作成日
:2022.10.25
2023.03.16 15:30
2022年10月24日、仮想通貨(暗号資産)関連プロジェクト「シンボル(Symbol)」の独自仮想通貨であるXYMの価格が上昇しました。シンボルのブロックチェーンが医療大麻のシステムに採用されたことが要因だと考えられています。
XYMは日本で人気の仮想通貨です。XYM価格が高騰したことは、Twitter(ツイッター)上でも大きな反響を呼んでおり、トレンド入りしています。
当記事では、直近のXYM価格の動向と企業との提携の内容に併せて、シンボルの概要や将来性などを解説していきます。
XYM価格は長らく低迷していましたが、2022年10月24日に高騰しました。5.2円だった価格は6.3円を超える水準にまで上昇しています。その後、6円弱で推移しています。
画像引用:CoinMarketCap
なお、長期チャートを見ると、上のチャートと印象が大きく異なります。XYM価格は下落傾向にあります。史上最高値は2021年に記録した74円付近です。2021年後半にかけて、ビットコイン(BTC)価格に同調して上昇する局面もありましたが、そこからは右肩下がりの動きを続けています。
XYM価格は長らく低迷を続けていますが、コミュニティはこれを機に復調することを期待しています。
画像引用:CoinMarketCap
今回、XYM価格が急上昇したのは、1つのプレスリリースがきっかけと言われています。そのプレスリリースでは、サイアムレイワインターナショナルが岐阜大学と提携し、シンボルのブロックチェーンを利用して医療大麻の栽培管理を行なう旨が紹介されています。
サイアムレイワインターナショナルとは、日系のタイ企業です。タイでは大麻の使用や栽培が合法化されており、サイアムレイワインターナショナルは大麻栽培や販売のライセンスを取得しています。
タイでは、規制に従わない違法栽培や違法販売、不十分な品質管理が問題となっています。サイアムレイワインターナショナルは、栽培から販売の工程でブロックチェーンを導入することで、トレーサビリティを強化しようと試みています。
トレーサビリティ(Traceability)は、日本語で「追跡可能性」と訳すことができます。IT技術の発展で、様々な業界で商品の生産から消費までの経路を追跡して管理することが可能となっています。ブロックチェーンはトランザクションが公開される特性や改竄不可能な構造を持っており、追跡可能なシステムの構築に向いているとされています。
既に実証実験が始められており、2023年7月まで行われる見通しです。これがうまくいけば、シンボルを活用したトレーサビリティのシステムが大麻業界だけでなく、農業や他の業界でも採用されるかもしれません。
XYMはシンボルの独自仮想通貨として発行されています。シンボルは2021年3月に立ち上げられた比較的新しいブロックチェーンです。元々、ネム(XEM)と呼ばれるプロジェクトでしたが、独立したブロックチェーンとして開発が進められています。
ネムは「New Economy Movement(新しい経済運動)」をコンセプトに、新しい経済システムを構築することを目的としています。具体的には、イーサリアム(ETH)のようなDApp(分散型アプリ)を構築するプラットフォームとしての役割を果たします。
ネムが一般的なパブリックブロックチェーンであるのに対して、シンボルは企業向けのブロックチェーンとして特化しています。カタパルトと呼ばれる大型アップグレードで誕生してから、同ブロックチェーンでは企業向けのソリューションとして利用されています。
これまでにトレーサビリティを活用したソリューション以外にも、IoT(Internet of Thing)などの分野で利用例を確立しています。
IoTとはInternet of Thingsすなわち「モノのインターネット」であり、スマホや家電などの様々な「モノ」がインターネットに接続して通信する仕組みのことを指します。センサーを通じて得られるデータは、処理、変換、分析、連携することで、新たな価値を生み出すことに役立てられます。
シンボルはネムの強化版と位置付けられています。ネムの核となる技術を踏襲していますが、特徴としては以下のようなものが挙げられます。
シンボルは他のブロックチェーンとは異なり、ハイブリッドチェーンによる環境を採用しています。
ハイブリッドチェーンとは、プライベートブロックチェーンとパブリックブロックチェーンの両方を持ち合わせたブロックチェーンのことを指します。それぞれ異なる強みを持っており、パブリックブロックチェーンは透明性や分散性など、プライベートブロックチェーンはセキュリティやカスタマイズ性に優れています。
ブロックチェーンは大きく分けて、プライベートブロックチェーンとパブリックブロックチェーンに分けられます。パブリックブロックチェーンは、インターネットに接続できれば、誰もがアクセスできるビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などを始めとするブロックチェーンです。反対にプラーベートブロックチェーンは、限られた人物や企業、団体のみがアクセスできる閉じられた空間で運用されるブロックチェーンのことを意味します。
シンボルはハイブリッドチェーンを採用することで、柔軟なインフラを提供することを可能にしています。従って、ユーザーとなる企業は、自社のソリューションに最適な環境で開発を行うことができるのです。
シンボルは企業向けのブロックチェーンということで、開発関連の機能が充実しています。
例えば、シンボルにはプラグインと呼ばれる機能が存在します。プラグインは難しいプログラミングの知識がなくとも、ブロックチェーンを拡張することが可能です。具体的には、スマートコントラクトを用いた複雑なトランザクションタイプを定義して実装することができます。
加えて、シンボルには、誰でも簡単に独自仮想通貨を発行できる機能が組み込まれています。これを利用すれば、規制に沿ってトークンの制限や条件を設定したりすることも簡単です。シンボルはセキュリティトークン(トークン化された有価証券等)の発行に適していると考えられています。
また、シンボルはマルチシグを標準的に実装しています。ネムもマルチシグを実装していましたが、シンボルはより強固な階層型のシステムを採用しており、セキュリティ性能を高めています。
