Select Language

ESMA、規制適合性及び実績プログラムの技術的基準に係る最終草案を公表

ESMA、規制適合性及び実績プログラムの技術的基準に係る最終草案を公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.12.21 12:47
ESMA、規制適合性及び実績プログラムの技術的基準に係る最終草案を公表

update 2021.12.21 12:47

デリバティブレポーティング規制における国際基準との調和を模索

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は12月17日、欧州市場インフラ規則(European Market Infrastructure Regulation)【以下、EMIRと称す】の規制適合性及び実績プログラム(Regulatory Fitness and Performance Programme)【以下、EMIR REFITと称す】下における技術的基準に関する最終草案を公表した。[1]

同レポートには、取引情報蓄積機関(Trade Repository)【以下、TRと称す】への取引データのレポーティングや、データの照合手続き、関連当局によるデータアクセス、TRの登録に関する内容が含まれている。また、ESMAは諮問書に基づく独自の提案を行っている他、レポーティング要件の一致や、データの質向上を図るためのカウンターパーティー及びTRによる手続きの簡素化を求めている。

EMIR REFITの技術的基準に関するESMAの具体的な提案内容としては、BIS決済・市場インフラ委員会(Committee on Payments and Market Infrastructures, CPMI)と証券監督者国際機構(International Organization of Securities Commissions, IOSCO)代表理事会が策定したグローバル指針を含む、国際基準との調和が挙げられる。また証券金融取引規則(Securities Financing Transactions Regulation)【以下、SFTRと称す】下において求められる要件と同様に、ISO 20022を活用したXML通信メッセージによる、エンドツーエンドのレポーティングを推奨している他、バリデーション(入力検証)やリコンシリエーション(取引照合)の際に、TRへ提供されるデリバティブ取引データの質向上及び調和を図ることを要請している。更に、SFTR及びEMIR下におけるTRの登録延長ルールの簡素化や、データーアクセスの標準化を提案している。

最終草案の公表に際し、ESMAの局長を務めるSteven Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

最終草案を公表したことは、EU圏内のデリバティブ取引に関するレポーティング規制とグローバル基準の一致を図ると共に、データの質に関する世界最高水準の基準を確立する上で、画期的な出来事と言えるでしょう。デリバティブレポーティング規制に関して、世界各国が協調することで、各規制当局にとって監督に必要な情報の取得や、金融市場の安定化に寄与すると考えております。各国規制当局によるデータ収集の際、固有取引識別子(Unique Transaction Identifier, UTI)や固有商品識別子(Unique Product Identifier, UPI)、及びその他の主要データ項目の活用が必要不可欠となる中、近年、当局はデータ項目の調整に関する指針の策定に積極的に関与しております。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

EMIR REFITの技術的基準に関する最終草案は欧州委員会(European Commission, EC)へ提出されており、EU官報への掲載から18ヶ月以内に、カウンターパーティーとTRはレポーティング規制に係る技術的基準への対応が求められるという。EMIRの一部条項が修正されたことを受け、新たなレポーティング規制へのスムーズな移行が求められる中、ESMAはレポーティング規制に加え、XML通信メッセージ及びバリデーション関連の技術文書に係る指針の公表に向けて業務を遂行していく方針だ。

release date 2020.12.21

出典元:

ニュースコメント

デリバティブ分野で新たな規制フレームワークの構築を目指すグローバル当局

グローバル規制当局は個人投資家保護と金融市場の安定化に向け、デリバティブ分野において多岐にわたる規制策を打ち出している。足元においてはブレグジット交渉が難航する中、ESMAがDTOに係る声明文を公表し、ブレグジットの移行期間終了後も現行のデリバティブ取引義務を継続適用する方針を示している。また、米証券取引委員会(SEC)がデリバティブ活用に係る新規則を採択した他、英国金融行動監視機構(FCA)は仮想通貨デリバティブの販売を禁止する規制を公表している。一方、機関投資家による為替ヘッジ目的などで活発に利用されているデリバティブは、圧倒的な市場規模を誇っており、多くの金融サービスプロバイダーが関連ソリューションの提供を試みている。例えば、CMEがマイクロEミニ先物オプションをリリースした他、SGXはCassini Systemsと提携し、非清算店頭デリバティブ取引に係る証拠金規制(UMR)関連サービスの強化を図っている。デリバティブ分野の規制環境が変化する中、多くの金融サービスプロバイダーが利便性向上につながる画期的なソリューションを提供することに今後も期待したい。


