作成日
:2024.05.02
2024.05.20 16:19
仮想通貨(暗号資産)SUIは、レイヤー1ブロックチェーンSuiのネイティブトークンです。Suiでは、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)の派生系であるDPoS(デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク)を採用しており、この仕組みによってSUIのステーキングが可能となります。
この記事では、SUIをステーキングする方法や利率、リスクなどをご紹介します。
画像引用:Sui
Suiは、アメリカに拠点を置くMysten Labs社が開発するレイヤー1ブロックチェーンです。ネイティブトークンのSUIは、取引手数料(ガス代)の支払いに使用されるほか、ステーキングにも対応しています。
イーサリアム(Ethereum)は多くの仮想通貨(暗号資産)の基盤となっていますが、取引の処理速度の遅さなどが課題として指摘されてきました。これに対してSuiは、高い処理能力を持っているのが特徴です。処理できるトランザクション数は1秒あたり最大およそ30万件で、各トランザクションの決定時間(ファイナリティ)の平均はおよそ400ミリ秒と、1秒もかかりません。
Suiのトランザクション処理性能は、イーサリアムだけでなくソラナ(Solana)やアバランチ(Avalanche)といった主要ブロックチェーンと比べても大幅に上回っています。
画像引用:Sui
また、Mysten Labs社は独自ウォレットのSui walletも開発しています。Sui walletでは保有しているSUIを保管できるほか、DApps(分散型アプリケーション)に接続したりできます。
DApps(分散型アプリケーション)は「Decentralized Applications」の略称で、管理者不在で自律的に稼働する非中央集権のアプリケーションのことをいいます。ブロックチェーンを利用したサービスなどを提供するアプリケーションの総称であり、中央管理ではなく分散管理であるためサーバーダウンによるサービス停止の心配も少ないといった特徴を持ちます。
ステーキングとは、仮想通貨(暗号資産)を保有することでブロックチェーンネットワークの安定稼働に貢献し、その対価として報酬を得られる仕組みです。
ステーキングは、特定のコンセンサスアルゴリズムを採用している仮想通貨で行うことができます。ステーキングに対応するコンセンサスアルゴリズムの例として、「PoS(プルーフ・オブ・ステーク)」や、PoSから派生した「DPoS(デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク)」が挙げられます。
コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックを生成するためのルールです。PoWやPoSに加え、DPoS(デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク)やPoI(プルーフ・オブ・インポータンス)などが存在します。それぞれ長所や短所があり、開発思想などの違いによって採用するコンセンサスアルゴリズムが変わってきます。
PoSはブロック生成ルールの1つです。ビットコイン(BTC)などが採用するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)と比較して、電力消費が少ない点や拡張性が高い点などで注目されています。
SuiではDPoSが採用されているため、SUIのステーキングが可能です。DPoSでは、仮想通貨の保有量に応じて投票権を割り当て、投票によって選ばれた代表者(バリデーター)がブロックを承認します。
ブロックチェーンネットワークに貢献したバリデーターにはステーキング報酬が支払われ、そのバリデーターに投票したユーザーにもステーキング報酬が分配されます。
一般的な意味でのバリデーターとは、ブロックチェーンのブロック生成やトランザクション(取引)データの内容が正しいのかを検証し承認するノード(端末)のことを指します。
主にコンセンサスアルゴリズムにPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用する仮想通貨で採用されており、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)でマイニングを行うマイナーと同様の役割を担っています。