マルチシグとはマルチシグネチャーの略称で、ウォレットなどに利用される技術であり、マルチシグを採用するウォレットはマルチシグウォレットと呼ばれます。仮想通貨送金に複数人の承認を必要とすることから、従来のウォレットと比べて資金管理の透明性やセキュリティ性能が向上するとされています。
これらの機能から、シンボルは企業が利用しやすいブロックチェーンとなっているのです。
ネムはPoI(プルーフ・オブ・インポータンス)をコンセンサスアルゴリズム(ブロック生成のルール)を採用していますが、シンボルはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)から派生したPoS+を導入しています。
PoS+はPoIよりも取引処理能力に優れています。ネムが約1分間に1ブロックを生成するのに対して、シンボルは約30秒でブロックを生成できます。そのTPS(1秒間あたりのトランザクション数)は、理論値で約3,000件に達するといわれています。
すなわちPoS+を採用するシンボルは、ネムよりも高い取引処理能力を有しているといえるのです。
XYMの継続的な価格上昇が実現するかは、はシンボルのエコシステムが拡大するかにかかっていると考えられます。現時点でシンボルの将来性はどのように見ているのでしょうか。
シンボルはネムの時代から日本で本格的にコミュニティを形成しています。今回、サイアムレイワインターナショナルと岐阜大学の取り組みで、シンボルが採用されたのも日本でのコミュニティが強力であったことがひとつの要因となっています。
このプロジェクトに参画する岐阜大学の手塚健一准教授は、「日本国内にコアなファンが多く、日本語の情報を得やすかった」ことや、「プロトタイプがシンボルの前身であるネムで完成していた」ことなどが、シンボルを採用した理由だと説明しています。
シンボルは日本市場を開拓するために、人材を雇用してプロモーション活動を行なっています。開発面でのメリットも多いことから、今後はサイアムレイワインターナショナルと岐阜大学に続き、新しいユースケースが日本から誕生することが期待されています。
仮想通貨コミュニティでは、XYMが「いつ頃Binanceに上場するか」、その場合「どの程度価格が上昇するか」などの話題がよく出てきています。
現在、BinanceではXYMの出金のみに対応しており、同仮想通貨を上場するとの発表はないのですが、将来的に取り扱いが開始された際の影響に期待が高まっています。
仮想通貨市場では、仮想通貨が大手取引所に上場されると価格が高騰するという現象が多々見られます。かつてはコインベースに上場される仮想通貨が軒並み価格上昇を記録したことから、「コインベース効果」という言葉も存在しました。その効果は以前ほど絶対的ではなくなってきていますが、投資家の注目を集める材料となるのは確かです。
シンボルの存在感が強まれば、BinanceがXYMを上場する可能性は高まるかもしれません。中にはブロックチェーンゲーム関連の仮想通貨であるALICEがBinance上場後に600倍の高値を付けたことを持ち出して、XYMに同様の価格上昇を期待する者もいます。
XYMのBinance上場や価格上昇が実現するかは分かりませんが、仮想通貨コミュニティはそれが強い影響を持つと見ているようです。
シンボルは立ち上げた2021年当初にロードマップ(開発計画)を公開しています。
それによると、シンボルはネムと共に「DIAMOND」、「QUARTO」、「SENET」の3つのフェーズで開発が継続的に進められる計画となっています。
DIAMONDとQUARTOでは、基本的な機能の開発やウォレットのリリース、開発者向けのツールの公開などが行われます。SENETではレイヤー2の開発などが盛り込まれています。
メインとなるブロックチェーンであるレイヤー1に対して、それを基礎に構築され、情報処理を手助けする副次的なブロックチェーンをレイヤー2と呼びます。レイヤー2は、レイヤー1のスケーラビリティ問題を緩和します。すなわち、取引承認の遅延や手数料高騰などを回避します。
しかし、シンボルはロードマップを更新していません。仮想通貨コミュニティからは、開発状況がわからないことが不満としてあがってきています。
シンボル(XYM)は、多くの仮想通貨取引所で売買可能です。日本語対応の海外取引所における、イーサリアムの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。
仮想通貨取引所 | 現物 | デリバティブ |
---|---|---|
(バイビット) | 〇 |
× |
(バイナンス) | × |
× |
(ゲート) | 〇 |
× |
(メクシー) | 〇 |
× |
(ビンエックス) | × |
× |
(ビットゲット) | 〇 |
× |
(コインイーエックス) | 〇 |
× |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
× | × |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
× | × |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
海外取引所なら、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。
今回、XYMはサイアムレイワインターナショナルと岐阜大学のプレスリリースが公開されるタイミングで、価格が上昇しました。このニュースがプラスな要因であることは間違い無いですが、長期的なものとなるかどうかは分かりません。
XYM価格は、フェイクニュースとも思える情報で騙し上げを過去に経験しているので注意が必要です。XYMは日本で人気の仮想通貨となっていますが、興味があれば、DYOR(自身でリサーチする)することが賢明だといえるでしょう。
出典元:
作成日
:2022.10.25
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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