作成日
:2023.12.15
2023.12.19 15:57
「マルチタイムフレーム分析」は相場の世界で長く生き残っているトレーダーが当たり前のように活用している分析方法のひとつです。
FXで相場環境を認識するために役立つマルチタイムフレーム分析について、分析例を交えながら、考え方や便利なインジケータの導入方法について解説していきます。
マルチタイムフレーム分析とは、マルチタイムという名の通り複数の時間軸を用いて行うチャート分析方法を指します。頭文字をとって「MTF分析」と表記される場合もあります。
マルチタイムフレーム分析では、多くの場合、長期・中期・短期、3つの時間軸のチャートが使用されます。
一般的に、長期や中期のチャートで取引環境の認識を行い、短期足でエントリータイミングを計ります。
複数の時間足でチャート分析を行う事は、面倒な作業と感じるかもしれません。しかし、マルチタイムフレーム分析によるメリットは多数あります。そこで、主な3つのメリットについて解説します。
一つの時間足だけを見ていると、その時間足では順張りでも、上位足に対しては逆張りになってしまう場合があります。この場合、思ったように利益が伸びなかったり、思わぬ逆行に巻き込まれたりするリスクが伴います。
マルチタイムフレーム分析を行うことで、中長期的なトレンドを把握することができます。一般的に、マーケットでは短期より長期のトレンドのほうが優位性が高いとされています。
そのためマルチタイムフレーム分析を使用し、中長期のトレンドに沿ったトレードを行うことで、短期足だけを見ているトレーダーよりも有利に取引を進めやすくなります。
マルチタイムフレーム分析を行うことで、一つの時間足では見逃してしまうかもしれない、長期にわたり意識されているサポートやレジスタンスといった重要な価格帯を把握しやすくなります。
このような強いサポートやレジスタンスを把握することで取引において予想外の逆行を避けることができます。
スキャルピングやデイトレードといった、比較的保有時間が短いトレード方法でもマルチタイムフレーム分析は欠かさず行うことが大切です。
サポートライン・レジスタンスラインは、価格の値動きにおける上限と下限を示す水平線です。サポートラインは価格下落の局面で反発する価格を表し、レジスタンスラインは価格上昇の局面で抵抗となる価格を表します。
マルチタイムフレーム分析を行うことで、チャートを見る際の視野が広がり目先の値動きに翻弄されにくくなるというメリットがあります。
マルチタイムフレーム分析では、複数の時間足でチャート分析を行うため、相場の全体像やトレンドの方向性を把握することができます。これにより短期的な価格変動に惑わされずトレードシナリオを建てやすくなります。
例えば、デイトレ―ドを行う場合、5分足や15分足のチャートだけではなく、1時間足や4時間足のチャートを分析することで、上位足と下位足のトレンドが一致しているかどうかを判断しやすくなります。順張りでトレードを行うのであれば、下位足と上位足のトレンドが揃うまで待つことができるでしょう。
マルチタイムフレーム分析を上手く活用し、広い視野でチャートを見るよう心がけましょう。
マルチタイムフレーム分析では、基本的に長期足から順に複数の時間足のチャートを分析していきます。実際のチャートをもとに、マルチタイムフレーム分析の流れを確認していきましょう。
週足を見ると、現在のレートは直近安値付近に差し掛かっていることが確認できます。さらに、この価格帯は過去の上昇の際にレジスタンスになっています。このことから、今回の下落に対し強いサポートラインとして機能する可能性があります。
日足では安値を切り下げ続けており、下降トレンドの最中です。しかし、週足のサポートラインが近いため安易に日足の流れに沿ってショートを仕掛けると、反発の上昇に巻き込まれる恐れがあります。
今回の分析では、上位足を確認することで一旦ショートエントリーを見送ることができます。
中期足でも長期足と同じく、移動平均線の傾きや、高値安値の切り上げ・切り下げを確認することで、トレンドの判別を行います。長期と中期が同じ方向を向いているとトレンドが継続、異なる方向を向いている場合は今後トレンドが転換する可能性が考えられます。
また、直近の高値と安値は意識されやすいポイントの一つです。そのため、中期の高値や安値が利確の目標や損切のラインに設定されることが多々あります。参考としてオレンジ丸が高値、青丸が安値を示しています。
ただし、このチャートの場合、長期足の分析において、週足では重要な価格帯に差し掛かっていることが分かっています。直近安値までを利確目標とした順張りのショートか、安値付近からの逆張りでロングを狙うかの2つのシナリオが建てられそうです。
短期足では、上位足の分析をもとにエントリータイミングを計る際に利用されることが多いです。短期足のプライスアクションやローソク足の形状などを参考にするのも効果的でしょう。
