作成日
:2023.07.11
2024.01.26 04:42
ストキャスティクスのダイバージェンスは、有効な逆張り手法として世界中のトレーダーに利用されています。一方で相場環境を正しく分析できていないと、ダマシばかりの使えない指標へと180度変わります。
この記事では、ストキャスティクスの基本を押さえた後でダイバージェンスが発生した事例やFXでの取引例を解説します。逆張り手法の勝率を高めるため、ぜひ参考にしてください。
ストキャスティクスのダイバージェンスは、相場の転換を予想するために用いられるテクニカル指標です。ストキャスティクスは相場の過熱感(買われ過ぎ/売られ過ぎ)をグラフ化し、ダイバージェンスには相場の弱気な心理状態が表れます。
実際のトレードではトレンド転換の予測精度を高めるため、チャートとストキャスティクスを照らし合わせながらダイバージェンスの発生を待ちます。
ストキャスティクスの買われ過ぎ(80%以上)/ 売られ過ぎ(20%以下)から発生したダーバージェンスはトレーダーの多くが意識する強いシグナルになります。
上図では、買われすぎゾーンを起点にして緩やかなダイバージェンスを形成した後、大陰線を確定させてから節目となる1つ前の高値付近まで下落しました。
流動性が確保されており、チャート分析が機能する商品・銘柄であれば、ストキャスティクスのダイバージェンスが機能する可能性があります。トレードの成功率を高めるため、まずは特徴から確認していきましょう。
ストキャスティクスのダイバージェンスは、上昇/下降するレートの更新幅が減少した場合に発生します。ダイバージェンスは上昇トレンドであれば、さらに上値を買い上げるモメンタムの低下や相場に参加するトレーダーの減少を示します。
その結果、高値・終値の更新幅が小さくなったり更新期間が増加して「そろそろ売りに転じるのでは?」といった市場の弱気な心理状態がチャートに表れ始めます。
トレンドとは、相場に表れる値動きの方向性のことです。為替レートの変動が上昇傾向であれば「上昇トレンド」、下降傾向であれば「下降トレンド」と呼ばれます。FXの取引では、一般的にこのトレンドの方向に売買する戦略(トレンドフォロー)が推奨されています。相場には、三つの局面があると考えられます。上昇トレンド、下降トレンド、そして上昇でも下降でもない「トレンドレス」の状態です。これら3種類の局面が切り替わっていくというのが相場の特徴です。
オシレーター系インジケーターの特徴は、逆張りのシグナルとして使えることです。ダイバージェンスをエントリーの根拠にすることで、トレードの勝率を高められるでしょう。
ストキャスティクスが主要なテクニカル指標であることも、逆張りの有効性に大きく寄与します。買われ過ぎ/売られ過ぎの価格帯を起点にしたダイバージェンスが発生した場合、世界中のトレーダーと同じシグナルを見ています。
「ストキャスティクスのダイバージェンスは逆張りに使用する」という共通認識があるため、新規注文が入りやすくチャートが反転する力が働きやすくなります。
有効性を高めるためにも、パラメーターの%K、%D、Slow%Dは標準的な設定で使用した方がよいでしょう。詳細な設定については後述の「ストキャスティクスの期間設定」をご覧ください。
実際のトレードに使うストキャスティクスのダイバージェンス3種類を紹介します。
トレンドの転換をいち早く察知して、大きな値幅を取り切るために使いこなしていきましょう。
強気のダイバージェンスとは、レートが下落する中で発生したダイバージェンスのことで、下降トレンドの終了からレンジ相場への移行、上昇トレンドへの転換シグナルとなります。
買いが優勢になる状態は、雄牛(ブル:強気)が角を下から突き上げる動きを連想させることから、ブリッシュ・ダイバージェンスとも呼ばれています。
上図の通り、チャートの安値が更新しているのに対してストキャスティクスの下値が切り上がっている状態が強気のダイバージェンスです。
・レートが安値を更新する中でストキャスティクスの下値が先行して上がる
・下降トレンドからレンジ相場・上昇トレンド転換への準備をする
・売られすぎ水準の20%以下を起点にすると反転確率が高くなる
・他のテクニカル指標と併用する
・長期足ほどダマシが少ない
