Select Language

TRAction共同CEO、ハードブレグジット後のレポーティング規制動向を考察

TRAction共同CEO、ハードブレグジット後のレポーティング規制動向を考察

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.12 11:10
TRAction共同CEO、ハードブレグジット後のレポーティング規制動向を考察

update 2022.01.12 11:10

投資会社は現在のレポーティング状況を確認する必要性

オーストラリア・シドニーを拠点に取引関連レポーティングサービスを手掛けるTRAction Fintech(本社:Level 22, 85 Castlereagh Street Sydney NSW 2000 Australia[1])【以下、TRActionと称す】の共同CEOを務めるQuinn Perrott氏が、英国が合意なき離脱(ハードブレグジット)をした場合のレポーティング規制動向に関する見解を示した。[2]

欧州の投資会社は、欧州市場インフラ規則2.2【以下、EMIR2.2と称す】と第二次金融商品市場指令【以下、MiFIDⅡと称す】及び証券金融取引規則【以下、SFTRと称す】を遵守し、取引情報を認可報告機関【以下、ARMと称す】や取引情報蓄積機関【以下、TRと称す】へ提出しなければならない。TRは欧州証券市場監督局【以下、ESMAと称す】から認可を受ける一方、ARMは各国規制当局【以下、NCAsと称す】から認可を受ける。しかしながら、英国金融行動監視機構【以下、FCAと称す】規制下もしくは英国で設立されたTRやARMに関しては、2021年1月1日以降、同国がハードブレグジットをした場合、EMIR2.2やMiFIDⅡ及びSFTRのレポーティング規制が適用されないことになる。同様に、EUを拠点とするTRやARMに関しても、FCAの規制が適用されないことになる。

DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)やUnaVistaなど、多くのTR及びARMがハードブレグジットに対応すべく、英国とEUの双方を拠点とする新法人を設立し、登録認可を取得しているという。投資会社にとっても、取引情報を適切な機関へ提出することが求められる状況だ。Perrott氏によると、FCA規制下の投資会社であれば、英国を拠点とするTRやARMへ取引情報を提出する。EU圏内のNCAs規制下であれば、EUを拠点とする機関に、そしてFCAとNCAs双方の規制下にある場合、英国とEUそれぞれの機関にレポーティングする必要があると見ている。FCAは全ての投資会社に対し、あらゆるブレグジットのシナリオに備えるよう促している。Perrott氏は、各投資会社がハードブレグジットとなるケースを想定し、現在の自社における取引レポーティング状況を確認する必要があると述べている。

ブレグジット後のレポーティング要件に関し、MiFIDⅡ規制下において注意すべき点としては、EUを拠点とする投資会社が英国支店を通じて取引した場合、英国及びEU双方のARMへ取引情報を提出求められる可能性があることだ。英国を拠点とする投資会社がEU拠点の支店を通じて取引した場合も、同様の要件が求められるという。一方、EMIR2.2規制下においては、支店の所在地よりも投資会社を管轄する規制市場によって分類される。例えば、英国を拠点とする投資会社でEUに所在する支店であれば、英国拠点のTRへ取引情報を報告する仕組みになると見ている。

規制環境が目まぐるしく変化する中、多くの海外FXブローカーが複雑な規制に対して効率的に対応すべく、TRACtionのようなレグテックソリューションを提供する企業の活用を進めると予想される。

release date 2020.10.12

出典元:

ニュースコメント

注目集まるブレグジット後の貿易協定交渉

英国とEU間において、ブレグジット後の貿易協定を巡る交渉は依然としてまとまっていない。ボリス・ジョンソン首相は、10月15日に開催予定の欧州理事会までに合意に至らなければ、ハードブレグジットに向かう可能性を示唆した一方、EUのミシェル・バルニエ首席交渉官は、複数の重要分野において大きな隔たりが解消されていないという。他方で、混沌とするブレグジット情勢下、官民はブレグジット後の経済を見据えた取り組みを進めている。直近では、ESMAが2021年の監督業務計画を公表し、EMIR2.2に基づく第三国における中央清算機関(CCP)の直接監督など、ブレグジットを意識した様々な施策を盛り込んでいる。民間レベルでは、INTLがGIROXXを買収し継続的なサービス提供を目指している他、TRActionがUnaVistaと提携強化し、効率的な規制対応レポーティングサービスの提供を試みている。投資会社やTRなど、多くの市場参加者がブレグジット後を見据えて、徹底した準備を求められているが、移行期間の終了が数か月後に迫る中、引き続き英国とEUによる貿易協定交渉の行方を見守りたい。


Date

作成日

2020.10.12

Update

最終更新

2022.01.12

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Exnessでシステムエラーによる入出金の不具合が発生?SNSでも報告が相次ぐ

2025年10月、海外FX業者Exnessで入出金エラーが発生し、SNSでも不具合報告が相次ぎました。銀行振込やbitwalletで送金できない事例が確認されており、復旧後も不安の声が続いています。
update2025.10.16 19:00

日本でも税率20%でビットコインのトレードが可能?IG証券がIBIT・ETHAのCFD取扱い開始

IG証券がブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、イーサリアム現物ETF「ETHA」のCFD取引を提供開始し、SNSで話題になっています。本記事では、IG証券の発表内容やSNSでの反応、国内の仮想通貨税制、海外FXとの比較などを紹介します。
update2025.10.10 19:30

XMTradingが新銘柄GAUUSDを追加!取引コストはGOLDより割高か

XMTradingが新たにGAUUSDなど4種類のゴールド銘柄を追加し、グラム単位で少額取引が可能になりました。この記事では、従来のGOLDとの取引コストやスワップを比較します。
update2025.10.10 19:00

SwiftTraderが資金難?SNSで出金トラブル報告が増加

2025年以降、SwiftTraderで出金拒否・遅延の報告がSNSで相次いでいます。本記事では報告されている出金トラブルのほか、GEMFOREXとの類似点やSwiftTraderをおすすめしない理由を説明します。
update2025.10.16 19:30

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Exnessがスプレッドを最大30%OFF!仮想通貨・株価指数で大幅縮小

海外FX業者のExnessが主要銘柄のスプレッドを縮小しています。BTCUSDは16%、ETHUSDでは23%の縮小が確認されています。本記事では縮小後のExnessスプレッドを主要なブローカーと比較しました。
update2025.10.02 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

暗号資産担保ローンのメリットとリスクは?ビットコイン担保に日本円を借りる動きに注目集まる

BTCなどを担保に日本円を借りられる「暗号資産担保ローン」が話題を集めています。SNSでは、仮想通貨を担保にJPYCを借り入れる動きにも関心が集まっています。本記事では暗号資産担保ローンの仕組みやメリット、リスクなどを解説します。
update2025.10.15 19:00

PayPayを使って海外FXとの入出金が可能に?Binance JapanとPayPayが提携を発表

Binance JapanとPayPayが業務提携を発表し、PayPayマネーを使った仮想通貨購入サービスの提供などが検討されています。本記事では、Binance JapanとPayPayの提携内容や、PayPayを使った海外FXとの入出金フローなどを解説します。
update2025.10.17 19:00

【要注意】堀江氏・テスタ氏のディープフェイク広告が急増中?国内で詐欺の事例も

ディープフェイク技術を使った詐欺広告が世界的に増加しており、国内でも有名人を装った広告が出回っています。広告は精巧で、違和感に気づけないケースもあるため、真偽を見抜くのは簡単ではありません。本記事では、出回っているディープフェイク動画の広告主を調査しました。
update2025.10.08 19:00

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル