作成日
:2023.08.04
2023.08.04 18:05
アバランチ(Avalanche)は、独自のアルゴリズムで高速かつ安価な取引を実現しているブロックチェーンプラットフォームです。AVAXは、アバランチで利用されるネイティブトークンを指します。
アバランチでは、保有しているAVAXを預け入れて報酬を得るステーキングの利用が可能です。この記事では、AVAXをステーキングする方法や利率、ステーキングの種類、リスクなどを解説します。
画像引用:Avalanche
アバランチ(AVAX)は、高速・低コスト・高セキュリティが特徴のブロックチェーンプラットフォームです。DApps(分散型アプリケーション)の構築や、サブネット(Subnet)と呼ばれる独自ブロックチェーン作成のプラットフォームとして活用されています。
分散型アプリケーション(DApps)とは、管理者不在で自律的に行動を行う非中央集権のアプリケーションのことをいいます。「Decentralized Applications」の略称で、Dappsと呼ばれることもあります。ブロックチェーンを利用したサービスなどを提供するアプリケーションの総称であり、中央管理ではなく分散管理であるためサーバーダウンによるサービス停止の心配も少ないといった特徴を持ちます。
アバランチは、C-Chain・P-Chain・X-Chainという役割の異なる3種類のチェーンで構成されています。
C-Chainは「Contract」を意味し、DAppsやDeFiの構築に利用されるチェーンです。EVM(イーサリアム仮想マシン)が実装され、イーサリアムと互換性があります。
P-Chainは「Pratform」を意味しており、サブネットの作成やステーキングを担うチェーンです。
X-Chainは「Exchange」を意味し、資産の送受信に使用されます。
EVMはEthereum Virtual Machineの略称で、日本語ではイーサリアム仮想マシンと訳すことができます。イーサリアムがDAppプラットフォームであるために必要な技術であり、この技術を使ってスマートコントラクトの実行や管理が可能になります。
アバランチは、独自のコンセンサスアルゴリズムである「アバランチコンセンサス」により、ノード間で迅速な合意形成を実現しています。
アバランチコンセンサスは、古くからコンピュータ科学に存在する「クラシカルコンセンサス」と、ビットコインにおける「ナカモトコンセンサス」を組み合わせた、ハイブリッド型のコンセンサスアルゴリズムです。
コンセンサスアルゴリズムはブロックを生成するためのルールで、管理者がいないブロックチェーンから不正を排除しながら、システム全体を稼働させる役割を担っています。コンセンサスアルゴリズムには、PoWやPoSなどの種類が存在し、それぞれに長所や短所があります。
また、アバランチではPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の仕組みも採用しています。
誰でもコンピューターを用意すれば、一定以上のトークンを預け入れてバリデーターとなり、ネットワークに参加できます。その見返りとして、預け入れたトークンの数量に応じて、ネットワーク貢献の報酬(ステーキング報酬)を受け取ることが可能です。
PoS(Proof of Stake)とは、ブロックチェーンの合意形成を行うコンセンサスアルゴリズムの一つです。ビットコインのPoW(Proof of Work)とは異なり、計算能力ではなくトークンをステークすることで、ブロックの生成や承認を行う権利を獲得します。PoSは、PoWに比べて、より効率的で環境にやさしいコンセンサスアルゴリズムとして広く採用されています。
AVAXでステーキング報酬を得るには、主に以下の方法があります。
バリデーターとしてAVAXを預け入れて検証作業に参加すれば、ステーキング報酬を獲得できます。
アバランチのバリデーターになるためには、2,000 AVAX(2023年8月4日時点で約360万円)以上の預け入れが必要です。加えて、コンピューターを用意して、80%以上の稼働率を維持する必要があるため、上級者向けの方法だといえるでしょう。
一般的な意味でのバリデーターとは、仮想通貨ブロックチェーンのブロック生成やトランザクション(取引)データの内容が正しいのかを検証し承認するノード(端末)のことです。
主にコンセンサスアルゴリズムにPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用する仮想通貨で用いられており、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)でマイニングを行うマイナーと同様の役割を担っています。
バリデーターになるのが難しい場合、現在活動しているバリデーターにAVAXを預け、ステーキングを委任(デリゲート)できます。このステーキングを委任するユーザーは、デリゲーターと呼ばれます。
デリゲーターになるためには、25 AVAX(2023年8月4日時点で約45,000円)以上の預け入れが必要です。また、委任手数料として、ステーキング報酬の最低2.0%が徴収されます。
デリゲートの手続きは比較的簡単で、Avalanche Walleでウォレットを作成して委任するバリデーターを選び、数量や期間を設定すれば完了です。デリゲートできる期間は、2週間〜1年となっています。
なお、アバランチのステーキングではスラッシングがないため、ステーキングしたトークンが損失を被るリスクはありません。
スラッシングとは、バリデーターがルール違反や不正な行為を行った場合、そのバリデーターから預けられた仮想通貨が没収される仕組みです。スラッシングはバリデーターだけでなく、委任したデリゲーターも対象となります。
アバランチ(AVAX)のネットワークに直接ステーキングする以外に、取引所のステーキングサービスを利用する方法もあります。
ステーキングサービスは、海外取引所が充実しています。中でも、日本語対応しているBybit(バイビット)が使いやすいでしょう。