ストキャスティクスを月足や週足、日足チャートで使用し、他のインジケーターの売買シグナルと組み合わせた上で、20%近辺を起点にしたダイバージェンスで取引することで、ダマしを回避できる可能性も高くなります。一方で、取引回数も減少するため、収益性を加味しながらトレード条件を決めた方がよいでしょう。
弱気のダイバージェンスとは、レートが上昇する中で発生したダイバージェンスのことで、上昇トレンドの終了からレンジ相場への移行、下降トレンドへの転換シグナルとなります。
売りが優勢になっていく様子は、熊(ベア:弱気)が前足を振り下ろしてレートを上から叩き落とす動きを連想させるため、ベアリッシュ・ダイバージェンスとも呼ばれています。
上図の通り、チャートの高値が更新しているのに対して、ストキャスティクスの上値が切り下がっている状態が弱気のダイバージェンスです。
・レートが高値を更新する中でストキャスティクスの上値が先行して下がる
・上昇トレンドからレンジ相場・下降トレンド転換への準備をする
・買われすぎ水準の80%以上を起点にすると反転確率が高くなる
・他のテクニカル指標と併用する
・長期足ほどダマシが少ない
実際のトレードでは、下3つのポイントを押さえおきましょう。弱気のダイバージェンスも、勝率と取引回数はトレードオフの関係です。毎月の収益を確認しながら、トレード条件を調整していきましょう。
ヒドゥン・ダイバージェンスもレートとのストキャスティクスの逆行現象ですが、トレンドの継続シグナルとして使う点が異なります。ダイバージェンスと同じく、強気と弱気のシグナルに分かれています。
強気のヒドゥン・ダイバージェンスは上昇トレンドが加速するシグナル、弱気のヒドゥン・ダイバージェンスは下降トレンドが加速するシグナルです。
ヒドゥン・ダイバージェンスは、長期トレンドに対して短期足が逆行する際に発生します。実際のトレードでは、長期トレンド方向に対する押し目・戻り目の順張りシグナルとして使います。なお、ヒドゥン・ダイバージェンスは、隠れダイバージェンスやリバーサルと同じ意味です。
銘柄や時間軸が変わってもストキャスティクスのダイバージェンスが有効なことを、買いと売りトレードに分けて紹介します。
以下全てのチャートのストキャスティクスの設定値は、「%K=9、%D=3、Slow%D=3」です。サブウィンドウにはスローストキャスティクス(%DとSlow%D)を表示し、買われ過ぎ水準を80%、売られ過ぎ水準を20%に設定しています。
異なる銘柄・時間枠の強気のダイバージェンスの例をいくつかご紹介します。
ドル円の1時間足に2つ連続で発生した強気のダイバージェンス(ブリッシュ・ダイバージェンス)です。日足が高値を更新した後に134円で押し目を作り、再度反発した際に発生しました。
画像引用:TradingView
20%未満の売られすぎゾーンから綺麗なダイバージェンスが発生しました。また、日足の押し目水準を1時間足チャートで見ると、プライスアクションで上昇のサインとなる下ヒゲの長いローソク足が形成されています。2回目は1時間足のレートが高値を更新した直後の急落でトレードが難しくなるものの、結果的に上昇トレンドに転換しています。
ユーロドルの1時間足における強気のダイバージェンスも見てみましょう。日足が高値切り下げ・安値更新で下降トレンドへの転換が示唆された直後の急激な買い戻しの際に発生しました。
画像引用:TradingView
日足で押し目買いを狙う水準において、1時間足は短い陽線と陰線を連続させて下落の勢いが低下しています。ダイバージェンスを形成しながらジリジリと底値を探る展開です。
その後の大陽線がトレンド転換のシグナルとなり、1時間足のトレンド転換が日足へと波及していきました。先に紹介したドル円のダイバージェンスとの違いに注目です。2点を結ぶものと断続的に作られるパターンがあることを押さえておきましょう。
銘柄を変えて、ポンドドルの強気のダイバージェンスです。日足は1.190ドルにおけるダイバージェンスから買い一辺倒で1.255ドルに到達しました。さらに高値を更新した後のボラタイルな環境下で1時間足にもダイバージェンスが発生しています。
画像引用:TradingView
1時間足の価格変動が大きいので、仮に強気のダイバージェンスを想定できたとしても、予め反転ポイントを定めておかないとエントリーに躊躇してしまうでしょう。銘柄や相場環境の違いによって、ダイバージェンス直後のレートの進行速度(モメンタム)が大きく変わる点にも注目です。
