作成日
:2022.10.27
2023.12.22 21:42
アービトラム(Arbitrum)は、イーサリアムのガス代(送金手数料)高騰問題を解決するために開発されたレイヤー2ソリューションです。イーサリアムを使って送金すると、ガス代が数千円になることもありました。そんな中アービトラムを利用すると、ガス代が大幅に安くなるため人気を集めました。
当記事では、そんなアービトラムの特徴を解説します。また、メタマスクに追加する手順も紹介します。
アービトラム財団は2023年3月、独自トークンARBのリリースを発表しました。3月23日にはエアドロップが実施され、さらに大手取引所に上場します。
エアドロップや各取引所への上場予定(取り扱い状況)、仮想通貨ARBの将来性は、以下の記事にまとめています。
アービトラム(Arbitrum)は、イーサリアムのレイヤー2として、Offchain Labsが開発するブロックチェーンです。スケーラビリティを改善する手段として利用されています。
アービトラムはメインネットの名称であり、「アービトラムワン(Arbitrum One)」と呼ばれることもあります。
スケーラビリティ問題はブロックチェーンの処理能力に起因する障害です。ブロックチェーンにトランザクションが集中すると、取引の遅延や手数料の高騰などが発生します。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などのブロックチェーンは、慢性的にスケーラビリティ問題に悩まされています。
仮想通貨市場では、DeFi(分散型金融)やブロックチェーンゲーム、NFTなどの流行で、トランザクションが増加傾向にあります。特にDAppプラットフォームとして最大のイーサリアムでは、スケーラビリティ問題が顕著になっており、アービトラムを始めとするレイヤー2が欠かせない存在となっている状況です。
メインとなるブロックチェーンであるレイヤー1に対して、それを基礎に構築され、情報処理を手助けする副次的なブロックチェーンをレイヤー2と呼びます。レイヤー2は、ブロックチェーンの処理を高速化し、取引承認の遅延や手数料高騰などのスケーラビリティ問題を緩和することに貢献しています。
イーサリアムではレイヤー2関連のプロジェクトが複数立ち上げられていますが、アービトラムは主要な存在となっています。DEX(分散型取引所)や仮想通貨レンディング、Play to Earn、NFTマーケットプレイスなど、さまざまなサービスに採用されており、TVL(ブロックチェーンに預け入れられた仮想通貨の合計値)は、2022年10月時点で10億ドル前後を推移しています。
アービトラムを利用すると、取引手数料はどれくらい安くなるのでしょうか。例として、仮想通貨取引所Bybit(バイビット)からイーサリアムを出金する際に必要な手数料を比較してみましょう。
ブロックチェーン | 取引手数料 |
---|---|
イーサリアム | 0.0012 ETH |
アービトラムワン | 0.0003 ETH |
アービトラムワン利用時の手数料は、イーサリアム利用時の4分の1になっていました。
特にDeFi関連のサービスでは、承認を要する作業で毎回ガス代が必要となるため、アービトラムは便利な存在となっています。
アービトラム(Arbitrum)には、技術的にどのような特徴があるのでしょうか。主な特徴としては以下のようなものが挙げられます。
ロールアップとは、メインとなるブロックチェーン(レイヤー1)の他に、補助となるブロックチェーン(レイヤー2)を使って、トランザクションを高速化させる技術です。ロールアップにも種類があり、イーサリアムのレイヤー2の主流となっているものに、「ZKロールアップ(ZK Rollup)」や「Optimisticロールアップ(Optimistic Rollup)」があります。
アービトラムは「アービトラム・ロールアップ」と呼ばれる、Optimisticロールアップに近い技術を採用しています。Optimisticロールアップは、資金の引き出しにある程度の時間がかかるという欠点もありますが、よりシンプルな形でトランザクションの高速化を実現することを可能とします。
Optimisticロールアップを採用するレイヤー2のブロックチェーンには、容易にEVM(イーサリアム仮想マシン)を実装できるというメリットがあります。
EVMはイーサリアムブロックチェーンとの互換性を高める技術です。EVMを実装すれば、イーサリアムを基礎とする仮想通貨間の取引やDAppの移植などがより簡単になります。
アービトラムは、Optimisticロールアップに近いアービトラム・ロールアップを採用しているので、EVMの恩恵を受けられます。実際にアービトラムにはイーサリアムのプロジェクトが多数参入してきており、エコシステムが拡大している状況です。
現在、アービトラム(Arbitrum)はトークンを発行していません。しかし、近い内にガバナンストークンとして独自仮想通貨をリリースする見通しとなっています。
独自仮想通貨の需要は、そのレイヤー2としての価値に応じて高まると考えられますが、アービトラムは今後どのような展開を見せるのでしょうか。
2022年9月、イーサリアムは大型アップグレードのマージ(Merge)を完了して、コンセンサスアルゴリズム(ブロック生成のルール)をPoS(プルーフ・オブ・ワーク)に移行することに成功しました。
マージとは、イーサリアムにおける5段階アップグレードのひとつです。ETH2.0のテストネットワーク「ビーコンチェーン」とメインブロックチェーンを統合して、PoSを本格稼働させることを目的としています。
PoSのブロックチェーンは、これまでのPoW(プルーフ・オブ・ワーク)と比較して高性能です。例えば、ソラナ(SOL)など、レイヤー2が不要なほど高いTPS(1秒間あたりのトランザクション数)を叩き出すものも存在します。
しかし今のところ、イーサリアム2.0は飛躍的にパフォーマンスが向上したとは言い難い状況にあります。本格的にスケーラビリティ問題が改善するのは、2023年以降のアップグレードでシャーディングが実装されてからとなる見通しです。
シャーディングとは、トランザクションの検証を複数のバリデータグループで並行して処理する技術です。メインとなるブロックチェーンの他に、シャードチェーン(シャーディングを実行するブロックチェーン)を構築することで、トランザクションを並列処理することができます。シャーディングを採用すると、TPSが大幅に上昇します。
よって、しばらくイーサリアムはレイヤー2に依存する形になると考えられます。また、シャーディングが実装されても、レイヤー2と組み合わせることでパフォーマンスが向上するので、アービトラムなどのレイヤー2は併用されると予想されています。
別の方向性として、アービトラムは「アービトラムワン」の強化版である「アービトラムニトロ(Arbitrum Nitro)」をリリースしています。これまでテストネットで運用されていましたが、2022年9月頃から本番環境で稼働していることが発表されています。
アービトラムニトロは、従来のものより数十倍トランザクションが早く、手数料も格段に安く抑えることを可能にします。仮想通貨市場全体の低迷から、アービトラムのTVLは下落していますが、アービトラムニトロへ移行したことで、イーサリアムのレイヤー2競走で優位性を確保できるかもしれません。
メタマスクにアービトラム(Arbitrum)を追加する方法を紹介します。追加方法には2種類あります。メタマスクに直接設定する方法と、Chainlist(チェーンリスト)というツールでより簡単に追加する方法です。
メタマスクを起動し、トップページ右上にある丸いアイコンをクリックして設定画面を表示します。
メニューが表示されますので、一番下にある「設定」を選択します。
設定画面左側にある「ネットワーク」をクリックし、画面右上に表示される「Add a network」を選択します。
メタマスクに新規ネットワークを追加するための画面が表示されるので、アービトラムネットワークの設定を入力した後、「保存」をクリックします。
アービトラムネットワークの設定
番号 |
入力項目 |
説明 |
---|---|---|
1 |
ネットワーク名 |
Airbitrum One |
2 |
新規 RPC URL |
https://arb1.arbitrum.io/rpc |
3 |
チェーンID |
42161 |
4 |
通貨記号 |
ETH |
5 |
ブロックエクスプローラーのURL |
「保存」ボタンを選択後にメタマスクトップ画面に自動的に戻りますので、画面右上のネットワーク名に「Airbitrum One」と表示されていれば設定完了です。
メタマスクへのアービトラム追加は、Chainlist(チェーンリスト)というツールを使うことでもできます。Chainlistを使うと、アービトラムだけでなく他のブロックチェーンも簡単に追加できますので便利です。
Chainlistにアクセスし、「Search Networks」の横の検索バーに「arbitrum」と入力します。
検索結果の中から「Arbitrum One」の「Connect Wallet」を選択します。
Connect Walletを選択するとメタマスクの承認画面が表示されますので、ネットワーク名に「Arbitrum One」とあるのを確認して「承認」ボタンを選択します。
承認後に表示される画面で「ネットワークの切り替え」を選択します。
メタマスクの画面右上のネットワーク名部分に「Airbitrum One」と表示されていれば設定完了です。
DeFiの登場とともに取引量が増加しガス代が高騰したことで、イーサリアムネットワークでは、様々なレイヤー2プロジェクトが開発されています。その中でもアービトラム(Arbitrum)は、レイヤー2として上位につけております。
開発活動だけでなく、コミュニティを盛り上げるイベントも活発である点も、アービトラムが注目される理由の1つでしょう。最近では、レイヤー2としての利用を拡大することを狙って、最大17種類のNFT配布を特典としたスタンプラリー的なプロモーションを実施しました。
イーサリアム2.0がリリースされて、さらに需要が増える可能性のあるため、今後のアービトラムの動向には注目です。
作成日
:2022.10.27
最終更新
:2023.12.22
会社員時代に10万円を元手にFXをはじめるが、カンに頼るトレードで退場。
テクニカル分析を学ぶがそれでも上手く行かない中、趣味でやっていた暗号資産の利益が増大。
戦いのメインをFXと暗号資産の2本(DeFiやNFT)にすることで、会社員から独立し現在は専業トレーダーとして活躍。
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