仮想通貨の保有量に応じてブロックの承認権が付与されるPoSと比べると、DPoSは消費電力の抑制やブロック生成時間の短縮といったメリットがあります。
SUIをステーキングする方法はいくつか存在し、具体的には以下4つが挙げられます。
それぞれの方法について見ていきましょう。
投票によってバリデーターに選出された場合、ブロックチェーン上にSUIを預け入れることでステーキング報酬を獲得できます。
ただし、バリデーターになるには3,000万SUI(2024年4月25日時点で約57億円) をステーキングしなければならないことに加え、常に2,000万SUI(2024年4月25日時点で約38億円)以上のステーキング額を維持する必要があります。
このステーキング額を踏まえると、バリデーターになってステーキング報酬を獲得するのは、個人ユーザーにとってあまり現実的ではないといえます。
ステーキングをバリデーターに委任する「デリゲーター」になることでも、ステーキング報酬を得られます。
デリゲーターになるための手続きはシンプルで、Sui Walletの画面から、投票するバリデーターを選択してSUIを預ければ手続きが完了します。委任が承認されるとバリデーターになることができ、委任したトークンの量とステーキング期間に応じて、ステーキング報酬を受け取れる仕組みです。
委任額の最低条件は定められておらず、SUIの最小単位である1MISTから委任できます。
また、委任手数料率の最低条件は明らかになっていないものの、バリデーターは委任手数料率を自由に設定できます。たとえば、バリデーターが10%の委任手数料率を設定した場合、デリゲーターはステーキング報酬の10%を支払う必要があります。
Suiは2023年7月より、リキッドステーキング機能のサポートを開始しました。これにより、開発者はSuiでステーキングを行うためのDAppsを開発できるようになりました。
リキッドステーキングを利用すると、預け入れた仮想通貨の額に合わせて、リキッドステーキングトークンと呼ばれるトークンをもらえます。このリキッドステーキングトークンは他のサービスで運用したり、送金したりできます。
ユーザーはSUIを預け入れることで、SUIと連動するリキッドステーキングトークンを獲得できます。ステーキング報酬を受け取るだけでなく、獲得したリキッドステーキングトークンを市場で売買したりDeFiで運用したりして、運用益を得ることも可能です。
Sui Foundationは、リキッドステーキング機能の開発に関するイベント「スイ・リキッド・ステーキング・ハッカソン」を実施し、優秀なリキッドステーキングプロジェクトとして以下を表彰しました。
たとえばAftermath Financeでは、SUIをステーキングすると「afSUI」と呼ばれるリキッドステーキングトークンが配布されます。
Suiで直接ステーキングをするほかに、仮想通貨(暗号資産)取引所のステーキングサービスを使う方法もあります。SUIのステーキングサービスを提供している取引所にSUIを預けるだけで、簡単にステーキングできるのが魅力です。
SUIのステーキングに対応しているのは、海外取引所のほうが多いですが、OKCoin Japanのような国内取引所も存在します。
当記事執筆時点(2024年4月30日)における、仮想通貨(暗号資産)取引所やリキッドステーキング、バリデート、デリゲートの利率は次のとおりです。
名称 | 年率 |
---|---|
Binance |
・フィックス
(30日間):3.9%
(60日間):5.9%
(120日間):9.6%
|
Bybit | ・払い戻し自由:1% |
OKCoin Japan |
・フレキシブル:1.88%
・30日:2.88%
・60日:4.28%(*1)
|
Aftermath Finance | ・3.49% |
バリデート | ・平均3.28% |
デリゲート | ・2.952%(*2) |
(*1)2024年4月30日現在、申請上限に到達しています。
(*2)バリデートの利率が3.28%、委任手数料率が10%と仮定した場合
上にあるとおり、利用するステーキング方法や取引所によって利率は大きく変わります。
Binance(バイナンス)は高い利率を提供していますが、トークンのロック期間があるため注意が必要です。Bybit(バイビット)はいつでも自由に払い戻しができますが、その代わりに利率は比較的低めに抑えられていると言えます。
OKCoin Japanは、いつでも引き出せる「フレキシブル」のほかに「30日」「60日」のロック期間が定められたステーキングサービスを提供しており、投資スタイルに合わせた柔軟な選択が可能になっています。
リキッドステーキングについては、リキッドステーキングプロトコルAftermath Financeを例に挙げると、ステーキング利率は3.49%です。
また、デリゲーターの利率は2024年4月30日現在でおよそ2.952%となっています。ロック期間はない代わりに、取引所のロック期間ありの場合に比べるとやや低めの利回りになっています。
トークンを一定期間に渡って引き出す予定がない場合は取引所でロック期間ありの運用を、より柔軟に対応したい場合は他の選択肢を選ぶのがよいかもしれません。
ステーキングによって安定的に利益を狙える一方、リスクも存在します。具体的には次の3つが挙げられます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ステーキングサービスの中には、仮想通貨(暗号資産)を一定期間ロック状態にしなければならないものがあり、その期間は仮想通貨を自由に動かせません。
この仕組みゆえ、たとえば仮想通貨が暴落して損切りしたいと思ったときにすぐに対処できない可能性があります。その結果、仮想通貨が売れないまま資産額が減ってしまうことが起こりえます。反対に、ロック状態のときに仮想通貨の価格が上昇して売りたいと思っても、すぐには売却できず機会損失となることもあります。
このようなリスクを避けつつ、それでもステーキングを行いたい場合は、ステーキングの最低期間が定められていないステーキングサービスなどを使う必要もあるでしょう。
中央集権取引所が提供するステーキングサービスを使うときに注意したいのが、カウンターパーティーリスクです。カウンターパーティーとは「取引相手」を意味します。
取引相手(カウンターパーティー)の債務不履行や詐欺などのリスクを指します。FTXの経営破綻以降、中央集権型取引所などのカウンターパーティーリスクへの警戒感が高まっています。
取引所の経営破綻などにより、資産を失う可能性があることは押さえておきましょう。
実際に過去には、世界最大規模の取引所がハッキングによって巨額の仮想通貨が流出したことで倒産し、いまだにユーザーへの補償が行われていない事例もあります。
SUIのステーキングのリスクとして、リキッドステーキングトークンの価格がネイティブトークンの価格と乖離してしまう(デペッグする)リスクも挙げられます。
基本的にリキッドステーキングトークンはネイティブトークンと1:1の価格になるように連動します。しかし、売り圧力の上昇などの理由でデペッグが発生することがあります。
実際に、リキッドステーキングプロトコルのLido(ライド)が発行するリキッドステーキングトークンstETHが、ネイティブトークンETHの価格から乖離したことがあります。これは、大手仮想通貨レンディングサービスCelsius Networkの経営破綻が噂となった2022年6〜7月にかけて、早期売却の動きが強まったことが理由とされています。
画像引用:CoinMarketCap
様々なステーキング方法があるSUIですが、ここでは個人でも比較的簡単に利用できるBybitでのステーキング方法を解説します。
以下のリンクをクリックして、Bybitの公式サイトにアクセスします。
「ファイナンス」の中にある「資産運用」にカーソルを合わせ、表示される「Bybitステーキング」をクリックします。
検索欄に「SUI」と入力して検索をします。SUIの欄にある、「ステーキングする」ボタンをクリックします。
「金額」欄にステーキングしたい金額を入力し、サービス規約に同意(チェック)の上、「ステーキングする」をクリックします。
ステーキングに参加するには、資金調達アカウント内に資金が必要です。現物アカウントやデリバティブアカウントから振替で入金できます。
以下の画面が表示されたら、SUIのステーキングは完了です。あとは毎日、報酬が口座に振り込まれるのを待ちます。
SuiではDPoSと呼ばれるコンセンサスアルゴリズムを採用しているため、SUIのステーキングが可能です。ステーキングする方法や利用できるプラットフォームは複数存在し、それぞれ利率やロック期間、リスクの高さなどが異なります。
SUIのステーキングを検討している場合は、利率の高さだけでなくご自身のリスク許容度も踏まえて、ステーキング方法や利用するプラットフォームを選んでみてはいかがでしょうか。
作成日
:2024.05.02
最終更新
:2024.05.20
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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