作成日
:2023.07.25
2023.07.25 10:47
LSDFiは、LSD(リキッドステーキングデリバティブ)の運用先となるDeFi(分散型金融)プロトコルを指し、仮想通貨(暗号資産)市場で規模を急拡大しています。
当記事ではLSDFiの概要を説明した上で、利用上のポイントやリスクなどを解説します。
LSDFiはLSD(Liquid Staking Derivatives)とDeFi(分散型金融)を組み合わせた言葉で、LSD向けに提供されるDeFiを意味します。
また、LSDはリキッドステーキングで得たトークンそのものを指し、Rocket PoolのrETHやLido FinanceのstETHが有名です。
リキッドステーキングとはその名前のとおり「流動性のあるステーキング」です。通常のステーキングでは、預け入れた仮想通貨がロックされる一方、リキッドステーキングでは、それと等価のLSDを現金化したり、送金したり、運用することができます。
デリバティブとは金融商品の一つで、株式・債券・仮想通貨などの価格を基準にして価格が上下動します。LSDの場合、ETHなどステーキングした仮想通貨の価格に連動します。
LSD(Liquid Staking Derivatives)とLST(Liquid Staking Token)は同じ意味で使われます。リキッドステーキングのサービスを使って発行したトークンです。
ユーザーはLSDFiを活用して、効率的に受動的な報酬を稼ぎ出したり、ステーブルコインを発行したり、他の仮想通貨と交換したりできます。
Binance ResearchによるとLSDFiの市場規模は2023年5月頃から急拡大しており、TVLは2023年6月初旬で4億ドルを超えています。
TVLはTotal Value Lockedの頭文字をつなげた言葉で、ブロックチェーンやDAppに預け入れられた仮想通貨の総額を示します。この金額は人気のバロメーターとしても使用されます。
画像引用:Binance Research
リキッドステーキングが普及したりLSDFiの開発活動が活性化したり、LSDFiに追い風が吹いています。LSDFiの市場規模はDeFi全体と比較して3%未満であるとされており、今後も成長が期待されています。
リキッドステーキングは、イーサリアム(ETH)向けのサービスが中心となっています。従って、LSDFiもイーサリアムを対象としたものがほとんどです。
しかし、ポルカドット(DOT)やソラナ(SOL)などの仮想通貨もリキッドステーキングに対応しつつあります。リキッドステーキングの広がりと共に、LSDFiのサービスも増えていくと予想されます。
LSDFiは、メタマスクなどのウォレットがあれば誰でも利用できます。
まず、リキッドステーキングに仮想通貨を預け入れてLSDを獲得します。預け入れ可能な仮想通貨や獲得できるLSDの種類は、サービスごとに異なります。その後、LSDFiを選んで運用します。
逆の流れで、LSDFiからLSDを引き出し、リキッドステーキングから元の仮想通貨を取り戻すことも可能です。
LSDFiにはいくつか種類があります。その種類と主要なプロトコルは次の通りです。
レンディングは仮想通貨を貸し借りするサービスです。貸し手は金利収入を獲得でき、借り手は担保を預け入れて金利を支払うと借り入れできます。レンディングの中には、LSDに対応しているものもあります。
画像引用:AAVE
AAVEは、仮想通貨市場を代表するレンディングプロトコルです。最新のAAVE V3では、Lido FinanceのLSDであるwstETHのレンディングに対応しています。
画像引用:Frax Finance
Frax Financeは、リキッドステーキングに加え、総合的なLSDFiを提供しています。その中のレンディング機能「Fraxlend」を通じ、独自LSDの貸し出しが可能です。
多くのステーブルコインは、米ドルなど法定通貨を価値の裏付けとしますが、仮想通貨を担保に発行されるものもあります。そして、LSDを担保にステーブルコインを発行できる例もあります。
画像引用:MakerDAO
MakerDAOは、ステーブルコインDAIを発行するプロトコルです。DAIは様々な仮想通貨を担保に発行されるステーブルコインで、仮想通貨市場で広く利用されています。MakerDAOは、主要なLSDによるDAIの発行に対応しています。
画像引用:Lybra Finance
Lybra FinanceはステーブルコインeUSDを発行するプロトコルです。ユーザーはstETHを預け入れると、その額に応じてeUSDを獲得できます。eUSDを保有するだけで収入を得られるのに加えて、他のDeFiプロトコルでの運用も可能です。
DEX(分散型取引所)は最もポピュラーなDeFiプロトコルで、主に仮想通貨のスワップ機能を提供します。LSDを他の仮想通貨とスワップしたり、流動性マイニングをしたりできます。
流動性マイニングとは、DEXなどに2種類の仮想通貨をペアで貸し出して流動性を提供することです。イールドファーミングとほぼ同義の言葉として使われることもあります。流動性の提供と引き換えに独自仮想通貨を報酬として獲得できる一方、価格変動で損失を被ることもあります。
画像引用:Curve Finance
Curve Financeは、ステーブルコインを数多く取り扱う大手DEXです。stETHやrETHなどに対応しており、流動性マイニングも可能です。
