作成日
:2022.07.01
2023.08.10 08:23
2021年6月、金融庁は大手取引所のBybit(バイビット)を無登録業者リストに追加しました。これを受け、日本人のBybit利用を「違法」と解釈する人もいれば、「違法ではない」と考える人もいます。
結論から言えば、「Bybitが日本で営業していることは違法」にあたりますが、「個人が利用すること」は違法ではありません。
この記事では、金融庁の規制と海外仮想通貨取引所の関係について詳しく紹介します。
まず、金融庁が行ったBybit(バイビット)への対応を時系列で紹介します。
2021年5月28日、金融庁はBybitへ警告した事実を公表しました。公表書面に記載されている警告内容は以下の通りです。
インターネットを通じて、日本居住者を相手方として、暗号資産交換業を行っていたもの
『無登録で暗号資産交換業を行う者について(Bybit Fintech Limited)』 - より引用
日本居住者を相手にする仮想通貨(暗号資産)取引所は、たとえ海外に拠点があっても、金融庁の登録を受けることが義務付けられています。Bybitが未登録の状態で日本人にサービスを提供したため、金融庁は警告文書を発行しました。
警告文を発行した1か月後の2021年6月、金融庁はBybitを無登録業者リストに追加するに至ります。金融庁はTwitter(ツイッター)上でも注意を促しました。
「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等」を更新しました。
— 金融庁 (@fsa_JAPAN) June 25, 2021
利益だけを強調し、リスクが説明されない投資の勧誘を受けたら注意してください。出金できないなどのトラブルになるケースが発生しています。https://t.co/WaYO80G2Dz#Bybit #投資 #副業 #資産運用 #FX #仮想通貨 #暗号資産 pic.twitter.com/fZG90LmLPT
金融庁の注意喚起に対して、不満があるユーザーが多いようでした。「認可を受けた取引所は利用可能なサービスが少ない」といった趣旨のリプライが目立ちます。
金融庁の公式ページを見る限り、金融庁は2021年6月以降にBybitへ追加措置を講じていません。ただし、2022年12月現在もBybitは、無登録業者リストに掲載されたままです。
2022年11月に起こったFTXの経営破綻騒動を機に金融庁が規制を見直す可能性もあるので、今後の動向に注目が集まります。
FTXは大手仮想通貨取引所でした。しかし、ハイリスクな経営を行っており、手持ち資金が枯渇して顧客資産を払い出せない状況に陥りました。競合のBinanceによる救済を模索しましたが、結局失敗に終わっています。
この影響は仮想通貨市場全体に波及しており、CEX(中央集権型取引所)の信頼が揺らいでいます。規制当局にも大きな影響を与えたと考えられます。
金融庁の警告を受けているBybit(バイビット)ですが、個人による利用は禁止されていません。Bybitが日本居住者向けにサービスを提供することは違法ですが、個人がBybitを利用することは違法でないためです。
Bybitが日本居住者向けに営業していることは、違法となります。金融庁が作成した無登録業者リストでは、「資金決済に関する法律第63条の2の規定に違反」と記載されています。
しかし、日本人によるBybitの利用は違法とされていません。金融庁公認の相談窓口「金融サービス利用者相談室」に確認したところ、以下の回答を得ました。
また、以下のような補足も受けました。
2022年12月現在、Bybitをはじめとする無登録の業者を利用するかどうかの判断は、個人に委ねられています。
国内取引所は金融庁の規制で守られています。それに加えて、自主規制団体の日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)などの働きもあり、取引所は厳格な運営が義務付けられています。
過去に複数の国内取引所がハッキング被害を受けましたが、多少の損はあっても基本的に全て償還されてきました。顧客資産と同等の仮想通貨をコールドウォレットで保管することが義務付けられているので、元大手取引所のFTXのように顧客資産を用いたハイリスクな運営はできません。
取引所側が日本人の利用を禁止することも考えられます。そこで、2022年7月時点にMyforex編集部がBybit担当者に取材したところ、「日本人禁止の可能性は一切ない」とのことでした。
大手仮想通貨(暗号資産)取引所が日本人の利用を制限した事例はあります。例えば、2021年8月にHoubi、2021年9月にFTXが日本居住者の利用を規制しました。ただし、これらの取引所が日本人によるサービス利用を制限したのは、日本で正式な金融ライセンスを取得するためでした。
2022年11月30日、Binance(バイナンス)は日本の金融庁登録業者「サクラエクスチェンジビットコイン」を買収しました。同日、Binance.comは日本居住者の新規登録、日本語対応も停止しています。
Binance.comは既存ユーザーなら利用できる状態ですが、今後日本居住者のユーザーが利用不可になる可能性があります。
Bybit(バイビット)は金融庁の登録を行っていませんが、それには「取引の自由度を保つ」という意図があると推測されます。
Bybitは取り扱い通貨が数百種類、デリバティブ取引の最大レバレッジが100倍と、幅広いニーズに応えられる取引所です。日本の規制に従った場合、取り扱い通貨は数十種類、最大レバレッジは2倍となります。取引所の自由度は下がるでしょう。
たくらみを隠すために、金融庁の登録を行わない悪質な取引所も存在します。「マッチングアプリで知り合った人に勧められた取引所にお金を預けたら、次々と身に覚えのない請求を受けた」という事例も報告されています。取引所を利用する前は、必ず信頼できるかどうかを確認してください。
日本の金融ライセンスは保有していませんが、Bybitはドバイでライセンスを取得しており、一つの安心材料といえます。
ドバイでのライセンス取得は、日本やシンガポールで行うよりも容易です。しかし、ライセンスを取得したBybitは、一定水準以上の取引所であるとはいえるでしょう。
Bybit(バイビット)は金融庁の暗号資産交換業者リストに掲載されていません。しかし、日本人がBybitを利用することは、禁止されていません。
Bybitは、低リスクで資産を運用できる「Bybitステーキング」や、リスクヘッジにも使える人気のデリバティブ取引「USDT無期限」など、さまざまなサービスを提供しています。自己責任にはなりますが、自由度の高い資産運用や取引を行いたい人は、Bybitの利用を検討してみても良いでしょう。
作成日
:2022.07.01
最終更新
:2023.08.10
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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