作成日
:2023.10.10
2024.02.19 01:06
2023年5月2日、大手海外取引所のBybit(バイビット)は「Bybitレンディング」という新しいサービスの提供を開始しました。レンディングという名前の通り、仮想通貨(暗号資産)を貸し出すことで、利息収入を得られるサービスとなっています。
この記事では、Bybitレンディングの概要やメリット・デメリット、使い方などを解説します。また、Bybit暗号資産ローンとの違いも紹介します。
Bybitレンディングは従来、スマホアプリのみサービス提供されていましたが、PCサイトでも提供が開始されました。また、自動貸出機能も追加され、遊休資産を自動的に貸し出して効率的な資産運用が可能になっています。
Bybit(バイビット)レンディングとは、保有している仮想通貨(暗号資産)を貸し出すことで利息収入を得られるサービスです。Bybitが仲介となり、貸し出した仮想通貨は信用取引や暗号資産ローンを利用したいユーザーに貸し出されます。
仮想通貨レンディングとは、保有する仮想通貨を貸し出して金利を得られるサービスです。仮想通貨を貸し出すだけでなく、金利を支払って借り入れることもできます。
詳細は後述しますが、利息は1時間ごとに計算され、資金償還と同時に利息も支払われます。また、基本的に資金の償還リクエストはいつでもできます。
当記事執筆現在(2023年10月3日)、Bybitレンディングで貸し出しできるおもな仮想通貨銘柄と利率は以下の通りです。
仮想通貨銘柄 | 利率 |
USDT | 1.87% |
---|---|
USDC | 4.01% |
BTC | 0.27% |
ETH | 0.34% |
BNB | 1.20% |
XRP | 0.09% |
SOL | 1.24% |
SUI | 3.64% |
PEPE | 0.84% |
WLD | 3.71% |
サービス開始当初は8銘柄のみでしたが、2023年10月3日現在では75銘柄まで増えました。USDTやUSDC、BTC、ETHなど時価総額上位の銘柄はもちろん、SUI、PEPE、WLDなど注目を集めた銘柄も揃っています。
Bybit(バイビット)レンディングには、以下のようなメリットがあります。
Bybitレンディングでは、最大で年間16.46%ものAPRを提供しています。もちろん貸し出す銘柄やタイミングによって利率は変わりますが、高い利回りで運用できる可能性があります。
ただし、Bybitレンディングの利率はあくまでも変動制であり、利回りを保証していない点は把握しておきましょう。
Bybitレンディングでは、1時間ごとに利息を計算します。日割で利息計算するプラットフォームよりも、ユーザーに有利な条件となっているといえるでしょう。
例えば、ユーザーが午前9時20分に仮想通貨を預け入れた場合、利息の計算は午前10時から開始されます。その1時間後の午前11時には、最初の利息がユーザーに割り当てられる形となります。
その後、貸し出した資金の償還を行った際に、元本と一緒に利息も支払われます。
Bybitレンディングのメリットとして、貸し出した資金がいつでも償還できることが挙げられるでしょう。通常のレンディングサービスでは、あらかじめ決められた期間は資金を引き出せないことが多いです。一方でBybitレンディングであれば、償還リクエストをすれば基本的に即時出金ができるため、フレキシブルな資産運用ができます。
しかし、「資金使用率」が100%に達した場合と、「日次償還額」が上限に達した場合は、償還リクエストが一時停止されます。どのような状況か、それぞれ具体的に説明します。
資金使用率とは、全ユーザーが貸し出している仮想通貨のうち、他のユーザーに借入されている割合を指します。例えば、貸し出されている総額が1,000 USDT、借りられている総額が500 USDTのとき、資金使用率は50%です。
この資金使用率が100%になるのは、レンディングされた全ての資金が使用されているときであり、このときは償還ができません。
Bybitレンディングでは、日次償還額という1日あたりの償還限度額が決められています。下記表のように日次償還額は銘柄によって異なりますが、これを超えると自動的に償還リクエストが停止されます。
銘柄 | 1人あたりの日次償還額 |
USDT | 300,000 USDT |
---|---|
USDC | 300,000 USDC |
BTC | 10 BTC |
ETH | 161 ETH |
ただし、償還額は毎日リセットされるため、翌日には再度償還ができるようになります。
Bybitレンディングでは、自動貸出機能が提供されています。自動貸出を有効にすると、1日2回、12:00と2:00(日本時間)に現物アカウント(または統合取引アカウント)にある振替可能資産が自動的にBybitレンディングで貸し出されるサービスです。
自動貸出では、市場のAPRが希望のAPR以上の場合のみ貸し出すように設定することも可能です。自動貸出を活用することで、保有している仮想通貨を無駄なく資産運用できます。
メリットの多いBybit(バイビット)レンディングですが、いくつかのデメリットも存在しています。ここでは、以下の2つのデメリットを確認していきましょう。
Bybitレンディングで提示されている利回りは、推定変動利回りとなっています。つまり、利率は毎時調整されており、利回りは保証されていません。あくまでレンディングであるため、資金を借入るユーザーがいない場合は利率が0%になってしまう可能性もあるでしょう。
また、複利はサポートしていないので、貸し出した元本にのみ利息が発生する仕組みとなっています。
Bybitレンディングでは、資金を貸し出したユーザーと借入したいユーザーをBybitが仲介しています。もし借入するユーザーが1人もいない場合、資金の運用ができないため、貸し出したユーザーへの利回りも0%になります。
Bybitレンディングでは、利息収入の20%が手数料として徴収されます。
Bybitではレンディング以外にも様々な資産運用サービスを提供しており、Bybitステーキングなど手数料が発生しない運用方法もあります。コスト面を考えると、Bybitレンディングは少し不利な運用方法といえるでしょう。
なお、手数料は別途支払う必要はなく、資金償還時に支払われる利息から自動的に差し引かれる形となります。
Bybit(バイビット)の資産運用サービスの中には、「暗号資産ローン」というサービスがあります。
暗号資産ローンは、仮想通貨(暗号資産)をBybitに担保として預け入れることで、代わりに別の仮想通貨を借りられるサービスです。保有している仮想通貨を売却せずとも資金が調達でき、借りた資金は取引や資産運用に利用できます。
ここでは以下の4つ項目に沿って、Bybitレンディングと暗号資産ローンの違いを確認していきましょう。
Bybitレンディングは、保有している仮想通貨の運用ができるサービスです。そのため、サービスを利用する想定ユーザーとしては、使用していない仮想通貨をできるだけ高利回りで運用したい人が考えられるでしょう。
一方、暗号資産ローンは保有する仮想通貨を担保にして、別の仮想通貨を借りるサービスとなっています。つまり、保有中の銘柄をそのまま使うのではなく、借り入れた仮想通貨をレバレッジ取引や資産運用などに使いたいユーザーが対象です。
レバレッジとは、預け入れている証拠金よりも多くの金額で取引ができる仕組みのことです。レバレッジは「てこの原理」の「てこ」を意味しており、少ない資金でも大きな取引ができることをなぞらえた用語となっています。
Bybitレンディングは、仮想通貨を貸し出すことで自動的に利回りを得られます。利率は借入の需要によるものの、2023年5月9日時点ではUSDTであれば5.36%、USDCは7.20%と、比較的高くなっています。
一方、暗号資産ローンはあくまで仮想通貨を借りられるだけのサービスです。借りた仮想通貨の運用はユーザー自身で行う必要があり、何もしなければ利回りは得られません。ユーザーは借りた仮想通貨をレバレッジ取引やローンチパッド、流動性マイニングなどの利用にあてる必要があります。
Bybitレンディングと暗号資産ローンは仕組みが大きく異なるため、手数料(コスト)にも違いがあります。
前述の通り、Bybitレンディングでは発生した利息収入の20%が手数料として徴収されます。資金の償還時に利息から自動的に手数料が差し引かれます。
一方、暗号資産ローンは、「借入時間 × 1時間あたりの利率」でコストが計算されます。
支払う金利 =
借りていた時間(*1) × 1時間あたりの利率
(*1)1時間未満の時間は切り上げられ、1時間として計測されます。
暗号資産ローンの借入コストは、資金を返済するときにまとめて支払う仕組みとなっています。また、返済を滞納したり、担保が強制決済される際などにも手数料が発生します。
Bybitレンディングで貸し出した資金は、全てBybitプラットフォーム内で運用されます。Bybitが仲介となり、信用取引や暗号資産ローンなどで仮想通貨を借りたいユーザーに貸し出されます。
一方、暗号資産ローンでは、借り入れた仮想通貨はユーザーが自由に運用できます。Bybit外部への出金もできるので、他の取引所に送金したり、DEX(分散型取引所)でイールドファーミングをして運用することも可能です。
イールドマイニングとは、DEXなどに仮想通貨を貸し出して流動性を提供することです。流動性マイニングとほぼ同義の言葉として使われることもあります。
Bybit(バイビット)のPCサイトでレンディング機能を使う方法を解説します。
下記からBybitの公式ページにアクセスします。
上部の「ファイナンス」にカーソルを合わせ、「レンディング」をクリックします。
貸し出したい銘柄を探し、その銘柄の右横にある「貸し出す」ボタンをクリックします。
前述の通り、利回りは推定値です。表示された通りの報酬が受け取れない可能性もあります。また借りる人がいなければ、報酬は0になります。
貸し出す数量を入力し、条件を確認します。問題なければチェックを入れて「貸し出す」ボタンをクリックします。
Bybitレンディングでは、現物アカウントもしくは統合取引アカウントの残高を貸し出します。貸し出せる残高がない場合は、以下の画像のように「資産」ページ内の「振替」から振り替えましょう。
「貸し出しが完了しました。」と表示されれば、貸し出しは完了です。
上部の「ファイナンス」にカーソルを合わせ、「レンディング」をクリックします。
自動貸出したい銘柄を探し、その銘柄の右横にある「自動貸出」スイッチをクリックします。
自動貸出の希望APRを入力します。未入力の場合は、市場APRで貸し出されます。
問題なければチェックを入れて「はい」ボタンをクリックすると、自動貸出の設定完了です。
なお、自動貸出は、先述の「手動で貸し出す方法」の手順4の画面からも同様に設定できます。
Bybitのトップ画面で上部の「ファイナンス」にカーソルを合わせ、「レンディング」をクリックします。
自動貸出を停止したい銘柄の右横にある「自動貸出」スイッチをクリックします。
「はい」をクリックすると自動貸出が停止されます。
なお、自動貸付を停止しても、停止までの間に貸し出した資産の貸出は解除されません。解除したい場合は、この後の「貸出を解除する方法」手順をご覧ください。
Bybitのトップ画面で上部の「ファイナンス」にカーソルを合わせ、「レンディング」をクリックします。
商品リストの右横にある「発生履歴」ボタンをクリックします。
受け取った報酬があれば表示されます。
Bybitのトップ画面で上部の「ファイナンス」にカーソルを合わせ、「レンディング」をクリックします。
解除したい銘柄の右横にある「償還する」ボタンをクリックします。
貸し出しを解除する金額を入力し、「償還する」ボタンをクリックします。
償還リクエストが送信された旨のメッセージが表示されたら、償還完了です。
Bybit(バイビット)のスマホアプリからレンディング機能を使う方法を解説します。
Bybitアプリを開いて、「その他」→「レンディング」の順にタップします。
貸し出したい銘柄を探し、その銘柄の右横にある「貸し出す」ボタンをタップします。
前述の通り、利回りは推定値です。表示された通りの報酬が受け取れない可能性もあります。また借りる人がいなければ、報酬は0になります。
貸し出す数量を入力し、条件を確認します。問題なければチェックを入れて「貸し出す」ボタンをタップします。
Bybitレンディングでは、現物アカウントもしくは統合取引アカウントの残高を貸し出します。貸し出せる残高がない場合は、以下の画像のように「資産」ページ内の「振替」から振り替えましょう。
「貸出完了」と表示されれば、貸し出しは完了です。
Bybitアプリを開いて、「その他」→「レンディング」の順にタップします。
自動貸出したい銘柄を探し、銘柄の下にある「自動貸出」をタップします。
自動貸出の説明を確認し、問題なければチェックをいれて「自動貸出を有効にする」をタップします。
確認画面で「はい」をタップすれば、自動貸出の設定完了です。
自動貸出するAPRの条件を設定する場合は、レンディング画面で自動貸出設定した銘柄の「望ましいAPR」をタップします。
市場のAPRで貸し出す場合には、何もする必要はありません。
希望条件のAPRを入力して「はい」をタップします。
戻ったレンディング画面で、「望ましいAPR」に入力したAPRが表示されていれば設定完了です。
Bybitアプリを開いて、「その他」→「レンディング」の順にタップします。
自動貸出を停止したい銘柄を探し、銘柄の下にある「自動貸出」をタップします。
確認画面で「はい」をタップすれば、自動貸出の停止完了です。
なお、自動貸付を停止しても、停止までの間に貸し出した資産の貸出は解除されません。解除したい場合は、この後の「貸出を解除する方法」手順をご覧ください。
Bybitアプリを開いて、「その他」→「レンディング」の順にタップします。
「発生履歴」をタップします。
受け取った報酬があれば表示されます。
Bybitアプリを開いて、「その他」→「レンディング」の順にタップします。
「マイレンディング」をタップし、解除したい銘柄の横にある「償還」ボタンをタップします。
償還額を入力して、「償還」ボタンをタップします。
「償還が完了しました。」と表示されれば、貸し出しの解除は完了です。
Bybit(バイビット)レンディングは、一般的なレンディングサービスとは異なり、即日で資金償還することも可能です。資金が拘束されないため、手軽に仮想通貨(暗号資産)の運用ができるサービスだといえるでしょう。
銘柄によっては利回りも高く、効率的な資産運用ができます。ただし、手数料は利息収入の20%と比較的高いため、その点は注意が必要です。Bybitには他にも様々な資産運用サービスがあるので、状況にあわせて使い分けるのが良いでしょう。
作成日
:2023.10.10
最終更新
:2024.02.19
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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