Select Language

ESMA、2021年の監督業務計画を公表

ESMA、2021年の監督業務計画を公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.12 12:03
ESMA、2021年の監督業務計画を公表

update 2022.01.12 12:03

サステナブルファイナンスなど多岐にわたる課題に取り組む方針

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、投資家保護の徹底及び秩序と安定性ある金融市場の構築を目標として掲げる2021年の監督業務計画を公表した。[1]

ESMAが策定した同計画においては、規制環境の変化を考慮に入れ、資本市場同盟(Capital Markets Union, CMU)を構築するための基礎となる個人投資家基盤の形成に加え、サステナブルファイナンスや長期視点に基づく市場形成の促進が挙げられている。更に、デジタル化による機会とリスクへの対応、グローバル資本市場におけるEUの役割強化、均整の取れた規制策の導入など、多岐にわたる課題へ取り組む方針が示されている。同局は監督基準の収斂性(しゅうれんせい)の確保や投資家保護に加え、ベンチマーク・アドミニストレーターやデータサービス提供業者に対する直接監督の徹底を図るべく、ESAレビューに基づく法律の改正を踏まえた戦略的方向付けを行っていくという。

ESMAは組織横断的な課題への対応を図る他、ファンドの流動性リスクや個人投資家向けの金融商品、ESG(環境・社会・ガバナンス)レポーティングなどの分野を重点的にモニタリングし、クロスボーダー投資に関するピアレビューを実施する意向だ。また同局は、金融イノベーションやESGの視点を採り入れたリスク分析に加え、第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive Ⅱ, MiFIDⅡ)やオルタナティブ投資ファンド・マネージャー指令(Alternative Investment Fund Managers Directive, AIFMD)のレビュー、第三国中央清算機関(Third-Country CCP)【以下、第三国CCPと称す】の直接監督などを注力分野として挙げている。

監督業務計画の公表に際し、ESMAの局長を務めるSteven Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

ESMAにとって2021年は、規制当局としての責務だけでなく、組織としても変化を迎える年となります。規制面においては、ESAレビューに基づき、中央清算機関(Central Counterparty)【以下、CCPと称す】やベンチマーク・アドミニストレーター、証券化商品の取引情報蓄積機関(Securitisation repositories)に対する監督権限が強化されます。欧州金融市場の単一ルールブック(Single Rulebook)の策定や監督基準の収斂性の確保においては、資本市場同盟の構築に加え、新型コロナウイルス(COVID-19)及びブレグジットへの対応に注力します。組織面では、私とVerena Ross氏が10年に及ぶ任務を終え、2021年第2四半期までに新たな経営陣に加えて、CCP監督委員会の各委員と多くのスタッフの方々を迎え入れる予定であります。2021年の監督業務計画は野心的なものであり、欧州資本市場が直面する様々な課題に対応することができると確信しております。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

ESMAが多岐にわたる課題に対応した効果的な規制策を導入することで、より安心・安全な取引環境が構築されることに期待したい。

release date 2020.10.07

出典元:

ニュースコメント

ブレグジットに万全を期すESMA

今回ESMAが策定した監督業務計画には、欧州市場インフラ規則2.2(EMIR2.2)に基づく第三国CCPの直接監督やクロスボーダー投資を試みる投資会社へのモニタリング強化など、ブレグジットを意識した様々な施策が盛り込まれている。同局はブレグジットに伴う欧州金融システムの混乱回避に向け、市場参加者に対して2020年末とされる移行期間終了に向けて、準備を徹底することを要請している他、英国を拠点とするCCP3社に第三国CCPとしての認可を与える方針を示している。またESMAはCCP監督委員長と独立委員を任命したことに加え、ESMAはAIF関連レポートを公表するなど、ブレグジット後を見据えて万全を期している状況だ。他方で、INTLがGIROXXを買収し継続的なサービス提供を目指すなど、民間企業の動きも活発化している。ESMAが2021年の監督業務計画を下に、投資家保護及び秩序と安定性ある金融市場構築に向けて如何なる規制策を講じるか注目したい。


Date

作成日

2020.10.07

Update

最終更新

2022.01.12

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

メタマスクが勝手に開く現象が多数報告!原因や対処法は?

