作成日
:2023.06.30
2024.03.09 16:53
2023年5月1日、SBI VCトレードが国内取引所として初めて、イーサリアム(ETH)のステーキングに対応しました。
イーサリアムをステーキングすると、保有するイーサリアムを預けるだけで利回りを得られます。保有しているだけよりも効率的に資産を増やせる可能性があり、注目されています。
当記事では、イーサリアムの運用サービスを提供する国内取引所や、国内サービスを紹介します。(*1)
(*1) 本記事の情報は、2023年7月6日時点のものです。
画像引用:PRTIMES
2023年5月1日より、SBI VCトレードが国内取引所で初めてイーサリアム(ETH)のステーキングに対応しました。
預けたETHが引き出し可能となったことなどで、イーサリアムのステーキングは昨今注目を浴びています。しかし、ステーキングするには海外取引所や、「Lido」などのDeFi(分散型金融)の利用が必要であり、国内のユーザーにとってはやや敷居が高いものでした。
こうした中、国内取引所がイーサリアムのステーキングに対応したことで、参加のハードルが大きく下がりました。まだサービスは始まったばかりですが、国内ユーザーにステーキングが注目されるきっかけになるかもしれません。
手軽に使える点は中央集権型サービスの魅力の1つです。しかしこの手軽さは、サービス運営者が誠実であると信用し、運用や保管を委ねることで成立しています。
第三者任せとなることを嫌い、メタマスク等を使った保管・運用を行う人もいます。ただし、自分自身で適切に管理するには学習や運用の手間がかかるため、中央集権型サービスにも十分に存在意義はあると言えます。
多くの国内取引所はステーキング以外にも、貸暗号資産(レンディング)という運用サービスを提供しています。ここでは、資産運用と似た要素も持つ「つみたて」も併せて紹介します。
ステーキングとは、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)のブロックチェーンに仮想通貨(暗号資産)を預け入れ、取引承認システムに貢献して報酬を得ることです。ステーキングすることで、新たなトランザクションの検証・ブロック生成に参加することができ、ネットワークから報酬を得られます。
PoSを採用するブロックチェーンは複数存在しており、イーサリアムもこれにあたります。
PoSはブロック生成ルールの1つです。ビットコイン(BTC)などが採用するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)と比較して、電力消費が少ない点や拡張性が高い点などで注目されています。
通常、イーサリアムのステーキングに参加するには、最低32ETHが必要です。
32ETHを用意するのは一般ユーザーにとって簡単ではありません。しかし、ステーキングプールや取引所が提供するステーキングサービスを利用すれば、個人も簡単にステーキングに参加できます。
ステーキングプールとは、多数のユーザーが資金を集約して共同でステーキングすることを指します。ステーキングプールを活用することで、ユーザーは少額からでもステーキングに参加できるようになります。
貸暗号資産(レンディング)は、仮想通貨を他のユーザーやプラットフォームに貸し出すことで利息を得る方法です。一般的には「貸暗号資産」や「レンディング」と呼ばれていますが、「貸コイン」「貸して増やす」などと呼ばれることもあります。
レンディングは一般的な預金と同じ原理に基づく運用方法です。つまり、貸し出した仮想通貨に対して定期的に利息が支払われる仕組みになっています。なお、国内取引所のレンディングの場合、貸出利率を事前に選択することが多く、貸出期間中に利率が変動することはほとんどありません。
ステーキングに比べてサービス提供している国内取引所が多く、イーサリアム以外にもさまざまな銘柄に対応しています。申込期間が限定的であるケースが多いものの、売却予定のない仮想通貨を保有している場合、レンディングサービスを使うことでも資産を増やせるでしょう。
つみたては、定期的に一定額の仮想通貨を購入し続ける方法です。この購入方法は「ドルコスト平均法」とも呼ばれ、長期的に値上がりが期待される商品の投資において有効だとされています。
つみたての特徴は、購入時期をずらすことにより、リスクを分散できる点です。例えばイーサリアムを毎月1万円購入する場合、価格が高いときには少ない量を、価格が低いときには多い量を買い付けることになります。
つみたても中長期的な運用に向いた方法ですが、ステーキングやレンディングのように利息を生み出しません。得られるリターンは仮想通貨の価格が上昇したときの値上がり益のみなので、この点で資産運用とは異なっています。
当記事執筆時点において、イーサリアム(ETH)のステーキング・レンディングに対応している日本国内の取引所を紹介します。
画像引用:SBI VCトレード
