作成日
:2021.07.16
量的緩和政策とは、中央銀行が市中に供給する資金の量を増やし、金融市場の安定や景気の底上げを図る金融政策のことです。英語では「Quantitative Easing」といい、QEという略語がよく用いられます。
日本では、「ゼロ金利政策」を導入しても景気回復が進まなかったことから、2001年3月に「量的緩和政策」が開始されました。市中銀行が日本銀行に開いている当座預金口座残高の合計額を5兆円とする目標を設定し、金融機関から国債等を買い入れ、資金を大量供給したのです。その目標額は、一時は30~35兆円程度まで増加しました。
量的緩和政策により、日銀当座預金口座残高は増加しましたが、企業や個人の預金残高が増えたわけではありません。世の中に出回るお金の量は、銀行が新規に貸し出さないことには増えないので、日銀が直接操作することはできないのです。量的緩和の効果は、あくまでも銀行の「貸し出し態度」への働きかけにとどまる弱いもので、実体経済に効果を及ぼすまでには長い時間がかかりました。
量的緩和政策を導入したのは日銀だけではなく、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)なども実施しています。また、インドやタイ、韓国、チリ、メキシコといった新興国にも、量的緩和政策採用の動きが広まっています。
量的緩和政策によって景気が上向いていけば、今度は量的緩和政策からの離脱が進められていくことになります。資産縮小を意味する「テーパリング」という言葉が聞かれるようになると、金融引き締め警戒から金融市場は動揺しやすくなります。個人投資家は下落リスクに警戒が必要です。
作成日
:2021.07.16
最終更新
:2024.11.15
2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。
山田 大護 | Daigo Yamada
弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)
1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。
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