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海外FXがオンラインカジノ規制の影響を受ける理由とは?出金できなくなるリスクも

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update 2025.11.18 17:45
海外FXがオンラインカジノ規制の影響を受ける理由とは?出金できなくなるリスクも

update 2025.11.18 17:45

2025年以降、オンラインカジノに対する規制が強化されたことで、海外FX業者の入出金にも思わぬ影響が出始めています。例えば、海外FX業者のExness(エクスネス)では、国内送金の遅延が度々問題になっており、その背景には決済代行業者を巡るトラブルがあると見られています。

この問題は、オンラインカジノと同様のルートで送金している海外FX業者全般に波及する可能性があり、今後さらに影響が広がるおそれもあります。本記事では、なぜオンラインカジノ規制が海外FX業者の入出金にまで影響を及ぼしているのか、その理由を解説します。

海外FX業者で相次ぐ入出金トラブル

多くの日本人トレーダーに利用されている海外FX業者のExness(エクスネス)では、2025年4月以降、複数回入出金が遅延するトラブルが発生しています。ユーザーが多いこともあり、SNS上で遅延を報告するユーザーが相次ぎました。

遅延が発生したのは銀行振込による入出金です。「2週間近く経っても出金できない」「3回出金申請した内の1/3しか着金していない」事例が報告されたほか、一時出金額が制限されるなど、ユーザーの間では不安が広がりました。

Exnessでは2024年にも決済代行会社が原因と見られる同様のトラブルが発生していました。

なぜオンラインカジノ規制が海外FXに影響するのか

オンラインカジノを規制する法律と、海外FXを規制する法律は異なり、それぞれ別々の法的な根拠にもとづき規制を受けています。しかし、オンラインカジノと海外FXは、同じような仕組みの送金方法を採用しているため、海外FX業者がカジノ規制の影響を受ける場合があります。

具体的には、海外FXの決済代行を行っている業者がオンラインカジノ業者の送金を請け負っている場合、海外FXユーザーもトラブルに巻き込まれるおそれがあります。なぜなら、オンラインカジノの取り締まりで決済代行会社が規制を受けると、同じ代行業者を利用している海外FX業者の送金方法でもトラブルが発生することになるからです。

このように、オンラインカジノ規制が間接的に海外FXの入出金に影響するケースがあります。

規制強化の流れが海外FXにも波及する可能性

オンラインカジノ規制を受けて、SNS上では海外FXへの影響を懸念する投稿が一部で見受けられます。現状ではオンラインカジノのほうがより厳しい規制がかけられている状況です。

オンラインカジノと海外FXにおける規制状況の違いは以下のとおりです。

各項目の規制状況

各項目の規制状況

項目 オンラインカジノ 海外FX
事業者 違法 違法
ユーザー 違法 なし
広告・宣伝 違法化される方針
事業者による勧誘は違法
アフィリエイトはグレーゾーン
ブロッキング 総務省が検討中 なし

オンラインカジノ

事業者 違法
ユーザー 違法
広告・宣伝 違法化される方針
ブロッキング 総務省が検討中

海外FX

事業者 違法
ユーザー なし
広告・宣伝
事業者による勧誘は違法
アフィリエイトはグレーゾーン
ブロッキング なし

FXの場合、国内向けにサービスを提供するには、金融庁の許可が必要です。海外FX業者と呼ばれている業者の多くは、金融庁の許可を受けていないため違法とされています。ただし、規制の対象はあくまでも事業者であるため、トレーダーが海外FX業者を利用することは違法ではありません。

オンラインカジノと海外FXでは程度に違いはあるものの、どちらも規制対象のビジネスである点は同じです。

今後、オンラインカジノに対する規制は、さらに厳しさを増すことになります。関連する決済代行会社の摘発も進むことが予想され、結果として同じような送金システムを利用している海外FX業界に対する規制が強化されるといった展開もあり得ない話ではないでしょう。

今のところ海外FXの規制強化の動きは見られませんが、トレーダーは将来的に海外FXの利便性が損なわれる可能性を考慮しておく必要があるかもしれません。

実際海外FXへの規制強化も確認されている

最近では、金融庁の圧力とみられる事例も確認されています。

2025年2月には複数の海外仮想通貨取引所のアプリが、国内向けのApp Storeから削除されたほか、3月には海外FX業者3社のアプリも同様に削除されました。アプリが削除されたのは、いずれも金融庁の認可を受けていない無登録業者です。

AXIORYがユーザーに配信したメールでは、Apple社に対する外部からの圧力により削除されたと説明されています。具体的にどこから圧力をかけられたのかについては、明かされていないものの、金融庁が無登録業者に対する規制を強化しているとの見方もあります。