SBI VCトレードは、イーサリアムのステーキング、レンディングの両方に対応しています。
SBI VCトレードは、国内取引所で初めてイーサリアムのステーキングに対応しました。特徴は大きく以下の4つがあります。
SBI VCトレードのステーキングは、同取引所内でイーサリアムを保有する全ユーザーが利用できます。レンディングのように事前申し込みは不要なので、手軽に利用できるでしょう。ただし、獲得したステーキング報酬の25%が手数料として徴収されます。
ステーキング対象銘柄と年利は、以下の通りです。
通貨名 | 年利(手数料徴収後)(*1) |
---|---|
イーサリアム(ETH) | 2.5% |
ポルカドット(DOT) | 13.48% |
カルダノ(ADA) | 2.3% |
テゾス(XTZ) | 3.6% |
ソラナ(SOL) | 4.7% |
アバランチ(AVAX) | 4.8% |
(*1)2023年5月分の実績値
年利は各仮想通貨のネットワークに依存するため、毎月異なります。報酬は毎日受け取れるわけではなく、翌月15日までにまとめて支払われる点には注意が必要です。
SBI VCトレードでは「貸コイン」という名称でレンディングサービスを提供しています。イーサリアムをはじめとした20銘柄に対応しており、ゲーム特化型ブロックチェーンOasys(OAS)なども取り扱っています。
利用を検討する上で、以下のような注意点は知っておきましょう。
他の取引所にも基本的に当てはまることですが、レンディングでは途中解約ができません。いつでも売却・出金できることが多いステーキングと異なり、一度運用を開始すると、貸出期間が終了するまで資金を動かすことは不可能です。
レンディングを利用する際は、しばらく引き出す予定がない資金で利用することをおすすめします。
主要銘柄と年利は、以下の通りです。過去にはイーサリアムの貸コインを募集した実績もあります。
通貨名 | 年利(貸出期間) |
---|---|
ビットコイン(BTC) | 0.1%(28日間)(*1) |
イーサリアム(ETH) | 3.0%(28日間)(*2) |
リップル(XRP) | 0.1%(28日間)(*1) |
(*1)2023年6月募集時の情報
(*2)2023年4月募集時の情報
時期によって対象銘柄や年利が異なるため、定期的に情報をチェックしましょう。新規銘柄の追加時などには、キャンペーンとして高い年利で募集される場合もあります。
画像引用:BITPOINT
BITPOINT(ビットポイント)は現在、カルダノ(ADA)のステーキングに対応しています。加えて、2023年7月25日からイーサリアムのステーキングにも対応予定です。
イーサリアムのステーキングはまだ始まっていませんが、現在すでに取り扱いがあるカルダノ(ADA)のステーキングには、以下のような特徴があります。
上記の通り、手数料部分がSBI VCトレードとは異なります。SBI VCトレードではステーキング報酬の25%が手数料として徴収されますが、BITPOINTでは無料です。
ただし、公式サイトには「当面」無料と書かれているため、今後手数料が発生する可能性はあります。
通貨名 | 年利 |
---|---|
イーサリアム(ETH) | 2.0〜5.0%(見込み) |
カルダノ(ADA) | 〜5.3% |
なお公式発表によると、イーサリアムのステーキング報酬を受け取るためには申し込みが必要と記載されています。
BITPOINTでは「貸して増やす」という名称で、レンディングサービスが提供されています。イーサリアムをはじめ、合計18銘柄に対応しており、ディープコイン(DEP)や、ゼノ(GEX)などWeb3.0ゲーム関連銘柄も取り扱いしている点は注目です。
利用時の注意点としては他の取引所と同じように、以下のような点があります。
主要銘柄の過去の募集条件は以下の通りです。
通貨名 | 年利(貸出期間) |
---|---|
ビットコイン(BTC) | 1.0%(45日間)(*1) |
イーサリアム(ETH) | 5.0%(30日間)(*2) |
リップル(XRP) | 1.0%(45日間)(*1) |
(*1)2022年9月募集時の情報
(*2)2023年5月募集時の情報
BITPOINTでは、新規取り扱い銘柄や新規サービス開始にあわせたキャンペーンとして、年利100%などの好条件で「貸して増やす」の募集を行う場合もあります。
画像引用:Coincheck
Coincheck(コインチェック)では、「貸暗号資産」という名称でレンディングサービスが提供されています。なお、ステーキングはサービス自体の提供がありません。
イーサリアムを含めた24種類もの銘柄に対応しています。サンドボックス(SAND)やステーブルコインのDAIなど、他の取引所には見られない銘柄を取り扱っている点は注目です。
Coincheckの貸暗号資産の年利は銘柄に関わらず、貸出期間に応じて下記のとおり定められてます。
貸出期間 | 年利 |
---|---|
14日間 | 1.0% |
30日間 | 2.0% |
90日間 | 3.0% |
180日間 | 4.0% |
365日間 | 5.0% |
ただし、銘柄ごと、貸出期間ごとに上限の金額が決まっているため、タイミングによって申し込める銘柄・貸出期間が異なる点には注意が必要です。年利の高い長期の貸出は人気が高いため、短期間の方が比較的枠が空きやすい傾向があります。
画像引用:GMOコイン
GMOコインは、「貸暗号資産」という名称でイーサリアムのレンディングサービスを提供しています。また、イーサリアムの取り扱いはありませんが、以下の銘柄でステーキングに対応しています。
GMOコインの特徴は、「貸暗号資産ベーシック」「貸暗号資産プレミアム」という2つのレンディングサービスを提供している点です。他の取引所のサービスと比較した際、より独自色があるのは「貸暗号資産プレミアム」です。具体的には以下のような特徴があります。
プレミアムの場合、年率や貸出期間についてはユーザー側にメリットがあります。しかし、メリットを享受するには事前の証拠金の預け入れが必要となる、最低預入額が大きいなど、ユーザー側のリスクが増加する点には注意しましょう。
主要銘柄の直近のベーシック、プレミアムそれぞれの募集条件は以下の通りです。
通貨名 | 年利(貸出期間) |
---|---|
ビットコイン(BTC) |
ベーシック:3.0%(3か月間)(*1)
プレミアム:25.0%(21日間)(*2)
|
イーサリアム(ETH) |
ベーシック:3.0%(3か月間)
プレミアム:25.0%(14日間)(*3)
|
リップル(XRP) |
ベーシック:-%
プレミアム:23.0%(23日間)(*4)
|
年利(貸出期間)
ビットコイン(BTC) |
ベーシック:3.0%(3か月間)(*1)
プレミアム:25.0%(21日間)(*2)
|
---|---|
イーサリアム(ETH) |
ベーシック:3.0%(3か月間)
プレミアム:25.0%(14日間)(*3)
|
リップル(XRP) |
ベーシック:-%
プレミアム:23.0%(23日間)(*4)
|
(*1)2022年5月募集時の情報
(*2)2023年3月募集時の情報
(*3)2023年1月募集時の情報
(*4)2023年5月募集時の情報
画像引用:bitbank
bitbank(ビットバンク)は、「暗号資産を貸して増やす」の名称でレンディングサービスを提供しています。ステーキングサービスの取り扱いはありません。
bitbankは国内最大級の取扱銘柄数を誇る取引所です。レンディングについても、イーサリアムを含めた30種類の銘柄に対応しています。また、bitbankのレンディングサービスは、貸出数量によって年利が変わる点が特徴です。
銘柄によっては少額からレンディングを利用できますが、貸出期間が「1年間」で統一されている点は注意が必要です。一度貸し出した資金は満了日を迎えるまで引き出せないため、あくまで余裕資金で投資を行うことをおすすめします。
2023年7月の主要通貨の募集条件は下記の通りです。
通貨名 | 年利(貸出数量) |
---|---|
ビットコイン(BTC) | 1.0%(0.01 BTC 以上 50 BTC以下) |
イーサリアム(ETH) |
1.0%(0.01 ETH 以上 30 ETH未満)
2.0%(30 ETH 以上 375 ETH以下)
|
リップル(XRP) | 1.0%(1,000 XRP 以上 1,875,000 XRP以下) |
年利(貸出数量)
ビットコイン(BTC) | 1.0%(0.01 BTC 以上 50 BTC以下) |
---|---|
イーサリアム(ETH) |
1.0%(0.01 ETH 以上 30 ETH未満)
2.0%(30 ETH 以上 375 ETH以下)
|
リップル(XRP) | 1.0%(1,000 XRP 以上 1,875,000 XRP以下) |
画像引用:BitTrade
BitTrade(ビットトレード)は、「貸暗号資産」の名称でレンディングサービスを提供しています。スマホアプリで簡単に利用できるため便利ですが、仮想通貨の種類によって貸出利率・期間が異なる点には注意が必要です。
また、常時預けられる銘柄が少なく、当記事執筆時点ではイーサリアムなどの主要銘柄への対応を確認できませんでした。メジャーな仮想通貨でレンディングを使用したい方には、使いにくい可能性があります。
通貨名 | 年利 |
---|---|
ビットコイン(BTC) | -% |
イーサリアム(ETH) | -% |
リップル(XRP) | -% |
イーサリアム(ETH)のレンディングができるのは、仮想通貨(暗号資産)取引所だけではありません。以下のような国内サービスを利用して、イーサリアムのレンディングを行うことができます。
画像引用:HashHub Lending
HashHub Lending(ハッシュハブレンディング)は、株式会社HashHubが運営する仮想通貨レンディングサービスです。
HashHub Lendingでは、顧客から預かった資金をDeFi(分散型金融)で運用したり、アービトラージ(裁定取引)を活用したりして、利回りを発生させています。
DeFi(ディーファイ)とは、銀行や仮想通貨(暗号資産)取引所などの金融サービスの分野でブロックチェーンを活用した、分散型金融と呼ばれる金融エコシステムです。分散型金融を意味する英語の「Decentralized Finance」の頭文字を取ってこのように呼ばれます。
また、取引所のレンディングサービスとの違いとして、「複利運用が可能」という点があります。一般的に取引所が提供するレンディングは、元金にのみ利息がつくことが多いです。
このため、単利運用を採用している他のレンディングサービスに比べると、より効率的に資産を増やすことができます。
2023年7月現在の対象銘柄と年利は下記の通りです。
通貨名 | 年利(貸出期間) |
---|---|
ビットコイン(BTC) | 1.5%(無期限) |
イーサリアム(ETH) | 3.0%(無期限) |
ダイ(DAI) | 3.5%(無期限) |
USDコイン(USDC) | 3.5%(無期限) |
画像引用:BitLending
BitLending(ビットレンディング)は、株式会社J-CAMが運営する仮想通貨レンディングサービスです。
BitLendingに預ける場合、年平均約10%のリターンが見込めます。一般的に、仮想通貨取引所が扱うレンディングサービスのリターンは年率1〜3%程度ですので、BitLendingの利率は高いと言えます。
BitLendingは、高い利率を実現できる要因として以下の点を挙げています。
通貨名 | 年利(貸出期間)(*1) |
---|---|
ビットコイン(BTC) | 8.0%(1ヶ月~) |
イーサリアム(ETH) | 8.0%(1ヶ月~) |
テザー(USDT) | 10.0%(1ヶ月~) |
USDコイン(USDC) | 10.0%(1ヶ月~) |
ダイ(DAI) | 10.0%(1ヶ月~) |
(*1)利率は公式ページで確認できた数値です。貸出期間によって変化する可能性があります。
リスクとリターンは基本的に表裏一体の関係にあります。リターンが高い場合は、リスクも高い可能性があると想定しておく必要があります。
例えば、急成長を遂げた取引所「FTX」は顧客資産を払い出せない状況に陥りましたが、裏でハイリスクな経営を行っていたことが指摘されています。
国内取引所やレンディングサービスで、仮想通貨(暗号資産)のステーキング・レンディングを行う場合、以下のリスクを十分理解して利用しましょう。
国内取引所やレンディングサービス事業者がハッキングなどの被害にあった場合、ステーキングやレンディングのために預けている仮想通貨が流出するおそれがあります。
その場合、事業者の財政状況によっては十分な補填がされず、顧客が損失を被る可能性があるため注意が必要です。
ステーキングやレンディングを利用している最中に、取引所や事業者が破綻するリスクもあります。
国内取引所にステーキングで預け入れられている顧客資産は、取引所が保有する資産と分けて管理(分別管理)されています。そのため比較的安全性は高いものの、破綻時の財務状況によっては顧客資産が返還されない可能性があることも理解しておきましょう。
一方、レンディングは分別管理の対象外であるため、破綻時には返還されない可能性が高くなります。
これらのリスクを回避するためには、セキュリティ対策が十分で信頼性の高い取引所や、レンディングサービスを選ぶことが重要です。もしくは、メタマスクなどの自己管理型ウォレットを使い、ステーキングすることも選択肢となるでしょう。
国内のサービスに限らず、メタマスクや海外取引所でもイーサリアム(ETH)のステーキングは可能です。
例えば、メタマスクではポートフォリオアプリからステーキングができます。当記事執筆現在、イーサリアムのステーキングのみに対応しており、「Lido」と「Rocket Pool」を使ったリキッドステーキングを利用できます。
国内サービスよりも自由度が高く、自分自身で資産を管理できる点が魅力です。ただし、国内取引所のサービスを利用する場合よりも管理が難しく一定以上の知識が必要となります。
日本の取引所が取り扱うイーサリアム(ETH)のステーキングサービスのメリットは、手軽さや安心感でしょう。すでにサービスを提供しているSBI VCトレード、今後提供予定のBITPOINTのいずれにおいても、イーサリアムを手軽にステーキングできます。
保有中のイーサリアムを手軽に増やしたいという方は、国内の運用サービスの利用を検討してみても良いかもしれません。
作成日
:2023.06.30
最終更新
:2024.03.09
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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