Select Language

ドバイでライセンスを取得する大手仮想通貨取引所

ドバイでライセンスを取得する大手仮想通貨取引所

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.09.13 18:04
ドバイでライセンスを取得する大手仮想通貨取引所

update 2022.09.13 18:04

2022年3月、大手仮想通貨(暗号資産)取引所のBybit(バイビット)が、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでライセンスを得ました。これに伴い、シンガポールからドバイに本社機能を移転します。

近年、ドバイは経済特区のDWTC(ドバイ世界貿易センター)を中心に、仮想通貨関連企業の誘致に注力してきました。仮想通貨の世界で世界的な中心地になるためです。その甲斐もあってか、リップル社を始め有力な仮想通貨関連企業が、ドバイでの拠点設置を決定しています。取引所でも同様の動きが見られ、ドバイは盛り上がりを見せています。

ドバイの仮想通貨規制

2022年3月9日、ドバイ政府は暗号資産規制法を交付し、仮想通貨市場の規制機関としてVARA(Dubai Virtual Asset Regulatory Authority)を設置しました。ドバイ政府はVARAを核に法的な枠組みを制定しており、仮想通貨市場を成長させる方針です。これに関して、ドバイの首長は「組織やガバナンス、セキュリティ面で、最も先進的な仮想通貨のエコシステムを提供します」とコメントしており、暗号資産規制法とVARAの設立が成長の礎になるとの考えを示しました。[1]

VARAの役割は、ドバイで活動する取引所や仮想通貨関連企業を監督することです。従って、ドバイでライセンスを取得するには、ドバイに拠点を設置するのに加えて、VARAが課す要件をクリアする必要があります。具体的には、十分なセキュリティシステムや運用体制を構築することや、投資家保護、マネーロンダリング防止(AML)、テロ資金調達対策など、国際的な基準に準拠することだと考えられます。

knowledge マネロン対策強化が求められるUAE

2022年3月、国際機関のFATF(金融活動作業部会)は、UAEをグレーリストに加える見込みとなりました。グレーリストとは、マネーロンダリング対策で改善が必要な国の一覧です。UAEにとってマネーロンダリング対策は重要な課題となっており、ドバイのVARAにも厳格な対応が求められるかもしれません。

ライセンスを取得した取引所

各取引所のロゴ

このような状況下、Bybit(バイビット)以外の取引所も、続々とVARAのライセンスを取得しています。そこで、ライセンスを得た取引所の例を紹介します。以下の取引所の中には、準備段階で暫定的に承認されたものもありますが、問題がなければ正式なライセンスを取得する見込みです。

Binance

Binance(バイナンス)は世界最大の取引所であり、全世界でサービスを展開しています。既に米国・プエルトリコ・カナダなど様々な国と地域でライセンスを取得しており、VARAから承認を受けた最初の取引所となりました。また、2021年からDWTCに協力して仮想通貨規制の環境構築などに貢献しており、ドバイでも大きな存在感を発揮することになるでしょう。

FTX

FTXは、2019年設立の大手取引所です。2022年2月、Liquid(取引所Quoineを運営)を買収したことで、日本でも有名になりました。本社はバハマにあり、多くの国と地域に積極的に進出しています。ドバイでは欧州支部のFTX Europeを通じてライセンスを取得しました。FTX Europeは、企業向けサービス提供も視野に入れる方針を表明しています。

Crypto.com

Crypto.comはウォレットアプリがサービスの中心であり、香港で創業してシンガポールに移転しました。ウォレットアプリは取引機能も搭載しており、独自仮想通貨「CRO」を含む約200種類の仮想通貨が取引可能です。Crypto.comはドバイにオフィスを設立すると共に、今後、大規模な採用活動を開始すると発表しました。ドバイを足掛かりに中東地域に進出する意向です。

BitOasis

BitOasisは、2015年にドバイで設立された取引所です。40種類以上の仮想通貨を取り扱っており、中東地域でサービスを提供しています。中央銀行に事業者として登録されていましたが、VARAの設立で暫定的に認可を受けることになりました。VARAが課す要件を満たせば、正式にライセンスを得られる見込みです。

ドバイでライセンスを取る理由

なぜこれらの大手取引所は、ドバイでライセンスを取得するのでしょうか。ドバイでライセンスを取得するメリットとして、以下の例が挙げられます。

ライセンス取得が容易

近年、国際的な仮想通貨規制の構築が望まれる一方、オフショア取引所は規制が緩い国から全世界に向けてサービスを展開しており、風当たりが強くなっています。それぞれの国が全てのオフショア取引所を規制するのは難しく、犯罪の温床になるとして問題視されています。実際、米国ではBinanceのグローバル向けサービス「Binance.com」へのアクセスが禁止されるなど、いくつかの国でオフショア取引所の締め出しが始まっています。

point オフショア

複数の意味があり、金融の世界では「外国人向けにビジネスを展開する海外企業に税制優遇する国や地域」を指します。しばしばタックスヘイブンとも呼ばれ、各種規制が緩いことが特徴です。この緩さが、犯罪の温床になると危惧されています。

