Select Language

ESMA、デリバティブ取引義務に係る声明文を公表

ESMA、デリバティブ取引義務に係る声明文を公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.12.22 16:37
ESMA、デリバティブ取引義務に係る声明文を公表

update 2021.12.22 16:37

ブレグジットの移行期間終了後も同義務を継続適用する方針

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、ブレグジットの移行期間が終了する2020年12月31日以降におけるEUのデリバティブ取引義務(Derivatives Trading Obligation)【以下、DTOと称す】の適用に係る声明文を公表した。[1]

ESMAはブレグジットの移行期間終了後においても、現行のDTOを継続適用する方針だ。同局によると、DTOを継続適用した場合でも、金融システムの安定化にリスクを及ぼすものではないと考えており、2019年3月にESMAが公表した第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive Ⅱ)【以下、MiFIDⅡと称す】適用計画書内でまとめられたデリバティブ規制アプローチを追認するという。

ESMAは、EUを拠点とする投資会社の英国支店を始めとする一部のカウンターパーティーにとって、この規制アプローチへの対応は困難なものになると認識している。しかしながら、英国がEUのDTOを導入すると共に、これらのカウンターパーティーがEUを拠点とする取引施設や、適格取引施設においてデリバティブ商品を取引することで、DTOを巡る問題を解決することできると見ている。尚、株式取引義務(Share Trading Obligation)【以下、STOと称す】に関しては、ESMAが同義務を適用しない特別な取引状況への対応を模索している他、FCAもSTOの適用に係るガイドラインを公表している。

現行の法律フレームワークに加え、欧州委員会(EC)が英国に対する同等性評価を認めていない状況に鑑みると、ESMAは他の規制アプローチを用いる指針を打ち出す余地はないという。同局はブレグジットの移行期間終了後においてもDTOの適用を図るべく、市場に十分な流動性が供給されているか引き続き注視していく方針だ。

release date 2020.11.27

出典元:

ニュースコメント

約6,000兆円規模に上るDTO対象のデリバティブ市場

ハードブレグジットの場合、最大6,000兆円のデリバティブ契約が無効になると見込まれていたことから、デリバティブ取引規制動向は、欧州各国当局や市場関係者から高い注目を集めている分野だ。ESMAは同分野を規制する取り組みを強化しており、2019年3月に公表した英国のハードブレグジット(合意なき離脱)に対応したMiFIDⅡの計画書においては、デリバティブ取引に係るレポーティング規制に関する計画を盛り込んでいた。今回、同局は現行DTOを継続適用する方針を示したが、ESMAの規制策においては、多目的取引施設(MTF)や組織化された取引施設(OTF)を通じたデリバティブ取引に加え、店頭(OTC)取引に関しては、認定公表機構(APA)を介して取引データの公表を義務付けている。他方で、ブレグジットを巡っては、同局が既に多岐にわたる施策を打ち出している。例えば、ESMAは英国CCP3社に第三国CCPとして認可を与える方針を示している他、ESMAは移行期間終了に伴う準備徹底を要請している。DTOを始めとする欧州と英国間の金融商品取引規制に関しては、現状、ECが同等性評価を認めていないことから、引き続き同委員会を始めとする欧州当局の動向に注目したい。


Date

作成日

2020.11.27

Update

最終更新

2021.12.22

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

オオカミコイン(OKM)は怪しい?オオカミプロジェクトの特徴やSNSでの評判

オオカミコイン(OKM)は、オオカミカードを発行するオオカミプロジェクトの仮想通貨です。海外取引所のMEXCに上場していますが、SNS上では怪しいという声も見られます。本記事では、オオカミコインの特徴、SNSでの評判、怪しいポイントなどを紹介します。
update2025.04.11 19:00

ワールドコインのOrb(オーブ)の日本設置場所は?無料配布を受けられる登録会場の予約方法も解説

ワールドコインのOrb(オーブ)で生体認証を行うことで、仮想通貨WLDを無料で受け取れます。当記事では、ワールドコインの日本国内のオーブ設置場所、探し方、予約方法などを解説します。
update2025.03.21 19:30

XMTrading・Vantage Trading・AXIORY公式アプリがApp Storeから削除

海外FXブローカーのXMTradingおよびVantage Trading、AXIORYのアプリがApp Storeから削除されたことが確認されました。本記事では、削除の背景や考えられる理由、ユーザーへの影響、そして今後の対応策について詳しく解説します。
update2025.03.25 19:30

仮想通貨INITの将来性は?アプリチェーン統合レイヤー1「Initia」の特徴や評判

仮想通貨INITは、複数のアプリチェーンを統合するレイヤー1ブロックチェーン「Initia」のネイティブトークンです。当記事では、INITの将来性やSNSでの評判、Initiaの特徴などを解説します。
update2025.04.24 19:00

ワールドコイン(WLD)の換金方法は?日本円に現金化する手順を解説

ワールドコイン(WLD)は、OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏らが手掛ける仮想通貨プロジェクトです。登録したユーザーには、仮想通貨WLDが無料配布されます。当記事では、ワールドコインを日本円に換金する手順や、換金時の注意点などを解説します。
update2025.04.16 19:30

Galaxy DAOが出金受付を開始?返金を期待できない3つの理由

Galaxy DAOが、返金の受付を開始するという内容のメールをユーザーに配信していたことが明らかになりました。しかし、多くのユーザーは返金の実現には懐疑的です。なぜGalaxy DAOによる返金が期待できないのか3つの理由を説明します。
update2025.03.19 19:30

MT4のバックテストに正確なヒストリカルデータが必須!無料・有料データを比較

MT4でバックテストをする際にはヒストリカルデータの取得が必要です。ヒストリカルデータは無料と有料のものがありますが、どっちがいいのか、気になる人もいるでしょう。本記事では、ヒストリカルデータのダウンロード方法を詳しく解説します。
update2025.03.26 19:30

MT4/MT5対応の通貨強弱インディケータを徹底比較!無料で使えるおすすめは?

通貨強弱インディケータを使うと各通貨の強弱が一目で分かり、初心者でも視覚的に相場状況を把握できます。この記事では、無料のおすすめインディケータを比較し、選び方や活用方法を解説します。
update2025.02.05 19:30

Exnessで入出金に遅延が多発、安全に出金可能な方法は?

大手海外FX業者のExnessで、出金遅延が多発しています。遅延が発生しているのは、銀行振込で2週間以上待たされるケースもあるようです。Exnessの出金状況や安全に出金可能な方法を解説します。
update2025.04.25 19:30

MT4/MT5のローソク足の色は4つのポイントでカッコよくできる!

MT4/MT5は、自分だけのオリジナルデザインにチャートをカスタマイズできます。配色や表示設定を少し変えるだけで、補色やコントラストを意識することで、より視覚的に分かりやすいチャートにすることも可能です。この記事では、誰でも簡単にできるチャートのカスタマイズ方法を4つのポイントに分けてご紹介します。
update2025.02.12 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル