作成日
:2022.02.01
2023.03.16 15:54
近年、様々なサービスがブロックチェーン上で利用され始めていることを背景に、仮想通貨(暗号資産)市場ではメインとなるブロックチェーンである「レイヤー1」に対して、「レイヤー2(セカンドレイヤー)」の重要性が増してきています。特に仮想通貨市場最大のブロックチェーンプラットフォームのイーサリアム(ETH)では、レイヤー2の技術開発が不可欠といえるでしょう。
レイヤー2はブロックチェーンの情報処理能力を改善できることから、スケーラビリティ問題(ブロックチェーンの処理能力が制限されていることに起因する障害)を解決する存在として期待されています。2022年はNFTやメタバース、DeFiなどの流行でブロックチェーンの利用が拡大すると考えられているだけに、主要なプラットフォームであるイーサリアムにおけるレイヤー2関連プロジェクトの注目度も高まっています。
多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。一般的にそのレイヤー構造は、コンセンサスアルゴリズム(ブロック生成のルール)によってブロックを生成したりブロックチェーンの基本的な機能を提供する「ブロックチェーン(メインチェーン)層」や、スケーラビリティ(拡張性)を高めてブロックチェーンの幅広い利用を可能にする「スケーラビリティ層」、ブロックチェーン上で動作するDAppの構築を可能にする「アプリケーション層」、ユーザーとDAppを繋ぐ「サービス層」などで構成されています。
それぞれの層の名称や機能的な要件に明確な定義があるわけではありませんが、このような前提で仮想通貨市場では、最も基礎的なブロックチェーン層をレイヤー1、その上層にあるスケーラビリティ層をレイヤー2と呼びます。
主要なレイヤー1のブロックチェーンとしては、ビットコイン(BTC)やイーサリアムに加え、バイナンス・スマート・チェーン(BSC)やソラナ(SOL)、ポルカドット(DOT)、テラ(LUNA)、アバランチ(AVAX)、トロン(TRX)などのイーサリアム・キラーが挙げられます。これらのレイヤー1に位置付けられるプロジェクトのネィティブトークンは、需要が高まりやすく、時価総額が大きくなりやすいことが特徴です。実際にその多くが、仮想通貨市場全体の時価総額ランキングで上位を占めています。
イーサリアム・キラーとは、DAppプラットフォームとしてイーサリアムの座を狙うブロックチェーンを指します。その多くは、スマートコントラクト(ブロックチェーンを利用した契約の自動実行プログラム)を実装しているだけでなく、より効率的なコンセンサスアルゴリズムを採用して高速な取引や安い手数料での利用を実現しており、イーサリアムが抱えている課題をある程度克服しているのが特徴です。
レイヤー2はレイヤー1のブロックチェーンを基盤として構築されます。スケーラビリティ層であるレイヤー2は、レイヤー1の情報処理を手助けすることで、スケーラビリティ問題を緩和して安価な手数料で迅速なブロックチェーンの利用を可能にするのです。
では、具体的にレイヤー2はどのようにスケーラビリティ問題を緩和しているのでしょうか。そこにはいくつか代表的な技術が存在します。
例えば、ビットコインであれば、ライトニングネットワークと呼ばれる技術が開発されています。ライトニングネットワークは、ビットコインブロックチェーンで「ペイメントチャネル」という取引しようとする者(AとB)の間だけで有効な取引の場を作り出し、レイヤー2の上で取引を完結させることができます。なお、ライトニングネットワークは、何回取引しても最終的な資金移動の結果だけをレイヤー1に記録するので、多数のペイメントチャネルで取引が行われても効率性を失うことはありません。下の絵でそれぞれのペイメントチャネル内でAからB、BからCへ1BTCの送金が行われた後にペイメントチャネルを閉じると、Aの支払いとCの受け取りのみが記録されるのです。
ビットコインブロックチェーンでは送金手数料が高騰しがちですが、ライトニングネットワークを利用すると、それが飛躍的に改善して1円などの少額送金であるマイクロペイメントが可能になります。このような利点があることから、ライトニングネットワークを統合する仮想通貨関連サービスが出始めており、米大手SNSのTiwtter(ツイッター)CEOを退任しオンライン決済会社であるBlock(ブロック)のCEOを務めるジャック・ドーシー氏は、同技術を高く評価して事業に取り込もうとする動きを見せていました。
一方、イーサリアムでは、ビットコインのライトニングネットワークを応用したステートチャネルやレイヤー1の拡張機能することを目指すサイドチェーン、より汎用性が高い解決策となるプラズマなどの技術群が開発されてきました。2021年頃からイーサリアムでは、オプティミスティック・ロールアップとゼロ知識証明ロールアップと呼ばれる2つの新技術が開発されています。この2つの新技術は、ブロックに記録される情報を検証するコンセンサスアルゴリズムをより効率的なものとすることで、スケーラビリティ問題の改善を図っています。
ちなみに、2022年1月、イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーンとして利用されるポリゴン(MATIC)が、ゼロ知識証明ロールアップに対応するソリューションの「Plonky2」を発表して話題となりました。
イーサリアム(ETH)にはレイヤー2を開発するプロジェクトが複数存在します。Arbitrum(アービトラム)やOptimism(オプティミズム)などが有名ですが、中には独自仮想通貨を発行して投資対象となり得るレイヤー2プロジェクトもあります。その例として以下でいくつか紹介します。
ポリゴン(MATIC)はイーサリアムにおける最も有力なレイヤー2ブロックチェーンとして認識されています。ポリゴンブロックチェーン上では多数のDAppが展開しており、分散型取引所(DEX)のQuickSwapやメタバース(インターネット上に構築された三次元の仮想空間)ゲームのディセントラランド(Decentraland)、分散型レンディング(仮想通貨を貸し出して利益を得ることができるDeFi関連サービス)のアーベ(Aave)などにも利用されています。ブロックチェーンの利用度合いの指標となるTVL(ブロックチェーンに預け入れられた仮想通貨の合計値)は、既に40億ドルを超えている状況です。
2022年1月現在、ポリゴンのネイティブトークンであるMATICの時価総額は、仮想通貨市場全体で20位圏内を推移しています(CoinMarketCapより)。直近のMATIC価格はビットコインの下落に引きずられる形で、他の仮想通貨と同様に押し下げられていますが、長期的に見ると安値を切り上げながら上昇を描いているといえるでしょう。
画像引用:TradingView
Immutable X(イミュータブルエックス、IMX)は、イーサリアムを基盤にする人気NFTゲームの「Gods Unchained」(ゴッズアンチェインジド)を運営するImmutable社に開発されたレイヤー2ブロックチェーンです。Immutable Xは取引手数料を排除すると同時に、高速な取引を実現したことから、イーサリアムにおけるNFTゲームに重宝される存在となっています。Gods Unchained以外にも、「Guild of Guardians」や「illuvium」などのNFTゲームがImmutable Xを活用しています。
NFTゲームとは、ゲームアイテムなどをトークン化するNFT(非代替性トークン)を用いたブロックチェーンゲームを指します。多くの場合、Play to Earn(遊びながら稼ぐ)の要素を取り入れており、プレイすることで報酬としてNFTや仮想通貨を獲得することが可能です。これらのNFTはNFTマーケットプレイスを通じて売買することもできます。
Immutable Xは、IMXと呼ばれるガバナンストークン(トークン保有者によるプロジェクト運営を可能にする仮想通貨)を発行しています。IMXは仮想通貨を預け入れて報酬を獲得するステーキングやDAppの手数料支払いなどにも利用されることから、Immutable Xの需要が増せば価格が上昇すると考えられています。現在、IMX価格はMATICと同様に、2021年末から仮想通貨市場全体の流れにつられて下落していますが、Immutable Xは比較的新しいプロジェクトなのでまだまだこれからの仮想通貨だといえるでしょう。
画像引用:TradingView
ロニン(RON)はメタバースゲーム専用のレイヤー2として登場したブロックチェーンです。人気メタバースゲームの「Axie Infinity」(アクシー・インフィニティ)を手がけるSky Mavis社によって開発されたロニンは、同ゲームの日間300万人近いアクティブユーザーの取引を処理することが可能となっています。ピークとなった2021年11月には、ロニン上でイーサリアムの約5倍、アバランチ(AVAX)やファントム(FTM)などのレイヤー1ブロックチェーンを凌駕する量の取引が処理されました。
ロニンはRONというネイティブトークンを発行しており、Gate.ioで売買できますので、RONの更なる人気化に期待する場合は、購入してみると良いかもしれません。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)において、レイヤー2はブロックチェーンの性能や実用性を高めるために必要な存在です。加えて、DAppプラットフォームであるイーサリアムでは、ブロックチェーンの利用を効率化するためにも、レイヤー2関連プロジェクトの発展が望まれています。ポリゴン(MATIC)を筆頭に、Immutable X(イミュータブル エックス)やロニン(RON)などの有望なプロジェクの開発が進められていますが、これがどのような変化をもたらしてくれるのでしょうか。
今後も仮想通貨市場は拡大を続けると予想されていますが、2022年はレイヤー2の発展で飛躍の年となるかもしれません。
作成日
:2022.02.01
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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