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イーサリアム(ETH)の上海アップグレードはいつ実施される?その内容や時期を解説

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update 2023.03.22 14:17
イーサリアム(ETH)の上海アップグレードはいつ実施される?その内容や時期を解説

update 2023.03.22 14:17

2022年9月、人気仮想通貨(暗号資産)のイーサリアム(ETH)は、大型アップグレードのマージ(Merge)を完了させました。

これにより、イーサリアムはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)への移行を完了しました。アップグレードは引き続き継続され、次回は「上海(Shanghai)」が計画されています。

caution 実施予定日時が決定

上海アップグレードは、日本時間2023年4月13日の午前7時30分ごろに実施されることが公表されました。

上海アップグレード完了後、ステーキングで預け入れられたイーサリアムが引き出し可能になると予想されています。本記事では、現時点でわかっている上海アップグレードの内容や時期などの詳細を解説していきます。

イーサリアムのマージとは

マージは、コンセンサスアルゴリズムをPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoSに移行させるためのアップグレードです。何度かスケジュールが延期された後、2022年9月にハードフォークが完了しました。その結果、イーサリアム2.0と呼ばれる新しいブロックチェーンが無事に起動しました。

しかし、マージだけで最大限の性能が引き出せるわけではありません。継続的なアップグレードを経て、スケーラビリティ問題を改善する予定です。直近では、次期アップグレードの上海が計画されています。

knowledge PoS採用で性能強化が見込まれる

旧イーサリアムブロックチェーンにおけるTPS(1秒あたりに処理できる取引件数)は、15件程度だといわれています。一方、イーサリアム2.0のTPSは、各種アップグレードを完了した後に最大10万件に達すると考えられています。この効率性の向上は、スケーラビリティ問題の改善に向けた鍵になります。

上海アップグレードの時期

以前、イーサリアム財団の公式ウェブサイトでは、上海アップグレードが「マージ完了から6か月~1年後」になると公表されていました。

そして2023年3月16日、イーサリアムのコア開発者によるツイートで、日本時間2023年4月13日の午前7時30分ごろに上海アップグレードが実施されることが公表されました。

上海アップグレードの内容

2022年10月20日現在、イーサリアムは上海アップグレードに盛り込むEIPの内容を検討している段階です。10月27日の開発者会議で、上海アップグレードにおけるEIPの候補を議論することが予定されています。現時点では、以下のEIPが候補として挙げられています。

番号 内容
EIP-3540 スマートコントラクトの拡張など
EIP-3651 条件付きトランザクションの機能
EIP-3670 コードの検証
EIP-3855 スマートコントラクトのサイズ最適化
EIP-3860 ガス代設定の最適化
EIP-4895 預け入れ資産の引き出し

これらのEIPはあくまでも候補なので、今後、内容が変更になったり、追加・削除があるかもしれません。

ETHのステーキングに関して

PoSを採用したことで、イーサリアムではステーキングが可能になりました。ステーキングとは、仮想通貨を預け入れてバリデータとなり、報酬と引き換えにブロックを生成するプロセスを指します。バリデータは、ビットコイン(BTC)のマイナーのような役割を果たします。

バリデータになるには、預け入れ資産の最低額やその他の条件をクリアする必要があります。小規模な個人投資家の場合は、バリデータとして報酬を稼ぐのではなく、ステーキングプールや取引所などを介して報酬の分配を受けることが可能です。

イーサリアムでは、テストネットであるビーコンチェーンの段階から、ステーキング機能が開放されています。当記事執筆時点(2022年10月)で、44万を超えるバリデータが約2.8兆円相当の1,427万ETHを預け入れています。

knowledge バリデータと預け入れ資産

バリデータが不正を働けば、ブロックチェーンの健全性が損なわれて仮想通貨価格が暴落する可能性があります。そこで、預け入れ資産は保証金のような性質を持っています。

預け入れ資産の引き出し

イーサリアムのステーキングは、ETHをロックアップすることが条件となっています。このロックアップされたETHは、マージと上海が完了した後に引き出し可能になる見通しです。EIP-4895にその条項が盛り込まれています。

EIP-4895の内容は固まっているわけではありませんが、少なくともバリデータが部分的にETHを引き出すことが可能となりそうです。

上海アップグレードの懸念点

上海アップグレードは期待されている一方、懸念点を抱えていることも事実です。具体的には、以下のような懸念が存在します。

売り圧力の高まり

上海アップグレードでETHの引き出しが可能となれば、バリデータの中には利益を確定するものも出てくると考えられます。預け入れられているETHは総供給量の約11%に上り、それなりに大きな影響を持つといえるでしょう。

現在、ETH価格は仮想通貨市場全体の低迷に伴って、ピーク時の50万円台から大幅に下落しています。当記事執筆時点で19万円前後を推移しています。世界経済にはリセッション(景気後退)の懸念があり、ETHを損切りする投資家が出てくるかもしれません。そうなれば、売り圧力が高まることになります。

ETHと日本円の価格チャート

画像引用:CoinMarketCap

反論として、上海アップグレードでは引き出しに制限がかけられていることや、リキッドステーキングを利用して先に現金化することもできるので、上海アップグレードが売りの動機にはならないことなどが挙げられています。

point リキッドステーキングとは

リキッドステーキングは、文字通り「流動性のあるステーキング」を意味します。イーサリアムのステーキングは仮想通貨をロックアップする必要がありますが、リキッドステーキングは報酬を得る一方で所有権を保証する代替トークンを得られます。これを現金化したり運用したりできます。リキッドステーキングはイーサリアムのステーキングでも広く利用されています。

寡占化がさらに進む可能性

イーサリアムの入出金が簡単にできるようになると、ステーキングに参加しやすくなります。その一方で、バリデータの寡占化が進んで安全性が懸念されています。

イーサリアムでバリデータとして報酬を獲得するには、32ETH以上を預け入れる必要があります。日本円で900万円相当となるので、ほとんどの人は中央集権型の取引所やステーキングプールを介して参加する選択肢しか持たないと考えられます。

すると、一部のバリデータに権限が集中して寡占化が進み、ネットワーク全体の安全性を脅かしかねません。ブロックチェーン分析会社のNansenは、ステーキングに利用されるETHのうち約64%が5つの個人や団体に属していることを明らかにしています。

上海アップグレードの続報に注目

上海アップグレードは日本時間2023年4月13日の午前7時30分ごろに実施されることが公表されています。

それに向けてコミュニティからは徐々に情報が出てくると予想されているので、上海アップグレードの続報には注目です。Twitter(ツイッター)などのSNSでは、メディアや情報共有を行なっているユーザーもいるので、気になる方はこまめにチェックしてみることをお勧めします。

当メディアとしても、イーサリアムの動向には注目していきたいです。


Date

作成日

2022.10.25

Update

最終更新

2023.03.22

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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