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新型コロナ禍において存在感を増すフィンテック企業

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update 2021.08.31 15:31
新型コロナ禍において存在感を増すフィンテック企業

update 2021.08.31 15:31

共感力のあるフィンテックソリューションに注目

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、2020年はグローバルベースで景気が後退すると共に、経済的に困窮する人々が急増している。世界中で感染の第2波が迫る中、人々の思いに共感(Empathy)を示すことで、ユーザーエクスペリエンスの向上に寄与するフィンテックソリューションの活用に注目が集まっている。[1]

新型コロナウイルス感染の第2波が世界中で訪れようとする中、一部の国々ではロックダウンが再開された。また多くの国々で、コロナ対策の一環として給付金の支給が続けられている。このような市場環境下において、フィンテック企業の重要性が高まっている状況だ。従来からの対面による金融サービスの多くは、現在モバイルを通じて取引されている他、政府保証付きの融資や給付金の支給に関しては、フィンテック企業を介すことで、効率性をより向上させている。また、在宅時間が増加した新規顧客の獲得に成功するフィンテック企業も散見されている。

また新型コロナウイルスが猛威を振るう中、人々の思いに共感を示し、ユーザーエクスペリエンスの向上に寄与するフィンテックソリューションの活用に注目が集まっている。「共感(Empathy)」の意味について辞書を引くと、他人の感情を共有、理解する能力のことを示す。共感による作用の一例として、人々が靴を履いて1マイル歩けなかったとしても、その光景を想像することにより、ニーズの把握やモチベーションの向上に繋げられるという。

2019年にNielsen Norman Groupのチーフデザイナーを務めるSarah Gibbons氏は、ユーザーエクスペリエンスの一部としての共感とは、他人の感情やニーズ、モチベーションを完全に理解、反映、共有することであると述べている。またGibbons氏によると、共感は同情(Sympathy)とは異なり、後者は困難な状況に立ち向かうユーザーを把握することであるという。加えて、ユーザーエクスペリエンスにおける共感は、即座にユーザーの不満を理解するだけでなく、希望や能力、限界、理由、目標を把握することで、ニーズを解決し、不必要な痛みや衝突を取り除いて生活の質を改善できると説明している。

多くの場合、共感力のあるプラットフォームの構築は人間味を加味することを意味する。人間に加えてAIなどのテクノロジーを活用することにより、ユーザーと通じ合い、問題を解決し、優れたサービスを提供できるようになるという。SuperMoney.comの創業者兼チームエグゼクティブを務めるMiron Lulic氏は、感情を考慮した双方向の体験を自然に提供する方法を見出すことが重要だと述べている。特に、個人情報を取り扱う複雑なサービスを提供するフィンテック企業にとって、共感やモチベーションの向上に繋がるメッセージを組み込んだ金融アドバイスを提供することが競争上の優位性になるという。またLulic氏は、フィンテックサービスの利用経験がない人々に対するビジネスにおいて、共感力のあるソリューションを提供することが重要であり、例えば、電話サポートなどの伝統的な手法にAIを組み合わせたハイブリッドシステムを構築することで、人間もしくはロボットが問題を解決するサービスを提供できると説明している。

ボストンを拠点とするフィンテック企業Stavvyの共同創業者であるKosta Ligris氏は、金融やヘルスケアなど、全ての業界でイノベーションやテクノロジーを活用してカスタマーエクスペリエンスの向上を図ることができると述べている。しかしながら、製品・サービスに人間味を持たせることは、一部のフィンテックソリューションに限定して適用可能であり、Square Cashのように、使い勝手の良さを追求したフィンテック関連製品が成功を収めることもあるという。

財務体質の改善を図る会社をサポートするフィンテック企業Navのチーフエグゼクティブを務めるGreg Ott氏は、大手金融機関が見過ごし、顧客ニーズへ対応できていない市場が存在してしていると述べている。先進的なフィンテック企業にとっては、顧客基盤を拡大させる上で大きなビジネス機会になり得るという。新型コロナ禍において、世界中の企業や人々が苦境に立たされる中、今後も多くのフィンテック企業がQOL(生活の質)向上に繋がる革新的なソリューションを提供することに期待したい。

release date 2020.10.12

出典元:

ニュースコメント

感染の第2波で実力が問われるフィンテック企業

新型コロナウイルス感染の第1波がきっかけとなり、フィンテック企業や銀行、その他の金融機関が、使い勝手の良さや共感力のあるサービスの提供に加え、顧客ニーズにマッチしたモバイルプラットフォームの構築を試みている。例えば、新型コロナ禍において顧客取引の急増に成功しているロビンフッドは継続投資機能をリリースし、シンプル且つ直感的な操作性に加え、わずか数回のタップで金融商品が購入できる使い勝手の良さを追求している。また、コロナ対策の現金給付や融資などにおいて、フィンテック企業が存在感を発揮している。例えば、Square Capitalが緊急融資制度に参画した他、KapilendoとVarengold Bankが融資制度の電子申請サービスを提供している。Ott氏は、感染の第2波が襲ってきた場合、タイムリーに顧客の問題を解決できるフィンテック企業が顧客基盤を拡大できると見ている。直近の新型コロナウイルス動向に目を転じると、米国・ニューヨークは一部地区でロックダウンを再開する方針である他、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻なスペインは、首都マドリードを対象に非常事態宣言を発令している。グローバルベースで感染の第2波が迫る中、フィンテック企業が再び人々の課題を解決すべく如何なるソリューションを提供するか注目したい。


Date

作成日

2020.10.12

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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