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仮想通貨DYDXの将来性は?次期バージョンV4でのアップグレード内容を解説

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update 2023.03.16 15:30
仮想通貨DYDXの将来性は?次期バージョンV4でのアップグレード内容を解説

update 2023.03.16 15:30

DYDXは、DEX(分散型取引所)のdYdXが発行する独自仮想通貨(暗号資産)です。イーサリアム(ETH)上で本格的なトレード機能を提供するdYdXが発行しているため、注目を集めています。次期バージョンのV4では、コスモス(ATOM)へのブロックチェーン移行など、大きな変更が計画されています。

当記事では、DYDXの将来性という観点を中心に、次期バージョンのV4について解説していきます。

仮想通貨DYDXについて

仮想通貨(暗号資産)DYDXは、DEX(分散型取引所)のdYdXが発行する通貨であり、これを保有するとdYdXでの取引手数料が割引になる特典などがあります。また、ガバナンストークンとしても使用され、dYdXの機能等について提案や投票ができます。

それに加えて、Binance(バイナンス)などの他の取引所が発行する独自仮想通貨で過去に大きな値上がりがあった実績があることから、値上がり益狙いの投資対象として保有している人もいる模様です。

なお、DEXとは取引所の一種で、ブロックチェーンを活用して中央管理者が不在でも仮想通貨(暗号資産)の取引ができる仕組みです。dYdXもDEXであり、取引手数料が安いなどのメリットがある半面、サポートスタッフが存在しないため、コミュニティに頼る必要があるなどのデメリットもあります。

DEXの仕組み

イーサリアムのセカンドレイヤーを利用

DYDXは、イーサリアムのERC-20規格で発行される仮想通貨であり、dYdXが構築したセカンドレイヤーで使用されています。なお、取引における処理速度・低コスト・透明性を確保するため、コスモスブロックチェーンへの移行を目指しています。

DYDXのコスモスへの移行

時価総額は200位圏内

DYDXの最大供給量は10億通貨で既に発行済みであり、2026年まで少しずつ分配されて利用可能となります。分配先としては、開発最初期の投資家、dYdXで取引したユーザーなどがあります。

point バーンは計画されている?

dYdXではDYDXのバーンの予定はありません。ただし、dYdXは分散型自立組織(DAO)であるため、DAOでバーンが提案されて可決されれば、将来的に実行される可能性があります。

なお、当記事執筆時点(2022年11月)での時価総額は、160億円程度となっています。仮想通貨市場全体では、200位圏内の規模です。

knowledge 「給付金」が話題に

DYDXの初期発行時、dYdXの取引量に応じてユーザーへのエアドロップが行なわれました。1,500万円相当のDYDXを受け取ったユーザーもおり、給付金として話題になりました。

ステーキングサービスは終了

dYdXには、かつて2種類のステーキングサービスがあり、DYDXを稼ぐことができました。

セーフティ・ステーキング

セーフティ・ステーキングを利用すると、もしもの場合には強制的にDYDXを回収されてdYdXのシステム維持目的で使用されます。すなわち、ステーキングしていた人はDYDXの所有権を失います。もしもの場合とは、例えばスマートコントラクトが攻撃を受けてトークンが流出した場合や、予測困難な強制清算が起きて取引所の流動性に問題が生じた場合などです。

セーフティ・ステーキングプールを利用する人は、このリスクを引き受ける対価として報酬を受け取ります。

リクイディティ・ステーキング

リクイディティ・ステーキングとは、流動性供給のためにUSDCを預けると、報酬としてDYDXをもらえる仕組みです。こちらも、既に取り扱いが終了しています。

dYdXの将来性と連動

DYDXの将来性は、取引所であるdYdXの評価に連動すると考えられます。

現在、dYdXはユーザー数を拡大しています。中国で2021年に仮想通貨取引が全面的に禁止になったことや、モバイルアプリでライト層に訴求できたことなどがプラスに働いている模様で、2022年11月8日時点で日間取引量は1,650億円を超えています。

この日間取引量はUniSwapやPancakeSwapなどを上回り、DEX部門で第1位となっています。

knowledge DEXは国内規制の影響を受けない

中国政府は、国内における仮想通貨取引やマイニングなどを全面的に禁止しています。そこで、中国内の仮想通貨コミュニティは、規制が難しいDEXなどのサービスを通じて仮想通貨取引を継続しています。DEXには開発者がいるものの運営管理者は存在せず、特定の拠点も存在しないため、国内規制の影響が及んでいません。

dYdXはDEXでトップ

画像引用:CoinMarketCap

仮想通貨市場では、BinanceなどのCEX(中央集権型取引所)が主流となっています。しかし、DEXの数が増えており、CEX外での取引量も増えています。ブロックチェーン調査サイト「THE BLOCK」によると、2022年11月時点の現物取引量は、CEXと比較して8分の1程度となっています。

取引所 1日あたり取引金額(現物+デリバティブ)
Binance 約4.1兆円
Bybit 約2.5兆円
dYdX 約1,650億円

ブロックチェーン分析会社のChainalysisは、DEXの成長速度がCEXを超える可能性があるとの分析結果を発表しています。今後もDeFiの発展が見込まれており、その波に乗ってdYdXも取引額が拡大する可能性があります。

DYDXの価格チャート

DYDXは、2021年8月に公開された新しい仮想通貨です。当初のDYDX価格は1,500円程度で、2021年中には3,000円の史上最高値を記録しました。

その後は右肩下がりとなっており、当記事執筆時点(2022年11月)で200円台半ばで推移しています。これは史上最高値と比較して10分の1以下の水準です。

DYDXと日本円の価格チャート

画像引用:CoinMarketCap

仮想通貨市場全体と比較

DYDXのチャートだけ見ると、dYdXの市場評価は低いように感じます。しかし、市場による実際の評価を確認するには、他の仮想通貨との比較が必要です。そこで、仮想通貨全体の時価総額と比較します。

仮想通貨全体の時価総額推移

画像引用:CoinMarketCap

上のチャートは仮想通貨全体の時価総額の推移を示しており、DYDXと比較できるように表示期間を合わせています。時価総額が最大になったのは2021年11月で、およそ435兆円でした。その後はビットコイン(BTC)を始め多数の仮想通貨価格が下落し、当記事執筆時点(2022年11月)では150兆円ほどになっています。すなわち、時価総額はおよそ3分の1になりました。

仮想通貨全体の時価総額は3分の1になったのに対して、DYDXは10分の1以下になっています。すなわち、dYdXは仮想通貨全体よりも評価が低くなっているといえます。

他のDEXと比較

ただし、この事実をもってdYdXの評価を過度に下げるのは適切ではありません。DEX全体の評価が下がっている可能性があり、他の有力なDEXを比較する必要があります。他の有力なDEXよりも堅調に推移ししているならば、市場はdYdXをDEXの中で有望だと判断していると言えます。

そこで、当記事執筆時点のDEX取引高において、dYdXに次いで2位となっているKene Protocol(KINE)のチャートと比較します。

仮想通貨全体の時価総額

画像引用:CoinMarketCap

KINEは公開直後の2021年3月が最高値で、その後は概ね下落が継続しています。仮想通貨市場全体の時価総額は2021年11月に最高になりましたが、KINEは2021年11月も下落基調となっています。

この結果、現在値は最高値に比べて50分の1未満の水準まで低下しており、安値圏でのレンジ相場が継続しています。KINEだけでなく、DODOなど他のDEXでも価格水準を大きく落としている例が見られます。その一方、Uniswapの仮想通貨UNIの下落率は4分の1に留まっており、明暗が分かれています。

DYDX価格は低調であるものの、DEX全体の状況を踏まえれば下落は限定的であると評価することも可能で、今後の開発の進展等を受けて上昇を期待することもできるでしょう。

主要な取引所で売買可能

DYDXは日本の取引所で売買できないものの、Binance(バイナンス)を含む50以上の主要な海外取引所で売買可能です。また、デリバティブ取引も活発に売買されています。

多数の取引所で売買できることもあり、CoinMarketCap掲載の仮想通貨20,000種類以上の中で、時価総額で100位台後半に位置しています。100位台半ばから後半に位置している主な仮想通貨としては、日本発の仮想通貨Astar Network(ASTR)やプライバシー重視の仮想通貨Horizen(ZEN)などがあります。

保有者からの評価は?

世の中には数多くの仮想通貨プロジェクトがあり、その総数は万の単位となっています。そして、プロジェクトが発行する仮想通貨の価格が上昇すればコミュニティは盛り上がり、下落すると荒れる例が少なくありません。

DYDX価格は仮想通貨市場全体と比較して下落率が大きいですが、コミュニティは荒れることなく、将来のdYdXのあり方について建設的な意見交換が活発に行なわれています。

すなわち、DYDX保有者は目先の仮想通貨価格でなく、dYdXの将来に焦点を当てていることが分かります。開発チームもdYdXの開発に意欲的であり、DYDX保有者によるdYdXの評価は高いと言えそうです。

次期バージョンのV4を発表

dYdXは、2023年第2四半期を目処に次期バージョン「dYdX V4」のメインネット公開を目指していることを明らかにしました。

V4は、DEXに重要な高い処理性能や透明性を強化する方針です。システムの大幅な刷新があると予想されており、仮想通貨コミュニティの期待が高まっています。

具体的には、以下のようなアップグレードが確認されています。

コスモスへの移行

dYdXは、イーサリアムブロックチェーン上に構築されたDEXです。

既存のdYdXのシステムでは、1秒あたり最大1,000件の注文を受け付けて10件のマッチングが可能です。dYdXは規模の拡大に合わせて処理能力の向上を目指しており、より高性能なブロックチェーンへの移行を決断しました。

