作成日
:2023.04.10
2023.04.10 10:26
2023年4月のポンド相場は、世界的な金融不安と英国の物価の動向に注目です。
ポンド円はリスクムード次第!
4月の円相場は、リスクオフによる円高がどこまで進むのか、そして植田日銀総裁誕生で日銀の政策スタンスに変更があるのかの2点に注目です。
米国では、SVB破綻の影響で中小地銀を中心に取り付け騒ぎが広がり、リスクオフの影響は英欧にまで広がりました。またUBSに買収されたクレディスイスが発行していたAT1債(劣後債)が無価値になったことで、世界的に債権に対する不安が広がり、金融不安によるリスクオフが進みました。
米当局は、このような金融不安を受けて全預金を保護することを発表しました。また欧州や英国でも、中銀や政府が金融安定化に向けて動いています。そして主要6中銀(FRB・ECB・日銀・BOE・カナダ中銀・スイス国立銀行)は金融安定化のため、4月末までオペの回数を週1回から毎営業日に拡充することなどを発表しています。
市場では、日々発表される材料によって値動きが左右される展開が続いており、このような金融不安が消費意欲の低下や経済の後退につながる恐れもあります。したがって、今後はリスクオフによる円買いが優勢になると考えています。
さらに4月は黒田日銀総裁が任期満了となり、植田日銀総裁のもと新たな日銀がスタートします。現在は以前の政策スタンスを引き継ぐと考えられます。しかし緩和政策を終了し、金融正常化の方向に政策スタンスを変更する可能性も考えられるため、政策の変更が円高要因になるのではないかと注目しています。
したがって底堅いポンド以上に円買いが強くなる可能性が高く、ポンド円は下落方向へ向かう可能性が高いと予想しています。
円高を念頭に置いておきましょう。
3月末時点におけるポンド円日足チャートです。3月のポンド円は、はっきりとした方向感が出ず、調整局面が続いています。
画像引用:Tradingview
画像引用:Tradingview
ドル安が進み、ポンドドルは上昇するとみています。
FRB(連邦準備制度理事会)は、インフレーションの抑制を優先してハイペースで利上げを進めてきました。その結果、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)のドットチャートから予想されるターミナルレート(利上げの終了水準)は、5.1%となっていました。
さらに、その後発表された雇用統計やCPI(消費者物価指数)などの経済指標の結果が予想以上であったことから、ターミナルレートは6%付近まで一時上昇しました。
しかし、3月のFOMCを目前に、SVB破綻の影響によって金融不安が広がったことから、ターミナルレート予想は一気に低下しました。その結果、3月のFOMCで発表されたドットチャートから予想されるターミナルレートは5.1%と、12月FOMCから据え置きとなっています。
パウエルFRB議長が記者会見で年内利下げを否定したこと、3月のFOMCで発表されたドットチャートから予想されるターミナルレートが据え置きであることを考えると、5月のFOMCで実施される0.25%の利上げを最後に利上げが終了すると考えられます。
ただし、FRBのドットチャートによる金利予想と、市場が織り込んでいる金利予想には乖離があることには注意が必要です。
FF金利先物の価格などから金利動向を予想するCMEのFedWatchによると、5月のFOMCでは金利を据え置き、年内に1〜2回の利下げを行うことを織り込み始めています。市場は、金融不安の広がりや消費者の消費意欲の低下により景気の後退が進むことで、利下げが今後実施されると予想しているようです。
過去に市場価格への織り込みを主導として、FRBが利下げに動いたことがあります。そのため、市場が据え置きや年内の利下げの織り込みを今後進めた場合、FRBがマーケットの意図に沿うような形になる可能性があると考えられます。
また金融不安がさらに広がった場合、量的緩和政策(QE)と同様の、流動性を確保するためのオペを主要6中銀は実施すると発表しています。オペにより市場にドルが供給されると、市場に流通するドルの量が増え、ドル安が進むと予想できます。
したがって、4月は底堅いポンドに対してドル安が進むことで、ポンドドルは上昇する可能性が高いと考えています。
利上げ水準に注目です。
3月末時点での、ポンドドルの日足チャートです。ポンドドルは、上昇トレンドを描いています。
画像引用:Tradingview
しっかり下に引きつけて買うようにしてください。
画像引用:Tradingview
4月のポンドは追加利上げが期待され、ポンドが底堅く推移すると予想しています。ポイントは人手不足とインフレーションです。
英国はEUから離脱したことで、人手不足と人件費高騰が問題となっています。EUに加盟していた頃、英国の平均賃金は欧州に比べて高く、英国の一次産業や流通・運搬業務などで欧州から多くの出稼ぎ労働者が従事していました。
しかし英国がEUから離脱し、自由に英国へ移動できなくなったことで、出稼ぎ労働者の数が減り、一次産業や流通・運搬業務を中心に人手不足が広がり、人件費も高騰しています。
3月14日に発表された雇用統計では、市場予想よりも高い失業率となり、人手不足が進んでいることがわかります。ただし、平均賃金に関しては、前回値よりも上昇が鈍化していることから、人件費の上昇は解消されつつあるようです。
このように人手不足と人件費高騰は、英国の根強い問題となっているのです。英政府は就労ビザの緩和や所得税の緩和などの緩和政策を進めていますが、人手不足や人件費高騰の問題をどこまで解消できるのか、疑問が残っている状況です。
人件費の高騰が物価高の原因にもなっていることから、3月14日の雇用統計で人件費の上昇の解消がみられたことで、インフレ率が鈍化することが期待されていました。しかし3月22日に発表されたCPIは、市場予想と前回値ともに上回る結果となり、前年比と比べて10.4%上昇と、米国、英国、欧州の中で最も高い上昇率となりました。
CPIが前回値を上回る結果となったことは、BOEが利上げを進めているにもかかわらず、インフレーションが進んでいるという証拠です。ここで利上げを停止すると、さらにインフレーションが加速する可能性が出てくるため、BOEは追加利上げを進めていくと期待されています。
スナク英首相とフォン・デア・ライエン欧州委員長の間で、北アイルランド議定書に対する合意の報道がありました。合意により、長く対立していたアイルランドと北アイルランドの国境問題に終止符が打たれるのではないかと期待されており、ポンドに対するポジティブな要因となっています。
また、コロナなどで悪化した財政を健全化させるため、英政府は緊縮財政を進めています。しかし今のところ緊縮財政の影響は抑えられており、健全なGDPの数値が確認されています。
積極的にポンドを買える状況ではありませんが、追加利上げ期待などからポンドは底堅く推移すると考えています。
作成日
:2023.04.10
最終更新
:2023.04.10
英ポンドを中心にトレードを行う大学生トレーダーで、2021年の合計利益は4,000万円にのぼる。公式Twitterでもテクニカル分析等の情報発信を行い、フォロワー数は5,000人以上。ファンダメンタル分析とテクニカル分析を組み合わせた手法を用い、Myforexでは月初にポンド通貨ペアの戦略を連載している。
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