作成日
:2021.07.26
2022.04.20 12:28
米大手投資銀行のゴールドマンサックスが実施した調査で、富裕層の資産管理および運用を行うファミリーオフィスが、仮想通貨(暗号資産)への投資を拡大する可能性があることが明らかになった。
ゴールドマンサックスによると、ファミリーオフィスの15%が既に仮想通貨に投資していることに加え、45%がインフレ率の上昇や長期にわたる低金利、マクロ経済の不確実性を背景に仮想通貨への投資を検討しているという。これに関して、ゴールドマンサックスのプライベートウェルスマネジメント部門を率いるミーナ・フリン氏は、大多数のファミリーオフィスが仮想通貨やブロックチェーン技術について助言を求めていると語った。
今年5月以降、ビットコイン価格が3万ドルを割り込むなど、仮想通貨市場は低迷を続けている。しかしながら調査対象となったファミリーオフィスの多くは、仮想通貨投資に前向きな姿勢を見せており、潜在的なリスクを懸念していないようだ。フリン氏によると、これらの企業は効率および生産性の観点から、仮想通貨やブロックチェーン技術がインターネットと同等の影響力を有すると考えているという。
ファミリーオフィスは今世紀に入ってからアジア地域を中心に急増しており、全世界に少なくとも1万社以上存在すると言われている。ファミリーオフィスの規模は数億ドルから数十億ドルまで様々だが、その資産額の合計はヘッジファンド業界よりも大きい約6兆ドルに達すると考えられる。現在、ファミリーオフィスはプライベートエクイティや不動産への投資から仮想通貨にシフトしてきているだけに、今後もこれら企業の動向を見守っていきたい。
release date 2021.07.26
出典元:
ニュースコメント
企業からの資金流入が滞る仮想通貨市場
2021年前半、数億ドル単位でビットコインを追加購入するMicroStrategyを筆頭に、米電気自動車メーカーのテスラ(Tesla)や日本のオンラインゲーム会社であるネクソンなどがビットコインに投資したことを受け、仮想通貨市場はこれまでにない盛り上がりを見せた。しかしながら、年初から続いたビットコイン価格の上昇が鈍化したことから、仮想通貨市場への資金流入が滞っているようだ。これに伴って仮想通貨市場全体の時価総額は1兆3,000億ドルを下回っている。このような状況下、ビットコインの環境問題が明るみに出たことも相まって、一部企業は、ESG(環境・社会・ガバナンス)の懸念から撤退を検討し始めているという。ファミリーオフィスによる仮想通貨投資が拡大すれば、仮想通貨市場が再び復調に向かう可能性もあると考えられるが、これら企業はどのような投資判断を下すのか、今後も同市場での展開に注目していきたい。
作成日
:2021.07.26
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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