作成日
:2023.01.19
2023.03.16 15:30
2023年1月13日、メタマスク(MetaMask)がイーサリアム(ETH)のステーキングに対応しました。ユーザーはメタマスクから直接、LidoとRocket Poolのリキッドステーキングを利用できます。
資産の流動性を確保しながらステーキングしたい場合に、利便性の高いサービスです。
メタマスクとは、仮想通貨(暗号資産)市場最大の非カストディアルウォレットです。
非カストディアルウォレットは取引所のウォレットなどと異なり、特定の管理者の承認なく利用可能です。仮想通貨の保管だけでなく、DeFi(分散型金融)・ブロックチェーンゲーム・NFTマーケットプレイスなどのDApp(分散型アプリ)にアクセスできます。
開発企業のConsensSysはメタマスクに「Metamask Staking」と呼ばれる機能を実装し、ETHのステーキングに対応しました。これにより、メタマスクを使ってステーキングプール「Lido」と「Rocket Pool」のリキッドステーキングを利用できます。
画像引用:ConsenSys
メタマスクはTwitter(ツイッター)でも画像付きで開始を報告しました。これに対して仮想通貨コミュニティは好意的であり、BNBチェーンへの対応を求める声なども挙がっています。日本国内の仮想通貨コミュニティでも、利便性向上を歓迎するコメントが見られます。
一方、一部のユーザーは預け入れたETHや報酬が引き出せないことに不満な模様です。上海アップグレード完了までETHは引き出せず、これはETHの仕様ですのでメタマスクは対応できません。この点に関して、一部ユーザーはリスクが伴うことを警告しています。
メタマスクでETHをステーキングするやり方は、大まかに以下の通りです。
メタマスクにアクセスし、「ポートフォリオサイト」をクリックします。
ポートフォリオサイトの左側にある「Stake」をクリックします。
預け入れたいステーキングプールにカーソルを合わせて「Stake」をクリックします。2023年1月現在、メタマスクのポートフォリオサイトが対応しているのは、Lido FinanceのETHステーキングプールとRocket PoolのETHステーキングプールです。
ステーキングの条件を設定し「Review」をクリックします。
番号 |
項目 |
説明 |
---|---|---|
1 |
利用するアドレス |
ステーキング時に利用するアドレスを選択します。 |
2 |
Send |
預け入れるETHの数量を入力します。 |
3 |
Get |
預け入れ時に獲得するトークンの数量が表示されます。何か操作を行う必要はありません。 |
4 |
報酬 |
ステーキング報酬が表示されます。何か操作を行う必要はありません。 |
ステーキングする数量やステーキング時に受け取るトークンの量、推定される手数料(ガス代)の額などを確認し、問題なければ「Confirm」をクリックします。
ブラウザ拡張機能の場合、メタマスク画面が開きます。ガス代などを確認して「確認」をクリックします。
以下の画面が表示されたら、ステーキングは完了です。
ステーキング時に獲得したトークンは、ウォレットのネットワークをイーサリアムにすると確認できます。
メタマスクを通じてLidoとRocket Poolのステーキングプールを利用できるものの、メタマスクは連携しているだけでステーキング機能を提供しているわけではありません。
ステーキングプールを使わずにステーキングすることもできますが、ノードを運用するのに加えて、最低32ETHを預け入れることが条件です。ハードルが高いので、一般的にはステーキングプールに参加します。
DEX(分散型取引所)とは、ブロックチェーンを活用することで、中央管理者がノードとはブロックチェーンのネットワークを構成するコンピュータを指し、パソコンやスマホなどを含みます。ブロックチェーンを稼働させるために、ブロックの検証だけでなく取引情報の記録や情報伝達などの機能を提供します。
2022年9月、イーサリアムは大型アップグレードのマージ(Merge)を完了させてイーサリアム2.0を稼働し、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用しました。
PoSのブロックチェーンでは、ステーキングでブロックを検証したり承認したりします。この作業はブロックチェーンから不正を排除するために必要不可欠なもので、ビットコイン(BTC)のマイニングと同じ役割を持っています。
ステーキングでは、バリデータと呼ばれるコンピュータが報酬と引き換えにブロックを検証して承認します。LidoやRocket Poolなどのステーキングプールも、バリデータとしてノードを運用して報酬を受け取っています。
このバリデータにETHを委託することでステーキングに参加でき、委託したETHに応じてバリデータから報酬の分配を受けられます。
バリデータの信頼性は委任されたETHの量などによって左右され、信頼性が高ければ一般的に多くの報酬を得られます。
リキッドステーキングとはその名前のとおり「流動性のあるステーキング」です。
イーサリアムのステーキングでは、預け入れたETHは上海アップグレードが完了するまで引き出せません。引き出せない期間は投資家にとってリスクですが、リキッドステーキングでその問題を緩和できます。
