作成日
:2023.06.01
2024.01.01 07:24
イーサリアムがPoSに移行してから、ETHのステーキング需要が高まり続けています。特に、ステーキングするともらえるリキッドステーキングトークンに注目が集まっています。
Binance(バイナンス)はリキッドステーキングトークン「BETH」を発行しており、一定のシェアを獲得しています。また、2023年4月にwBETHを発表しました。ステーキング報酬を受け取りながらDeFiなどで運用できるのが特徴です。
本記事では、仮想通貨BETHとwBETHの特徴や使い道、運用方法などを解説します。
仮想通貨(暗号資産)BETHの特徴は以下の通りです。
仮想通貨BETH(Beacon ETH)はイーサリアムのリキッドステーキングトークンで、大手取引所のBinance(バイナンス)が発行しています。
リキッドステーキングは、ステーキングした仮想通貨と同額の代替トークン(リキッドステーキングトークン)をもらえるサービスです。ETHをステーキングするには、ブロックチェーンにETHを預け入れます。そして、預けている間はETHを他の用途に利用できません。この不便さを改善するために登場しました。
BinanceでETHをステーキングすると、ステーキングしたETHと同額のBETHが配布されます。そして、BETH保有量は毎日計測され、保有量に応じてステーキング報酬が分配されます。なお、ステーキングのAPR(年間利回り)は変動制であり、イーサリアムネットワークに依存します。
BETHは保有以外にも使い道があり、現物市場で売買したりBinance暗号資産ローンの担保として活用したりできます。
なお、新たにwBETHがリリースされて以降、BETHはBinanceの外部に出金できないようになっています。
イーサリアムでステーキングするには、32ETH以上を保有してノードを運用する必要があり、ハードルが高いです。
ノードとは、ブロックチェーンのネットワークを構成するコンピュータ(パソコンやサーバ、スマホなどを含む)を指します。ノードはブロックの検証だけでなく、取引情報の記録や情報伝達などの機能を提供します。
しかし、Binanceのリキッドステーキングを利用すれば、0.0001ETHからステーキングできます。資金が少なくても参加できるのがメリットです。
なお、Binanceだけでなく他の取引所でも、同様のサービスを提供しています。Bybit(バイビット)はLido(ライド)のstETHを使うサービスで話題となりました。
2023年4月24日、Binance(バイナンス)は仮想通貨wBETHを発表しました。
仮想通貨wBETH(Wrapped Beacon ETH)は、BETHのラップドトークンです。wBETHもリキッドステーキングトークンであり、保有者は毎日ステーキング報酬を得られます。
ラップドトークンとは、特定の仮想通貨の価値に連動するトークンです。例えば、ビットコインはビットコインブロックチェーン上で流通し、イーサリアムブロックチェーン上では使用できません。そこで、ビットコインと値動きが同じになるトークンを作って、イーサリアムブロックチェーン上で流通させます。これがラップドビットコインです。
両者の大きな違いは、運用方法の柔軟性です。BETHはBinance内で運用しますが、wBETHはBinanceの外部に出金してDeFiなどで運用できます。ステーキング報酬の受け取り方にも違いがあります。
両者の主な違いは、以下の通りです。
項目 | BETH | wBETH |
---|---|---|
対応チェーン | ・BNBチェーン |
・BNBチェーン
・イーサリアム
|
報酬の配布方法 | ・BETHで報酬を配布 | ・wBETHの価格上昇で配布 |
運用方法 |
・市場での売買
・流動性提供
・ローンチプール
・暗号資産ローンの担保 など
|
・市場での売買
・流動性提供
・DeFiでの運用 など
|
BETH
対応チェーン | ・BNBチェーン |
---|---|
報酬の配布方法 | ・BETHで報酬を配布 |
運用方法 |
・市場での売買
・流動性提供影
・ローンチプール
・暗号資産ローンの担保 など
|
wBETH
対応チェーン |
・BNBチェーン
・イーサリアム
|
---|---|
報酬の配布方法 | ・wBETHの価格上昇で配布 |
運用方法 |
・市場での売買
・流動性提供
・DeFiでの運用 など
|
wBETHは、BETHと報酬配布の仕組みが異なります。
BETHの場合、Binance口座内の残高に応じてBETHが配布されます。一方、wBETHの報酬はトークンで毎日支払われるのではなく、wBETHの価値上昇という形で配布されます。
例えば、10BETHを10wBETHにラップ(交換)したとします。その後、時間が経過してステーキング報酬の累積が5%になったとします。すると、wBETHをBETHに戻す際の交換比率は1wBETH=1.05BETHになり、10wBETHを10.5BETHと交換できます。
つまり、報酬をトークンで毎日受け取るのではなく、wBETHをBETHに戻す際に受け取ります。
なお、Lido Financeが発行するstETHとwstETHも同じ仕組みです。stETHを保有するとstETHで報酬を受け取り、そしてwstETHはstETHとの交換比率によって報酬を得られます。
当記事執筆時点(2023年5月25日)で、仮想通貨wBETHはリキッドステーキングトークンのシェアで第6位に位置しています。
画像引用:DeFiLlama
現状、stETHの一強状態ではありますが、wBETHも一定のシェアを獲得しています。今後、DeFiでの運用が広がってシェアを拡大できるのか注目です。
ここでは、仮想通貨BETHとwBETHの主な使い道を解説します。
仮想通貨BETHは、主にBinance(バイナンス)のプラットフォーム内で利用できます。
仮想通貨BETHをBinanceで保有すると、イーサリアムのステーキング報酬が得られます。報酬を得るためには、以下のいずれかの場所でBETHを保有しなければいけません。
なお、報酬は現物口座に配布されます。
仮想通貨BETHは、Binanceの現物プラットフォームに上場しています。また、Binance以外にも、OKXやDEX(分散型取引所)で取引できます。
分散型取引所とはブロックチェーン上で仮想通貨を売買できる取引所であり、中央管理者は不要です。分散型取引所を意味する「Decentralized Exchange」の頭文字をとってDEXとも呼ばれます。
BETHは、BinanceのLiquidity Farmingでも利用できます。2023年5月現在、「BETH/ETH」と「BETH/USDT」のプールがあり、流動性を提供(流動性マイニング)すると報酬を得られます。
しかし、Liquidity Farmingに預けるとするとステーキング報酬を得られないので注意が必要です。
流動性マイニングとは、DEXなどに2種類の仮想通貨をペアで貸し出して流動性を提供することです。「イールドファーミング」とほぼ同義の言葉として使われます。流動性の提供と引き換えに独自仮想通貨を報酬として獲得できる一方、価格変動で損失を被ることもあります。
ローンチプールとは、特定の仮想通貨をBinanceに預けると新規上場トークンがもらえるサービスです。過去には、ローンチプールの預け入れ資産にBETHが採用されたことがあります。
BETHは、暗号資産ローンの担保として活用できます。なお、BETHを担保に預け入れても、イーサリアムのステーキング報酬は継続して獲得できます。
wBETHの主な使い道として、以下が挙げられます。
wBETHはBETHと異なり、Binanceから出金してDeFiで運用できます。Curve FinanceやPancakeSwapでwBETHの流動性プールがあり、ステーキング報酬をもらいながら運用できます。
当記事執筆時点(2023年5月25日)で、wBETHはイーサリアムとBNBチェーンに対応しています。他のネットワークにも対応予定であり、運用先が広がる見込みです。
Binance(バイナンス)でBETHをもらう方法、そしてBETHをwBETHにラップ(交換)する方法を紹介します。
以下の手順でETHをステーキングすると、BETHをもらえます。
画面の指示に従って手続きするとETHをステーキングでき、ステーキングが完了すると現物口座にBETHが入金されます。
BETHの保有数量は毎日計測され、数量に応じてステーキング報酬が配布されます。保有しているだけで収入を得られるので、簡単に運用できます。
BETHをwBETHにラップする方法は、以下の通りです。
ETHをステーキングしたのと同じページで、BETHをラップできます。また、BETHのラップは手数料無料です。
wBETHを発行したら、Binanceの外に移動してDeFiなどで運用できます。ステーキング報酬を得ながらDeFiの報酬ももらえるので、効率的な運用ができます。
2023年4月28日、PancakeSwapはBinance(バイナンス)のリキッドステーキングとの統合を発表しました。これにより、PancakeSwap上でwBETHを発行したり、流動性プールで運用したりできるようになりました。
PancakeSwapでETHをステーキングする手順は、以下の通りです。
リキッドステーキングのページにアクセスして、指示に沿って手続きします。また、PancakeSwapでもwBETHへのラップは手数料無料です。
ラップが完了すると、wBETHを保有しているだけでステーキング報酬を得られます。さらに、ファーミングで追加の報酬ももらえます。
wBETHのファーミング(イールドファーミング)は、以下の手順で行えます。
上記の手順でwBETHのファーミングができます。ただし、流動性を提供する前に、wBETHと同じ数量のETHを準備してください。
時間とともに報酬のCAKEトークンが配布されるので、好きなタイミングで出金しましょう。
リキッドステーキング市場はLidoの一強です。stETHの市場シェアは70%を超えており、今後も保有ユーザーの拡大が予想されます。
2023年5月25日現在、wBETHのシェア率は第6位です。今後、wBETHの運用方法が拡大することで、市場にどのような影響が出るのか注目です。
作成日
:2023.06.01
最終更新
:2024.01.01
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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