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​​仮想通貨でよく聞くEVMとは?その仕組みやEVM対応のメリットを解説

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update 2023.03.16 15:30
​​仮想通貨でよく聞くEVMとは?その仕組みやEVM対応のメリットを解説

update 2023.03.16 15:30

仮想通貨(暗号資産)市場では、DApp(分散型アプリ)の開発が活発になっています。その流れに沿って、イーサリアム(ETH)を中心に、様々なブロックチェーンプラットフォームが台頭してきています。

そして、イーサリアムにはEVMが搭載されており、仮想通貨市場で標準的な技術になりつつあります。対応するブロックチェーンも多数登場しています。では、EVMとはどのような存在でしょうか。

当記事では、EVMの概要や仕組み、対応するメリット、将来性などを解説していきます。

EVMとは

EVMはEthereum Virtual Machineの略称で、日本語ではイーサリアム仮想マシンと訳すことができます。イーサリアムがDAppプラットフォームであるために必要な技術であり、この技術を使ってスマートコントラクトの実行や管理が可能になります。

knowledge DAppとスマートコントラクト

DAppはスマートコントラクトを基礎に構築されます。スマートコントラクトは契約を自動履行するプログラムであり、プログラミング言語で記述されます。DAppはスマートコントラクトを駆使することで、ブロックチェーン上の様々なトランザクションを可能にします。

ブロックチェーン単体ではスマートコントラクトを実行できず、EVMやそれに準ずる技術が必要となります。EVMは、イーサリアムやイーサリアムと互換性があるブロックチェーンで利用されています。

EVMの仕組み

EVMは、スマートコントラクトを作動させるための計算を行います。スマートコントラクトはプログラミング言語で記述されており、それを実行するために、通常のコンピュータと同じように読み込んで処理します。

通常のコンピュータであれば、このようなタスクはCPUやメモリ、ストレージなどからなるハードウェアを駆使して処理されますが、ブロックチェーンでは仮想化されたリソース、いわゆる「仮想マシン」が実行します。

仮想マシンとは

仮想マシンの「仮想」とは、コンピュータのハードウェアの制限にとらわれずに、柔軟にリソースを活用するための技術です。リソースを自由に分割したり統合したりできるので、用途に応じてコンピュータの機能を効率的に利用できます。

仮想マシンの説明画像

上のイメージ図で、通常のコンピュータにおいてCPUに余力があってメモリがひっ迫している場合、メモリの制約によりコンピュータ全体の能力が制限されてしまいます。仮想マシンならば用途を自由に変更できますので、メモリの割合を大きくしてCPUへの割り当てを小さくできます。すると、コンピュータ全体の能力を効率的に使うことができます。

身近なものだと、MacのコンピュータにWindowやLinuxなどのOSをインストールして利用する仮想化ソフトなどが存在します。この仮想化ソフトにより、他のOSの多様なアプリを利用できます。

ブロックチェーン自体を仮想化されたネットワークと捉えることもできるので複雑ですが、EVMはブロックチェーンを基礎として構築された仮想マシンだといえます。

スマートコントラクトの翻訳と実行

イーサリアムのスマートコントラクトは、Solidityというプログラミング言語で記述されています。

プログラミング言語は人間の言語に近い形で設計されており、直感的に理解しやすくなっています。その一方、コンピュータはプログラム言語を直接読むことができません。このため、スマートコントラクトを実行するには、コンピュータが認識できる形に翻訳する必要があります。

EVMは、スマートコントラクトをコンピュータが認識できるコードに翻訳して実行します。

イーサリアム以外にも採用されるEVM

EVMを利用せずにスマートコントラクトを実行する手段はありますが、数多くのレイヤー1ブロックチェーンがEVMを採用しています。具体的には、以下のようなブロックチェーンが該当します。

knowledge レイヤー1のブロックチェーン

ブロックチェーンは階層型の構造になっています。その中で基盤となるブロックチェーンをレイヤー1と呼びます。レイヤー1のブロックチェーンは、基本的なトランザクション処理やスマートコントラクトなどのインフラ的な機能を提供します。

アバランチ(AVAX)

アバランチは、最大TPS(1秒間あたりのトランザクション数)が4,500件を超えるブロックチェーンです。EVMに対応しており、エコシステムが拡大しています。

BNBチェーン(BNB)

BNBチェーンは、大手取引所Binanceが開発する独自ブロックチェーンです。その時価総額は、ビットコイン、イーサリアム、USDTに次ぐ規模です。

ソラナ(SOL)

ソラナは2022年にEVMが実装され、飛躍が期待されています。Stepnなど人気ゲームでも採用されています。

ファントム(FTM)

ファントムは、分散化・セキュリティ・スケーラビリティを同時に実現させるプロジェクトです。200以上のDAppが稼働しています。

カルダノ(ADA)

カルダノは、イーサリアム共同創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏によって立ち上げられたブロックチェーンです。2022年3月にEVMが実装されました。

EVMに対応するメリット

EVMは重要な技術であり、イーサリアム・キラーでさえ採用しています。

point イーサリアム・キラーとは

イーサリアム・キラーとは、DAppプラットフォームとしてイーサリアムの座を狙うブロックチェーンを指します。スマートコントラクトだけでなく、より効率的なコンセンサスアルゴリズムを採用して、高速取引や安い手数料を実現しています。すなわち、イーサリアムが抱えている課題をある程度克服しているのが特徴です。

他のブロックチェーンがEVMに対応すると、どのようなメリットがあるでしょうか。具体的には次のようなものが考えられます。

仮想通貨取引が容易になる

EVMを採用すると、クロスチェーンブリッジなどを用いて、イーサリアムだけでなくEVMを採用する他のブロックチェーンと仮想通貨を取引できます。

point クロスチェーンブリッジとは

クロスチェーンブリッジとは、複数のブロックチェーンをつないで規格の異なる仮想通貨を相互に利用可能にする技術です。この技術が普及すれば、ブロックチェーンを跨いで仮想通貨をやり取りできます。ブロックチェーンが乱立している現在、クロスチェーンブリッジは重要な存在です。

DAppの移植が可能

仮想通貨市場では、DAppを複数のブロックチェーンに展開することが一般的です。例えば、Move to EarnのSTEPNはソラナで開発され、イーサリアムとBNBチェーンに移植されています。また、DEX(分散型取引所)のUniSwapは、複数の開発チームによって他のブロックチェーンに移植されています。

point Move to Earnとは

Move to Earnは「運動して稼ぐ」をコンセプトにしたブロックチェーンゲームです。歩いたり走ったりすると仮想通貨を得られます。STEPNの流行もあり、多数のMove to Earnゲームがリリースされています。

このように、EVMに対応すればDAppの移植が比較的容易となり、エコシステムの拡大につながります。

業界標準の技術を利用できる

多様なブロックチェーンが台頭していますが、イーサリアムがDAppプラットフォームとして中心的な存在です。コミュニティの規模もイーサリアムが最大となっており、技術者も多いです。従って、イーサリアムが採用するSolidityによって記述されるスマートコントラクトやEVMが、業界の標準となっています。

各ブロックチェーンで開発環境は異なりますが、EVMを採用するブロックチェーンであれば、開発者はEVMに慣れている者が多く、EVMの採用は開発活動にもプラスになるといえるでしょう。

EVMの将来性

当記事執筆時点(2022年10月末)で、イーサリアムのTVL(ブロックチェーンに預け入れられた仮想通貨の合計額)は、仮想通貨市場全体の6割に迫っています。EVMを採用するブロックチェーンを含めると、仮想通貨市場をほぼ独占しています。

EVMに対応することは、イーサリアムのエコシステムに参加することとほぼ同義です。イーサリアムが市場を支配している限り、各ブロックチェーンがEVMに対応することは当たり前の判断だといえるかもしれません。

DeFi(分散型金融)やゲーム、メタバース、NFTなどで、イーサリアムは継続的な成長が見込まれています。この流れに沿って、イーサリアム主導のエコシステムも拡大していくと予想されています。

イーサリアム2.0後のEVM

2022年9月、イーサリアムの新しいブロックチェーンとして、イーサリアム2.0への移行が正式に完了しました。

point イーサリアム2.0とは

イーサリアムの新しいブロックチェーンでは、コンセンサスアルゴリズム(ブロック生成のルール)としてPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用しています。開発活動の継続により、スケーラビリティ問題を改善する高性能なブロックチェーンとなることが期待されています。

これに伴って、EVMも新しい形態のeWASMに変更される見込みです。eWASMはEVMと同じような存在ですが、Solidity以外のプログラミング言語が使用可能となるなど、高性能な仮想マシンになります。

これが主流になると、イーサリアムのエコシステムは、より強固なものになると考えられます。

投資判断の目安に

EVMは実装するメリットが多く、標準的な技術となりつつあります。EVM対応のブロックチェーンであれば、少なくともイーサリアムのエコシステムとの互換性は確保できているので、将来性はあると判断できるかもしれません。

一方、EVM以外の仮想マシンを採用するブロックチェーンもありますが、決してそれらが劣っているわけではありません。EVMに対応しているかどうかは、あくまでも目安でしかないので、参考情報として確認するのが良いでしょう。


Date

作成日

2022.11.01

Update

最終更新

2023.03.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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