PCでブラウザを立ち上げた際にメタマスクが勝手に起動する現象が起きており、SNS上でも話題になっています。Myforex編集部でもこの現象を確認しており、当記事執筆時点(2025年4月3日)ではGoogle ChromeとBraveのブラウザで発生していることが確認できています。
update2025.04.03 19:45

ワールドコインのOrb(オーブ)の日本設置場所は?無料配布を受けられる登録会場の予約方法も解説

ワールドコインのOrb(オーブ)で生体認証を行うことで、仮想通貨WLDを無料で受け取れます。当記事では、ワールドコインの日本国内のオーブ設置場所、探し方、予約方法などを解説します。
update2025.03.21 19:30

XMTrading・Vantage Trading・AXIORY公式アプリがApp Storeから削除

海外FXブローカーのXMTradingおよびVantage Trading、AXIORYのアプリがApp Storeから削除されたことが確認されました。本記事では、削除の背景や考えられる理由、ユーザーへの影響、そして今後の対応策について詳しく解説します。
update2025.03.25 19:30

Galaxy DAOが出金受付を開始?返金を期待できない3つの理由

Galaxy DAOが、返金の受付を開始するという内容のメールをユーザーに配信していたことが明らかになりました。しかし、多くのユーザーは返金の実現には懐疑的です。なぜGalaxy DAOによる返金が期待できないのか3つの理由を説明します。
update2025.03.19 19:30

キャプテン翼-RIVALS- がJOHNトークンのエアドロを発表!LINEなどで遊べるMini Appの独自トークン

「キャプテン翼-RIVALS- Mini App」は、キャプテン翼のIPを活用したWeb3ゲームです。2025年4月にJOHNトークンのエアドロップが予定されており、注目を集めています。本記事では、JOHNトークンの特徴、エアドロップの仕組み、将来性などを解説します。
update2025.03.27 19:00

VPSではMT4・EAは何個起動できる?複数稼働は可能なのか?

スペック別のEAの起動数の目安のほか、VPSの負担を軽くする方法を説明します。同時に起動するEAの数が多すぎると、MT4が動かなくなる可能性があるので注意が必要です。VPSを使っているならば、MT4やEAをいくつ起動できるかを把握しておくことが大切です。
update2025.01.23 19:00

【MT4/MT5】フィボナッチを自動で描写!便利なインディケータを徹底比較

フィボナッチを使ってチャート分析をする際、ラインの引き方が分からなかったり、毎回手動で引くのが面倒だったりなどの難点があります。そこで本記事ではフィボナッチを自動描画できるMT4/MT5用インディケータを徹底比較します。
update2025.02.12 19:00

MTF-MAでトレードのレベルを上げる。MT4/MT5で使えるインディケータを比較

MTF分析は複数の時間足を組み合わせて相場全体を把握する手法です。MTF分析を使いこなすことでエントリーの方向やタイミングを掴みやすくなります。本記事ではMTF分析を簡単にするインディケータや、エントリー精度を上げる方法を解説します。
update2025.01.21 19:15

海外FX業者のXアカウントが凍結?金融庁による働きかけの可能性も

複数の海外FX業者の公式Xアカウントが凍結されました。凍結されたのは日本向けのアカウントで、同じブローカーの英語アカウントは現在も閲覧できる状態です。海外FX業者の公式Xアカウントが凍結された背景を解説します。
update2025.04.01 19:30

MT4のバックテストに正確なヒストリカルデータが必須!無料・有料データを比較

MT4でバックテストをする際にはヒストリカルデータの取得が必要です。ヒストリカルデータは無料と有料のものがありますが、どっちがいいのか、気になる人もいるでしょう。本記事では、ヒストリカルデータのダウンロード方法を詳しく解説します。
update2025.03.26 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル