作成日
:2023.02.22
2023.03.16 15:30
大手取引所FTXの経営破綻以降、中央集権的な管理者がいないDEX(分散型取引所)が注目されています。その中でも、GMXは独自の流動性提供の仕組みを構築しており、特に注目を集めています。
当記事では、GMXのガバナンストークンである仮想通貨(暗号資産)GMXの将来性や使い道などを解説していきます。
仮想通貨GMXは、DEX(分散型取引所)のGMXが発行する独自仮想通貨です。ガバナンストークンとしての役割を持っており、トークン保有者はGMXの運営方針に対して投票ができます。
また、仮想通貨GMXでステーキングが可能で、報酬としてETH(イーサリアム)や、Multiplier Pointsと呼ばれるステーキング報酬にブーストをかけられるポイントなどが付与されます。
なお、DEXとは仮想通貨取引所の一種であり、スマートコントラクトを利用することで中央管理者がいなくても運営できる特徴を持っています。中央管理者がいないためカウンターパーティーリスクを避けられる一方、トラブル発生時などに中央管理者からサポートも受けられないデメリットもあります。
取引相手による債務不履行や詐欺などのリスクを指します。FTXが詐欺的な行為で経営破綻して以降、中央集権型取引所のカウンターパーティーリスクへの警戒感が高まっています。
仮想通貨GMXは、2022年10月に大手仮想通貨取引所のBinance(バイナンス)に上場しており、将来性に期待するツイートが多く投稿されています。
また、2022年9月に取引所GMXの仕組みを悪用して、AVAX(アバランチ)が価格操作されており、これについての投稿もみられました。この価格操作によって不正行為をしたトレーダーが大きな利益を得たと言われており、TwitterではGMXの新しい仕組みゆえのデメリットについて話題になりました。
仮想通貨GMXは、2021年9月の公開以降、右肩上がりで推移しています。一方、仮想通貨市場全体は2021年末を頂点にして2022年に大きく下落しており、GMXの値動きはこれと大きく異なります。
価格上昇の背景には、DEXへの注目とGMXの将来性への期待などが考えられ、今後もこのトレンドが継続するのか注目が集まっています。
画像引用:CoinMarketCap
仮想通貨GMXは、コミュニティの運営方針を決めるガバナンストークンとして使われます。それ以外にも、ステーキングや流動性供給で報酬を得ることもできます。
分散型取引所GMXはDAO形式で運営されており、仮想通貨GMXは投票権として利用されます。GMXの保有数に応じて、賛成票もしくは反対票を投じることが可能です。
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性が高いと見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用されています。
仮想通貨GMXの保有者は、ステーキングをすることで3種類の報酬を受け取ることができます。
仮想通貨GMXをステーキングすると、その報酬としてETH(イーサリアム)またはAVAX(アバランチ)をもらえます。
報酬の原資はトレーダーが支払った取引手数料で、手数料の30%がETHまたはAVAXに変換され、GMXをステーキングしているユーザーに配布されます。
なお、GMXはアービトラム(Arbitrum)とアバランチ(Avalanche)のチェーン上で構築されており、アービトラム上でステーキングするとETH、アバランチでステーキングするとAVAXが配布されます。
Escrowed GMX(esGMX)とは、仮想通貨GMXをステーキングしたユーザーに報酬として支払われるトークンで、GMXと交換できます。
ただし、GMXに交換するにはVesting(権利確定)と呼ばれる手続きが必要です。Vestingが開始されるとesGMXが1秒ごとにGMXに変換され、365日後に全ての交換が完了する仕組みです。
また、esGMXをステーキングすることも可能で、GMXのステーキングと同じ報酬を獲得できます。
Multiplier Points(マルチプライヤーポイント)とは、報酬のETHやAVAXを増やせるポイントです。ステーキングした仮想通貨GMXに対して100%のAPRが提供されており、仮に10,000GMXを1年間ステーキングすると10,000ポイントが配布されます。
ただし、GMXのステーキングを解除すると、解除したトークンに比例する数量のMultiplier Pointsも失われてしまうため、注意が必要です。
仮想通貨GMXの将来性は、GMXのユーザー数や今後のエコシステム拡大が大きく影響すると考えられます。ここでは以下4つの観点から将来性について解説します。
2022年11月に大手取引所FTXの経営破綻で中央集権型取引所の信頼が揺らぎ、DEXに注目が集まっています。GMXも、注目のDEXの一つに数えられています。
当記事執筆現在(2023年2月)、GMXに預け入れられている仮想通貨はおよそ6億ドルあり、右肩上がりで推移しています。
画像引用:DefiLlama
今後も継続して分散型取引所への注目が集まることで、仮想通貨GMXにも良い影響を与える可能性があります。
DEXは既に世の中に数多く存在し、競争はとても激しいです。競争で生き残るには、他のDEXと同じ仕組みでは不十分で、ユーザーのニーズを的確にとらえることが必要です。
GMXは各仮想通貨の価格取得方法や流動性提供者への報酬など、新しい技術を積極的に取り入れており、将来性を期待されています。
新技術の例として、DEXの主流であるAMM(自動マーケットメーカー)形式ではなく、GLPトークンを活用した独自の流動性提供が挙げられます。新技術の積極的な導入はユーザーの評価を得ています。
従来のDEXにおいて、流動性を提供した場合の報酬は、そのDEXのユーティリティトークンでした。すなわち、そのDEXにユーザーが集まる間はユーティリティトークンの需要も高まって価格が上昇しますが、ユーザーの流入が鈍化するとトークン価格は暴落する傾向にありました。
また、ユーザーの流入が鈍化しなくても、報酬としてトークンが新規発行され続けて流通量が過大となる場合も、トークン価格は下落してしまいます。
しかし、GMXにおいて、流動性提供者への報酬はイーサリアムとアバランチです。このため、ユーザーは従来のDEXよりも安心してGMXを利用できますし、イーサリアムとアバランチの信頼度は高いので新規ユーザーが集まりやすくなります。
最新のロードマップによると、以下のアップデートが予定されています。
この中でも、新しいブロックチェーンでのローンチに注目が集まると予想できます。どのチェーンを採用するかについて、まだ決まっていないものの、将来性に注目する新規ユーザを獲得できるかもしれません。
仮想通貨(暗号資産)GMXを発行しているのは、分散型取引所のGMXです。仮想通貨GMXの将来性は取引所GMXの人気にも影響されますので、ここでは取引所GMXの4つの特徴を解説します。
分散型取引所GMXは、アービトラムとアバランチのブロックチェーンで利用可能です。
アービトラムはイーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために開発されており、安いガス代で利用できます。
スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーンの処理能力に起因する障害です。ブロックチェーンにトランザクションが集中すると、取引の遅延や手数料の高騰などが発生します。ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンは、慢性的にスケーラビリティ問題に悩まされています。
また、アバランチは高速・低コストでの処理が可能で、イーサリアムキラーとして知られています。
先ほど仮想通貨GMXの将来性でもご紹介したように、今後は第3となる新しいチェーンでの開発も予定されています。
GMXではチェーンリンクオラクルを活用し、主要取引所の価格を集約して取引価格を決定しています。
オラクルはブロックチェーンに外部の情報を取り込むためのシステムです。例えば、オラクルを利用すれば、取引所から仮想通貨価格をブロックチェーンに取り込み、DApp(分散型アプリ)などに利用することができます。
オラクルを採用することで、非常に狭いスプレッドとゼロスリッページを実現しており、ユーザーに取引しやすい環境を提供しています。
分散型取引所GMXは、GLPを活用した独自の方法で流動性を提供しています。
GLPとは流動性提供のために発行されているトークンで、ETHやUSDTなど複数の仮想通貨で構成されます。トレーダーは、このGLP内の仮想通貨を利用し、現物取引やレバレッジ取引をします。
流動性を提供したい場合は、GLPを購入し(ETHなどの仮想通貨をプールに渡して)、対価として報酬を受け取ります。報酬の額は、トレーダーが支払った取引手数料の70%です。残り30%は、GMXのステーキング報酬として使われます。
なお、上の図の流動性提供者とトレーダーの間に「利益相反」と書いてあります。トレーダーはプール内の流動性を使ってトレードし、利益を出した場合はプールから収益を得ます。この場合、流動性提供者にとっては損となります。逆に、トレーダーが損すると流動性提供者の利益になります。
流動性提供者は、手数料の70%とトレーダーの損失が収益となりますので、トレーダーが利益を上げても手数料の範囲内ならば利益になります。
GMXで流動性を提供するには、ETHなど1種類の仮想通貨でGLPを購入します。このため、インパーマネントロス(変動損失)は生じません。
流動性を提供するにあたって、2種類の仮想通貨を預け入れます。その後、外部ユーザーの利用に伴い、2種類の仮想通貨の数量比が変化していきます。すなわち、流動性の提供をやめて2種類の仮想通貨を引き出すと、当初預けた数量比と異なることがあります。この変化によって生じる損失を、変動損失と呼びます。
従来のDEXでは、2種類の仮想通貨を使って流動性を提供しますので、インパーマネントロスが発生しやすくなります。この方式をAMM(オート・マーケット・メイカー)方式と呼びます。
仮想通貨(暗号資産)GMXを取引できる取引所は以下の通りです。日本の取引所では売買できませんので、海外取引所から選びます。
仮想通貨取引所 | 現物 | デリバティブ |
---|---|---|
(バイビット) |
〇 |
〇 |
(バイナンス) |
〇 |
× |
(ゲート) |
〇 |
× |
(メクシー) |
〇 |
〇 |
(ビンエックス) |
〇 |
〇 |
(ビットゲット) |
〇 |
× |
(コインイーエックス) |
〇 |
× |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
GMXの現物取引は上記の全ての取引所で行えます。一方で、GMXのデリバティブ取引(無期限先物取引)は一部の取引所では行えず、現物とデリバティブの両方に対応しているのはBybitとMEXCとBingXの3つのみです。
Bybitでは、3つの手順でRPLを購入できます。
まずは以下のリンクをクリックし、GMXの購入ページ(GMX/USDT)にアクセスします。
なお、Bybitを利用するには口座を開設しておく必要があります。
ここでは最もシンプルな「成行」での購入方法を紹介します。成行でGMXを購入するには、以下のように操作をして「GMXを買う」をクリックします。
番号 |
項目名 |
説明 |
---|---|---|
1 |
「買い」または「売り」 |
通貨ペアの左の通貨を買って右の通貨を売るなら「買い」、左の通貨を売って右の通貨を買うなら「売り」を選びます。 |
2 |
注文方法 |
成行を選びます |
3 |
注文価格 |
購入したい数量を入力します。 |
GMXはUSDTを支払って購入します。そのため、USDTの残高が十分でない場合は、入金や両替が必要です。
内容を確認して「GMXを買う」をクリックします。注文は即座に確定し、購入したGMXは現物アカウント残高に反映されます。
以下の記事では、買い方に関してより詳しく説明しています。有利な価格を指定する「指値」の使い方なども解説しています。
GMXは、数あるDEX(分散型取引所)の中でも、特に注目を集めています。入金額も右肩上がりで上昇しており、今後もユーザー数が増加していけば、GMXの将来性もあいまって仮想通貨GMXの価格にもポジティブな影響を与えるかもしれません。
作成日
:2023.02.22
最終更新
:2023.03.16
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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