その結果、V4はコスモス(ATOM)に構築されることが決定しています。コスモスは主要なイーサリアム・キラーとして開発が進められているブロックチェーンです。その性能は高く、ブロックの承認時間は7秒、手数料は0.01ドルとなっています。

point イーサリアム・キラーとは

イーサリアム・キラーとは、DAppプラットフォームとしてイーサリアムの座を狙うブロックチェーンを指します。スマートコントラクトだけでなく、より効率的なコンセンサスアルゴリズムを採用して、高速な取引や安い手数料での利用を実現しています。すなわち、イーサリアムが抱えている課題をある程度克服しているのが特徴です。

加えて、コスモスでは独立したブロックチェーンを構築可能で、システムの改良や新製品の追加も柔軟に可能となります。

また、コスモスでは異なるブロックチェーン間の取引が可能であり、dYdXは他のブロックチェーンと互換性を高めてエコシステムの拡大を目指すと考えられます。

フロントランニング防止

現在のイーサリアムを使ったシステムでは、フロントランニングを適切に阻止できません。これも、コスモスに移転する理由の一つとなっています。

フロントランニングとは、ユーザーが発注した直後に第三者がその内容を検知し、ユーザーの注文が約定する前に先回りして取引して利益を得ようとする行動です。これが実行されると、ユーザーは不利益を被ることになります。コスモスブロックチェーンに移行することにより、フロントランニングを確実に防止できるようになる見込みです。

運営の完全分散化

dYdXはDEXですが運営企業の影響を強く受けており、実際にはCEX(中央集権型取引所)とDEXの中間に位置するハイブリッドな取引所という位置付けです。

2022年11月時点において、dYdX Trading Inc.という企業が開発を担当しており、その開発対象には、ソフトウェア、オフチェーンのオーダーブック(指値注文を表記するツール)、注文をマッチさせるシステムがあります。

このオフチェーンはブロックチェーンに搭載されておらず、dYdX Trading Inc.が管理するサーバーで運用されています。次期バージョンのV4に移行すると、サーバーで運用されていた機能もブロックチェーン上で展開されます。すなわち、分散化が完了します。

これに関連し、オフチェーンの現行システムはdYdX Trading Inc.のサーバーを利用しているため、サーバー維持費を捻出するためにユーザーから取引手数料を徴収しています。しかし、V4への移行後はこの取引手数料が不要となります。

また、dYdX Trading Inc.は開発業務に注力するため、開発以外を担当するdYdX財団(dYdX Foundation)を設立しました。dYdX財団は、コミュニティに配分されたDYDXの管理やユーザー向け広報など、幅広い業務を担っています。

dYdXの運営体制

dYdXはより透明性の高いシステムを構築するために、DAOによる運営の完全分散化を計画しています。

point DAOとは

DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性の高い存在と見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用され始めています。

サービスの拡大と改善

dYdXはV4に移行する中で、サービスの拡大と改善を計画しています。主要なものとしては、スポット取引の復活、証拠金取引の銘柄追加、合成資産の追加などです。

point 合成資産とは

仮想通貨市場における合成資産とは、多様な金融商品の価値に連動するトークン化された資産を指します。合成資産を利用すると、例えば、アメリカを代表する株式指数S&P500に連動するトークンや、テーマ別の仮想通貨群に連動するトークンなどを発行可能です。

その他、dYdXでは、米ドルに連動するステーブルコインのUSDコイン(USDC)を担保として利用可能ですが、それも多様化される見込みです。

仮想通貨DYDXの買い方

取引所dYdXを利用する人以外にも、値上がり益を狙った投資としてDYDXを購入する人もいます。日本語対応の海外取引所におけるDYDXの取り扱い(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。

Bybit(バイビット)

現物 デリバティブ

Binance(バイナンス)

現物 デリバティブ

Gate.io(ゲート)

現物 デリバティブ

MEXC(メクシー)

現物 デリバティブ

BingX(ビンエックス)

現物 デリバティブ

Bitget(ビットゲット)

現物 デリバティブ

CoinEX(コインイーエックス)

現物 デリバティブ

海外の取引所であれば、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。

bybit gate mexc bitget

V4に向けたDYDXの動向に注目

dYdXは、DEXの拡大を牽引する存在となっており、V4に対する期待も高まっています。コスモスへの移行やDAOの採用、新製品の追加などが予想されており、どのような結果を生むでしょうか。

V4アップグレードに向けたDYDXの値動きにも注目です。


Date

作成日

2022.11.09

Update

最終更新

2023.03.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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