作成日
:2023.01.01
2023.01.16 14:40
2023年1月のポンド相場は、対円や対ユーロ相場と、対ドル相場で展開の見方が変わります。
1月のポンド相場を見通すために、まずは12月の金融政策発表の振り返りをします!
12月15日に発表された英・欧・米の金融政策発表で、各中央銀行の金融政策に違いが出てきました。この違いが、1月以降の為替市場に大きな影響を与えると予想されます。
FRB(連邦準備制度理事会)は、米国の底堅い経済を背景として物価抑制のための利上げを続けてきました。12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、利上げ幅を縮小したものの、物価高は粘着質であることと底堅い景気から、利上げを今後も継続すると発表しました。
さらにターミナルレート(利上げの最終水準)は、マーケットが考えているよりも高水準になると、タカ派的な発言も出てきています。
ECB(欧州中央銀行)は、12月の欧州中央銀行理事会で利上げ幅を縮小しました。ただ記者会見では、物価高が10%を超えていることから、利上げを今後も継続することを強調し、次回以降も0.5%の利上げを示唆するなど、タカ派的な内容を発表しました。
BOE(イングランド銀行)は、欧米が利上げ幅を縮小したのに対して、市場予想通り0.5%の利上げを実施しました。しかし英中銀の金融政策を決定する9名のメンバーのうち、2名が金利据え置きを選択しました。
金融政策発表の前日に、10%を超える高水準の物価高が発表されていたことから、0.5%の利上げは確実とされていました。このような予想に反した据え置きというハト派の判断はサプライズと受け止められています。
なぜBOEだけハト派の意見が見られたのかがポイントです。
FRBやECBは、物価高の抑制に集中しており、そのための引き締め政策を進めています。それに対してBOEは、物価高の抑制だけに集中して引き締め政策を進めることができない要因があります。
過去にトラス前首相が減税政策を発表したことにより、英国の財政信用が失墜し、金融市場でポンド売りが進んだことで、トラス前首相は辞任に追い込まれることとなりました。その結果、後を引き継いだスナク首相は、緊縮財政政策を発表するしかない状況です。英国ではスナク政権が既に財政政策により経済にブレーキを踏んでいる状況なので、BOEは積極的に利上げできなかったと考えられます。
緊縮財政をすすめることで、景気後退にどれほど繋がるのかによって今後のBOEがタカ派に振れるのか、ハト派に振れるのかが決まってくるでしょう。物価や景気、物価高の要因の一つである人件費に関する1月の経済指標の結果次第で、マーケットでハト派、タカ派の思惑が進み、ポンドの買いや売りが進む可能性があります。
また、経済指標の結果と併せて、ECBの要人発言にも注目です。金利据え置き支持が2名いただけに、次回の金融政策発表で、政策決定メンバーのどの程度タカ派が増えるのか、それともハト派が増えるのか、今後の流れから目が離せません。
1月のポンドは、2月の政策発表に向けて経済指標と発言に注目!