画像引用:Uniswap
Uniswapは、イーサリアム最大のDEXとして知られています。複数のLSDに対応しており、スワップと流動性マイニングが可能です。
イールド・ストラテジーは金利収入を狙う運用方法です。いずれもトークン化やスマートコントラクトなどの技術を駆使して、LSDを柔軟に運用します。
スマートコントラクトは契約を自動履行するプログラムです。自動販売機でたとえると、「利用者が必要なお金を投入する」「特定の飲料のボタンを押す」という二つの契約条件が満たされた場合に、自動的に「その飲料を利用者に提供する」という契約が実行されます。
画像引用:Pendle
Pendle Financeは利回り取引を可能にするDeFiプロトコルです。利回りの低下を見越して利回りを固定する戦略を取ったり、利回りの上昇に期待する戦略を取ったりできます。
画像引用:Flashstake
Flashstakeを利用すれば、LSDの運用収入を先に獲得できます。LSDを預け入れる期間と量によって利回りは変動し、先に獲得した収入を払い戻すと元本のLSDを回収できます。
インデックスLSDは、インデックス投資のように、多数のLSDにまとめて投資できるサービスです。保有するLSDをトークン化されたインデックスLSDと交換できます。利回りが異なるLSDのリスク分散などのために利用されます。
インデックス投資は、市場を構成する多数の銘柄に分散投資する手法です。個別銘柄のリスクを避けながら、平均的なリターンの獲得が期待できます。株式市場では、S&P500や日経225などが人気です。
画像引用:unshETH
unshETHは、インデックスLSDを提供しています。ユーザーは、LSDを使ってunshETHをミントしたり、獲得したunshETHをステーキングして利回りを稼いだりできます。
ステーキングとはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の仮想通貨で採用される仕組みで、ブロックチェーンの維持に貢献する対価として報酬を得ることを指します。また、仮想通貨を貸し出して報酬を得られるサービスをステーキングと呼ぶこともあります。
画像引用:Index Coop
Index Coopはトークン化されたインデックスLSDを多数提供しており、LSDを使ってインデックスLSDをミントできます。
LSDFiで高い利回りを得るには、いくつかのポイントがあります。
LSDFiには幅広い選択肢があり、プロトコル間で利回りが異なります。自身のリスク許容度と相談しながら、利回りの良い運用方法を見つけます。
LSDFiを利用する中で、ユーザーがペナルティを受ける可能性があります。例えば、ステーキング満期日前の早期償還や、レバレッジをかけた運用での担保の強制清算などが挙げられます。
ペナルティは痛手になります。LSDFiの収益が年数%なのに対してペナルティは数十%というケースもあるので、ペナルティを受けないようにする必要があります。
LSDFiは複雑であり、取引の過程で元本の引換券となるLSDを失ってしまう可能性があります。自身のLSDがどのような状態にあるのか、把握しておく必要があります。
LSDFiを利用するリスクとしては、次のようなものが挙げられます。
ステーブルコインが、基準となる価格から乖離する現象をデペッグと呼びます。
LSDFiで利用するLSDも、市場で大量のLSDが売却されたりシステムに不具合があったりすると、デペッグする可能性があります。
最悪、LSDの価格が崩壊する可能性もあり得ます。あくまでも可能性の話ですが、LSDFiを利用する際には、デペッグのリスクを頭に入れておくべきでしょう。
リキッドステーキングは、ステーキングプールを経由したステーキングです。ステーキングプールは、小規模なユーザーの仮想通貨を集めて運用し、ステーキング報酬を分配するサービスです。
つまり、ユーザーはステーキングプールが運用するバリデータにステーキングを委任している状態にあります。
バリデータは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)のブロックチェーンにおいて、トランザクションの承認などブロックチェーンの維持のために活動します。
もし、バリデータがルールに違反したり不正な行為を行ったりすると、預け入れた仮想通貨が没収される可能性があります。これをスラッシングといいます。スラッシングが発生すると、LSD保有者は損する可能性があります。
LSDFiには、ハッキングのリスクがあります。通常のDeFiと同じく、スマートコントラクトの脆弱性が攻撃され、資金が流出する可能性があります。中央集権型のサービスとは異なり、基本的に補償などはないので注意が必要です。
LSDFiは構造が複雑で、わかりにくい部分があります。また、新しい分野であるため、馴染みがないプロトコルも数多くあります。その一方、LSDFiは今後も成長が期待されている分野でもあります。そこで、利用する場合は少額から試すことをおすすめします。
作成日
:2023.07.25
最終更新
:2023.07.25
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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