作成日
:2023.06.29
2023.07.04 17:24
仮想通貨(暗号資産)MAVは、Maverick Protocolが発行する独自仮想通貨です。
Maverick ProtocolはDEX(分散型取引所)として新機能を備えています。これにより、流動性を提供する投資家は従来よりも効率的に稼ぐことができ、DEXユーザーはスリッページの心配が減ります。
当記事では、従来のDEXが抱えている問題、Maverickはその問題をどのように解決したのか、そして仮想通貨MAVはどのように使えるのかについて解説します。
画像引用:Maverick Protocol
Maverick Protocol(マーベリック)はDEX(分散型取引所)です。従来型DEXの問題の解決を目指しており、ユーザーから高い支持を得ています。2023年3月に公開されると、イーサリアム上のDEXの中で取引金額第3位となり、翌月には1位になりました。
また、2023年6月にはBinance(バイナンス)のローンチパッドを経て、独自仮想通貨MAVが新規公開されました。
短期間で高い支持を得た理由は、その仕組みにあります。
Mavericks Protocolの新規性を紹介するために、DEXの仕組みを先に解説します。
トレーダーがDEXでトレードをするとき、ある仮想通貨を売って別の仮想通貨を買います。すなわち、取引には仮想通貨が2種類必要で、さらに、トレーダーの注文に応じて売買する相手方が必要です。
そこで、投資家がDEXの流動性プール(仮想通貨の貯蔵所)に2種類の仮想通貨を預けます。DEXは取引価格を自動で設定し、トレーダーの取引相手になります。取引が成立すればトレーダーは手数料を支払い、投資家はその手数料を報酬として受け取ります。
この仕組みをAMM(automated market maker)と呼びます。
投資家は2種類の仮想通貨を流動性プールに預けるだけで報酬を稼げる一方、インパーマネントロスの問題に常に直面しています。インパーマネントロスとは、仮想通貨をDEXに預けることで損する現象を指します。
例えば、上のDEX説明図で「?」の仮想通貨が暴落するとします。すると、トレーダーは手元の「?」を急いで売ってイーサリアムに交換しようとするでしょう。この結果、流動性プールのイーサリアムはなくなり、「?」で満たされることになります。
その後、投資家が預け入れた仮想通貨2種類を引き出すと、イーサリアムは存在しないため「?」だけが返却されることになり、損します。これがインパーマネントロスです。
片方の仮想通貨が無価値になるという極端な例でなくても、2つの仮想通貨の価格バランスが少しでも変わるとインパーマネントロスが発生します。
手数料報酬で損失をカバーする仕組みですが、手数料で実際にカバーできるかどうかについては、将来になってみないと分かりません。
投資家の安全を確保するために、インパーマネントロスを回避する方法が開発されています。代表的な例は、価格バランスが特定の範囲に収まる場合のみ取引を許可する方法です。
上の図は、この様子を示しています。仮想通貨AとBが左右に並んでおり、価格バランスが一定の範囲に収まる場合だけ取引可能にします。この範囲を外れたら、流動性プールは取引に応じません。
この方法なら、投資家は暴落した仮想通貨を過度に手にすることがなくなります。
しかし、取引可能な範囲を狭くしすぎると、価格が指定範囲を外れたら手数料収入を得られなくなります。逆に、取引可能な範囲を広くすると、インパーマネントロスの回避が難しくなるかもしれません。
さらに、この方法は2つの仮想通貨の価格バランスが一定の範囲内に収まることを前提にしています。
例えば、イーサリアムの長期的な価格上昇を見込む場合、2通貨間の価格バランスは徐々に変化するという想定になります。しかし、流動性プールに仮想通貨を預ける際には、取引可能範囲を固定的に指定しなければなりません。
なお、時間と手間を惜しまないなら、イーサリアムの価格上昇を見込んだ設定が可能です。例えば、イーサリアムとUSDTを預けて狭い範囲を指定します。期待通りにイーサリアム価格が上昇して取引可能範囲を外れたら、DEXから資金を引き上げて、現在値付近で再度預け入れます。これを繰り返します。
この方法は手間、時間、手数料が必要となるのがデメリットです。
Maverick Protocolは取引可能範囲を限定して、インパーマネントロスを緩和できます。さらに、2つの仮想通貨間の相対的な強さの変化にも対応でき、この対応に際して手数料は不要という特徴もあります。
価格バランスのさまざまな変化に対応するため、4つの選択肢から選べます。
上の図は、取引可能範囲を狭くしつつ、イーサリアム価格がUSDTに比べて高くなって取引可能範囲の右側にずれる場合、取引可能範囲を自動で右方向に移動する様子を示します。
この移動に際しては、インパーマネントロスが発生しないようになっています。また、右方向には移動しますが、左側には移動しません。
この方法のメリットは、仮想通貨を狭い範囲に集中投入できることと、仮想通貨の価格変動に応じて取引可能範囲も変わることです。これにより、より多くの手数料を稼げます。
さらに、この移動はスマートコントラクトで自動制御され、手数料は不要です(手動で実行する場合は、手数料が必要)。
その他、トレーダーにとっても、特定価格での流動性が潤沢になるのでスリッページが生じにくくなるメリットがあります。
こちらはMode Rightの逆です。この記事の例の場合、将来的にイーサリアムの価値が落ちると思う場合に使用します。期待通りになれば、2通貨間の価格比は左側に移動し、取引可能範囲からはずれます。
すると、取引可能範囲も自動的に左側に移動し、取引手数料を引き続き稼いでくれます。このモードは、左側に移動しますが右側には移動しません。インパーマネントロスが発生せず、移動のために手数料が不要という点も同様です。
Mode Bothは、取引可能範囲が左右両方に動くモードです。このモードを採用して2通貨間の価格比が左右に大きく振れる場合、インパーマネントロスでなくパーマネントロス(確定損失)が発生しますので、上の2つに比べてリスクが大きくなります。
取引可能範囲をずらすことにより損失を出したくない場合は、このモードを回避します。
このモードは、取引範囲を移動しません。取引範囲を狭くしすぎると2通貨の価格比が取引可能範囲を外れやすくなりますので、ある程度の広さを指定することになるでしょう。
ただし、ステーブルコイン同士の通貨ペアの場合は、価格比の変動は小さいと想定できます。この場合、取引可能範囲を狭くすることも可能です。
Maverick Protocolは独自仮想通貨MAVを発行しており、主に3つの使い道があります。
MAVをステーキングすると、veMAVをもらえます。もらえるveMAVの量は、ステーキングしたMAVの量と期間の両方に比例します。より多くのMAVをより長い時間ステーキングすると、より多くのveMAVをもらえます。
ステーキングとはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の仮想通貨で採用される仕組みで、ブロックチェーンの維持に貢献する対価として報酬を得ることを指します。また、仮想通貨を貸し出して報酬を得られるサービスをステーキングと呼ぶこともあります。
獲得したveMAVを使って、Maverick Protocolに関する各種投票ができます。
開発チームは、多くのveMAVを得るためにはステーキング時間が必要という条件を設定しています。これにより、新規にやってきた資金力のある第三者の影響力を排除しようとしています。
長期的にステーキングしたユーザーの意見を反映したいという意図が分かります。
ブーストとは、特定の通貨ペアを預けると報酬額を増やせる仕組みです。
画像引用:Maverick Protocol
これは、ブーストを設置した本人だけでなく、そのプールに仮想通貨ペアを預けた投資家も全員、追加報酬がもらえます。
新通貨やマイナー通貨の通貨ペアでプールを作りたい場合に有効です。マイナー通貨の場合、自分で十分な量のプールを確保するのは資金的に大変ですし、他人にプールに投資してもらおうと思っても、マイナー通貨なので難しいです。
そこで、プールにブーストをつけて一般投資家を惹きつけます。魅力を感じた投資家は、その通貨ペアをプールに投入してくれるでしょう。開発チームは、これを賄賂のようなものと表現しています。
画像引用:CoinMarketCap
仮想通貨MAVは、Binance(バイナンス)のローンチプールを経て上場してから時間が経過しておらず、投資家の評価を判断するにはもう少し時間が必要です。当記事執筆時点(2023年6月29日)では、80円前後で推移しています。
2023年6月29日現在、仮想通貨(暗号資産)MAVは、日本国内の取引所では取り扱われていません。そのため、取引は海外取引所で行います。各海外取引所におけるMAVの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。
仮想通貨取引所 | 現物 | デリバティブ |
---|---|---|
(バイビット) |
× |
〇 |
(バイナンス) |
〇 |
× |
(ゲート) |
〇 |
× |
(メクシー) |
〇 |
〇 |
(ビンエックス) |
〇 |
× |
(ビットゲット) |
〇 |
× |
(コインイーエックス) |
〇 |
× |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
× | 〇 |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
MAVの現物取引とデリバティブ取引の両方に対応しているのはMEXCのみです。
MEXCでは、2つの手順でMAVを購入できます。
まずは以下のリンクをクリックし、MAVの購入ページ(MAV/USDT)にアクセスします。
なお、MEXCを利用するには、口座を開設しておく必要があります。
ここでは最もシンプルな「成行」での購入方法を紹介します。成行でMAVを購入するには、以下のように操作をして「MAVを購入」をクリックします。
番号 |
項目 |
説明 |
---|---|---|
1 |
取引種別 |
「現物取引」を選択したままにします。 |
2 |
注文方法 |
「成行注文」を選びます。 |
3 |
合計 |
購入したい数量を入力します。 |
「MAVを購入」をクリックすると、即座に注文が実行されます。
なお、MAVはUSDTで購入します。そのためUSDTの残高が十分でない場合は、入金や両替が必要です。
Maverick Protocolでブーストされたプールに投資する方法を紹介します。以下の4つのステップです。
以下のリンクをクリックし、Maverick Protocolにアクセスします。
右上の「Connect Wallet」をクリックしてウォレットを接続したら、左上の「Boosted Positions」をクリックします。
ブーストされたプール一覧が出ますので、お好みの仮想通貨ペア(プール)をクリックします。ここでは、例としてETH-SWETHを選択します。
なお、一番右にあるグラフは、どのような範囲にどれだけの仮想通貨ペアを投入するかを示しています。細い1本の棒が立っているように見えるグラフは、狭い範囲で固定的な価格で取引可能になっていることを示します。
一番上のプール「ETH-SWETH」の価格はおおむね1:1で固定的になると想定できますから、取引可能範囲を狭くするのは合理的です。
選択したプールの詳細情報が出ます。確認の上、投入するETHとswETHの量を決めます。なお、投入できるETHとswETHの比率はあらかじめ決まっており、指定された比率から外れた数量の投入はできません。
なお、同じページの下には、報酬の詳細が書かれています。下記の画像で強調している箇所が追加報酬(年利表記)であり、swETHで分配されることが分かります。
Maverick Protocolにより、インパーマネントロスのリスクが大幅に低下しました。すなわち、流動性プールに資金を投入したい場合、安全度が格段に向上します。
また、流動性プールでは、仮想通貨の価格比を指定して資金を投入できます。従来型に比べてスリッページが発生しづらくなり、トレーダーにとってもメリットが大きいです。
この仕組みはユーザーから高い支持を得ており、今後のDEXの基本形になる可能性もあります。
作成日
:2023.06.29
最終更新
:2023.07.04
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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