作成日
:2023.03.22
2023.03.27 16:39
イーサリアム(ETH)の主要なレイヤー2ブロックチェーンであるアービトラム(Arbitrum)は、独自仮想通貨(暗号資産)ARBのリリースを発表しました。
ARBはアービトラム利用歴のあるユーザーにエアドロップされ、Bybit(バイビット)やBinance(バイナンス)などに上場しています。
当記事では、仮想通貨ARBの将来性や買い方、アービトラムの特徴について解説します。
2023年3月16日、アービトラム(Arbitrum)は独自仮想通貨のARBのエアドロップを発表しました。エアドロップとは、特定の条件を満たしたユーザー等に仮想通貨を配布することです。
画像引用:Arbitrum Foundation
多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。
アービトラムは、2021年にメインネットが立ち上げられてから、イーサリアムの主要なレイヤー2として運用されてきました。これまで中央集権型の仕組みで開発が進められてきましたが、分散型の組織を実現するために、ガバナンストークンとしてARBをリリースします。アービトラムはARBを中心としたDAOを構築しています。
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性が高いと見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用されています。
エアドロップは2023年3月23日に実施予定です。詳細はアービトラム財団の公式ページから確認可能です。
また、ARBはエアドロップ後、Binance(バイナンス)などで取引可能となりました。
画像引用:Binance
仮想通貨取引所 | 上場予定(日本時間) |
---|---|
(バイビット) | 2023年3月23日(午後10時) |
(バイナンス) | 2023年3月24日(午前2時) |
(ゲート) | 2023年3月23日または24日(時刻未定) |
(メクシー) | 2023年3月23日または24日(時刻未定) |
(ビンエックス) | 2023年3月23日または24日(時刻未定) |
(ビットゲット) | 2023年3月24日(午前2時) |
(コインイーエックス) | 上場予定日時未発表 |
3月24日時点での各取引所の取り扱い状況(現物、USDT無期限)は後述しております。
イーサリアムの主要なレイヤー2の多くは、既に独自仮想通貨を発行しています。競合であるポリゴンのMATICやオプティミズムのOPが成功したことから、ARBも仮想通貨市場で時価総額ランキング上位に入ることが期待されています。
暗号資産(仮想通貨)ARBは、2023年3月23日にエアドロップで配布されました。そのエアドロップの詳細を記載します。
3ポイント以上を獲得しているユーザーが対象者となります。ポイントは2023年2月6日までのユーザーの活動実績によって付与され、アービトラムワン(Arbitrum One)とアービトラムノヴァ(Arbitrum Nova)について、各項目をひとつ満たす毎に1ポイントが付与されます。
また、早期利用者により多くの報酬を分配する目的から、アービトラムニトロ(Arbitrum Nitro)の公開日(2022年8月31日)以前に達成された項目に関しては、ポイントが2倍で計算されます。
獲得できるARBの数量は、ポイントに基づいて決定されます。
ポイント数 | 獲得できるARB |
---|---|
3未満 | なし |
3 | 1,250 |
4 | 1,750 |
5 | 2,250 |
6 | 3,250 |
7 | 3,750 |
8 | 4,250 |
9 | 6,250 |
10 | 6,750 |
11 | 7,250 |
12 | 10,250 |
アービトラムは、ボットを防ぐために、いくつかのペナルティを設けています。
例えば、全てのトランザクションが48時間以内に行われていたり、ウォレット残高が0.005ETH以下かつスマートコントラクトが一度も実行されていなかったりする場合、それぞれ1ポイント減点されます。
また、シビル攻撃に利用されたウォレットはエアドロップの対象外とされています。
シビル攻撃はDAOなどを攻撃するためによく利用されます。投票権が1アカウント1票の場合は多数のアカウントを作成して投票したり、投票権が1通貨あたり1票の場合はガバナンストークンを買い占めて投票したりすることで成立します。
自分がARBのエアドロップ対象かどうかは、アービトラム財団のウェブサイトから確認できます。下の画像の赤枠で囲った「Connect Wallet」をクリックして、対象となるウォレットを接続します。
画像引用:Arbitrum Foundation
ウォレットを接続して次の画面に進むと、アービトラムワンとアービトラムノヴァにおけるポイント獲得状況や、エアドロップされるARBの枚数などを確認できます。
当記事執筆時点(2023年3月20日)で、エアドロップの受け取り方は指定されていません。
また、一般ユーザーにエアドロップされるARBは、1週間以内に利用可能となります。一方、開発チームや初期投資家に配布されるARBは、合計4年間のロックアップ期間が設けられており、エアドロップの1年後から3年間かけて、毎月少しずつ引き出せるようになる見込みです。
アービトラム(Arbitrum)は、Offchain Labsが開発するイーサリアムのレイヤー2です。イーサリアムのレイヤー2はアービトラム以外にも多数存在しますが、いずれもスケーラビリティ問題の改善を主な目的としています。
スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーンの処理能力に起因する障害です。ブロックチェーンにトランザクションが集中すると、取引の遅延や手数料の高騰などが発生します。ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンは、慢性的にスケーラビリティ問題に悩まされています。
アービトラムを利用すると、イーサリアムよりも高速かつ安価な手数料で取引を実行できます。
アービトラムは「アービトラムロールアップ」と呼ばれる独自ロールアップを採用しています。
ロールアップとは、メインとなるブロックチェーンの外で、トランザクションを処理する技術です。ロールアップのメリットは、メインとなるブロックチェーンの強固なセキュリティに守られながら、トランザクション処理を安全に効率化できることです。
アービトラムロールアップは、アービトラムが持つレイヤー2としての根幹的な技術です。
アービトラムは以下の主要な製品をリリースしています。
アービトラムワンはアービトラムのメインとなるブロックチェーンです。
誰でもバリデータとしてネットワークに参加可能で汎用的なブロックチェーンです。アービトラムの製品群の中では、DeFi(分散型金融)やNFT向けのブロックチェーンだと位置付けられています。
バリデータは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)のブロックチェーンにおいて、トランザクションの承認などブロックチェーンの維持のために活動します。
アービトラムノヴァは限定的なバリデータによって構成されるブロックチェーンです。アービトラムワンと比較して、ブロックチェーンゲームの構築に利用されることに適しています。
アービトラムブリッジはアービトラムのクロスチェーンブリッジです。イーサリアムからアービトラムのブロックチェーンに互換性を持たせ、仮想通貨の移動を可能にします。
クロスチェーンブリッジとは、複数のブロックチェーンをつないで規格の異なる仮想通貨を相互に利用可能にする技術です。この技術が普及すれば、ブロックチェーンを跨いで仮想通貨をやり取りできます。ブロックチェーンが乱立している現在、クロスチェーンブリッジは重要な存在です。
2023年3月24日時点では、仮想通貨(暗号資産)ARBのチャートは以下のようになっております。
画像引用:CoinMarketCap
ARBは上場直後に最高値の1,464円を記録し、直後に大きく下落しました。そして、170~180円前後で推移しています。今後も注目を集めると考えられるARBの価格は、後述の通り、上場前から話題になっていました。
ARBのリリースが発表されると、Twitterの仮想通貨コミュニティでは、ARBのエアドロップに関する話題で持ちきりでした。特にARB価格の動向に注目が集まっていました。
その中でも、インフルエンサーのolimpio氏はARBの価格予想に関するツイートを行い、注目を集めます。olimpio氏は以下のようなシナリオで価格を予想しました。
この予想にどの程度信憑性があるかはわかりません。そこで、どの程度参考にするかはユーザー自身が判断する必要がありました。
なお、olimpio氏のアンケートでは、半数以上の回答者が1.25ドルから2.5ドル以上でARBを売却したいと回答していました。
At which price would you sell $ARB?