そこでオフショア取引所は、信頼を得るために適切なライセンスを得ようとしています。米国・日本・シンガポールなど、ライセンス取得が比較的難しい国では、現地向けの法人を立ち上げる場合もあります。また、仮想通貨関連企業に寛容な国でライセンスを取得しようともしています。ドバイは仮想通貨関連企業に友好的であり、ライセンスの取得は比較的容易な模様です。

税制面の恩恵

ドバイには、仮想通貨取引にかかるキャピタルゲイン税や法人税がありません。従って、取引所がドバイでライセンスを取得して事業を展開すれば、税制面で大きな恩恵を受けられます。ちなみに、個人の所得税もないので、仮想通貨取引にかかる税金はゼロです。最近では、インドの大手取引所WazirXの幹部ニシャル・シェティ氏とシッダールト氏がドバイに移住して、話題となりました。

将来性抜群の国内市場

ドバイ・ブロックチェーン・ストラテジー

画像引用:DIGITAL DUBAI

ドバイは「ドバイ・ブロックチェーン・ストラテジー」を公開し、ブロックチェーン関連産業の発展を目指しています(上の画像はストラテジー紹介動画の一場面)。その結果、400社ほどの仮想通貨関連企業が存在しており、VARAは2022年末までに1,000社にする目標です。ドバイは中東の仮想通貨先進国としての地位を確立しつつあり、ライセンスを取得して市場に参入できれば、パートナーシップなどのチャンスにも恵まれるでしょう。

プロジェクト例として、現地のレストランやホテル、小売店などの決済ソリューションを構築する「Nexus Dubai(NXD)」、火星を舞台にしたメタバースの「エバードーム(EVERDOME)」などがあります。

ライセンス取得が質の向上に貢献

ドバイ政府はVARAを設立し、曖昧だった仮想通貨市場の規制を明確化し、仮想通貨関連企業の誘致に成功しています。今後も積極的に誘致を進めていくと考えられ、これがどのような成果につながるか注目できます。Bybit(バイビット)に加えて、Binance(バイナンス)やFTX、Crypto.comなどの大手取引所が次々とライセンスを取得しており、流動性拡大や安全性向上などに貢献する可能性があります。


Date

作成日

2022.04.28

Update

最終更新

2022.09.13

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

Bybit P2P利用で銀行口座凍結・詐欺容疑者に?海外FXユーザーが知るべき巻き込まれリスクとは

Bybit P2Pを利用したユーザーが銀行口座凍結されたことに加え、詐欺容疑者として取り調べを受けたというSNS投稿が話題になっています。本記事では、話題となった投稿の内容や、海外FXユーザーがP2P取引の利用を避けるべき理由などを解説します。
update2025.11.12 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

Vantage Tradingが入出金額の上限を変更、100万円以上の出金は自動分割

海外FX業者のVantage Tradingが、銀行振込の入出金額の上限を変更しました。今後は銀行振込で一度に出金できる額が100万円に制限されます。本記事では、変更された条件や高額送金時の注意点などを説明します。
update2025.11.11 19:00

Money Charger(マネチャ)情報流出で問われるキャッシュバックサイトの運営体制と安全性

Money Chargerは2025年10月25日、ユーザーの個人情報が外部に流出したことを公表しました。キャッシュバックサイトはうまく活用すれば取引コストを抑えられる一方で、個人情報を扱う性質上、安全管理体制が極めて重要です。本記事では、安全性や透明性の観点から主要なキャッシュバックサイトを比較します。
update2025.11.17 19:00

Funded7で出金が認められない事例が増加?ルールの不透明さが原因か

Funded7で出金拒否に関する投稿がSNS上で増加しており、利用者の間で不安が広がっています。「利益が取り消された」「短時間取引が理由で無効になった」などの報告が投稿されています。当記事では出金拒否の原因を整理し、他のプロップファームとFunded7のルールを比較します。
update2025.11.21 19:00

Exnessの乗り換え先としてXSはアリ?スペックを比較

取引環境の良さから玄人にも人気のExnessですが、最近は出金トラブルなどが発生しており、今後の取引環境に不安を抱くユーザーも増えています。本記事では、有力な乗り換え先であるXS.comと取引環境・条件を比較し、乗り換え先として相応しいかどうかを検討します。
update2025.11.20 19:00

Bybitが日本ユーザーの新規登録を停止!日本撤退で海外FXユーザーにも影響大か?

Bybitが2025年10月31日をもって日本ユーザーの新規登録停止を発表しました。既存ユーザーは継続利用できるものの、締め出しも時間の問題と予想する声も少なくありません。本記事では、Bybitの発表内容や海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.11.06 19:00

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル