作成日
:2021.08.30
2023.06.01 15:40
MetaTrader5(MT5)は、ロシアのMetaQuotes社が開発したMetaTrader4(MT4)の後継版です。動作が早く、テクニカル分析ツールも豊富なため、トレーダーからの評判もよく、取引プラットフォームとして採用するFXブローカーが増加しています。
現在、MT4は新規機能のアップデートも終了しており、エラー修正などのサポートのみが行われています。一方、MT5は定期的にアップデートがおこなわれており、デザインの変更や機能追加が行われています。
XMTrading(エックスエムトレーディング)やExness(エクスネス)といった大手FXブローカーだけでなく、中堅海外FX業者でもMT5を導入する動きが加速しています。
MT4とMT5はどちらも、MetaQuotes社が開発した取引プラットフォームです。MT4が先にリリースされ、MT5はその後継版として2010年にリリースされました。
その使い勝手の良さから、多くの海外FX業者が自社製のプラットフォームではなくMT4やMT5でトレード環境を提供しています。
MT4とMT5には以下のような違いが存在します。
MT4とMT5の大きな違いは、最新版であるMT5が取引機能面を大きく向上させていることです。
とりわけ、動作スピードは改善された点といえるでしょう。2005年に開発されたMT4は開発に当時主流だったメモリ数32bitのプロセッサビットを使用していました。一方のMT5は64bitとMT4より大きなメモリを使うので、処理の効率性が高まり動作スピードも向上しています。
また、MT5では価格チャートを補助する「インディケータ」「オブジェクト」「表示できる時間足」の種類も増加しています。これにより価格チャート表示の柔軟性が増し、対応できるシーンが増えたこともMT5の特徴です。
取引をサポートする外部ツールの豊富さはMT4に軍配が上がります。具体的には、カスタムインディケータや自動売買を行うエキスパートアドバイザ(EA)などの外部ツールはMT4のほうが断然多いのです。
MT4やMT5では、プログラミング知識があれば、ユーザーがオリジナルのツールを作成して、インストールすることが可能です。
過去に様々な投資家がMT4用の外部ツールを多数開発してきたこともあり、豊富なツールを使用することができます。一方で、MT5は比較的歴史が浅いため、徐々に増えてきてはいますが、まだ入手できるツールの数は限られています。
2005年にリリースされたMT4は、後継であるMT5が2010年にリリースされてもなお現役で使用されているプラットフォームです。
元々FX取引用に設計されたMT4は、多機能やユーザビリティが評価され多くのトレーダーに定着しました。しかし、MT4の完成度があまりに高かったがゆえに、業界全体が移行しきれていないのが現状です。
元々MetaQuotes社はMT5登場後にMT4のサポートを打ち切り、MT5の普及を促進させる予定でした。しかし、その計画はあまりうまくいかず、MT4のサポートは復活しています。
その結果、MetaTraderシリーズは10年以上2つのバージョンが現役で両立しているという不思議な状況となっています。
MT5を利用するメリットは以下の通りです。
前述の通り、MT5はMT4よりも動作速度が速いというメリットがあります。元々MT4も軽いソフトウェアでしたから、通常の使用であればあまり差を感じることはないのですが、複雑なカスタムインディケータを使用する際などには、明確な違いを感じることができます。
また、エキスパートアドバイザ(EA)を使う方でしたら、MT5のバックテスト実行速度のスピードにもメリットを感じるはずです。MT5では、より最適化されたMQL5というプログラム言語を使用しますので、実行されるバックテストは、精度が高く短時間で完了します。
MT5には、標準搭載されているインディケータが多いというメリットがあります。
従来のMT4が31種類のテクニカルインディケータが使用できたことに対して、MT5は40種類と大幅に増えています。
MT4・MT5では以下の4種類のテクニカルインディケータを使用可能ですが、MT5はMT4と比較して、1種類につき2~3個程度テクニカルインディケータが多く備わっています。
各テクニカルインディケータと特徴は、こちらの表でご確認ください。
種類 | 特徴 |
---|---|
トレンド系 | 相場の方向性を把握できる |
オシレーター系 | 「売られすぎ」or「買われすぎ」を判断できる |
ボリューム系 | 取引量を用いて分析を行う |
ビル・ウィリアムズ系 | 投資家ビル・ウィリアムズが開発したオリジナルインディケータ |
表示することが可能な「オブジェクト」の数もMT5の方が多くあります。オブジェクトとは、価格チャートに重ねて表示するラインや図形のことで、価格のトレンドやボックスを視覚的に把握したり、文字で相場状況をメモしたりなど、様々な形で利用できます。
MT5ではオブジェクトが30種類から38種類と増えていますので、価格チャートに対してできることが多くなっています。
具体的にはMT5で下記のような機能が追加されています。
MT5は、MT4と比較して表示できる時間足の種類が多いというメリットがあります。
価格チャートは一定の時間軸でくくられた「時間足」によって構成されますが、この時間足の種類が多いことによって投資判断に柔軟性が生まれます。
多くのトレーダーは複数の時間足を見てエントリーポイントを決定しますので、時間足が多いことはその分判断基準を増やせるためです。
MT4で表示できる時間足が9種類に対して、MT5では21種類の時間足を表示できます。新しく下記の時間足が追加されました。
MT4で表示できる時間足が9種類に対して、MT5では21種類の時間足を表示できます。新しく追加された時間足については、こちらの表をご確認ください。
分足 | 2分足、3分足、4分足、6分足、10分足、12分足、20分足 |
---|---|
時間足 | 2時間足、3時間足、6時間足、8時間足、12時間足 |
MT5は、板情報機能が標準搭載されています。
MT4でもカスタムインディケータによって板情報は使えましたが、外部性ツールでスピードが遅いため実用性には欠けていました。MT5では実用的な板情報によって、「価格と価格毎に約定可能な取引数量のリスト(板)」を見ることが可能になりました。
ただし、現時点では板情報を見られるブローカーは非常に限られているほか、FX銘柄の場合はそのブローカー内での取引数量が表示されるのみなので、板情報を実際のトレードの参考にすることは難しいでしょう。
日本語対応のFXブローカーの中にはほとんどありませんが、株式銘柄などでMT5から直接市場に発注を行っているブローカーで主に使用されている機能です。
なお、板情報機能では、ティックチャートと売買ボタンが表示されるため、スキャルピングツールとしても利用可能です。
MT5はアップデートが継続的に行われています。デザイン変更やサーバースピードのアップといったアップデートもあれば、新機能の追加といった大きなアップデートもあります。
MyforexではMT5のリリースごとにリリース内容の紹介をしています。最新のアップデート情報は以下のリンクからご覧いただけます。
ここまで基本的なシステムは、MT4からMT5で大きく改良されたことを見てきました。
その一方で、MT5には以下のようなデメリットが存在します。
MT5は、MT4と比較してカスタムインディケータが少ないことがデメリットです。
カスタムインディケータは、MetaQuotes社が提供しているものではなく、プログラミング言語を用いて利用者が作成するものです。MT4とプログラム言語が異なるため、新しくMT5用の言語を習得しようとする人が少なく、まだあまり活発に作成されていません。
プログラミング言語を学ぶための日本語の資料がそもそも少ないこともあり、日本語で作成されたカスタムインディケータは特に少ないのが現状です。
お気に入りのカスタムインディケータを継続して使用できないことから、MT5に移行しないトレーダーもいます。
また、MT5では自動売買ソフトであるエキスパートアドバイザ(EA)の種類もあまり多くありません。
カスタムインディケータ同様に、互換性の問題から企業や個人があまり開発を行っていないからです。
無料有料問わずMT4では多くの自動売買ソフトが使用可能だったので、それが使えないということはデメリットと言えるでしょう。
MT5が2010年にリリースされて早10年ですが、ようやくMT5への本格移行の兆しが出てきています。大手海外FX業者が続々とMT5を導入し始め、業界全体で追従する流れが来ているためです。
MT5での取引に慣れたトレーダーが他の海外FX業者に乗り換えるとなった場合、MT5に非対応ですと顧客を逃してしまう可能性が高まります。
また、海外FX業者が仮にMT4のサポートが打ち切りとなれば、大きな損失になるため、MT5を導入する潮流になってきているのです。
動作速度が速くチャートの機能も多いMT5は、多くのユーザーから好評を受けています。
MT4と比較してカスタムインディケータやエキスパートアドバイザ(EA)といった無料ツールの恩恵を受けることはできませんが、基本的な性能が向上した快適さにメリットを感じているようです。
また、インディケータやエキスパートアドバイザ(EA)が少ないというメリットも今後MT5が主流になれば改善される可能性は高くあります。ユーザーの増加によって売り上げの目途が立てば、徐々に開発も増えていくと予想されるためです。
2020年に近づくあたりから、大手海外FX業者がMT5を続々と導入しています。
現在は、下記のような大手の海外FX業者は全てMT5に対応しているほか、中堅業者にも導入が広がっています。
大手海外FX業者のMT5導入が増えれば増えるほど、他の海外FX業者も導入を考えなければならなくなります。
また、直近に創立されたFXGT(エフエックスジーティー)では、そもそものMT4に対応していません。取引は全てMT5で行うようになっており、新しい海外FX業者はMT5を導入するのが基本となっています。
今後も、MT5導入の流れが続いていくと予想されます。将来的には、MT5の導入が標準となる可能性が高いでしょう。今後の各社の対応に注目です。
作成日
:2021.08.30
最終更新
:2023.06.01
FXトレード歴7年で、海外FX業者の利用経験が豊富。テクニカル分析を用いた短期トレードが得意で、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)を取得。テクニカル分析からFX業者比較まで、FX関連の幅広い記事の執筆を行う。
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