— olimpio (@OlimpioCrypto) March 17, 2023
ARBはエアドロップ前から、いくつかの取引所でIOUトークンの取引が開始されていました。
IOUは英語の「I Owe You(あなたに貸しがある)」を意味し、IOUトークンは上場前の仮想通貨を売買する手段として取引所が発行するトークンです。取引所は、上場後のIOUトークンと現物の交換を約束しています。
2023年3月20日において、ARBのIOUトークンは1,000円前後で取引されていました。
画像引用:CoinMarketCap
注意点として、IOUトークン価格は取引所によって異なります。また、上場後に大きく変動する可能性もあり、現物価格を保証するものではありません。
仮想通貨(暗号資産)ARBの将来性は、アービトラム(Arbitrum)の発展にかかっています。そこで将来性に影響し得る要素として、以下が挙げられます。
ARBのエアドロップに合わせて、アービトラムはArbitrum DAOの立ち上げを発表しました。Arbitrum DAOは、アービトラムワンとアービトラムノヴァの開発や運営などの方針を決定します。また、ARBはArbitrum DAOのガバナンストークンとして利用されます。
長期的に見ると、アービトラムの運営がDAOに移行したことは、プラスに働くと予想されます。レイヤー2ブロックチェーンとしての透明性が高まり、投資家や開発者がエコシステムに参加しやすい環境が整うと考えられます。
今回、アービトラムはArbitrumDAOの立ち上げに加え、新製品のアービトラムオービット(Arbitrum Orbit)をリリースしました。
アービトラムオービットにより、アービトラム上に新しいブロックチェーン構築が可能になります。イーサリアムをレイヤー1、アービトラムをレイヤー2とした時、アービトラムオービットで構築するのは、レイヤー3のブロックチェーンです。
イーサリアムなどのDApp(分散型アプリ)プラットフォームの多くは、いくつかのブロックチェーンが重なった階層構造になっています。それぞれのブロックチェーンは違う役割を持っていたり、異なるプロジェクトのブロックチェーンとして機能します。
すなわち、アービトラムオービットを使えば、第三者がアービトラムを基礎にプロジェクトを立ち上げ、DAppの構築や仮想通貨発行が可能になると考えられます。
アービトラムの優れたブロックチェーンを活用すると同時に、アービトラムエコシステムの恩恵を受けられることが、アービトラムオービットのメリットだといえるでしょう。
イーサリアムのレイヤー2の市場規模は飛躍的に増加しており、L2BEAT.comのデータでは、TVLが70億ドルに迫っています。
画像引用:L2BEAT
TVLはTotal Value Lockedの頭文字をつなげた言葉で、ブロックチェーンやDAppに預け入れられた仮想通貨の総額を示します。この金額は人気のバロメーターとしても使用されます。
その中でアービトラムは、市場シェア50%を超えてトップを獲得しています。次点のオプティミズム(OP)に大差をつけており、レイヤー2市場の競争をリードしています。
アービトラムは、BinanceやCrypto.comなど、大手取引所の入出金システムに統合されています。加えて、対応するDAppも多いので、使い勝手の良いレイヤー2として利用が拡大している模様です。
2023年3月24日現在、仮想通貨(暗号資産)ARBは、日本国内の取引所では取り扱われていません。そのため、取引は海外取引所で行います。各海外取引所におけるARBの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。
仮想通貨取引所 | 現物 | デリバティブ |
---|---|---|
(バイビット) |
〇 |
〇 |
(バイナンス) |
〇 |
〇 |
(ゲート) |
〇 |
〇 |
(メクシー) |
〇 |
〇 |
(ビンエックス) |
〇 |
〇 |
(ビットゲット) |
〇 |
〇 |
(コインイーエックス) |
〇 |
× |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
ARBの現物取引とデリバティブ取引は、複数の取引所で行えます。
なお、各取引所はARBの上場に合わせて、イベントやキャンペーンを実施しております。例えば、BybitではローンチプールでARBをステーキングしたユーザーに、合計15万ARBの報酬を配布するイベントが開催されます。
Bybitでは、3つの手順でARBを購入できます。
まずは以下のリンクをクリックし、ARBの購入ページ(ARB/USDT)にアクセスします。
なお、Bybitを利用するには口座を開設しておく必要があります。
ここでは最もシンプルな「成行」での購入方法を紹介します。成行でARBを購入するには、以下のように操作をして「ARBを買う」をクリックします。/USDT)にアクセスします。
番号 |
項目名 |
説明 |
---|---|---|
1 |
「買い」または「売り」 |
通貨ペアの左の通貨を買って右の通貨を売るなら「買い」、左の通貨を売って右の通貨を買うなら「売り」を選びます。 |
2 |
注文方法 |
成行を選びます。 |
3 |
注文価格 |
購入したい数量を入力します。 |
ARBはUSDTを支払って購入します。そのため、USDTの残高が十分でない場合は、入金や両替が必要です。
内容を確認して「ARBを買う」をクリックします。注文は即座に確定し、購入したARBは現物アカウント残高に反映されます。
以下の記事では、買い方に関してより詳しく説明しています。有利な価格を指定する「指値」の使い方なども解説しています。
仮想通貨(暗号資産)ARBのエアドロップは、仮想通貨コミュニティにとってビッグイベントとなっており、Twitter上でも盛り上がりを見せました。特にARB価格の動向に関心が集まっていますが、長期的には同仮想通貨を中心としたガバナンスが機能するかが重要です。
新製品であるアービトラムオービットの発表もあり、アービトラム(Arbitrum)のエコシステムには変化が訪れているだけに、今後も同プロジェクトに注目です。
作成日
:2023.03.22
最終更新
:2023.03.27
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
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