ポンドは上値が重く、円買いが出てくると予想されます。
日本銀行(日銀)の金融正常化観測による円高圧力と、タカ派になれないBOE(イングランド銀行)によるポンド安により、ポンド円は下落していく可能性が高いと考えています。日銀は12月の金融政策決定会合で、YCC(イールドカーブ・コントロール)の金利誘導幅を拡大しました。
日銀による発表を実質の利上げ、もしくは出口戦略の第一歩とマーケット参加者が受け止めたことで、今までの緩和政策維持で売られてきた円の買い戻しが進みました。今後も金融正常化に向けて金利誘導幅の拡大が進むとの観測から、円高が進んでいくと予想しています。
また昨年、円安が進んだ要因の一つとして、貿易赤字がありました。エネルギー価格の上昇と、円安による輸入物価の上昇が、貿易赤字が発生した大きな要因として考えられています。最近エネルギー価格が安定してきていることと、12月の政策変更で円高が進んだことを考えると、貿易赤字額が今後減少していくと予想できます。
貿易赤字額が減少すると円安圧力も後退し、さらに円高が進みやすくなり、円高スパイラルに入る可能性があることにも注目しています。
日銀の発言に注目です。
12月末時点におけるポンド円の日足チャートです。12月のポンド円は大きく、円高が進行し160円台を割りました。
画像引用:Tradingview
1月は円高に進む可能性があるので、押し目狙いは慎重に。
画像引用:Tradingview
ファンダメンタルズの大きな変化がない限り、上記の価格では売りを検討しています。
ドルとポンドが売られて、ポンドドルはレンジか上昇するとみています。
米国のFRB(連邦準備制度理事会)は、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ幅を縮小しました。また同時に発表されたドットチャートでは、ターミナルレート(利上げの終了水準)が5.1%程度になることも確認されました。
FOMC発表前は、ターミナルレートが5%を割り込むと予想されていたこともあり、発表時には一時的にドル買いが出ました。しかしその後、ターミナルレートが5.1%程度になることが価格に織り込まれ、ドル売りが出始めました。
今後の米ドルが買われる要因としては、経済指標、特に物価に関する指標が予想以上の結果を出し続け、ターミナルレートが上昇していく可能性があります。しかし物価指標の上昇は考えにくいため、今後はドル売りの圧力が強くなる可能性が高いでしょう。
ただし、ポンドの上値も重いことから、ドル売りとポンド売りの競争となり、ポンドドルはレンジを組むと考えられます。また米指標の結果が予想よりも弱い結果が続いた場合、ドル安の方が強くなる可能性が高く、ポンドドル上昇(ドル売り)が大幅に進む可能性もあるでしょう。
雇用統計、CPI(消費者物価指数)、ISM製造業景況感指数、ISM非製造業景況指数、PCEデフレーターなど、米国の重要な経済指標に注目しています。
12月末時点における、ポンドドルの日足チャートです。ポンドドルは、12月後半にかけて上昇トレンドを描いています。
画像引用:Tradingview
しっかり下に引きつけて買うようにしてください。
ECBと英中銀の金融政策の差が通貨に影響するとみています。
ユーロ買いが進む要因は大きく分けて2点考えられます。1点目は、ECB(欧州中央銀行)のタカ派的な姿勢によるユーロ買い。2点目は、ドル売りやポンド売りによる相対的なユーロ買いです。
欧州では物価高が10%を超え、ECBは物価上昇を抑制するために利上げを続けることを強調しています。ラガルドECB総裁は12月のECB理事会で、物価上昇抑制を優先するため、次回の理事会で0.5%利上げ、その後も利上げする可能性があると示唆しました。
同日に発表されたFRB(連邦準備制度理事会)やBOE(イングランド銀行)による発表と比べて、ECBは最もタカ派であると見られ、利上げ余地の大きさからユーロ買いが進んでいます。
また、米ドルは今まで買われ過ぎたことに加えて、利上げを完全に織込んだことからドル売りが進み始めています。
為替市場では、通貨を買うためには何か別の通貨を売らなければならず、通貨を売るためには別の通貨を買う必要があります。為替市場で最も取引量の多い通貨ペアは、ユーロドルであり、ドル売りが進むということは、相対的にユーロ買いも発生するのです。したがってドル売りによる相対的なユーロ買いが進みやすい状況となっています。
買われやすい状況にあるユーロに対して、ECBが弱気でタカ派になり切れないことによるポンド安が組み合わさり、ユーロポンドは上昇しやすいと考えています。
作成日
:2023.01.01
最終更新
:2023.01.16
英ポンドを中心にトレードを行う大学生トレーダーで、2021年の合計利益は4,000万円にのぼる。公式Twitterでもテクニカル分析等の情報発信を行い、フォロワー数は5,000人以上。ファンダメンタル分析とテクニカル分析を組み合わせた手法を用い、Myforexでは月初にポンド通貨ペアの戦略を連載している。
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