作成日
:2023.12.13
2024.02.09 09:37
2023年12月4日、イーサリアムレイヤー2プロジェクトのMantleが「Mantle LSP」をリリースしました。
LSPとはリキッドステーキングができるプロトコルを指し、イーサリアム(ETH)をステーキングすると以下の2つを同時に受け取れます。
報酬は2023年12月8日時点で年率3.88%、mETHは他の仮想通貨と交換したり運用したりできます。
本記事では、mETHの特徴や使い道、運用方法などを解説します。
画像引用:Mantle
mETHはレイヤー2プロジェクトのMantleが発行する仮想通貨で、イーサリアム(レイヤー1)とMantle(レイヤー2)の両方のブロックチェーンで利用できます。
仮想通貨mETHはリキッドステーキングトークンと呼ばれ、Mantle LSPでETHをステーキングするともらえます。
リキッドステーキングトークンとは、ステーキング期間に引き出しできない仮想通貨について、流動性を確保するために独自に発行されるトークンです。Lidoの「stETH」やRocket Poolの「rETH」などが該当します。
Mantle LSPでETHをステーキングすると、mETHが即座に配布されます。また、mETHはステーキング報酬を考慮した価格設定がなされ、ETHとの比較でmETHの価格は上昇し続けます。
画像引用:Mantle
ステーキングを終了したい場合は、mETHをMantleに返却すると、以下の2つを受け取れます。
なお、ステーキング報酬のうち、10%は手数料として差し引かれます。
注意点としては、ステーキング終了後にETHを受け取るまでに、数日を要する場合があることです。待ち時間は、イーサリアムネットワークの状況によって左右されます。
通常、イーサリアムをステーキングするには、32ETH以上を保有してノードを運用する必要があります。2023年12月8日時点で32ETHは1000万円以上の価値があり、ステーキングのハードルは高いです。
ノードとはブロックチェーンのネットワークを構成するコンピュータを指し、パソコンやスマホなどを含みます。ブロックチェーンを稼働させるために、ブロックの検証だけでなく取引情報の記録や情報伝達などの機能を提供します。
しかし、Mantle LSPを利用すると、0.02ETH(約7,000円)からステーキングに参加できます(2023年12月8日時点)。少額でETHステーキングに参加できるのがMantle LSPのメリットです。
仮想通貨mETHの主な使い道は以下の通りです。
mETHは、イーサリアムブロックチェーンおよびMantleブロックチェーン上で利用できます。MetaMaskなどのウォレットで管理でき、他のアドレスへ送信することも可能です。
mETHは、分散型取引所(DEX)で他の仮想通貨と交換できます。
DEXのFusionXはMantleブロックチェーンに対応しており、mETHをWETHやUSDTなどと交換できます。逆に、WETHなどからmETHへ交換することも可能です。
画像引用:FusionX
ETHをステーキングしながら、mETHを他の仮想通貨と交換して利益を狙えます。ただし、引換券であるmETHを手放してしまうと、Mantle LSPでステーキングしたETHを取り戻せなくなるので注意してください。
mETHを運用して、イールドファーミングで稼ぐこともできます。
DeFiプロトコルのiZUMi Financeでは、mETHとWETHのペアで流動性を提供すると金利を受け取れます。
Mantle LSPでETHをステーキングして報酬を得ながら、mETHも運用できるという意味であり、二重に報酬を得られるのでお得です。
仮想通貨(暗号資産)mETHの特徴は、以下の通りです。
Mantle LSPでは、ETHステーキングで3.88%の年換算利回りを提供しています(2023年12月8日時点)。Mantleは今後も、MEVを通じて高水準かつ持続可能な利回り提供を目指す見込みです。
また、Mantleは約25億ドル(約3600億円)相当の仮想通貨をトレジャリー(金庫)に保管しており、これらの運用収益をMantle LSPにシェアすることも検討しています。
画像引用:Mantle
DAOは日本語で「分散型自立組織」と訳されます。DAOは既存の企業組織とは異なり、特定の所有者や管理者が存在しないのが特徴です。コミュニティの投票で意思決定を行い、事業やプロジェクトを推進します。
Mantle LSPは、イーサリアムブロックチェーン上に構築されたシンプルなプロトコルです。
一般的に、プロトコルの構造がシンプルであればあるほど、ハッキングなどの被害に遭う可能性は低くなります。
Mantle LSPのコアスマートコントラクトは、ノンカストディアルとなっています。
ノンカストディアルとは、ユーザーによりステーキングされたETHが、スマートコントラクト内で保管されることを意味します。つまり、Mantleチームがステーキング中のETHを勝手に持ち出して利用することはできません。
その一方、mETHには以下のリスクがあります。
Mantle LSPやmETHのスマートコントラクトには、脆弱性やバグが含まれているリスクがあります。
しかし、脆弱性リスクはどのプロトコルにも存在します。そこで、hexensやsecure3など複数のWeb3監査会社の監査を受け、リスクを最小限におさえています。
Mantle LSPでは、ユーザーが預けたETHをノードオペレーターがまとめて、ETHステーキングに参加しています。
これらのノードはバリデーターとして、イーサリアムブロックチェーン上の取引の承認を行います。ノードが不正などを行った場合は、スラッシング(懲罰)を受ける可能性があります。ノードが懲罰を受けると、ステーキング報酬に悪影響が出るかもしれません。
スラッシングとは、バリデーターがルールに違反した場合、そのバリデーターが預けた仮想通貨を没収する仕組みです。スラッシングはバリデーターだけでなく、委任したユーザーも対象となります。
Mantle LSPはこのリスクをおさえるために、Stake Fishなどの業界大手のノードオペレーターに委託しています。
mETHとETHの価格は、乖離が発生するリスクがあります。
例えば、市場全体の急変動やMantleプロジェクト自体に問題が発生すると、mETHがETHよりも大幅に低い価格で取引される可能性があります。
仮想通貨mETHの将来性に関して、以下の例が挙げられます。
MantleのDAOは、2023年6月に2億ドル(約290億円)規模の「Mantle EcoFund」を設立しました。このファンドは今後3年間で、Mantleブロックチェーン上で開発される様々なプロジェクトに投資していく予定です。
投資対象のプロジェクトには、Mantleブロックチェーン上の分散型アプリケーション(dApps)や、Mantleエコシステムの技術パートナーが挙げられます。
これから大規模な資金がMantleエコシステムに流れることで、コミュニティが活性化し、Mantle SLPやmETHへの需要も高まるかもしれません。
画像引用:Mantle
2023年12月、Mantleは法人向けステーキングサービスを展開するP2P.orgとの提携を発表しました。
P2Pは、機関投資家などを対象にオーダーメイドのPoSステーキングソリューションを提供しています。Mantle LSPは今後、P2Pの持つステーキング関連のインフラや技術を最大限に活用する予定です。
Mantle SLPが機関投資家を引き寄せ、mETHは主要なリキッドステーキングトークンの仲間入りを果たせるかもしれません。
MantleがmETHをリリースした理由として、ETHステーキングがLido・Coinbase・Binanceなどの寡占状態となっているからだと伝えられています。
ETHステーキングが少数のプラットフォームに集中することは、分散性の観点から好ましいとはいえません。この点については、イーサリアム創業者のVitalik Buterin氏も過去に懸念を表明しています。
Mantle SLPはmETHを仮想通貨業界に普及させて、このような寡占状態を打破したいと考えているようです。mETHはstETHなど主要なリキッドステーキングトークンと肩を並べる存在になれるのか、今後の展開に注目しましょう。
作成日
:2023.12.13
最終更新
:2024.02.09
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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