作成日
:2023.11.07
2023.11.07 16:50
2023年11月のポンド相場は、月初めの金融政策と景気動向に注目です!
円安とポンドの上値の重さによりポンド円はレンジまたは下落予想
11月のポンド円は、金利差や日本の貿易収支の悪化による円安と、スタグフレーションの可能性が高まっている英ポンドが綱引き状態で、レンジ相場になると予想しています。
景気が停滞している状態(スタグネーション)と、物価が持続的に上昇している状態(インフレーション)が、同時に進行している現象のことをスタグフレーションと呼びます。収入は増えないにも関わらず支出は増えるため、市民生活は厳しくなり通貨の価値も下がりやすい状態です。
金利差に関しては、10月末もしくは12月の日銀金融政策決定会合でYCC(イールドカーブ・コントロール)の修正や撤廃を行うなどして、金融正常化への第一歩を踏み出すとマーケットは予想しています。
ただ、マーケットではYCCの修正や撤廃がすでに織り込み済みであるため、実施されても市場の反応は限定的だと思われます。もし想定外となるマイナス金利の解除まで進んだ場合は、一気に円買いが進む可能性もあるでしょう。どちらにしても、欧米英をはじめとした主要中銀と日銀との金利差は大きく、円は売られやすい状況といえます。
中東情勢の悪化も円安要因の1つです。中東では、イスラエルとイスラム組織ハマスの対立から周辺国を巻き込み、第5次中東戦争に発展する可能性が高くなっています。
日本は中東からのエネルギー輸入に頼っているため、戦争により輸入が止まるなどしてさらに原油価格が上昇すると、輸入物価も上昇して貿易収支の悪化に繋がります。貿易収支の悪化に加え、原油という実需に基づく円安要因は長期トレンドとなりやすいので、じりじり円安になる予想です。
このようにポンド円はレンジ相場となる可能性が高いと考えていますが、日本政府や日銀による円買い介入にだけは注意しておきましょう。
ドル円が150円を超えると、ステルス介入のような動きや、円安・介入に関する発言が多く出る可能性があります。円買い介入が実施された場合、ポンド円が一気に下落する可能性も高いので要注意です。
中東情勢などリスク要因と日本政府による介入には要注意!
10月末時点におけるポンド円の日足チャートです。10月のポンド円は、レンジ相場を形成しています。
画像引用:Tradingview
画像引用:Tradingview
ポンドの上値は重く、ポンドドルは下落!
11月のポンドドル相場は、スタグフレーションの可能性が高い英国の弱いポンドと、米国の底堅い経済による米ドル人気により、ポンドドルは下落トレンドが続くと予想しています。
FRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレ抑制のためにハイペースで利上げを進めてきましたが、それでも米国経済は底堅いままです。米国の10月における製造業・サービス業・総合の各PMI(購買担当者景気指数)速報値は、好不況の分岐点である「50」を上回っており、景気拡大傾向にあります。対して欧州や英国は、50を大きく下回っています。
これだけ欧州・英国と米国の間で景況感に差があると、資金は米国に集中しやすくなるため米ドルが強くなると考えられます。
欧州や英国は物価高ながら、景気後退の懸念から利上げは終了せざるを得ない状況で、スタグフレーションの可能性が高くなっています。対する米国は景気の強い状況を保っており、物価の下落も見えてきたことからFRBは利上げを終了させようともしています。
また欧州や英国では景気後退が進んだ状態で物価が下落しているので、今後早期に利下げすると予想されます。一方で米国は緩やかな物価低下と底堅い経済により長期的に金利を維持すると考えられます。金利の見通しにおいても米ドルは強く、弱いポンドと強い米ドルの組み合わせで、ポンドドルは下落トレンドが続く予想です。
米国経済は強いものの、つなぎ予算には注意しておきましょう。9月末に決議された米国新年度予算案は、あくまで短期のつなぎ予算となっており11月中旬に期限を迎えます。それまでに次の予算案を通過させないと、11月後半には予算切れによる政府機関の閉鎖が懸念され、米国経済にも大きな影響が出る可能性があります。
強い経済を主な要因としている米ドル人気なので、米国経済に不安が出てくると、リスク分散のため米国から資金が分散すると考えられるのです。11月前半は米議会、特に下院議会で予算案が無事に通過するか要注目です。
米議会で予算案が通過するか、予算切れによる経済への影響に注目!
10月末時点における、ポンドドルの日足チャートです。ポンドドルは、下落トレンドに転換したように見えます。
画像引用:Tradingview
画像引用:Tradingview
11月は、英国においてスタグフレーションが発生する可能性があることから弱いポンドが予想されます。
11月2日のBOEによる金融政策発表でサプライズがなければ金利は据え置きとなり、利上げは終了となる可能性が高くなるでしょう。(10月末の執筆時点)
前回の英中銀では、据え置き5票と利上げ4票で辛うじて据え置きとなる結果でしたが、内容を見るとベイリーBOE総裁を含め、多くの英中銀メンバーは据え置きを支持していました。
英中銀の金融政策は、総裁・副総裁3名・英中銀主席エコノミスト・外部理事4名の計9名による多数決で決定します。意見が分かれた場合は、総裁を含め英中銀メンバーの投票が多い方向に進んでいくことが多いです。
そのため、前回は僅差での据え置きという結果でしたが、多くの英中銀メンバーが据え置きを支持していたこともあり、利上げ終了が近いとマーケットでは受け止められていました。9月のCPI(消費者物価指数)は前年比6.7%と前月から横ばいとなるも、英中銀が8月に予想した6.9%は下回っていることから、英中銀の利上げ終了姿勢は変わらない予想です。
英国経済は、未だ前年比6.7%という高いインフレが続いていることや、ハイペースの利上げから景況感が低下しています。
10月のサービス業PMI(購買担当者景気指数)は49.2で今年の最低水準と、3カ月連続で50を下回っている状況です。製造業PMIは45.2と3カ月ぶりの高水準になるも、やはり50を下回っており、依然として生産が縮小している状態です。
したがって、英国ではスタグフレーションの可能性が懸念されています。11月の英中銀金融政策発表では、四半期インフレーションレポートも同時に発表されて景気見通しが公表されます。市場の予想通りであれば今後もマイナス成長が続く可能性が高く、そうなれば来年にも利下げを実施するでしょう。
英国の弱い経済・景況感から、ポンド売りのトレンドは継続すると予想しています。
作成日
:2023.11.07
最終更新
:2023.11.07
英ポンドを中心にトレードを行う大学生トレーダーで、2021年の合計利益は4,000万円にのぼる。公式Twitterでもテクニカル分析等の情報発信を行い、フォロワー数は5,000人以上。ファンダメンタル分析とテクニカル分析を組み合わせた手法を用い、Myforexでは月初にポンド通貨ペアの戦略を連載している。
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