作成日
:2022.11.09
2022.11.09 14:56
2022年11月のポンド相場は乱高下、荒い値動きの展開が予想されます。
円買い介入の警戒とポンド安の影響から、ポンド円は下落すると見ています。
黒田日銀総裁は任期前の辞任を否定しており、来年の任期満了まで異次元緩和と呼ばれる金融政策を継続すると見られています。世界的には、物価高を抑制することを目的として各国中銀が利上げ(金融引き締め)を進めている中で、日銀だけが緩和政策を進めている状況です。金融政策の違いから、円売りの圧力は強いままだと見られています。
日本は、エネルギー価格の上昇や円安による輸入物価の上昇から、貿易においては過去最大の赤字となっており、貿易赤字による円売り圧力も強いのが現状です。この影響もあって、クロス円は基本的に円安方向へ進んでいますが、日本政府や日銀による円買い介入で買い支えられています。
今後も、日銀による円買い介入を警戒する展開は予想されますが、原資が無くなれば円を買い支えることも不可能となります。そのため、日銀が円買い介入を行うための原資が、いつまで持つのかという点には要注意です。
また、日銀の次期総裁候補にも注目です。黒田総裁の任期満了が近いことから、今後は日銀の次期総裁候補について話題が出始めると考えられます。次期総裁候補によって、現在実施されている緩和政策の出口戦略や、金融引き締めに関する発言があると、日銀の政策変更を事前に織り込むよう円買いが進む可能性も高くなるでしょう。
以上の理由から円安方向が基本ではありますが、円買い介入への警戒感やポンド安といった要因がそれを上回るため、ポンド円の上値は重く下落の可能性が高いと思います。
円買い介入で円高に動いたり、ポンドが動いたりで、乱高下しながら下落していくのではないかと予想しています。
10月末時点におけるポンド円の日足チャートです。10月のポンド円は、160円台を押し目にして、171円台にまで乗せる上昇を見せました。
画像引用:Tradingview
11月は円高に進む可能性があるので、押し目狙いは慎重に。
画像引用:Tradingview
ファンダメンタルズの大きな変化がない限り、上記の価格では売りを検討しています。
ドル買いの圧力が低下するよりも、ポンド安が強いと見ています。
アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は、物価抑制のために大幅利上げを続けており、11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でも大幅利上げが行われるとの予想です。ただ一部では、11月のFOMCで大幅利上げを実施するものの、12月FOMCに利上げ幅を縮小したり、利上げペースを鈍化させたりすることについて、併せて議論されると報じられています。
実際に議論されるかどうかも当然ながら大事ですが、このような報道が出始めたこと自体、マーケットがFRBの引き締めピークを織り込み始めることに繋がるため、今までのようなドル一強の終わりは近いと考えられます。ドル買い圧力の低下が、どの程度なのかを見極めることが重要です。
1つのポイントとして、FRBのターミナルレート(利上げの終了水準)がどのレベルなのかに注目しています。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)が提供するFedWatchツールによると、FRBの利上げ終了は来年半ばで水準は4.5%から5.0%を見込んでいるようです。もし、この水準が低下するようであれば、ドル買いは終わることが考えられます。
FOMCでの記者会見、CPI(消費者物価指数)やPCEデフレーターなど重要な指標の変化を受けた際は、ターミナルレートの変化にも注目したいところです。ただ、それでもドル買いの終わりが近いだけで、いきなりドル売りが加速するようなことにはならないと見ています。ポンド売りの方が強いと考えられるので、ポンドドルは下落する予想です。
10月末時点におけるポンドドルの日足チャートです。ポンドドルは、先月高値の1.173ドル付近まで戻してきています。
画像引用:Tradingview
しっかり下に引きつけて買うようにしてください。
画像引用:Tradingview
戻り売りを狙うか、あるいはブレイクしたら高値を追いかけるかは、ファンダメンタルズ分析も参考にしてください。
11月のポンドは、「英政治」と「景気後退」に注目です。
ジョンソン元首相の後任として首相に就任したリズ・トラス氏が、1ヵ月半という英国史上最短で辞任したのは記憶に新しいところです。トラス前首相は、英中銀の金融引き締めによる景気後退への対策として、大型減税や補助金を検討しましたが、財源が用意できずに金融不安や財政不安を招き、辞任することとなりました。
トラス前首相の辞任により、大型減税案や補助金などの政策が白紙撤回され、金融不安や財政不安は一旦後退してポンドが買い戻されたものの、景気後退や以前からの財政不安は残ったままです。次期首相にはリシ・スナク前財務相が就任しましたが、景気後退は避けられず、ポンドの上値を抑えるのではないかと考えています。
また、スナク新首相の支持率は高くなく、保守党をまとめられるのかという点でも不安が残ります。トラス前首相の早期辞任による混乱などで、与党である保守党の支持率は低下しており、このまま解散総選挙をすれば労働党に政権交代するのではないかと言われるほどです。スナク首相が安定した政権運営をできるのかが政治リスクとなって、ポンドの上値を抑えると予測しています。
英国は、エネルギー価格の上昇と、人手不足からくる人件費の高騰により物価高となっており、その影響による景気後退が懸念されています。エネルギー価格の上昇はロシア・ウクライナ情勢、人手不足はEUから離脱したことによる出稼ぎ人材の減少が要因です。
どちらもすぐに解決することは難しく、景気の後退は避けられません。また、エネルギー価格の上昇は輸入物価の上昇にも繋がり、英国の貿易赤字を拡大させる点もポンド売りの要因です。
一時的にポンドの上昇はあると思いますが、長期的にはポンドの上値を抑える展開を予想しています。
作成日
:2022.11.09
最終更新
:2022.11.09
英ポンドを中心にトレードを行う大学生トレーダーで、2021年の合計利益は4,000万円にのぼる。公式Twitterでもテクニカル分析等の情報発信を行い、フォロワー数は5,000人以上。ファンダメンタル分析とテクニカル分析を組み合わせた手法を用い、Myforexでは月初にポンド通貨ペアの戦略を連載している。
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