作成日
:2020.11.30
利下げとは、中央銀行が政策金利を下げることです。政策金利を下げることにより、「物価上昇を促す」「景気を刺激する」といった効果が期待されます。政策金利は各国で指す内容が異なり、日本銀行では「無担保コールレート(オーバーナイト物)」、米連邦準備制度理事会(FRB)では「フェデラル・ファンド金利」、欧州中央銀行(ECB)では「主要リファイナンス・オペ金利」を用いています。いずれも銀行同士が資金を融通し合う際の金利です。
政策金利を下げると、このような流れで物価上昇・景気刺激につながります。
利下げは、さまざまな相場に影響を及ぼします。株式の場合は銘柄にって及ぼす影響の度合いは異なりますが、FXの場合は影響が甚大です。基本的には、利下げした通貨は売られて安くなります。例えば、米国金利が引き下げられたなら、ドル安となる傾向があります。しかし、他国との金利差や、市場の期待との綱引きという面もあるため、解釈には細心の注意が必要です。
利下げは主に、景気後退局面で行われることが多く、短期間で大きく引き下げられることが多いです。しかし、利上げが景気上昇を抑える強力な力を持っていることに比べ、利下げが景気を上昇させる力は弱く、効果が出るまでに時間がかかります。利下げの効果を例えて「金利はひものようなもので、引っ張ることはできても、押すことはできない」「馬を水辺まで連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」ということもあります。
こうした利下げと利上げの効果の非対称性や、政治は常に好景気を望むため、利下げ圧力がかかりやすいこと、近年では国家財政の赤字累積により世界的に財政支出を抑え金融政策頼みとなっていることなどから、景気が悪いときは大幅に金利を下げるが、景気が回復しても金利を大きく上げることが難しくなりました。結果、世界の多くの国が、利下げしようにも下げる金利がないという状態に追い込まれており、この先金利のない世界で金融市場や実体経済がどう動いていくのか、予測のつきにくい状況となっています。
作成日
:2020.11.30
最終更新
:2024.11.14
2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。
山田 大護 | Daigo Yamada
弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)
1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。
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