ダイバージェンスは仮想通貨(暗号資産)市場にも有効なので、取引量が多いBTCUSDT(ビットコインテザー)を例にします。
日足で売買が交錯した21,000、22,000USDTの価格帯がサポートの目安になります。急落後にサポート帯を割り込んでから下落モメンタムが低下しました。ストキャスティクスの下値がジリジリと切り上がる展開で、エントリーまでに時間的猶予が生まれた理想的な展開です。
画像引用:TradingView
日足でレンジ下限または上昇トレンドの再開が想定される中で、1時間足チャートに生じた逆張りのチャンスです。売り注文を吸収した直後、日足のレンジ相場を挟むことなく上昇トレンド再開にまで発展しました。
長期足に発生した強気のダイバージェンスを紹介します。ドル円の週足と日足にスローストキャスティクスを表示しています。週足と日足でシグナルが重複している優位性の高い相場環境です。
画像引用:TradingView
日足のプライスアクションは下落モメンタムが低下しているものの中々底打ちせず、買い勢力にとっては真綿で首を締められる展開です。長く続いた下降トレンドは、週足と日足で重複した強気のダイバージェンスとともに終了し、上昇トレンドへと転換しました。
銘柄を変えて、ユーロドルの強気のダイバージェンスです。週足で高値更新した1.37ドルをサポートラインにして押し目買いを狙う環境の下、日足の高いボラティリティがストキャスティクスの明確な山と谷として表れた後にダイバージェンスを確定させました。
画像引用:TradingView
サポートラインをエントリーする根拠に加えることで、ダイバージェンスのダマシを減らすことができます。他のテクニカル指標と売買シグナルが重複した場合に限定することで、トレードの勝率を高めることが可能です。
異なる銘柄・時間枠の弱気のダイバージェンスの例をいくつかご紹介します。
ドル円の1時間足に2つ発生した弱気のダイバージェンス(ベアリッシュ・ダイバージェンス)です。日足が下降トレンドに転換した後に一旦反発を見せたものの143円まで買い戻しが続かず、下降トレンド再開の売りシグナルとなりました。
画像引用:TradingView
1回目の弱気のダイバージェンスは急上昇直後のため、難しいトレードになります。2回目は1時間足上の前の安値がレジスタンスラインとして働き、既に1回目を確認済みであることからも、ダイバージェンスが確定した後の陰線でショートするのが基本です。
ユーロドルの1時間足における弱気のダイバージェンスです。日足が急落して安値を更新した後、過去2回付けた高値のサポート帯に発生しました。
日足は高値切り下げ安値更新で下降トレンドが確定し、レジサポ転換を想定したショートが狙えます。ただし、レートが上下に変動しやすい価格帯のため、Wトップなどの確定をエントリーの条件に加えたりポジション量を減らすなどして、リスク管理に注意を払うべき相場環境です。
続いて時間軸を長期足に変えて、ストキャスティクスのダイバージェンスを確認します。
ドル円の週足と日足に発生した弱気のダイバージェンスです。週足が長期下降トレンドからレンジへ転換した後、週足の安値をレジスタンスラインとして売りシグナルが発生しました。
画像引用:TradingView
週足が下降トレンドを再開することも想定できる相場環境のため、積極的にショートを狙える局面です。結果的に上昇トレンドへ転換しましたが、4日間の連続陰線の過程で利益を確保できます。
ユーロドルの日足における弱気のダイバージェンスです。週足のレジスタンスライン1.09ドルを前に日足は上ヒゲが目立ち始め、実体の短いローソク足が連続しています。上昇モメンタムの低下に合わせて、ストキャスティクスの上値も緩やかに下がり始めました。
画像引用:TradingView
1回目の弱気のダイバージェンスは直近高値にサポートされてしまいましたが、2回目は売り圧力の強さが大陰線に表れています。やはり、ストキャスティクス単体だとダマシが多くなるため、他のテクニカル指標との併用が勝率を高めるコツと言えます。