国内取引所では、SBI VCトレードがAVAXのステーキングサービスを提供しています。申し込みや手続きは必要なく、SBI VCトレードの口座にAVAXを預けておくだけで、毎月ステーキング報酬を獲得できます。
リキッドステーキングを利用して、さらなる高利回りを狙う方法もあります。
リキッドステーキングとはその名前のとおり「流動性のあるステーキング」です。通常のステーキングでは、預け入れた仮想通貨がロックされる一方、リキッドステーキングでは、それと等価のLSTの現金化や送金、運用などができます。
リキッドステーキングを利用すれば、AVAXの価格と連動するリキッドステーキングトークン(LST)が配布されます。
リキッドステーキングトークンは、市場で売却したり、他のDEX(分散型取引所)などで運用し、さらなる利回りを得ることも可能です。そのため、通常のステーキングよりも柔軟性の高い運用ができるでしょう。
AVAXのリキッドステーキングプロトコルの中でも、知名度が高いのはBENQI(ベンキー)です。BENQIでAVAXをステーキングすると、sAVAXというトークンが配布されます。
当記事執筆時点(2023年8月4日)での、取引所やリキッドステーキング、バリデート・デリゲートの利率は以下のとおりです。
ステーキング方法 | 利率 |
---|---|
Bybit | 1.80% |
Binance |
・フレキシブル:0.43%
・固定:5.40%〜8.00%
|
SBI VCトレード | 5.3%(*1) |
BENQI | 〜6.02% |
バリデーター | 7.96% |
デリゲーター | 〜7.8008% |
(*1)2023年6月の実績
利用するサービスによって利率は大きく異なることがわかります。アバランチ(AVAX)のネットワークに直接預け入れるバリデーター、デリゲーターの利率は当然高くなっています。
また、国内取引所のSBI VCトレードでは、リキッドステーキングとそれほど変わらない利率を提供しています。海外取引所やリキッドステーキングと比べて、国内取引所は利用までのハードルが低いため、手軽に運用したい方には魅力的でしょう。
AVAXをステーキングする際には、以下のリスクに注意が必要です。
ロック期間が設定されているステーキングを利用する場合、その間は預け入れた仮想通貨(暗号資産)を引き出せません。当記事執筆時点(2023年8月4日)のロック期間は下記のとおりです。
ステーキング方法 | ロック期間 |
---|---|
Binance(固定) | 30日、60日、90日、120日 |
BENQI | 15日間(*1) |
バリデーター
デリゲーター
|
最短2週間、最長1年の間で設定 |
(*1)ロック期間終了から2日以内に引き出さない場合は、再度ステーキングされる
値動きが激しい仮想通貨において、このロック期間はリスクとなり得ます。
なお、Bybit(バイビット)やSBI VCトレード、Binance(バイナンス)のフレキシブルセービングは、いつでも引き出せるため、トークンがロックされるリスクはありません。
中央集権取引所でステーキングする場合、カウンターパーティーリスクがあることを理解しなければいけません。
取引相手(カウンターパーティー)の債務不履行や詐欺などにより、預けた資金や仮想通貨を失うリスクを指します。2022年11月のFTXの経営破綻以降、中央集権型取引所などのカウンターパーティーリスクへの警戒が高まっています。
もし、Bybitなどの中央集権取引所でAVAXをステーキングした場合、取引所に何かしらの問題が生じると、ユーザーが損失を被る可能性があります。
リキッドステーキングトークンは、基本的にネイティブトークンの価格に紐づく設計です。しかし、短期間に大きな売り圧が発生した場合には、現物の仮想通貨との価格乖離を引き起こす可能性があります。
リキッドステーキングトークンが大きく下落しているときに売却すると、そのままネイティブトークンを保有していた場合と比べて損失が発生します。
しかし、ステーキング終了時までリキッドステーキングトークンを保有すれば、損することなく預け入れた仮想通貨を取り戻すことは可能です。そのため、そこまで気にすることのないリスクなのかもしれません。
ここからは、個人でも手軽にAVAXをステーキングできる、取引所のステーキングサービスの利用方法を解説します。
以下のリンクをクリックし、Bybitの公式ページにアクセスします。
「ファイナンス」の中の「資産運用」にカーソルを合わせ、表示される「Bybitステーキング」をクリックします。
Bybitステーキング画面を下にスクロールして、「積立」をクリックします。
Bybitステーキングで提供されている銘柄の中から、AVAXの「ステーキングする」ボタンをクリックします。
「金額」欄にステーキングしたい金額を入力し、サービス規約に同意(チェック)の上、「ステーキングする」を押せば購入が完了します。あとは毎日、報酬が口座に振り込まれるのを待ちます。
ステーキングに参加するには、資金調達アカウント内に資金が必要です。現物アカウントやデリバティブアカウントから振替で入金できます。
SBI VCトレードでAVAXをステーキングする場合、特別な申し込みや手続きは不要です。口座内にAVAXを保有しておくだけで、毎月ステーキング報酬を受け取れます。
預け入れ期間は無期限で、いつでも売却や出金も可能です。
アバランチ(AVAX)をステーキングすると、安定して利回りを獲得できます。AVAXを長期的に保有したい方は、ステーキングを活用することで、効率的な資産運用ができます。
ただし、ステーキングといってもバリデータになることや、取引所のサービス、リキッドステーキングなど複数の種類があります。得られる利回りやリスクなどを考えた上で、自分に合ったステーキングをしてみてはいかがでしょうか。
作成日
:2023.08.04
最終更新
:2023.08.04
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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