作成日
:2023.05.11
2024.05.29 12:24
押し安値・戻り高値という言葉は知っているものの、「詳しくは知らない」という人も多いのではないでしょうか?押し安値・戻り高値とは、トレンドに逆らった一時的な値動きで付けた高値や安値のことです。
押し安値・戻り高値を上手く捉えることができれば、有利な水準でトレンド相場にエントリーできます。そのため、トレンド相場では、押し安値・戻り高値でのエントリーがセオリーとされています。FXのトレードをする上で重要な考え方なので、どのような高値や安値が押し安値・戻り高値なのかしっかり確認しておきましょう。
まずは押し安値と戻り高値の基準を確認しましょう。
重要なのは、直近の高値や安値をそれぞれ抜けたのかどうかという点です。文章だと分かりづらいので図でみていきましょう。押し安値の例は以下のとおりです。
このように①で価格が直近高値を抜いた場合、②が起点となる押し安値です。同様に戻り高値もみていきましょう。
①で価格が直近安値を抜いた場合、②が起点となる戻り高値となります。実際のチャートで押し安値をみていきましょう。下の画像はEURUSDの4時間足チャートです。
赤矢印が直近高値を抜けた箇所です。黄色ラインを抜けた時点で、緑ラインの水準が押し安値であると判断できます。同様にGBPUSDの1時間足チャートの例です。
このように価格が直近高値を明確に抜いたことで、緑ラインの水準が押し安値になっていたことがわかります。次に、戻り高値を実際のチャートでみてみましょう。
赤矢印が黄色の直近安値を抜けた箇所です。抜けた時点で戻り高値が確定します(緑のライン)。もう1つチャートをみていきましょう。下の画像はUSDJPY4時間足チャートです。
このように押し安値や戻り高値を見つけるには、トレンドに逆らった一時的な値動きで付けた高値・安値を探せば良いのです。
なぜ押し安値・戻り高値を見つけることが重要なのでしょうか。その理由はトレンドの判断に多くのトレーダーが利用するからです。押し安値は上昇トレンド中に発生し、戻り高値は下降トレンド中に形成されます。下の画像は、GBPUSD1時間足チャート上に形成された上昇トレンドです。
直近高値を更新(黄色のライン)しながら上昇し、その都度押し安値(緑のライン)も徐々に上昇しています。USDJPY1時間足チャートで別の例も確認してみましょう。
このように上昇トレンドの場合、高値の更新に追従するように、押し安値も移動していることが分かります。下降トレンドの例も確認しておきましょう。下の画像はNZDUSDの4時間足チャートです。
価格が直近安値(黄色のライン)を更新するごとに、戻り高値(緑のライン)も徐々に下降しています。USDJPYの4時間足チャートで別の例も確認してみましょう。
下降トレンドの場合、直近安値の更新に合わせて、戻り高値も低くなっていきます。
高値を上に更新しつつ、安値が切り上がっている場合は上昇トレンドです。反対に安値を下に更新しつつ、高値が切り下がっている場合は下降トレンドが発生していると判断します。
上記の考え方は、ダウ理論に基づいています。ダウ理論はテクニカル分析の中では古典的な分析手法ですが、現在でも多くのトレーダーに支持されています。押し安値や戻り高値を捉えることができれば、有利な水準でトレンド相場にエントリーできます。そのため、トレンド相場を狙った取引では、押し安値・戻り高値を見極めることが重要なのです。
押し安値や戻り高値は、トレンド相場でのエントリーに利用されています。しかし、トレンドが発生していても、セオリー通りに上昇・下降するとは限りません。むしろ、テクニカル分析の教本で紹介されているような綺麗な値動きで、価格が動くケースは稀です。
どの高値・安値を押し安値や戻り高値と見なすのかはトレーダーによって異なります。実際のチャートには、判断に迷ってしまうような値動きが頻繁に出現します。USDJPYの1時間足チャートを確認してみましょう。
上昇中ということは明確ですが、押し安値を①とするトレーダーいれば、②と判断するトレーダーもいるでしょう。
また、高値や安値をローソク足のヒゲで判断するトレーダーもいれば、実体部分で判断するトレーダーもいます。どちらが正解・不正解ということではありません。大事なことはトレードする際に自分の基準を持つことです。
押し安値・戻り高値の判断は、チャートの時間枠によって変わることもあります。下の画像はAUDUSD15分足のチャートです。赤いラインの部分を確認してみましょう。
15分足チャートでは小さな戻り高値を付けて、下降トレンドが継続していると判断するトレーダーもいるでしょう。1時間足チャートでも下降が続いているように見えます。
4時間足チャートで確認するとさらに長期的な値動きを確認できます。
4時間足チャート上では、下降トレンドというよりは上昇後の調整局面にあるように見えます。15分足チャートだけでは、長期的なトレンドまで把握することはできません。
小さな時間枠のチャートで綺麗な戻りをつけていても、大きな時間枠のチャートではトレンドになっていないケースも多いです。そのため、複数の時間枠のチャートで値動きを観察することも大切です。
デイトレードやスキャルピングのように短時間で小さな値幅を狙う取引では、15分足での値動きを戻り高値と判断して、エントリーを検討することもできるでしょう。しかし、1時間足や4時間足でトレンドを探している場合、赤いラインの部分は有望なエントリーポイントとはいえません。
メインで使用しているチャートの時間枠によって、押し安値・戻り高値の見方も変わってくるのです。
押し安値・戻り高値を見つける方法には、ローソク足の値動きを観察する方法とテクニカル指標を用いる方法があります。テクニカル指標を用いたメジャーな方法をいくつかご紹介しましょう。
1つ目は、移動平均線で判断する方法です。移動平均線は一定期間中の価格の平均をライン状に表示するテクニカル指標で、多くのトレーダーが利用しています。下の画像は、20SMA(20日単純移動平均線)を表示したUSDCADの4時間足のチャートです。
移動平均線は、サポートラインやレジスタンスラインとして機能することがあります。画像では、SMA付近で価格が反転し、押し安値になっていることが分かります(赤矢印)。続いてAUDUSDの4時間足の戻り高値の例です。
上の画像では下降トレンドで、SMAがレジスタンスラインとして機能しています。上部3つの矢印の箇所では価格がSMAと接触した後に価格が下落し、戻り高値を付けています。
レジスタンスライン・サポートラインに価格が反応することがあります。レジスタンスラインとは、上昇した価格が下方転換する水準のことです。一方、サポートラインは下降した価格が上方転換する水準を指します。
直近の高値・安値やチャート上の目立つ高値・安値など、心理的な節目となる水準がレジスタンスラインやサポートラインになるケースが多いです。これらの水準に価格が近づくと新規のエントリー注文が入り、値動きが反転することがあります。
下の画像は、下降トレンドを形成したNZDUSDの4時間足チャートです。
黄色のレジスタンスラインに戻り高値が反応していることが分かります(赤矢印)。レジスタンスライン付近での反転を戻り高値と判断して、ショートでエントリーすれば上手く下降トレンドに乗れたでしょう。
GBPJPYの1時間足チャートで、価格がサポートラインに反応して押し安値を付けた例もご紹介しましょう。
価格がサポートラインに接近した際に、ローソク足の実体部分やヒゲで反応していることが分かります(赤矢印)。サポートライン付近での反転を押し安値と判断して、ロングでエントリーすれば有利な水準で上昇トレンドに乗れたでしょう。
押し安値・戻り高値が一定のラインに何度も反応しているということは、それだけトレーダーに意識されている水準であると考えられます。取引の成功率を高めるには、多くのトレーダーに意識されている水準を見つけ出すことが重要です。
レジスタンスラインやサポートラインは、値動きの節目になりやすい一方で、それまで機能していたレジスタンスラインが完全に上方向にブレイクされると、新たなトレンドが発生する可能性があり、今度はその後の下降を阻むサポートライン(下値支持線)に変化するケースがよく見られます。これをサポレジ(サポートレジスタンス)転換と呼びます。
フィボナッチリトレースメントは、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数列をトレードに利用し、トレンドでの反発や反落のポイントを見極めるテクニカル指標です。
トレンドに逆らった値動きが、どの水準で再びトレンドの方向に反転するのかを予測する方法として広く用いられています。特に23.6%と38.2%、61.8%の水準が重要と考えられています。GBPUSDの1時間足チャートで確認してみましょう。
青矢印のように一気にチャートが下落していった場合、戻り高値を待ってショートエントリーをしたいと考える人も多いでしょう。上の例では赤矢印が示しているように38.2%のところで戻り高値として反応していることが分かります。
続いてはUSDJPYの4時間足チャートで押し安値でのエントリーを狙う例です。
青い矢印の価格まで上昇した後に、価格が反転しています。価格が下落して61.8%で押し安値を付けた後に(赤矢印)上昇しています。このようにフィボナッチリトレースメントは押し安値・戻り高値の判断に利用することも可能です。
先に注意点として解説したように、実際のチャートで押し安値・戻り高値を見極めるのは容易ではありません。テクニカル指標を利用しても、正確に押し安値・戻り高値を捉えられるわけではありません。下の画像はUSDJPYの1時間足チャートです。
価格がレジサポ転換したラインに反応した後、ローソク足が陽線で確定し、MAにも反応して上に動いているため、さらに上昇していく気配があります。しかし、その後のチャートは下の画像のようになりました。
ロングでエントリーしていた場合、四角の部分で損切になっていたでしょう。4時間足を確認すると原因が見えてきます。
矢印の箇所がエントリーポイントです。4時間足ではどちらかといえば下降トレンド気味で、エントリーした水準は1つ前の下降時に付けた小さな戻り高値の水準でした。同水準がレジスタンスラインになり下落したのです。テクニカル指標を用いた分析でも、長期的な値動きを確認する必要があります。
AUDUSDの4時間足チャートで別の例もご紹介しましょう。
サポートラインに反応した押し安値らしきチャートパターンを確認できます。赤矢印の箇所でロングエントリーを仕掛ける人もいるでしょう。しかし、実際のチャートは下の画像のように動きました。
ロングでエントリーしていた場合、一気に下落して四角の部分で損切りされていたでしょう。日足チャートで確認すると、エントリーポイントは赤矢印で示した日足の戻り高値にあたる水準であったことが分かります。
1つの時間足のチャートだけでなく、複数の時間軸のチャートを確認することで危険なトレードをいくらか避けられるでしょう。
FXで結果を出すには、より多くのトレーダーが意識するポイントや水準に注目することが重要です。押し安値・戻り高値は、トレーダーに注目されやすいポイントの一つです。押し安値・戻り高値は、有利なエントリーポイントの見極めや利益確定・損切りにも利用されています。
トレンドを狙って取引する場合は、押し安値・戻り高値がどこにあるのか確認しましょう。また、上位の時間枠にトレンドを阻むサポートラインやレジスタンスラインがないか確認する必要があります。特に初心者トレーダーは、複数の時間枠をチェックするよう心がけましょう。
作成日
:2023.05.11
最終更新
:2024.05.29
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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