ゴールドCFDの日足に発生した弱気のダイバージェンスも見ておきましょう。週足のサポートライン1,800ドルを完全に割り込んで反転上昇したものの、安値1,800ドルがレジスタンスラインに転換して上値を抑えている間に発生しました。
画像引用:TradingView
週足と日足が下降トレンドの中、1,800ドル近辺からは積極的にショートを狙っていきます。先述のユーロドルとは異なり、週足に対する順張りかつ水平線も併用できることから、ショートの優位性が高いことが分かります。
以上でストキャスティクスのダイバージェンスが発生したチャートの紹介を終わります。テクニカル分析が機能しやすい場面であれば、商品や銘柄を問わずにストキャスティクスのダイバージェンスは有効です。
また、時間足が長くなるほどダマシが少なくなるので、トレード回数や収益性を加味しながら適用する時間足を決めましょう。トレードの精度を高めるには、他のテクニカル指標とストキャスティクスを併用することも重要です。
実際にストキャスティクスのダイバージェンスを活用するため、FXを例にしたトレード手法を解説します。
トレードの成功率を高めるために1つずつ確認していきましょう。
ストキャスティクスのダイバージェンスで勝率の高いトレードを実現するため、3つのポイントを押さえておきましょう。
マルチタイムフレーム分析をして、長期・短期チャートの両方で矛盾しないエントリーポイントを見極める必要があります。デイトレードで長期足のレンジ/トレンド相場に合わせる場合、短期足に発生したストキャスティクスのダイバージェンスのみでトレードの判断をしてはいけません。
週足・日足・4時間足など、複数の時間枠でテクニカル分析を行い、長期足のレンジ上限/下限やトレンド方向の押し目/戻り目を確認することで、1時間足以下の逆張りの精度を高められる可能性があります。
また、ストキャスティクスのダイバージェンスにもダマシがあります。マルチタイムフレーム分析で正確に環境認識をしていても、トレードにおいて一定の損切りは避けられません。
他のオシレーター/トレンド系インジケーターや水平線やチャネルラインなどを併用することで、トレードの勝率を高められる可能性があります。トレードの回数が減少して収益性が低下した場合には、トレードする根拠として残すべき指標を検討していきましょう。
繰り返しになりますが、ストキャスティクスの算出期間は以下の3種類に設定して使用するケースが多いです。
%DとSlow%Dをグラフ化したスローストキャスティクスが広く使われています。%Kと%Dをグラフ化したファストストキャスティクスは、レートに対する反応が早くなりダマシの回数が多くなります。
一般的に%D=3、Slow%D=3で固定し、%Kを5、9、14に変更して対象銘柄のチャートに最適化します。レートに対するスローストキャスティクスの反応をドル円の日足で確認しましょう。
画像引用:TradingView
上から順に%K=5, 9, 14の設定です。ストキャスティクスの山と谷に注目すると、%Kの数値が大きくなるに連れて反応が緩やかになることが分かります。
なおスローストキャスティクスでは、%D(青線)がSlow%D(橙線)を上から下抜け(デッドクロス)したら売りシグナル、%DがSlow%Dを下から上抜け(ゴールデンクロス)したら買いシグナルです。また、ストキャスティクス80%以上で発生したデッドクロスと、20%以下で発生したゴールデンクロスは、より強力なシグナルであると判断します。
ストキャスティクスの設定値(%K=14、%D=3、Slow%D=3)は、逆張りの際によく用いられるセッティングです。先に紹介した通り(%K=9、%D=3、Slow%D=3)と(%K=5、%D=3、Slow%D=3)も多くのトレーダーが採用しています。
一方で対象銘柄の違いや相場状況により、ストキャスティクスの買われすぎや売られすぎ、ダイバージェンスのシグナルが通用しない場合がある点に注意しましょう。時には設定値を変更して最適化する必要もあるでしょう。
ただし、トレードでストキャスティクスを活用するには設定値を固定して、レートに対する反応を先読みできるまで使いこなすことが重要です。スキャルピングやデイトレードの場合、ダイバージェンスの確定後にはレートが先に進んでいるため、エントリーに躊躇することも多いでしょう。
ストキャスティクスの設定値を%K=14、%D=3、Slow%D=3にすると決めたら、一定期間そのまま使い続けてチャートに対する反応を細部まで研究しましょう。すると、ストキャスティクスの反応を先読みできるようになり、ダイバージェンスが確定する前にエントリーできるようになるでしょう。
ドル円の日足(長期足)で下降トレンドの終了が考えられる中、1時間足(短期足)に発生したストキャスティクスのダイバージェンスによる逆張りを10期間の単純移動平均線(SMA)で解説します。
週足(長期足)が高値を付けた後、段階的な高値・安値をつけることなく下落し続けて直近安値を割り込みました。反転上昇に転じたものの、直近安値がレジスタンスラインとして働いて上値が抑えられています(★)。
日足は安値を切り上げた後のギャップアップで直近高値を更新(★)して上昇トレンドに転換しました。一方で週足はレンジへの移行が考えられ、日足も直前まで下落モメンタムが強かったことから、積極的に買いを狙えない相場環境です。
下図の通り、4時間足がギャップアップで頭打ちを見せる中(★)、1時間足も上昇モメンタムを低下させてストキャスティクスのダーバージェスが発生しました。
1回目のダイバージェンスでは、4時間足のSMAが上向いているので売りを狙いにくいですが、2回のダイバージェンスでは4時間足のSMAが横向きに変わってレンジが示されており、売りで入りやすいことが分かります。1時間足にスローストキャスティク(設定値:9, 3, 3)を表示しています。
実際のトレードでは、ダイバージェンスの完成を見込んで資金分割をして売りを入れていくか、1時間足や15分足でWトップなどのチャートパターンが形成された後にネックライン抜けを狙うなど、エントリー方法は様々です。
損切り設定はエントリー方法により変わりますが、1回の損失額は資金の2%以内に抑えた方がよいでしょう。
複数回に分けてショートした場合、総ポジションの総損失額が資金の2%以内に収まるレートに損切りの逆指値注文をいれます。チャートパターンでショートする場合、直近の高値に損切りの逆指値を注文するとともに、損失額が資金の2%以内に収まる数量を計算しておく必要があります。
長期レンジ相場の上限・下限から短期足の逆張りを徹底し、損切りと資金管理を重視した取引を重ねてトータルの収支でプラスを目指していきましょう。
ドル円の日足(長期足)が下降トレンドの中、1時間足(短期足)に発生したストキャスティクスのダイバージェンスによる逆張りを解説します。
週足(長期足)は大陰線で直近高値を割り込んで下落モメンタムが高まる中、安値130.4円まで節目がありません(★)。下降トレンドを確定させてはいないものの、移動平均線の角度から売り優勢の相場であることが分かります。
下降トレンドの確定は「高値切り下げ・安値更新」、上昇トレンドの確定は「安値切り上げ・高値更新」です。
日足は高値切り下げ安値更新で下降トレンドを確定させており(★)、直近安値がレジスタンスラインとして働き、上値が抑えられやすい相場環境です。
長期足が下降トレンドを形成しているため、短期足の戻り売りが優位性の高いトレードと判断できます。
4時間足が直近安値のレジスタンスラインで上値を抑えられたレンジ相場の中、1時間足は上昇モメンタムを低下させてストキャスティクスのダイバージェンスが発生しました。以下はMT4に標準搭載されているストキャスティクスを設定値(9, 3, 3)にしてスローストキャスティクスを表示したものです。
(*1)MT4に標準搭載されているストキャスティクスを設定値(9, 3, 3)にしてスローストキャスティクスを表示
実際のトレードにおけるエントリーと損切りの方法は、先に紹介した長期レンジの逆張りと同様です。相場状況が変わっても、2%ルールを守って損切りを設定してください。
戻り売りの目安となる長期足のレジスタンスラインでストキャスティクスのダイバージェンスが発生しており、130.4円を利益確定の目安にした場合でも、リスクリワードの良いトレードであることが分かります。長期下降トレンドに合わせているので、ダマシのリスクも抑えられます。
以上でFXを例にした解説は終了です。毎月安定した収益を得るため、マルチタイムフレーム分析を丁寧に行い、トレードの優位性が高い長期トレンドに合わせた短期足の逆張りを積み重ねていきましょう。
実際のトレードでストキャスティクスのダイバージェンスを使う際の注意点を解説します。
負ける確率の高いトレードを減らすために、1つずつ確認していきましょう。
仮にストキャスティクス80%以上や20%以下を起点にしたダイバージェンスが発生しても、逆張りが100%成功するわけではありません。マルチタイムフレーム分析ができなければ、ダマシの回数が増えて実際のトレードに使えません。
トレードの勝率を高くするため、エントリーする根拠として他のテクニカル指標の売買シグナルを追加するのが良いでしょう。
テクニカル指標とは、テクニカル分析に使用される、値動きの傾向を把握するためのツールのことです。「インディケータ」と呼ばれることもあります。移動平均線やボリンジャーバンドなどさまざまな種類がありますが、ほとんどが「トレンド系」と「オシレーター系」に分類されます。
遅効性が全くないテクニカル指標を優先する場合、過去レートをもとにした水平線が有効です。明確な高値・安値・終値から導かれた水平線の支持・抵抗線が絡んだストキャスティクスのダイバージェンスであれば、更に高い勝率が期待できるでしょう。
いち早く買い/売りシグナルを受け取るには、先行指標となるオシレーター系インジケーターを組み合わせます。相場の流れを重視するのであれば、トレンド系インジケーターを追加するとよいでしょう。
特にスキャルピングやデイトレードの場合、ストキャスティクスのダイバージェンス確定後のエントリーでは遅いため、他のテクニカル指標と併用することでデメリットをカバーできます。
マルチタイムフレーム分析で、長期トレンドの押し目・戻り目に引き寄せたエントリーであったとしても、2%ルールを守った損切りの逆指値注文をしましょう。
長期トレンド方向への順張りトレードを重ねていると、短期足で適当に逆張りをして含み損を抱えた場合でも、レートが戻って利益に変わることがよくあります。しかし、損切りで資金管理を徹底しないまま相場に救われていると、たった1回の損失が資金を溶かす原因になり得ます。
損切りとは、保有しているポジションが含み損になってしまっているときに、それ以上の損失拡大を防ぐために行う損失確定注文のことです。
例えば長期トレンドが転換する局面では、必ず短期足の反転から始まり長期トレンドへ波及します。万が一、そのポイントで短期足に発生したストキャスティクスのダイバージェンスを根拠にエントリーしたら、二度と建値までレートが戻ってこないこともあるでしょう。
レバレッジ取引では、証拠金維持率を保つために資金効率が悪化する原因になります。短期トレードの負けは損切りで区切り、次回の売買に備えていきましょう。
ストキャスティクスのダイバージェンスにも「ダマシ」があるので注意しましょう。短期足になるほど発生回数が多くなり、秒足から月足へと長期足になるほど減少します。
長期トレンドの反対方向に短期足で発生した売買シグナルには要注意です。長期トレンド内における一時的な押し・戻り調整に過ぎず、ダマシに終わる可能性が一段と高くなります。
1回目のストキャスティクスのダイバージェンスで、チャートが反転しないことはよくあります。ダマシではあるものの、その後訪れるトレンド転換のシグナルでもあるため、再エントリーの準備をしていきましょう。
的中率100%のテクニカル分析は存在しないため、ダマシにあうのは必然です。いかにダマシが発生したときの損失を抑えるかが、FXで継続的に利益を出す上で重要になります。そのためには、自分で損切りするルールを決め、それを必ず実行することが求められます。FXで資産を大きく減らす原因のほとんどは、ルール通りに損切りができないことだといわれています。ダマシにあった際には、冷静に損切りのルールを遵守するようにしましょう。
取引プラットフォームのMT4/MT5とTradingViewで利用できる無料インジケーターを紹介します。
効率よくストキャスティクスのダイバージェンスを見つけるために活用してください。
MT4/MT5でストキャスティクスのダイバージェンスを自動表示できる無料インジケーターを2つ紹介します。
Stochastic Divergenceは適用した時間足にダイバージェンスとヒドゥン・ダイバージェンス(リバーサル)を自動表示します。
画像引用:MQL5「Stochastic Divergence」
パラメータでは、%K, %D, Slow%Dとストキャスティクスの高値・安値の表示指定ができます。最低限の機能に絞った無料インジケーターをお探しの方に向いているインジケーターです。
Saikix-StoDは、適用した時間足にダイバージェンスとヒドゥン・ダイバージェンス(リバーサル)を自動表示するとともに、売買シグナルをメールで受け取れる機能が付いています。
画像引用:GogoJungle「Saikix-StoD.ex4」
Stochastic Divergenceとは異なりメール通知できるため、チャートが見られない外出先でも取引チャンスを逃さずに済みます。
また、日本最大級のEA(自動売買)販売プラットフォームのGogoJungleで取り扱われているため、MQL5よりも整理された日本情報を入手しやすいメリットがあります。
情報提供元が明らかな無料インジケーターは数が限られています。当サイトMyforexでは、異なる時間足・銘柄に適用したストキャスティクスを、1つのチャート上に最大7つまで表示できるMT4/MT5用のインジケーターを無料で提供しています。
ストキャスティクスの買われ過ぎ/売られ過ぎのシグナルが一目で分かり、ダイバージェンスの起点の発見に役立ちます。
TradingViewでストキャスティクスのダイバージェンスを自動表示できる無料インジケーターを2つ紹介します。
高機能チャートを搭載した金融プラットフォームです。月間利用者数が5,000万人を超えており、SNS機能によって世界中のトレーダーと投資やトレードの情報をシェアできます。一枚のチャート内で、世界の市場に上場する商品・銘柄を横断検索して瞬時に表示できます。
Stochastic Divergenceは、適用した時間足にダイバージェンスとヒドゥン・ダイバージェンス(リバーサル)を自動表示します。ドル円の日足にファストストキャスティクス(初期設定値:%K=14, %D=1, Slow%D=2)を適用しました。
画像引用:TradingView
パラメータのOverbought(買われ過ぎ)とOversold(売られ過ぎ)で、ダイバージェンスを検出する数値を指定できます。上図はOberbought:80(赤点線)、Oversold:20(緑点線)です。ダイバージェンスにはN、ヒドゥン・ダイバージェンスにはHをラベリングします。
Stochastic Divergenceは、パラメータ数が少なくて使いやすい無料インジケーターをお探しの方に向いているインジケーターといえるでしょう。
Stochastic Divergence Alertは適用した時間足にダイバージェンスのみを自動表示します。ドル円の日足にスローストキャスティクス(初期設定値:%K=9, %D=3, Slow%D=3)を適用しました。
画像引用:TradingView
パラメータのTop Level(買われ過ぎ)とBottom Level(売られ過ぎ)で、ダイバージェンスを検出する数値を指定できます。上図はOverbought:80(灰色点線)、Oversold:20(灰色点線)です。
トレード回数を増やしたいときに、上記Stochastic Divergenceのファストストキャスティクスを使用し、勝率を重視する際には、Stochastic Divergence Alertのスローストキャスティクスのダイバージェンスを使用するとよいでしょう。
この記事では、ストキャスティクスのダイバージェンスが発生する理由から、トレードにおける使い方や注意点まで実用的な内容を中心に解説しました。
マルチタイムフレーム分析で長期トレンド/レンジを明確にすることで、短期足でストキャスティクスのダイバージェンスが発生した際には勝率の高いトレードが可能です。
負けない逆張り手法へと近づけるため、水平線・チャートパターン・インジケーターのいずれかを組み合わせて、トレードする条件を厳しくしてみるのも良いでしょう。
リスクリワードに優れた逆張り手法に磨きをかけるため、本記事をお役立ていただけたら幸いです。
作成日
:2023.07.11
最終更新
:2024.01.26
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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