する場合も法的な根拠が求められることから、ブロッキングは容易ではないと考えられます。
2018年に海賊版漫画サイト「漫画村」に対して、政府は「緊急避難」を理由に通信業界にブロッキングを要請しました。しかし、通信業界・法曹界から強い反発に遭い、激しい論争に発展しました。ブロッキング前に、漫画村が閉鎖されたことで騒動は沈静化しました。
オンラインカジノ規制の影響とみられるトラブルが一部の海外FX業者で発生しているものの、大きな混乱には繋がっていません。しかし、海外FX業者・オンラインカジノが利用しているような形態の決済代行自体がグレーゾーンのサービスと言われています。
今後、決済代行会社に対する規制が強化され、海外FXに対しても規制を強化しようとする動きが出てくるかもしれません。海外FX業者をメインのブローカーとして使用している場合、規制が強化されると従来のようにサービスを利用できなくなるおそれがあります。
現在、海外FX業者だけを利用している方は、規制が強化される可能性を考慮して、国内FX業者の利用も視野に入れておくべきでしょう。見通しを立てにくい現状では取引手法や取引スタイルに合わせて、海外FXと国内FXを使い分けるのが現実的かもしれません。
作成日
:2025.05.28
最終更新
:2025.05.28
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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