そのほか、海外FXユーザーが不適切な取引を理由に、大手銀行やネット銀行の口座を凍結・制限される事例も報告されています。こちらもオンラインカジノ規制のあおりを受けた決済代行会社に関連するトラブルと見られています。

金融庁は以前から無登録業者に警告を出しており、海外FX業者に対する監視を強化していると考えられます。海外FXユーザーは、オンラインカジノと同じような流れで、規制が厳しくなるといった事態に備えておく必要があるかもしれません。

仮に海外FXの規制が厳しくなる場合、どのような措置がとられるのかについては、オンラインカジノをめぐる政府の動きにヒントがあるかもしれません。

自民党がオンラインカジノ規制強化で大筋合意

5月15日、自民党と野党が、オンラインカジノ規制強化法案について大筋合意したことが明らかになりました。改正案ではカジノサイトの開設・運営だけではなく、勧誘も違法化する案が盛り込まれています。

3月には政府がギャンブル依存症対策基本計画を閣議決定しており、カジノ運営者・利用者に加えて、カジノへの送金を仲介する決済代行業者やアフィリエイト報酬を受け取るSNSアカウント・サイトなどの取り締まりを強化する方針を示していました。

総務省はオンラインカジノへのアクセス遮断を検討

総務省では、オンラインカジノへのアクセスを遮断するブロッキングを検討する動きも見られます。ただし、ブロッキングは、電気通信事業法の第3条・第4条が定める「通信の秘密の侵害」に抵触するおそれがあるとされています。

(検閲の禁止)

第三条 電気通信事業者の取扱中に係る通信は、検閲してはならない。

(秘密の保護)

第四条 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。

e-Gov政令検索 - より引用

国内では2011年以降、児童ポルノサイトへのブロッキングが実施されていますが、こちらは刑法が定める「緊急避難」が法的根拠になっています。

ブロッキングを実施するには、根拠となる新たな法律の制定が必要とする意見もあり、アクセス遮断の実現には時間がかかると見られています。そのため、自民党はブロッキングよりも、広告やSNS等を通じたオンラインカジノへの誘導行為の規制強化を優先する方針です。

今のところ海外FX関連のブロッキング情報はない

今のところ国内において、直接的に海外FX業者のサイト等へのアクセス遮断を進める動きは見られません。

国内では原則的に表現の自由との兼ね合いから、ブロッキングの実施は難しいとされています。児童ポルノサイトのケースでは、例外的に被害者を人権侵害から保護する目的でブロッキングが実施されました。

一方、オンラインカジノの場合、ユーザーが自身の意思で利用しており、加害者・被害者という構図は成立しないため、実施は難しいとの見方があります。実際、漫画村の事例ではブロッキングをめぐって大きな論争に発展しており、アクセス遮断は実行されませんでした。

検索エンジンを運営する事業者に、検索結果に表示しないよう要請するのが現実的という意見もあるようです。海外FX業者のサイトへのアクセスを遮断する場合も法的な根拠が求められることから、ブロッキングは容易ではないと考えられます。

point 漫画村とブロッキング

2018年に海賊版漫画サイト「漫画村」に対して、政府は「緊急避難」を理由に通信業界にブロッキングを要請しました。しかし、通信業界・法曹界から強い反発に遭い、激しい論争に発展しました。ブロッキング前に、漫画村が閉鎖されたことで騒動は沈静化しました。

今後は仮想通貨が海外FXの標準的な送金手段になる可能性

オンラインカジノ規制の影響とみられるトラブルが一部の海外FX業者で発生しているものの、今のところ大きな混乱には繋がっていません。

しかし、海外FX業者・オンラインカジノ業者が利用しているような形態の決済代行自体がグレーゾーンのサービスと言われています。2025年6月には資金決済法が改正され、こうした決済代行会社に対する規制がますます厳しくなる見通しで、海外FX業者の国内銀行送金が使えなくなるおそれがあります。

また、海外FX業者への送金を禁止するデビットカード・クレジットカード会社も増加しており、海外FXで利用できる決済方法は徐々に少なくなってきています。現在、海外FX業界は送金方法の見直しを迫られていると言えるでしょう。

オンラインカジノ規制や資金決済法の影響を受けにくい送金手段として、現時点では仮想通貨(暗号資産)による送金が有力視されています。海外FXユーザーの間でも、仮想通貨(特にUSDT)での送金が標準的な方法になるのではとの見方も少なくありません。今後も海外FXを利用するのであれば、国内銀行送金以外の決済方法への移行を検討する必要があるでしょう。


Date

作成日

2025.05.28

Update

最終更新

2025.11.18

Myforex編集スタッフーFX担当ー

短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。

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