作成日
:2020.12.21
2022.09.19 17:03
キプロスに拠点を置き、Capital.comを運営するCapital Com SV Investments Limited(本社:28 Oktovriou, 237 Lophitis business Centre Ⅱ, 6th floor Limassol, Cyprus, 3035
)【以下、Capital Comと称す】傘下の英国法人でマネージングディレクターを務めるGuilhem Tranchant氏が、同社の現況に関する見解及び今後の展望を示した。2007年、Guilhem氏は英国・ロンドンにおいてBNPパリバのホールセール・バンキング(CIB)事業で、欧州市場のミディアムタームノート(Medium Term Note, MTN)を取引するディーラーとしてキャリアをスタートした。同氏は2010年にパリのサクソバンク(Saxo Bank)に移り、クロスアセットのセールストレーダーとして一般投資家の獲得を図った他、同社の最重要顧客に対するリレーションシップマネジメント(Relationship Management, RM)を通じて管理業務も担ってきた。2014年末、Guilhem氏はCMC Marketsに入社しており、セールスヘッドやフランス部門ヘッドを歴任し、セールスやマネジメントスキルを高めた他、ロンドン本社との緊密な関係性を構築する中、マーケティングや規制コンプライアンスといった分野も深く理解しているという。2020年8月、同氏はCapital Com英国法人のマネージングディレクターに就任し、同国におけるCFD及びスプレッドベッティング取引の拡大に注力する他、フランスやスイス、ドイツといった西欧諸国の市場開拓を推進している状況だ。
Guilhem氏によると、Capital ComはCFD及びスプレッドベッティング分野において、プロフェッショナル水準且つユーザーフレンドリーなサービスの提供に注力しているという。同社は顧客第一を徹底すると共に、サステナブルな成長を実現する上で顧客ロイヤルティが重要となってくると見ている。Capital Comは常に顧客からのフィードバックを注視している他、顧客が投資収益を上げるという最終目標を達成すべく、継続的に取引プラットフォーム機能を改良している。更に、商品ラインナップの拡充や投資教育サービスの充実、及び市場分析コンテンツの提供を図っているとのことだ。また同社の強みとして、インターフェースの複雑性を排除することで、全ての顧客層に対してニーズにマッチした商品を迅速に提供することができるという。
Capital Comの業績動向に目を転じると、2020年にグループ全体の取引高が900%以上増加しており、Guilhem氏によると、2021年は更に取引高が大きく拡大する見通しであるという。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受け、市場のボラティリティが高まった他、同社の顧客獲得・維持戦略が奏功する形で業績が拡大しているとのことだ。
新型コロナウイルスの影響で、2020年は多くの市場でボラティリティが高まり、これまでにない市場環境となっているが、Guilhem氏は2021年もボラティリティが拡大する可能性があると見ている。株式市場は急回復しているが、2021年初旬に割高な水準が訂正される可能性がある一方、現状の市場不透明感が継続する場合、金価格が上昇する余地があるという。また2年ぶりの安値水準に沈むドルに関しては、売られ過ぎの反動で見直し買いが入る可能性がある一方、ブレグジット交渉が難航する中、ユーロとポンドのボラティリティが大きく拡大し得ると見通している。顧客動向に関しては、多くの企業が大型の新規株式公開(IPO)を実施する中、投資家は2021年も馴染みの深い企業への投資意欲が強いと見ている。
Capital Comの顧客や従業員及びパートナーを取り巻く多岐にわたる課題に関しては、十分な対応を図れている模様だ。同社は第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive Ⅱ, MiFIDⅡ)下における投資会社であると共に、英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】の許認可の下でサービスを提供していることから、コンプライアンスを遵守し、常に顧客第一の徹底に努めているという。またフィンテック企業であるCapital Comは、テクノロジードリブン(技術主導型)な経営を実践しており、新型コロナ禍においては、システムの不具合やアクセス障害が発生せず、同社のポテンシャルを遺憾なく発揮できているとのことだ。更に、フラットな組織体系を敷く同社は、マネージャーと協働して課題解決を図ることができる他、2020年3月以降リモートワークを徹底し、従業員の安全性確保に努めている。市場環境が目まぐるしく変化する中、安全性に優れた取引プラットフォームを構築することは、顧客に最善のサービスを提供する上で重要なものであるため、Capital ComのIT部門は、常に機能の最適化や定期的なアップデートを行っているという。加えて、同社は規制対応の徹底を図るべく、全てのコンプライアンスプロセスに関する定期点検を実施しているとのことだ。
2021年初頭、Capital Comはキプロスの金融監督当局であるキプロス証券取引委員会(Cyprus Securities and Exchange Commission, CySEC)規制下において、サービスを提供する投資家を対象にMetaTrader4【以下、MT4と称す】をリリースする予定だ。その後、FCA規制下の全ての顧客を対象に、同取引プラットフォームを導入する方針である。これにより、同社は商品ラインナップの拡充を図ることができる一方、顧客にとっては独自のEA(自動売買)を開発・運用することが可能となる。MT4を活用するユーザーは、Capital Comの口座を開設後、同取引プラットフォームから直接Capital Comのサーバーと接続することができるという。MT4の導入は、2020年5月に英国及びアイルランドを拠点とする顧客を対象にした、スプレッドベッティングサービスのリリースを補完するものであるとのことだ。同サービスは両国において非常に人気の高い取引サービスであり、同社にとって2021年の業績拡大を支える成長ドライバーとなる見通しである。
尚、足元において海外FXブローカーは、世界中の投資家が愛用するMetaTrader取引プラットフォームの導入を進めている。例えば、SkillingがMT4をリリースした他、Market EquityがMT5を導入している。Capital ComはMT4のリリースを通じ、サステナブルな成長と世界有数の海外FXブローカーとなることを目指す方針だ。
release date 2020.12.21
Capital ComはコモディティやFX、インデックス、株式といった3,000種類以上の金融商品を提供するCFD・スプレッドベッティングプロバイダーである。同社は独自取引プラットフォームへのダイレクトアクセスサービスや、eQと呼ばれるCapital Comが開発したAIアシスタントも提供している。同ツールは、バイアスや無意識の行動を認識することができるため、トレーダーの投資行動の改善に寄与するという。また、世界中の個人投資家をメインターゲットとする同社は、STP方式による優れた約定力を発揮している他、ForteInvest JSCのCEOを務めるSaid Gutseriev氏などの支援を受け、強固な財務基盤を誇っている。2019年4月、Capital Comはベラルーシでライセンスを取得し、グローバル戦略を推進している他、2020年8月にはExnessでCDOを務めていたJon Squires氏をグループCEOとして迎え入れ、更なる業容拡大を図っている。経営陣を刷新したCapital Comは、2021年にグローバル投資家から圧倒的な支持を受けるMT4を導入する予定であり、今後の顧客獲得動向にも期待が持てそうだ。
作成日
:2020.12.21
最終更新
:2022.09.19
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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