作成日
:2023.01.30
2023.03.16 15:30
仮想通貨(暗号資産)RPLは、イーサリアム(ETH)向けのステーキングプール「Rocket Pool」が発行する独自仮想通貨で、ガバナンストークンとして使用されます。
Rocket Poolは0.01ETHから利用可能で、また、リキッドステーキングトークン「rETH」を使えるので、個人にも利用しやすいサービスです。
画像引用:Rocket Pool
仮想通貨RPLはステーキングプールのRocket Poolが発行する独自仮想通貨です。Rocket Poolはイーサリアム(ETH)向けのステーキングプールで、共同創設者兼CTOであるDavid Rugendyke氏を中心とするチームによって開発されています。
なお、ステーキングプールとは、不特定多数のユーザーの仮想通貨を使ってステーキングし、利益を分配するサービスを指します。個人が単独でステーキングするよりも、資金的および技術的なハードルが低いのが特徴です。
ステーキングとはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の仮想通貨で採用される仕組みで、ブロックチェーンの維持に貢献する対価として報酬を得ることを指します。また、仮想通貨を貸し出して報酬を得られるサービスをステーキングと呼ぶこともあります。
本来、イーサリアムでステーキングするには、ノード(ブロックチェーンに接続するコンピュータ)を運用しつつ、ブロックチェーンにETHを預け入れる必要があります。しかし、Rocket Poolを利用すれば少額でステーキングが可能で、ノードを運用する必要もありません。
大手取引所のBinanceやBybitに上場されたこともあり、Twitter上ではRPLに関する投稿がみられます。
日本国内の仮想通貨コミュニティでは、Rocket PoolがメタマスクやCoinbaseと提携した件が拡散しており、熱心なユーザーはこれを歓迎しています。Rocket Poolの話題もあってか、リキッドステーキングに注目が集まり始めています。
仮想通貨RPLの価格は、2021年末に6,300円台の高値を付けて以降、仮想通貨全体の下落基調に押されて一時1,200円台まで下落しました。しかし、その後上昇して当記事執筆時点では5,200円台まで回復しており、他の仮想通貨と比べて強い値動きです。
2023年1月18日にはBinanceに上場しており、今後もさらに上昇が続くか注目されます。
画像引用:CoinMarketCap
取引所への上場がきっかけで仮想通貨価格が高騰することがあります。大手取引所ともなれば、上場による価格上昇の期待も高まります。特定の取引所上場でその傾向が顕著に現れる傾向があるため、「Coinbase効果」や「Binance効果」などと呼ばれることもあります。
RPLはRocket Pool内で報酬として使用され、主にステーキングノードやオラクルノードに分配されます。また、徐々に供給量が増えるように設計されており、インフレ率は年5%となっています。
オラクルはブロックチェーンに外部の情報を取り込むためのシステムです。例えば、オラクルを利用すれば、取引所から仮想通貨価格をブロックチェーンに取り込み、DApp(分散型アプリ)などに利用することができます。
RPLは取引所で現金化するだけでなく、以下の使い道があります。
RPLはRocket Poolのガバナンストークンとして利用できます。ガバナンストークンとはDAOでの投票券を意味し、RPLの保有数に比例した投票権が付与されます。
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性が高いと見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用されています。
Rocket Poolでは、ユーザーの仮想通貨を使ってノード運用者がステーキングします。
ステーキング報酬はノード運用のパフォーマンスに影響されますので、ノード運用者のパフォーマンスを維持するために、RPLによる担保システムを採用しています。ノード運用者は、RPLを担保として預け入れる必要があります。
仮想通貨RPLの将来性は、Rocket Poolがエコシステムを拡大できるかどうかにかかっています。
メタマスクは最大の非カストディアルウォレットです。メタマスクはLidoとRocket Poolのステーキングプールを統合しており、ユーザーはメタマスクから直接利用できます。
非カストディアルウォレットは取引所のウォレットなどと異なり、特定の管理者の承認なく利用可能です。仮想通貨の保管だけでなく、DeFi(分散型金融)・ブロックチェーンゲーム・NFTマーケットプレイスなどのDApp(分散型アプリ)にアクセスできます。
画像引用:メタマスク
ユーザーがRocket PoolなどのDAppを利用するには、Dapp公式サイトにアクセスしてウォレットを接続する必要があり、初心者が扱うにはハードルが高いです。
しかし、メタマスクがRocket Poolを統合したことで、初心者でも簡単にアクセスできるようになりました。
2023年1月12日、米大手取引所Coinbase傘下のCoinbase VenturesがRocket PoolのDAOに参加する、と公開されました。Coinbase VenturesはRocket Poolのオラクルノードを立ち上げる見込みです。
これに関して、Coinbase VenturesはDiscord(ディスコード)を通じてサービスの安全性を重要視しているとした上で、「分散型のステーキングプールをサポートできることを楽しみにしています」とコメントしています。
Rocket PoolのエコシステムにCoinbaseが参加してきたことで、より信頼性の高いサービスになると考えられます。
従来のイーサリアムはコンセンサスアルゴリズムにPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用しており、マイニングによってブロックチェーンを動かしていました。
コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックを生成するためのルールです。PoWやPoSに加え、DPoS(デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク)やPoI(プルーフ・オブ・インポータンス)などが存在します。それぞれ長所や短所があり、開発思想などの違いによって採用するコンセンサスアルゴリズムが変わってきます。
その後、イーサリアムはイーサリアム2.0を稼働させた際にPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に移行しており、ステーキングが可能になりました。
それ以来、ステーキング需要は拡大しており、Rocket Poolに預け入れられたETHの数量も右肩上がりです。
画像引用:DefiLlama
当記事執筆時点(2023年1月)で、Rocket PoolのTVLは9億ドルに迫っています。Rocket Poolの利用が拡大すれば、RPLにとっても好影響でしょう。
TVLはTotal Value Lockedの頭文字をつなげた言葉で、ブロックチェーンやDAppに預け入れられた仮想通貨の総額を示します。この金額は人気のバロメーターとしても使用されます。
Rocket Poolでは以下の2つのステーキングサービスを利用できます。
16ETH以上を保有するユーザーは、Rocket Poolでノードを運用して報酬をもらうことができます。
ノードとはブロックチェーンのネットワークを構成するコンピュータを指し、パソコンやスマホなどを含みます。ブロックチェーンを稼働させるために、ブロックの検証だけでなく取引情報の記録や情報伝達などの機能を提供します。
その報酬額はパフォーマンスによって異なり、追加報酬としてRPLを獲得することが可能です。ノード運用によるステーキングには、一般ユーザーよりも高い報酬が付与されるようになっています。
リキッドステーキングとはその名前のとおり「流動性のあるステーキング」です。
イーサリアムのステーキングに参加すると、預け入れたETHは上海アップグレードが完了するまで引き出せなくなります。しかしリキッドステーキングでは、ETHと引き換えにリキッドステーキングトークンを発行して、問題を緩和することができます。
イーサリアムの次期アップグレードの名称です。2023年3月に実装予定で、ステーキングしたETHを引き出せるようになる見込みです。
Rocket Poolは「rETH」と呼ばれるリキッドステーキングトークンを発行しています。Rocket Poolのリキッドステーキングでは、預け入れたETHに対して年利4.68%前後の報酬および同額のrETHを獲得することができます。
Rocket Poolで獲得したrETHは、上海アップグレード後にETHと交換できます。
また、rETHは取引所で売却できますが、他のDeFi(分散型金融)関連サービスで運用することも可能です。rETHを運用すると、そこから利益を得られます。
Cruve Financeは大手のDEX(分散型取引所)で、ステーブルコインのスワップ(交換)に強みがあります。イールドファーミングが可能で、rETHと任意の通貨ぺアを預け入れて報酬を獲得できます。
流動性マイニングとは、DEXなどに仮想通貨を貸し出して流動性を提供することです。「流動性マイニング」とほぼ同義の言葉として使われることもあります。
MakerDAOはステーブルコイン「ダイ(DAI)」を発行しており、仮想通貨を担保にしています。担保の仮想通貨のひとつとしてrETHを採用していますので、rETHを預け入れてDAIを利用することができます。
ステーブルコインとは、特定の資産と価値が連動するように設計された仮想通貨を指します。仮想通貨は価格の上下動が激しくて実用性が低いという課題があり、それを解決するために開発されました。
Uniswapはイーサリアムを代表するDEXです。UniswapではrETHと任意の通貨ペアを預け入れることでイールドファーミングが可能です。
Beta Financeは仮想通貨レンディングプラットフォームです。rETHを預け入れて報酬を稼ぐことができます。
仮想通貨レンディングとは、保有する仮想通貨を貸し出して金利を得られるサービスです。仮想通貨を貸し出すだけでなく、金利を支払って借り入れることもできます。
イーサリアムのステーキングプールは仮想通貨市場の中でも比較的新しいサービスです。よくある質問とそれに対する回答は以下の通りです。
