Select Language

イーサリアムのシャーディング|2023年中の実装が期待されるプロト・ダンクシャーディングを解説

イーサリアムのシャーディング|2023年中の実装が期待されるプロト・ダンクシャーディングを解説

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2024.03.09 18:36
イーサリアムのシャーディング|2023年中の実装が期待されるプロト・ダンクシャーディングを解説

update 2024.03.09 18:36

シャーディングとは、ブロックチェーンの性能を向上させる技術です。イーサリアム(ETH)は次期大型アップグレードのデンクン(Dencun)で、2023年中のプロト・ダンクシャーディング実装を計画します。

当記事ではシャーディングを外観した上で、イーサリアム独自のプロト・ダンクシャーディングについて解説していきます。

イーサリアムがシャーディングを採用予定

2023年6月8日、イーサリアムの開発者会議で、次期大型アップグレードのデンクン(Dencun)に盛り込まれるEIP(イーサリアム改善提案)がリストアップされました。

point デンクンとは

デンクンは、実行レイヤーのアップグレード「カンクン(Cancun)」とコンセンサスレイヤーのアップグレード「デネブ(Deneb)」の2つで構成されます。2023年後半に実装される見込みです。

その中のEIP-4844で、プロト・ダンクシャーディング(Proto-Danksharding)の実装が提案されています。

シャーディングとは

シャーディングとは、データベースで利用される技術です。大量のデータを効率よく処理するために、データベースを分割して並列処理します。

いくつかのブロックチェーンは、そこから着想を得てシャーディングを採用しています。シャーディングを実装すると、スケーラビリティ問題が緩和されると考えられます。

point スケーラビリティ問題

スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーンの処理能力に起因する障害です。ブロックチェーンにトランザクションが集中すると、取引の遅延や手数料の高騰などが発生します。ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンは、慢性的にスケーラビリティ問題に悩まされています。

ブロックチェーンのシャーディングは、ネットワークをシャードと呼ばれる単位に分割して並列処理します。

シャーディングのイメージ

各シャードは、グループ分けされたノードによって構成されます。これらのノードは、割り当てられたシャード内のトランザクションを検証します。

その結果はひとつに統合され、最終的に元の形でブロックチェーンに記録されます。

イーサリアムのシャーディングは特殊

イーサリアムは特殊なシャーディングを採用しており、ブロックを分割するのでなく多数のレイヤー2を活用します。

レイヤー2からのデータを効率よく検証する手段として、グループ分けされたバリデータによるサンプリングチェックを行います。

point バリデータ

バリデータは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)のブロックチェーンにおいて、トランザクションの承認などブロックチェーンの維持のために活動します。

イーサリアムは、この方法を「データシャーディング」と呼んでいます。

シャーディング導入はいつ?

イーサリアムのシャーディング導入はデンクンによって実現する見込みで、2023年中の実施が目標となっています。

デンクンに盛り込まれるEIP-4844でプロト・ダンクシャーディングの実装が提案されており、開発プロセスが進んでいます。

シャーディング導入でガス代はどうなる?

イーサリアムはガス代が高くなりがちで、ブロックチェーンの利用状況によって高騰します。

イーサリアムのガス代チャート

画像引用:ycharts

当記事執筆時点(2023年7月17日)でガス代は20Gwei程度であり、およそ1,000円です。ガス代が高騰すれば、ユーザーの負担が大きくなります。

knowledge 取引手数料の計算方法

取引手数料は「Gwei x Gas Limit」で求められます。Gweiはガス代の単位で、1gwei=0.000000001ETHです。Gas Limitは、ユーザー自身が自由に設定するガス代の上限です。

シャーディングが実装されれば、ガス代が大幅に削減される見込みです。

プロト・ダンクシャーディングは、イーサリアムのガス代を直接的に削減するものではありませんが、レイヤー2からイーサリアムへのデータ転送にかかる手数料を100分の1に削減すると期待されています。

point レイヤー2

多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。

レイヤー2

プロト・ダンクシャーディングが実現すると、オプティミズム(OP)やポリゴン(MATIC)、アービトラム(ARB)などのレイヤー2がより使いやすくなると考えられます。

プロト・ダンクシャーディングとは

プロト・ダンクシャーディングは、イーサリアム開発者のProtolambda氏 と Dankrad Feist氏に由来する技術で、ダンクシャーディングを実現する前段階の技術として位置付けられています。

レイヤー2のトランザクションを安価に実行するのを目的としています。

プロト・ダンクシャーディングが必要な理由

イーサリアムコミュニティは、レイヤー2がスケーラビリティ問題を解決する鍵だと考え、プロト・ダンクシャーディングの実装でより良い利用環境の構築を目指しています。

レイヤー2は、ロールアップを用いてイーサリアムの負荷を軽減します。具体的には、外部でトランザクションを処理し、その結果をイーサリアムに書き込みます。

point ロールアップ

ロールアップはトランザクションの実行を外部ネットワークで行う技術であり、処理速度の向上やガス代の低下などを実現します。ロールアップには様々な種類がありますが、昨今注目を集めているのは、zkEVMを利用したzkロールアップです。

レイヤー2による書き込みには、コールデータが利用されます。コールデータは、スマートコントラクトなどに利用されるデータ転送方式です。

競合のブロックチェーンに対抗して手数料を削減する上で、コールデータには改善の余地があります。

プロト・ダンクシャーディングは、より効率的なデータ転送を可能とし、スケーラビリティ問題の解決に貢献します。

Blob採用で安価なデータ転送を実現

プロト・ダンクシャーディングは、新しく「Blob」と呼ばれるデータ転送方式を導入します。

Blobは、コールデータと同じく、レイヤー2で処理されたトランザクションをイーサリアムに書き込むために利用されます。Blobは、コールデータよりも、容量が大きく、安価にデータを転送できます。

また、Blobは1か月から3か月の間で自動的に消去されるようになっています。ブロックチェーン全体で大量のデータを保管する負荷を軽減し、レイヤー2の利用コスト低減を可能にします。

ダンクシャーディングでの完成形

ダンクシャーディングは、2023年から更に数年間の開発が必要とされています。完全なダンクシャーディングが実現すれば、イーサリアムは、1秒間に10万回のトランザクションを実行可能となります。

ダンクシャーディングは、プロト・ダンクシャーディングのシステムを64対に拡張します。そして、それぞれのBlobはデータ可用性サンプリングによって検証されます。

データ可用性サンプリングは、グループ化されたバリデータによって実行されます。Blob全てのデータを全て読み込む必要がなく、ランダムに選ばれたデータのサンプルチェックだけで済むので効率的です。

エコシステム発展の礎となるか

イーサリアムは、慢性的なスケーラビリティ問題に悩まされてきました。DAppプラットフォームとして仮想通貨(暗号資産)市場最大のエコシステムを誇るものの、ガス代の高さから利用を避けるユーザーも少なくありません。

レイヤー2の開発が活発となり、利用環境が整いつつありますが、プロト・ダンクシャーディングは更なるエコシステム発展の礎となるでしょうか。


Date

作成日

2023.07.20

Update

最終更新

2024.03.09

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

XMTradingがおみくじプロモ2025を実施!総額1,000万円越えのキャンペーン

海外FX業者XMTradingは、1月2日~1月31日までの期間限定で「おみくじプロモ2025」を実施すると発表しました。賞金総額は1,000万円以上であり、抽選で100名に最大75万円の現金がキャッシュバックされます。
update2025.01.06 19:00

MT4のバックテストに正確なヒストリカルデータが必須!無料・有料データを比較

MT4でバックテストをする際にはヒストリカルデータの取得が必要です。ヒストリカルデータは無料と有料のものがありますが、どっちがいいのか、気になる人もいるでしょう。本記事では、ヒストリカルデータのダウンロード方法を詳しく解説します。
update2025.03.26 19:30

XMTradingが賞金総額12万ドル以上のTrade&Winプロモを開催!

XMTradingが賞金総額12万ドルのTrade&Winプロモを開催することを発表しました。プロモーションの期間は約1ヶ月で、対象期間中に一定量の取引を行うと、抽選券を獲得できます。当選者には賞金のほか、副賞が授与されます。
update2025.03.06 19:00

Milton Marketsが2月の1万円FXチャレンジとXリポストキャンペーンを開催!

Milton Marketsで、2月の1万円チャレンジが開催されます。この記事では、開催期間や上位入賞の条件、これまでの1万円チャレンジと変わった点などを解説します。
update2025.02.13 19:30

BigBossがナンバーレス・カードレスクレジットカードに対応

海外FX業者のBigBossが2024年1月19日よりナンバーレス・カードレスタイプのクレジットカードに対応したことを発表しました。ナンバーレス・カードレスでも通常のクレジットカードと同じように利用できます。
update2025.02.18 19:15

Titan FX が2月のデモトレードコンテストを開催!賞金最大30万円

海外FX業者のTitan FXが、「 2月トレードコンテスト」を2月10日から開催することを発表しました。コンテストでは専用のデモ口座を使用するため、自己資金をリスクにさらすことなく参加できます。上位入賞者には賞金も贈られます。
update2025.02.06 19:30

FXGTが7,500円キャッシュバックキャンペーンを開催中!

海外FX業者のFXGTが、キャッシュバックキャンペーンを開催中です。入金後、1GTロット以上の取引を行うと7,500円がキャッシュバックされます。キャッシュバックと100%入金ボーナスをまとめて受け取ることもできます。
update2025.02.21 19:00

XMTradingが早春100%ボーナスプロモを開催!

海外FX業者のXMTradingが2025年2月4日から2月28日の間、早春100%ボーナスプロモを開催することを発表しました。キャンペーン期間中に対象口座へ入金すると、100%の入金ボーナスが付与されます。新規・既存ユーザーの両方が対象です。
update2025.02.04 19:00

MYFX Marketsがキャッシュバック・入金ボーナスキャンペーンを開催

海外FX業者のMYFX Marketsが、キャッシュバック・入金ボーナスキャンペーンを開催することを発表しました。今回のキャンペーンは、2,000円のキャッシュバックに加えて、条件の達成度に応じて50%・100%入金ボーナスも付与されます。
update2025.02.27 19:00

ワールドコインのOrb(オーブ)の日本設置場所は?無料配布を受けられる登録会場の予約方法も解説

ワールドコインのOrb(オーブ)で生体認証を行うことで、仮想通貨WLDを無料で受け取れます。当記事では、ワールドコインの日本国内のオーブ設置場所、探し方、予約方法などを解説します。
update2025.03.21 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル