作成日
:2020.09.07
2021.08.31 15:31
世界最大のデリバティブ取引所を運営するCME Group Inc.(本社:20 South Wacker Drive Chicago, Illinois 60606 USA
)【以下、CMEと称す】は8月31日、マイクロEミニS&P500先物及びマイクロEミニナスダック100先物を原資産とするオプションをリリースしたことを発表した。両マイクロEミニ先物オプションは、それぞれのEミニ先物オプションと比較して10分の1の取引サイズとなる。また新オプションは、各週の金曜日を満期日とする5つの週次オプションと、3つの月末オプション及び2つの四半期オプション限月取引を取り揃えている。
オプション取引の増加には、流動性の高い先物市場が欠かせないという。1年前にリリースされたマイクロEミニ株価指数先物は、常に豊富な流動性を供給しており、CMEの中で最も成功した新商品として、取引が急拡大している。
それぞれの取引動向に目を転じると、リリース以来の累積でマイクロEミニS&P500先物は1億8,600枚、マイクロEミニナスダック100先物は1億3,100枚取引されているという。両先物を合算した2020年日次平均取引枚数は150万枚であり、年初来で両先物取引の内30%は米国外で行われたとのことだ。また両先物のリリース以来、93,000人以上の新規顧客が同商品を取引したという。
尚、足元でCMEは積極的にサービス拡充を推進している状況だ。例えばCMEはVOLQ先物をリリースする計画を発表した他、CME傘下のBrokerTecとTriOptimaが提携し、レポ取引ワークフロー関連のエンドツーエンドソリューションを開発する方針を示している。またCMEはビットコインオプション取引サービスを開始し、好調な滑り出しを切ったという。そして今回、同社は急速に人気が高まるマイクロEミニ株価指数先物を原資産とするオプションをリリースしたことで、更なる顧客取引の拡大が期待できそうだ。
release date 2020.09.07
CMEの株価指数先物オプションは、多様な満期日が設定されており、投資家ニーズに合わせた柔軟な運用が可能な他、週次オプションは豊富な流動性の下で国政選挙などを材料にポジションをとるイベントドリブン戦略に有効活用できるという。足元では新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックをきっかけに、投資の世界に参入するトレーダーが急増している。今回、同社はEミニ先物オプションと比較して10分の1の取引サイズとなるマイクロEミニ先物オプションをリリースし、少額投資を試みる投資初心者の囲い込みを図っている模様だ。他方で、11月には米大統領選挙というビッグイベントを控えている。各種世論調査において、民主党の大統領候補に指名されたバイデン氏の優勢が伝えられる中、米有力調査機関のピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)によると、国内の有権者の内50%はトランプ氏が勝つと予想し、バイデン氏が勝つと考える有権者は48%であったという。世界中の投資家が注目する米大統領選挙が2か月後に迫る中、選挙を巡るニュースヘッドラインを材料にしたオプション取引が活発化しそうだ。
作成日
:2020.09.07
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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