作成日
:2021.07.21
2022.04.20 12:28
7月19日から20日にかけて、ビットコイン価格(BTC/USD)が急落し、3万ドルの支持線を下向きにブレイクした。
これまでビットコインは弱気な値動きを示してきたが、金融市場全体の不透明さから同仮想通貨(暗号資産)の売りが加速しており、直近の安値を更新して2万9,500ドル付近まで下落している。この下降トレンドが継続すれば、ビットコイン価格は昨年末にレンジ相場を形成した2万4,000ドル、または、2万ドルの節目を目指すことになるだろう。
仮想通貨情報サイトのCryptoQuantによると、ビットコインマイナーによる仮想通貨取引所への資金移動が増加しており、2020年11月以来の最高値に達したという。
これは中国当局による取り締まり強化や、短期的に仮想通貨市場の見通しが悪化した事実を受け、マイニング事業者がビットコインの売却を急いでいることを意味している。結果的にビットコインの売り圧力が高まっており、同仮想通貨価格が低迷する大きな要因になっているようだ。また、米連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board, FRB)がテーパリング(量的緩和の縮小)に向かっていることに加え、いくつかの州が失業手当の減額を決定したことなども、仮想通貨市場からの投資マネー流出を助長している。デジタルゴールドと呼ばれるビットコインはインフレのリスクヘッジ資産として機能すると予想されていたが、米消費者物価指数(CPI)が上昇しているにも関わらず、投資家からの需要を失いつつある。
仮想通貨市場全体の時価総額は1兆3,000億ドルを下回る所まで落ち込んでいるが、復調のきっかけを掴むことができるのか、今後もビットコインを始めとする主要な仮想通貨の値動きを見守っていきたい。
release date 2021.07.21
出典元:
ニュースコメント
大手企業によるビットコイン売却のリスクが高まる
昨年から電気自動車メーカーのテスラ(Tesla)やMicroStrategy、Square(スクエア)などに続き、多数の大手企業がビットコインに巨額の資金を投じてきた。しかしながら仮想通貨市場が低迷してビットコインの資産価値が低下していることを受け、これらの企業はその方針を改める必要に迫られているようだ。特に上場企業はバランスシートの健全性を保つために、不確実性が高いビットコインを手放さなければならない状況に追い込まれつつある。例えば、今年4月に1億ドル相当のビットコインを購入したネクソンは、約45億円を営業外費用として計上することを決定しており、それが同社の株価に悪影響を及ぼしているという。このような背景から、仮想通貨市場では大口のビットコインホルダーによる投げ売りリスクが懸念されているが、ネクソンを始めとする企業は最終的にどのような判断を下すのか、今後もその動向に注目していきたい。
作成日
:2021.07.21
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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