作成日
:2020.09.08
2021.08.31 15:31
大手仮想通貨取引所のBinance【以下、バイナンスと称す】は、BSwap(Binance Liquid Swap)と呼ばれる自動マーケットメーカー(Automated Market Maker)【以下、AMMと称す】プールをローンチしたことを発表した。
これによりバイナンスはDeFi(分散型金融)プラットフォームのUniswapと同様に、流動性プロバイダーが取引手数料から収益を上げることを可能にしたという。BSwapはバイナンスが採用した最初のAMMプールであり、同取引所はこれがより安定した価格と競争力のある手数料を実現する手段になると主張している。今回、バイナンスはテザー(Tether)とBUSD(Binance USD)、BUSDとダイ(DAI)、テザーとダイの3つの通貨ペアをサポートし、流動性を強化することを決定した。
流動性プロバイダーなどのユーザーは、AMMプールに仮想通貨を預け入れることと引き換えに、バイナンスから金利収入および取引手数料の減額を受けることができる。付与される金利は7日単位の年利回り(APY)で計算され、預け入れた仮想通貨で支払われるという。バイナンスのCEOであるChangpeng Zhao氏は、AMMプールを通じてDeFiマーケットプレイスの成長を促し、収益性と流動性を向上させることを目指すとコメントしている。
最近、バイナンスはBinance Smart Chainのメインネットを正式にローンチするなど、DeFi関連サービスの強化を図っているが、BSwapはこの流れを後押しする要素となるのか、今後も同取引所の取り組みを見守っていきたい。
release date 2020.09.08
これまで仮想通貨市場は低い流動性に起因して、度重なる仮想通貨価格の暴騰や暴落に見舞われてきた。過去には、大手取引所のビットスタンプで自動取引ボットの暴走により大量の売り注文が約定され、ビットコイン(Bitcoin)やライトコイン(Litecoin)などの仮想通貨価格がクラッシュする被害が発生している。また昨年、バイナンスで異常な価格の注文成立が観測されたケースも報告されている。このような問題に対して取引所側は、取引アルゴリズムの改善や外部の流動性プロバイダーと契約することで対処してきたものの、既存の投資市場と比較するとその流動性は未だ満足いく水準に達していないと言えるだろう。今回、バイナンスがマーケットメーカー向けのサービスをリリースしたことは、業界全体にとっても大きな契機になると考えられるが、仮想通貨市場はどのように偏移していくのか、今後もその動向に注目していきたい。
作成日
:2020.09.08
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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