作成日
:2021.07.14
2022.04.20 12:28
7月13日、ビットコイン価格(BTC/USD)は3万5,000ドルラインの抵抗線に跳ね返される形で、前日比マイナス約3%となる3万2,000ドル付近にまで下落した。
ここ数日間、ビットコイン価格は直近の高値を目指す動きを見せていたが、主要な抵抗線を抜けきれずに失速している。チャート上では50日移動平均線や一目均衡表の抵抗帯がマイナスな要因となっており、上値が重い展開が続いているようだ。現在、ビットコインはマイニング難易度の下落に加え、米連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board, FRB)によるテーパリング(量的緩和の縮小)などの不安材料を抱えているため、仮想通貨(暗号資産)市場では価格暴落への警戒が強まっているという。
その他、最近では世界最大の仮想通貨投資信託であるGrayscale Bitcoin Trust【以下、GBTCと称す】が大量に売却される可能性が出てきており、これがビットコイン価格に影響を及ぼすとの懸念も高まっている。グレースケールの私募ファンドであるGBTCには、6ヶ月間の売却禁止期間が設けられているが、今月18日に最大1万6,240BTCがアンロックされると同時に、それが二次市場で売却される可能性があるという。これに関して大手仮想通貨取引所のKraken(クラーケン)やFTX、仮想通貨投資会社のArcaは、スポット市場に影響はないと楽観的な見解を示している
ものの、米大手投資銀行のJPモルガンはGBTCの売却解禁がビットコイン価格にとって逆風になると指摘している。一方、イーサリアム価格(ETH/USD)もビットコインに同調して下落してきており、同日中に前日比マイナス6%近い暴落を記録した。これまで好調だったDeFi(分散型金融)市場も伸びが鈍化し、FTXのDeFi先物指数も押し下げられている状況だ。ビットコインと比較するとアルトコイン市場は軟調となっており、占有率も5月中旬の約60%から54%まで下げてきている。
JPモルガンのストラテジストは、ビットコイン価格は短期的に好転しないと予想しているが、どのような値動きを見せるのか、今後も仮想通貨市場の動向を見守っていきたい。
release date 2021.07.14
出典元:
ニュースコメント
企業による投資拡大で成長する仮想通貨市場
昨年、ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence)を開発するMicroStrategyや電気自動車メーカーのテスラ(Tesla)を始めとする企業がビットコインを大量購入したことから、同仮想通貨は資産としての認識を強めているようだ。結果的にイーサリアムやライトコイン(Litecoin)などを含む主要な仮想通貨に投資する企業が登場し、仮想通貨市場の拡大に貢献している。しかしながらJPモルガンの調査によると、現時点で仮想通貨取引を行う機関投資家は全体の10%に留まっており、仮想通貨投資に未だ否定的な企業が圧倒的多数を占めているという。インターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange, ICE)が手がける仮想通貨先物取引プラットフォームであるBakktは、仮想通貨市場の規模が2025年までに3兆ドルに跳ね上がると予想しているが、企業による市場参入の流れは加速していくのか、今後もその展開に注目していきたい。
作成日
:2021.07.14
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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