作成日
:2020.10.12
2021.08.31 15:31
人気仮想通貨のリップル(Ripple)を運用するRipple, Inc.【以下、リップル社と称す】は、同社のODL(On-Demand Liquidity)サービスを利用するクライアントに対してクレジットラインを設定することを発表した。
発表によると、リップル社はODLサービスを利用する企業が与信限度額内でXRPを後払いで購入することを可能にするという。このサービスは、既にパイロットプログラムとしてクライアントに提供されており、将来的により堅固な製品としてリリースすることが計画されている。リップル社はこのクレジットラインが中小企業の事業拡大をサポートし、大手企業に対して競争力を得る手段になると考えているようだ。
リップル社は、このサービスが国際決済に必要な資金を低コストで調達することを手助けすると説明している。例えば、カナダの事業者がイスラエルのサプライヤーへの支払いを行う際、カナダドルを現地通貨のシェケルに両替する必要があるが、XRPをブリッジ通貨として利用することで、その手間を省くことができる。また、事業者はクレジットラインを活用してXRPを調達できるため、決済時に固定レートで確定した代金を後払いでリップル社に返済することが可能だ。
最近、リップル社はISO 20022の標準化団体に加盟し、RippleNetを介して国際標準の送金サービスの提供を可能にしているが、このクレジットラインの設定がどのような成果につながるのか、今後も同社の取り組みに注目していきたい。
release date 2020.10.12
金融業界ではクレジットラインを用いた取引が一般的となっており、その利用環境についてもドイツ銀行やXTM Markets、サクソバンク、シティグループが採用するCobaltのインフラなどの普及で改善している。一方、仮想通貨業界でも多数の機関投資家が参入してきていることを背景に、同様の方法での取引が活用されるようになりつつあるようだ。最近では、米ニュージャージー州を拠点にするLGO Marketsが事前入金不要の仮想通貨取引サービスを提供するなど、米国内で大手機関投資家向けのサービスも登場しているという。特に、LGO Marketsは一部クライアントに対して最大数百万ドル規模の与信枠を設けることを実現しており、仮想通貨業界でも注目の存在となっている状況だ。近年、リップル社は機関投資家向けにXRPの流通を促しているだけに、このクレジットラインの設定は効果的なソリューションになり得ると言えるだろう。
作成日
:2020.10.12
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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