ステーキングとはブロックを検証・生成する仕組みで、バリデータの力を借りて行われます。バリデータは報酬と引き換えにステーキングをしており、個人など小規模なユーザーはETHをバリデータに委託することで、報酬を得ることができます。
Rocket Poolなどのステーキングプールは、個人からETHを集めて運用しています。
Rocket Poolの特徴は以下の通りです。
他のサービスでは32ETHを預け入れることが条件となっており、Rocket Poolはステーキングノードの運用がしやすくなっています。
イーサリアムにステーキングすると、上海アップグレードの完了後に引き出しできます。上海アップグレードは2023年3月に予定されていますが、遅延する可能性もあります。
イーサリアムの開発計画は遅延が常となっています。過去のアップグレードの際にも、開発者チームで合意が取れなかったり、バグが発生したり、なにかと問題が起きて遅延しています。
rETHの価値は、ETH価格にステーキング報酬を加えた額に同等だと考えられます。rETHは複数の取引所で売買されており、ETHに対して少し高い価格で推移しています。
画像引用:CoinMarketCap
当記事執筆時点(2023年1月)で、rETHは1.06ETH程度で取引されています。rETH価格は上海アップグレードが近づけば徐々に上記の理論価格に向かっていくと考えられます。反対に、上海アップグレードの完了が遠のけば、価格が低下するかもしれません。
また、rETHはスマートコントラクトでETHと交換可能なので、開発企業の財務状況などの影響を受けません。その価値が保証されているわけではありませんが、イーサリアムのプロジェクトが頓挫しない限り、将来的にETHと交換可能です。
Rocket Poolのステーキングプールは完全に分散化されています。ユーザーはスマートコントラクトを通じてETHを預け入れたり、償還したりできます。
スマートコントラクトは契約を自動履行するプログラムです。自動販売機でたとえると、「利用者が必要なお金を投入する」「特定の飲料のボタンを押す」という二つの契約条件が満たされた場合に、自動的に「その飲料を利用者に提供する」という契約が実行されます。
ただし、スマートコントラクトにバグが含まれている可能性があり、ハッカーがそれを攻撃して預け入れられた資金が不正に流出するかもしれません。
Rocket Poolはそのリスクを避けるために、Sigma PrimeとConsenSys Diligenceの監査を受けています。両社は多数のプロジェクトを監査した実績があります。
これが絶対的な安全を保証するわけではありませんが、Rocket Poolは安全性の向上に努めています。
仮想通貨(暗号資産)RPLを取引できる取引所等は、以下の通りです。日本の取引所では売買できませんので、海外取引所から選びます。
仮想通貨取引所 | 現物 | デリバティブ |
---|---|---|
(バイビット) |
〇 |
× |
(バイナンス) |
〇 |
× |
(ゲート) |
〇 |
× |
(メクシー) |
〇 |
× |
(ビンエックス) |
〇 |
× |
(ビットゲット) |
〇 |
× |
(コインイーエックス) |
〇 |
× |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
海外の取引所であれば、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。
Bybitでは、3つの手順でRPLを購入できます。
まずは以下のリンクをクリックし、RPLの購入ページ(RPL/USDT)にアクセスします。
なお、Bybitを利用するには口座を開設しておく必要があります。
ここでは最もシンプルな「成行」での購入方法を紹介します。成行でRPLを購入するには、以下のように操作をして「RPLを買う」をクリックします。
番号 |
項目 |
説明 |
---|---|---|
1 |
「買い」または「売り」 |
通貨ペアの左の通貨を買って右の通貨を売るなら「買い」、左の通貨を売って右の通貨を買うなら「売り」を選びます。 |
2 |
注文方法 |
成行を選びます。 |
3 |
注文価格 |
購入したい数量を入力します。 |
RPLはUSDTを支払って購入します。そのため、USDTの残高が十分でない場合は、入金や両替が必要です。
内容を確認して「RPLを買う」をクリックします。注文は即座に確定し、購入したRPLは現物アカウント残高に反映されます。
以下の記事では、買い方に関してより詳しく説明しています。有利な価格を指定する「指値」の使い方なども解説しています。
Rocket Poolは0.01ETHからリキッドステーキングを利用でき、メタマスクから直接アクセスできます。このため、初心者にも気軽に利用できるステーキングプールだといえそうです。これまでリキッドステーキングはLidoの独占状態でしたが、Rocket Poolの台頭でステーキングプールの分散化が進むかもしれません。
作成日
:2023.01.30
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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