作成日
:2023.07.10
2023.07.12 12:17
仮想通貨PENDLEはPendle Financeの独自仮想通貨(暗号資産)で、Binance Launchpoolに登場して話題となっています。また、Pendle Financeではトークンの元本と利回り部分を切り離して取引できます。
当記事では、仮想通貨PENDLEの将来性、Pendle Financeの使い方や利回りの取引戦略などを解説します。
画像引用:Pendle
仮想通貨PENDLEは、DeFi(分散型金融)プロジェクトPendle Financeが発行する独自仮想通貨です。
そして、Pendle Financeはイールド・トレーディング・プロトコルです。日本語で「利回り取引」と訳し、その名の通り、仮想通貨運用で生じる利回りを取引できます。
仮想通貨をDeFiで運用するとリターンを得られます。例えば、ステーキングプールや仮想通貨レンディング、流動性マイニングなどが運用先として挙げられます。
流動性マイニングとは、DEXなどに2種類の仮想通貨をペアで貸し出して流動性を提供することです。イールドファーミングとほぼ同義の言葉として使われることもあります。流動性の提供と引き換えに独自仮想通貨を報酬として獲得できる一方、価格変動で損失を被ることもあります。
その利回りは、仮想通貨市場の状況によって変動します。従来のDeFiではこれをコントロールする手段がなく、変化を受け入れるしかありませんでした。そこでPendle Financeは、利回り取引を実現して戦略的な運用を可能にしました。
具体的には、利回りの低下を見越して利回りを固定する戦略を取ったり、利回りの上昇に期待する戦略を取ったりできます。
Pendle Financeは、仮想通貨の権利を細分化して、利回り取引を実現しています。
利用されるのは、SY(Standardized Yield)、PT(Principal Token)そしてYT(Yield Token)の3種類です。
まず、取引対象のトークンのラップドトークンSYを発行して、それをPTとYTに分解します。PTには将来的に元本を受け取る権利、YTは定期的に利回りを受け取る権利が付随しています。
ラップドトークンとは、特定の仮想通貨の価値に連動するトークンを指します。例えば、ビットコインはビットコインブロックチェーン上で流通し、イーサリアムブロックチェーン上で使用できません。そこで、ビットコインと値動きが同じになるトークンを作って、イーサリアムブロックチェーン上で流通させます。これがラップドビットコインです。
例えば、Lido Financeで発行されるstETHを利用する場合、最初にSY stETHが発行され、次にPT stETHとYT stETHに分解されます。
Pendle Financeでは、自由にPTやYTを生成・売買できるようになっています。これらを駆使すれば、利回り取引で柔軟な戦略が実現できます。
Pendle Financeは、AMMを使ったDEX(分散型取引所)の一面を持っています。AMM(Automated Market Maker)とは、流動性プールを使って仮想通貨スワップを実現する仕組みです。
DEXでは、2つの仮想通貨ペアがプールされます。例えば、ETHとUSDTの組み合わせがプールされている場合、ユーザーはUSDTと引き換えにETHを受け取れます(ETHと引き換えにUSDTを受け取ることもできます)。
Pendle FinanceのAMMも基本的に同様の仕組みですが、より利回り取引に特化した形になっています。具体的には、上記3種類のトークンの取引に対応するために、PTとSYの流動性プールを採用しています。
Pendle FinanceのAMMは、必要に応じてSYを分解したりPTとYTを結合したりして、流動性プールを臨機応変に活用します。この仕組みのおかげで、元本と利回り部分を個別に売買できるようになっています。
仮想通貨PENDLEは、大手取引所Binanceに上場しました。加えて、Binance Launchpoolに登場しており、仮想通貨コミュニティで話題となっています。
画像引用:Binance
Binance Launchpoolは、BNBやその他の仮想通貨をステーキングし、報酬を山分けするサービスです。ステーキングプールに預け入れた仮想通貨の割合に応じて、報酬が割り当てられます。
大手メディアやインフルエンサーが、PENDLEのBinace上場についてツイートしており、注目が集まっています。一方、Binance上場後に大口投資家がPENDLEの大量売却を画策しているとの噂も拡散されていますが、当記事執筆時点(2023年7月5日)で価格が崩れる様子はありません。
仮想通貨PENDLEの価格は低迷していましたが、2023年以降は好調な値動きを見せています。
画像引用:CoinMarketCap
2022年は10円未満で推移していました。その後じわじわと上昇し、Binance上場やその他パートナーシップをきっかけに、価格が高騰しています。当記事執筆時点(2023年7月5日)の価格は130円付近です。
仮想通貨PENDLEの将来性は、Pendle Financeのエコシステムが拡大するかにかかっており、次のような要因での成長が期待されています。
Pendle Financeは、流動性ステーキングの流行に伴って利用が拡大しています。
仮想通貨をステーキングすると別の仮想通貨(流動性ステーキングトークン、LST)が新規に発行され、運用したり売却したりできます。LSTを返却すると、ステーキングした仮想通貨を受け取れます。この仕組みを流動性ステーキングといい、下はstETHの例です。
Pendle Financeは、Lido FinanceのstETHやFrax FinanceのfrxETHなど、複数のLSTに対応しており、これらのトークンの運用先として需要が高まっています。
ブロックチェーン分析会社のMessariによると、2023年6月10日時点でPendle FinanceのTVLは約3万ETH相当に到達しています。
画像引用:Messari
TVLはTotal Value Lockedの頭文字をつなげた言葉で、ブロックチェーンやDAppに預け入れられた仮想通貨の総額を示します。この金額は人気のバロメーターとしても使用されます。
Pendle Financeはパートナーシップを積極的に展開しており、2023年7月にはPancakeSwapと提携しました。PancakeSwapでは、仮想通貨PENDLEの流動性マイニングやイールドファーミングが可能となっています。
イールドマイニングとは、DEXなどに仮想通貨を貸し出して流動性を提供することです。流動性マイニングとほぼ同義の言葉として使われることもあります。
その他、人気仮想通貨ApeCoinや大手取引所Bybitなどとも提携しており、着実にエコシステムを拡大しています。
仮想通貨PENDLEは、主にステーキングで利用できます。Pendle FinanceでPendleをステーキングすると、その量や期間に応じてvePENDLEを獲得できます。
ステーキングとはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の仮想通貨で採用される仕組みで、ブロックチェーンの維持に貢献する対価として報酬を得ることを指します。また、仮想通貨を貸し出して報酬を得られるサービスをステーキングと呼ぶこともあります。
vePENDLE保有者の特典は、次の通りです。
ユーザーはPTとSYの通貨ペアを流動性として提供し、その引き換えに報酬を獲得できます。vePENDLE保有者には、その報酬が最大250%増加されます。
Pendle Financeは、YTから発生したリターンの3%と、未償還のPTから生まれるリターンをプロトコルの収益として徴収しています。vePENDLE保有者は、YTからの収益全額とPTからの収益の一部を獲得できます。
vePENDLE保有者がプールを選択して投票すると、それと引き換えにそのプールでより高いリターンを獲得できます。加えて、そのプールで発生した取引手数料の80%が投票数に応じて分配されます。
Pendle Financeでは、3つの手順でステーキングができます。
以下のリンクをクリックし、Pendle Financeにアクセスします。
画面右上の「Connect Wallet」をクリックしてウォレットを接続し、左上の「vePENDLE」を選択します。
「Lock PENDLE」をクリックします。
ステーキングする数量や期間を決め、PENDLEの取引を承認したらステーキングします。
番号 |
項目 |
説明 |
---|---|---|
1 |
PENDLE |
ステーキング数量を入力します。 |
2 |
Lock Time |
ステーキング期間を指定します。 |
3 |
Approve PENDLE |
PENDLEの取引を承認します。 |
4 |
Lock PENDLE |
PENDLEをロック(ステーキング)します。 |
利回り取引の戦略例として、次の2つが挙げられます。
PT価格は日々変動しますが、満期になるとあらかじめ決められた元本を得られます。このため、PTを購入すると利回りを固定できます。
例えば、満期まで1年の1PT stETHを0.9stETHで購入して、満期日に1stETHが償還されるとします。この場合の利益は0.1stETHとなり、年利は約11%になります。
利回りの固定は、固定利回りが今後の予想利回りを上回ると判断する際に有効です。
YTを買うと、満期日まで継続的に利益を生みます。今後発生する利回りの総額がYT価格を上回ると考える場合に、YTを購入します。
例えば、満期まで1年の1YT stETHを0.05stETHで購入し、その後、満期日までに0.06stETHの利回りを生み出せば、年利20%を獲得した計算になります。
この方法は、今後の平均利回りが現在の利回りを上回ると予想する場合に有効です。
Pendle FinanceでPTやYTを売買する手順は、以下の通りです。
以下のリンクをクリックし、Pendle Financeにアクセスします。
画面右上の「Connect Wallet」をクリックしてウォレットを接続し、左上の「Market」を選択します。
その後、取引したい銘柄を選択します。ここでは例として、2027年12月30日が満期日のstETHを取引するとします。
「Swap」をクリックして取引モードにします。そして、交換で手放したいstETHの数量を「Input」に入力すると、得られるYT stETHの数量が「Output」欄に表示されます。その取引で良ければ「Approve stETH」をクリックして取引を確定します。
番号 |
項目 |
説明 |
---|---|---|
1 |
Swap |
トークンの取引画面を選択します。 |
2 |
Input |
交換で手放したいstETHの数量を入力します。 |
3 |
Output |
得られるYT stETHの数量が表示されます。 |
4 |
Approve stETH |
取引を承認します。 |
2023年7月11日現在、仮想通貨(暗号資産)PENDLEは、日本国内の取引所では取り扱われていません。そのため、取引は海外取引所で行います。各海外取引所におけるPENDLEの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。
仮想通貨取引所 | 現物 | デリバティブ |
---|---|---|
(バイビット) | 〇 |
〇 |
(バイナンス) | 〇 |
× |
(ゲート) | 〇 |
〇 |
(メクシー) | 〇 |
〇 |
(ビンエックス) | 〇 |
× |
(ビットゲット) | 〇 |
× |
(コインイーエックス) | 〇 |
× |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
海外の取引所であれば、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。
Bybitでは、3つの手順でPENDLEを購入できます。
まずは以下のリンクをクリックし、PENDLEの購入ページ(PENDLE/USDT)にアクセスします。
なお、Bybitを利用するには口座を開設し、本人確認(KYC)レベル1を完了させておく必要があります。
ここでは最もシンプルな「成行」での購入方法を紹介します。成行でPENDLEを購入するには、以下のように操作をして「PENDLEを買う」をクリックします。
番号 |
項目名 |
説明 |
---|---|---|
1 |
「買い」または「売り」 |
通貨ペアの左の通貨を買って右の通貨を売るなら「買い」、左の通貨を売って右の通貨を買うなら「売り」を選びます。 |
2 |
注文方法 |
成行を選びます。 |
3 |
注文価格 |
購入したい数量を入力します。 |
PENDLEはUSDTを支払って購入します。そのため、USDTの残高が十分でない場合は、入金や両替が必要です。
内容を確認して「PENDLEを買う」をクリックします。注文は即座に確定し、購入したPENDLEは現物アカウント残高に反映されます。
以下の記事では、買い方に関してより詳しく説明しています。有利な価格を指定する「指値」の使い方なども解説しています。
Pendle Financeの利回り取引は複雑です。PTやYTなどの性質を理解した上で、仮想通貨市場の流れを読む力が求められます。
しかし、割引価格での仮想通貨購入が目的ならば、比較的簡単に始められます。余裕資金の範囲内で、割安なPTを購入して満期日まで寝かしておくことも検討できます。
作成日
:2023.07.10
最終更新
:2023.07.12
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
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