今回のチャートでは、長期足は下降傾向であることが見られたので、短期足の高値圏でショートのスキャルピングや、安値をブレイクしてからデイトレードやスイングトレードのタイミングを計るのが良さそうです。
マルチタイムフレーム(MTF)分析を活用することでよりトレードの質を上げることができます。ここでは、マルチタイムフレームを使った相場での立ち回り方法と注意点を解説します。
マルチタイムフレーム分析を使うことで詳細なシナリオを組むことができます。自分がどの時間足に従ってエントリーするか、どうなったらエントリーし、どうなったら決済するかまで事前に決めておきましょう。
例えば、長期足・中期足のトレンドが揃った時にエントリーを検討するとします。その場合、決済の基準を「中期足のトレンドが終了したとき」とあらかじめ立ち回りを決めておきます。
この方法であれば、大きな損失を避けられる可能性が上がり、トレンドが継続する限り利益を伸ばし続けることができます。
このように、あらかじめ立ち回りを決めておくことによって、短期的な値動きに惑わされることなく、一貫したトレードを行いやすくなります。
トレンドの転換は下位足から上位足へと波及していきます。下位足の方がトレンドの転換が早く起こります。下位足のトレンド転換が、必ずしも上位足のトレンド転換につながるわけではありませんが、上位足の転換のきっかけとなる可能性があるので、注視すると良いでしょう。
マルチタイムフレーム分析で複数の時間軸を分析するとしても、FXには様々な時間足があり、その組み合わせ方も様々です。時間足の組み合わせを決めてトレードシナリオを立てた場合、できる限りそのシナリオに従うようにしましょう。
例えば日足、1時間足、15分足を活用してトレードをすると決めた場合は、同一取引中は決めた時間足だけを見るようにします。他の時間足を見てしまうとトレードシナリオが揺らいでしまうことがあるため注意が必要です。
ここではMT5を使用してマルチタイムフレーム分析をする方法を簡単に説明します。
まずはMT5に複数のチャートを表示しましょう。気配値表示の通貨ペアを右クリックして、「チャートウインドウ」を押すことでチャートが表示されます。
チャートを表示したら、画面上メニューの「ウインドウ」から表示したチャートを整列することができます。また左上の「M1〜MN」の表示を選択することで、チャートの時間足を変更できます。
まずは使用したいインディケータを選びます。「表示」から「ナビゲータ」を表示させます。
ナビゲータ内の「指標」をクリックすると「トレンド系」「オシレータ―」等のフォルダが表示されます。これらのフォルダをクリックすることで、使用できるインディケータの一覧を見ることができます。
フォルダはインディケータのジャンルによって分けられています。例えば「Moving Average(移動平均線)」であれば、トレンド系のフォルダ中に入っています。
使用するインディケータが決まったら、次はチャートに導入していきます。例えば「Moving Average(移動平均線)」を導入したい場合は、任意のチャートに「Moving Average」を直接ドラッグ&ドロップします。
チャートにドラッグ&ドロップすると、設定画面が表示されます。「Moving Average」の場合は「期間」「種別」「スタイル(移動平均線の色)」等を好みに合わせて変更することができます。設定完了後「OK」をクリックすればチャート上に「Moving Average」が表示されます。
MT4やMT5では、外部で入手したファイルをインストールすることで、様々な機能を追加することができます。Myforexでは、マルチタイムフレーム分析を補助するためのインジケータとして、2種類の上位足インディケータを提供しています。
上位足インディケータ種類 | 利用可能なテクニカル指標 |
---|---|
トレンド系 | 移動平均線・パラボリックSAR・ボリンジャーバンド |
オシレーター系 | MACD・RSI・ストキャスティクス |
Myforexの上位足インディケータを導入すると、一つのチャートに上位足の移動平均線・パラボリックSAR・ボリンジャーバンド、またはMACD・RSI・ストキャスティクスを表示できます。一枚のチャートでマルチタイムフレーム分析ができることが最大のメリットです。
インディケータは以下のページからダウンロード可能です。
参照: | 上位足インディケータ(トレンド系) | Myforex™(マイフォレックス) |
上位足インディケータ(オシレーター系) | Myforex™(マイフォレックス) |
作成日
:2023.12.15
最終更新
:2023.12.19
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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