イーサリアムの次期アップグレードの名称です。2023年3月に実装予定で、ステーキングしたETHを引き出せるようになる見込みです。
例えばLidoでは、ETHを預け入れるとリキッドステーキングトークン「stETH」を得られます。stETHは売却して現金化したり、他のDeFi関連サービスで運用したりできます。
stETH価格はETH価格に連動するように設計されており、上海アップグレード完了後、stETHはETHと交換できます。Rocket Poolでもリキッドステーキングの仕組みは同じです。
TrustWalletは大手取引所Binanceが開発するウォレットで、メタマスクの主な競合サービスとなっています。TrustWalletもステーキングに対応しています。
メタマスクのステーキングはETHにのみ対応しており、LidoとRocket Poolから選びます。当記事執筆時点(2023年1月中旬)でLidoは年利5.78%、Rocket Poolは年利4.99%のリターンを提供しています。ステーキングの年利はいずれも推定です。
TrustWalletでETHのステーキングはできませんが、以下10種類の仮想通貨に対応しています。
ステーキングのリターンは仮想通貨によってまちまちで、例えばBNBは年利3%台、DOTは15%台となっています。これ以外にも、DAppブラウザと呼ばれる機能で多様なDeFi関連サービスを利用できます。
なお、TrustWalletでもLidoやRocket Poolに接続できますので、メタマスクと同じ条件でETHをステーキングできます。
メタマスクのステーキング機能実装で便利になりましたが、リスクもあります。
イーサリアムでステーキングすると、上海アップグレード完了後に引き出しできるようになる予定です。そして、この上海アップグレードは2023年3月頃に実施される計画ですが、計画通りに実行されるか不明です。
仮想通貨コミュニティでも指摘されているように、上海アップグレードが遅延するとステーキングの利益だけでなく元本も取り戻せず、リキッドステーキングトークン価格にも影響がおよぶ可能性があります。
イーサリアムの開発計画は遅延が常となっています。過去のアップグレードの際にも、開発者チームで合意が取れなかったり、バグが発生したり、なにかと問題が起きて遅延しています。
リキッドステーキングトークンは、最終的に元本のETHとステーキング益を合計した額との交換が保証されています。このため、リキッドステーキングトークン価格とETH価格は同一になるはずですが、乖離することがあります。
例えば、LidoのstETHは概ねETHと同じ価値、すなわち1stETH=1ETHですが、下振れする局面があります。直近では、大手仮想通貨レンディングCelsius Networkの経営破綻が噂となった2022年6月から7月にかけて、早期売却の動きが強まって価値が下落しています。
画像引用:CoinMarketCap
Celsius Networkは中央集権型の仮想通貨レンディングサービスです。経営破綻に伴い、大量に抱えるstETHの精算リスクが高まりました。最終的に破産申請しましたが、stETHの価格崩壊は起きませんでした。
LidoとRocket Poolはスマートコントラクトで作られています。
スマートコントラクトは契約を自動履行するプログラムです。自動販売機でたとえると、「利用者が必要なお金を投入する」「特定の飲料のボタンを押す」という二つの契約条件が満たされた場合に、自動的に「その飲料を利用者に提供する」という契約が実行されます。
そして、スマートコントラクトのバグを攻撃するハッキング事件が多発しています。2022年の代表的な事件だけでも、人気ブロックチェーンゲームAxie InfinityをサポートするRonin Networkや、クロスチェーンブリッジのWormholeなどが挙げられます。
ハッキングで資金が流出する場合、自己資金は返金されないという想定が必要です。
メタマスクでステーキングするには、メタマスク経由でLidoやRocket PoolにETHを預け入れたり引き出したりします。このため、メタマスクへのアクセスを失ってしまえば、ステーキングに投入したETHを取り返せません。
ただし、シードフレーズを持っていればメタマスクを復元できます。
シードフレーズとはランダムに生成された単語の羅列で、リカバリーフレーズとも呼ばれます。ひとたび発行されると変更されることはなく、ウォレットを復元したり、異なるデバイスのウォレットと同期したりする際に利用します。
身元確認などの情報でパスワードを再発行できないので、メタマスクの管理には細心の注意を払う必要があります。
仮想通貨市場でDeFiはトレンドとなっていますが、DeFi関連サービスのハードルは高く、一般層に広く普及していません。その中でメタマスクがETHのリキッドステーキングに対応しましたので、すそ野が広がると期待できます。
DeFi関連サービスに関心があるならば、メタマスクを使ってETHのステーキングを体験してみるのも良いかもしれません。
作成日
:2023.01.19
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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