Date

作成日

2020.12.21

Update

最終更新

2021.12.21

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Galaxy DAOがトレーディングチャレンジの一般応募。トレードコンテスト中止が背景か

Galaxy DAOがトレーディングチャレンジの一般応募を開始しました。以前まではクローズドな環境で参加者を募集していたことから、Galaxy Daoがトレードコンテストを再開できないことが、一般応募を開始した背景ではないかと考えられます。
New
update2024.05.07 20:00

仮想通貨EIGENの将来性は?イーサリアムリステーキングのパイオニアEigenLayerについて解説

仮想通貨EIGENは、リステーキングプロトコルEigenLayerのネイティブトークンです。EigenLayerは、イーサリアムのリステーキングを行うためのプラットフォームとして機能します。当記事では、仮想通貨EIGENの将来性やトークンの使い道などを解説します。
New
update2024.05.07 19:00

bitwallet &Titan FX トレードコンテストを開催!賞金総額最大400万円

海外FX業者のTitan FXが、「bitwallet &Titan FX トレードコンテスト」を開催することを発表しました。コンテストでは専用のデモ口座を使用するため、自己資金をリスクにさらすことなく参加できます。上位入賞者には賞金も贈られます。
update2024.05.02 20:30

仮想通貨SUIのステーキング利率は?やり方やリスクを解説

仮想通貨SUIは、レイヤー1ブロックチェーンSuiのネイティブトークンです。Suiでは、PoSの派生系であるDPoSによりSUIのステーキングが可能です。当記事では、SUIをステーキングする方法やステーキング利率、ステーキングのリスクをご紹介します。
update2024.05.02 20:00

仮想通貨REZの将来性は?イーサリアムのリステーキングプロトコルRenzoについて解説

仮想通貨(暗号資産)REZは、リステーキングプロトコルRenzoのネイティブトークンです。Renzoは、イーサリアム(ETH)のリステーキングを簡単に実行できるプラットフォームとして機能します。
update2024.05.01 20:00

リピート注文その1|最良の取引戦略の1つリピート注文とは

リピート注文(グリッドトレード)は、インディケータに関する知識を必要としないシンプルな手法です。注文を設定した後は、単純なルールに従って行動するだけです。
update2024.04.30 20:30

メタマスク(MetaMask)のエアドロップ確認機能とは?特徴や使い方を解説

分散型ウォレットのメタマスク(MetaMask)に、エアドロップ確認機能が追加されました。これにより、エアドロップの受け取り資格の有無を、メタマスク上で簡単にチェックすることが可能になっています。当記事では、エアドロップ確認機能の特徴や、対応しているブロックチェーン、使い方を解説します。
update2024.04.26 21:00

仮想通貨BBの将来性は?ビットコイン向けリステーキングチェーンBounceBitについて解説

仮想通貨(暗号資産)BBは、レイヤー1ブロックチェーンBounceBitのネイティブトークンです。BounceBitは、ビットコイン(BTC)をリステーキングできるインフラとして機能します。
update2024.04.25 20:00

セービングとステーキングの違いとは?仕組みや利率・やり方を解説

仮想通貨(暗号資産)を運用する代表的なサービスとして「セービング」と「ステーキング」があります。よく似た両者には、どのような違いがあるのでしょうか。当記事では、セービングとステーキングの違いや仕組み、利率、やり方などを解説します。
update2024.04.25 19:30

Zoomexがプレイ金額杯を開催!To The Moonをプレイして総額17万円相当の賞金・特典を獲得

Zoomex(ズーメックス)が、プレイ金額杯の開催を発表しました。To The Moonをプレイしてランキングに入賞すると、総額17万円相当の賞金・特典を獲得できます。キャンペーンは、2024年4月30日午前9時(日本時間)までです。
update2024.04.23 20:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル