作成日
:2023.06.15
2024.06.21 23:40
仮想通貨wstETHは、DeFiプロジェクトのLido Financeが発行するトークンです。stETHを預けると受け取ることができ、保有するだけで報酬を得られます。
イーサリアム(ETH)をステーキングすると、ロックされて使用できなくなります。この不便を解消するためにstETHが開発され、そしてstETHのデメリットを改善するためにwstETHが作られました。
この記事では、wstETHのメリットや仕組みについて解説します。
wstETHはstETHを元にして開発されました。そこで、stETHから解説します。
イーサリアム(ETH)をステーキングすると報酬をもらえますが、ステーキング期間中はイーサリアムを送金できませんし、運用することもできません。2023年4月の上海アップグレード以前は、ひとたびステーキングすると引き出すこともできませんでした。
引き出せない場合、現金化したくても売れません。また、上海アップグレードの実施日は流動的だったので、いつから引き出せるのか分かりませんでした。
そこで、Lido Financeはステーキングしたユーザーに対して、イーサリアムと同じ価値を持つ別のトークンを発行しました。これがstETHです。上海アップグレード完了後も、stETHは引き続き利用可能です。
stETHは自由に送金可能で、売買もできます。また、イーサリアムのステーキング報酬もstETHで毎日分配されます。
stETHをイーサリアムに戻したい場合は、Lido FinanceにstETHを返却してイーサリアムを受け取ります。そして、Lido Financeは受け取ったstETHを自動的にバーンします。こうして、Lido Finance経由でステーキングされたイーサリアムとstETHの数量は、常に同数に保たれています。
この仕組みをリキッドステーキングといいます。
画像引用:CoinMarketCap
stETHの価格は、1ETHと等しくなるように設計されています。しかし、イーサリアム建てのstETHのチャートを見ると、stETHほうが少し安い水準で推移しています。
この理由として、主に2つが挙げられます。まず、stETHはイーサリアムと異なるという点です。仮想通貨にはハッキング等のリスクがあります。そして、市場はstETHのリスクのほうが高いとみなしている模様です。これが価格に反映されているでしょう。
もう一つは、利便性です。イーサリアムは世界中の取引所で売買でき、知名度も高いです。それに比べ、stETHはLido Financeが発行する仮想通貨であり、未上場の取引所が数多くあります。知名度もイーサリアムに比べて劣ります。これも、価格に反映されている可能性があります。
stETHの主な特徴は以下の通りです。
バリデータとしてイーサリアムのステーキングに参加するには、ブロックチェーンに32ETHを預け入れる必要があります。イーサリアムは高額なので誰でも参加できるわけではありません。
一方、Lido Financeの場合、任意の数量でステーキングに参加できます。ステーキング報酬の10%を手数料として支払う必要がありますが、敷居が大幅に低くなりました。
stETHはリベース型トークンです。リベース型トークンとは、スマートコントラクトが通貨供給量を自動調節して価格を誘導するトークンを指します。
ユーザーがイーサリアムをステーキングすると、同数のstETHが発行されます。そして、日々のステーキング報酬と同数だけstETHが毎日追加発行され、追加発行されたstETHは自動で複利運用されます。その後、ユーザーがstETHを返却してETHを受け取ると、返却済のstETHはバーンされます。
このように、預け入れられたイーサリアムと発行されたstETHが同数になるように自動調整されます。その結果、stETHの価格はイーサリアムに連動します。
stETHの主なデメリットとして、他のDeFiプロジェクトとの互換性が低いという点があります。保有するだけで毎日stETHを受け取れる機能について、多くの取引所やDeFiプロジェクトが未対応です。このため、Lido Finance内での使用が中心になります。
なお、対応済みの取引所やDeFiの例として、BybitやCurveを挙げることができます。
wstETHはstETHのラップドトークンです。
ラップドトークンとは、特定の仮想通貨の価値に連動するトークンを指します。例えば、ビットコインはビットコインブロックチェーン上で流通し、イーサリアムブロックチェーン上で使用できません。そこで、ビットコインと値動きが同じになるトークンを作って、イーサリアムブロックチェーン上で流通させます。これがラップドビットコインです。
stETHは他のDeFiプロジェクトとの互換性が低いのが問題でした。この問題点を解決したのがwstETHで、互換性を向上させています。
比較項目 | wstETH | stETH |
---|---|---|
報酬の配布方法 | stETHに対する価格の上昇で配布 | stETHで報酬を配布 |
運用場所 | リベース型トークン非対応でも運用可能 | リベース型トークンに対応したサービスのみ |
報酬の配布方法
wstETH | stETHに対する価格の上昇で配布 |
---|---|
stETH | stETHで報酬を配布 |
運用場所
wstETH | リベース型トークン非対応でも運用可能 |
---|---|
stETH | リベース型トークンに対応したサービスのみ |
wstETHは、stETHと報酬配布の仕組みが異なります。
stETHの場合、stETHの保有量に比例してstETHが毎日配布されます。一方、wstETHの報酬はトークンで支払われるのではなく、wstETHの価値上昇という形で配布されます。
例えば、10stETHを10wstETHにラップ(交換)したとします。その後、時間が経過してステーキング報酬の累積が5%になったとします。すると、wstETHをstETHに戻す際の交換比率は1wstETH=1.05stETHになり、10wstETHを10.5stETHと交換できます。
つまり、報酬をトークンで毎日受け取るのではなく、wstETHをstETHに戻す際に価値上昇という形で受け取ります。
この方式は、BETHとwBETHでも採用されています。
画像引用:CoinMarketCap
wstETHはステーキング報酬を毎日分配せず、wstETH自身の価値が上昇することで配布します。このため、イーサリアム建てのwstETHチャートを見ると、右肩上がりになります。
しかし、完全な右肩上がりではなく、途中で下落している部分があります。wstETHはイーサリアムの価格に連動するように設計されていますが、この2つは異なる仮想通貨です。知名度や安心感の差が価格に表現されていると考えられます。
wstETHはいろいろなDeFiプロジェクトで運用できます。ここでは、Balancer(バランサー)に流動性を供給して運用する方法を解説します。
流動性とは特定の資産が取引可能な状態にあるかどうかを指します。流動性があれば資産を売却したり買ったりできますし、流動性がなければ、売買できません。各種DeFiプロジェクトでは、流動性を供給することで対価として報酬をもらえます。
Balancerのプール一覧を見ると、流動性を提供できる仮想通貨ペアの一覧が表示されます。その中で、例としてwstETHとWETHの組み合わせをクリックします。
wstETHとWETHのプールの状況が表示されます。「Add liquidity」(流動性を追加)をクリックします。
wstETHの部分に運用したい数量を入力し、「Preview」をクリックします。そして内容を確認したうえで、最終的に決定します。
wstETHはDEX(分散型取引所)で購入できますし、Lido FinanceでETHをステーキングして取得することもできます。ステーキングで得る場合は、まずイーサリアムをステーキングしてstETHをもらい、そしてstETHをwstETHにラップします。
ウォレットにイーサリアムを保有した状態でLido Financeのホームページに移動し、1をクリックしてウォレットを接続します。その後、2をクリックしてステーキングのページに進み、ステーキングしたい数量を3に入力して4の「Submit」をクリックします。
ウォレットにstETHを保有した状態でLido Financeに移動し、1をクリックして接続します。その後、メニューで2のWRAPを選択してラップのページに移動します。
そして、3で「Wrap」を選択したのちラップしたい数量を4に入力し、5の「Wrap」をクリックします。
ウォレットにwstETHを保有した状態でLido Financeに移動し、1をクリックしてウォレットを接続します。その後、メニューで2のWRAPを選択してラップのページに移動します。
そして、3で「Unwrap」を選択したのちアンラップしたい数量を4に入力し、5の「Unwrap」をクリックします。
イーサリアムをステーキングすると、その期間中はイーサリアムを使えないため不便でした。しかし、stETHとwstETHの公開により、利便性が向上しました。
リキッドステーキング市場はLido Financeの一強であり、今後もこの状況を維持できるかに注目です。
作成日
:2023.06.15
最終更新
:2024.06.21
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。
お問い合わせ先 [email protected]
仮想通貨USUALの将来性は?RWA活用のステーブルコインプロトコルを解説
2024.11.20 20:00
Milton Marketsが2024年11月より最大100%分入金ボーナスを開催
2024.11.20 19:30
スマホ版MT4のやさしい使い方ガイド~iPhone&Androidの基本操作~
2024.11.20 19:00
ZoomexがクリプトバトルZを開催!毎週開催の取引大会で現物USDTやボーナスを獲得
2024.11.15 20:00
ゴールドラッシュXMは本当に儲かるのか?ほぼ破綻リスクゼロのEAの実力は
2024.11.14 20:30
Titan FXがブラックフライデーキャンペーンを開催!取引でキャッシュバックが付与
2024.11.14 20:00
免責事項:Disclaimer
当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。
Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー