作成日
:2023.07.20
2024.03.09 18:36
シャーディングとは、ブロックチェーンの性能を向上させる技術です。イーサリアム(ETH)は次期大型アップグレードのデンクン(Dencun)で、2023年中のプロト・ダンクシャーディング実装を計画します。
当記事ではシャーディングを外観した上で、イーサリアム独自のプロト・ダンクシャーディングについて解説していきます。
2023年6月8日、イーサリアムの開発者会議で、次期大型アップグレードのデンクン(Dencun)に盛り込まれるEIP(イーサリアム改善提案)がリストアップされました。
デンクンは、実行レイヤーのアップグレード「カンクン(Cancun)」とコンセンサスレイヤーのアップグレード「デネブ(Deneb)」の2つで構成されます。2023年後半に実装される見込みです。
その中のEIP-4844で、プロト・ダンクシャーディング(Proto-Danksharding)の実装が提案されています。
シャーディングとは、データベースで利用される技術です。大量のデータを効率よく処理するために、データベースを分割して並列処理します。
いくつかのブロックチェーンは、そこから着想を得てシャーディングを採用しています。シャーディングを実装すると、スケーラビリティ問題が緩和されると考えられます。
スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーンの処理能力に起因する障害です。ブロックチェーンにトランザクションが集中すると、取引の遅延や手数料の高騰などが発生します。ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンは、慢性的にスケーラビリティ問題に悩まされています。
ブロックチェーンのシャーディングは、ネットワークをシャードと呼ばれる単位に分割して並列処理します。
各シャードは、グループ分けされたノードによって構成されます。これらのノードは、割り当てられたシャード内のトランザクションを検証します。
その結果はひとつに統合され、最終的に元の形でブロックチェーンに記録されます。
イーサリアムは特殊なシャーディングを採用しており、ブロックを分割するのでなく多数のレイヤー2を活用します。
レイヤー2からのデータを効率よく検証する手段として、グループ分けされたバリデータによるサンプリングチェックを行います。
バリデータは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)のブロックチェーンにおいて、トランザクションの承認などブロックチェーンの維持のために活動します。
イーサリアムは、この方法を「データシャーディング」と呼んでいます。
イーサリアムのシャーディング導入はデンクンによって実現する見込みで、2023年中の実施が目標となっています。
デンクンに盛り込まれるEIP-4844でプロト・ダンクシャーディングの実装が提案されており、開発プロセスが進んでいます。
イーサリアムはガス代が高くなりがちで、ブロックチェーンの利用状況によって高騰します。
画像引用:ycharts
当記事執筆時点(2023年7月17日)でガス代は20Gwei程度であり、およそ1,000円です。ガス代が高騰すれば、ユーザーの負担が大きくなります。
取引手数料は「Gwei x Gas Limit」で求められます。Gweiはガス代の単位で、1gwei=0.000000001ETHです。Gas Limitは、ユーザー自身が自由に設定するガス代の上限です。
シャーディングが実装されれば、ガス代が大幅に削減される見込みです。
プロト・ダンクシャーディングは、イーサリアムのガス代を直接的に削減するものではありませんが、レイヤー2からイーサリアムへのデータ転送にかかる手数料を100分の1に削減すると期待されています。
多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。
プロト・ダンクシャーディングが実現すると、オプティミズム(OP)やポリゴン(MATIC)、アービトラム(ARB)などのレイヤー2がより使いやすくなると考えられます。
プロト・ダンクシャーディングは、イーサリアム開発者のProtolambda氏 と Dankrad Feist氏に由来する技術で、ダンクシャーディングを実現する前段階の技術として位置付けられています。
レイヤー2のトランザクションを安価に実行するのを目的としています。
イーサリアムコミュニティは、レイヤー2がスケーラビリティ問題を解決する鍵だと考え、プロト・ダンクシャーディングの実装でより良い利用環境の構築を目指しています。
レイヤー2は、ロールアップを用いてイーサリアムの負荷を軽減します。具体的には、外部でトランザクションを処理し、その結果をイーサリアムに書き込みます。
ロールアップはトランザクションの実行を外部ネットワークで行う技術であり、処理速度の向上やガス代の低下などを実現します。ロールアップには様々な種類がありますが、昨今注目を集めているのは、zkEVMを利用したzkロールアップです。
レイヤー2による書き込みには、コールデータが利用されます。コールデータは、スマートコントラクトなどに利用されるデータ転送方式です。
競合のブロックチェーンに対抗して手数料を削減する上で、コールデータには改善の余地があります。
プロト・ダンクシャーディングは、より効率的なデータ転送を可能とし、スケーラビリティ問題の解決に貢献します。
プロト・ダンクシャーディングは、新しく「Blob」と呼ばれるデータ転送方式を導入します。
Blobは、コールデータと同じく、レイヤー2で処理されたトランザクションをイーサリアムに書き込むために利用されます。Blobは、コールデータよりも、容量が大きく、安価にデータを転送できます。
また、Blobは1か月から3か月の間で自動的に消去されるようになっています。ブロックチェーン全体で大量のデータを保管する負荷を軽減し、レイヤー2の利用コスト低減を可能にします。
ダンクシャーディングは、2023年から更に数年間の開発が必要とされています。完全なダンクシャーディングが実現すれば、イーサリアムは、1秒間に10万回のトランザクションを実行可能となります。
ダンクシャーディングは、プロト・ダンクシャーディングのシステムを64対に拡張します。そして、それぞれのBlobはデータ可用性サンプリングによって検証されます。
データ可用性サンプリングは、グループ化されたバリデータによって実行されます。Blob全てのデータを全て読み込む必要がなく、ランダムに選ばれたデータのサンプルチェックだけで済むので効率的です。
イーサリアムは、慢性的なスケーラビリティ問題に悩まされてきました。DAppプラットフォームとして仮想通貨(暗号資産)市場最大のエコシステムを誇るものの、ガス代の高さから利用を避けるユーザーも少なくありません。
レイヤー2の開発が活発となり、利用環境が整いつつありますが、プロト・ダンクシャーディングは更なるエコシステム発展の礎となるでしょうか。
作成日
:2023.07.20
最終更新
:2024.03.09
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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